知り合いに林檎さんは嫁候補と話したら、趣味が悪いと言われました。
結構いいキャラしていると思うんですけどね。
京之介は仲間に被害が及ばぬように、霧隠れの陣営から離れていた。
撤退予定時間がある京之介は余力を残して戦わなければならない。
しかしながら林檎雨由利には遠慮する要素はない。攻撃の一つ一つが命を刈り取らんとばかりに襲い掛かってくる。
幼きころに兄の太刀之介が約束した武器でもあれば話は別だが、いまだ完成はしていない。今現在もっている忍具で対応するしかない京之介にとっては、迫りくる雨由利は死神にしか見えない。
自分に雷遁のチャクラを纏わせ、速度を上げるが、相手のほうが手馴れている。
「逃げてばかりじゃつまらないわよ!!」
雷刀・牙に電気がほとばしる。次の瞬間には頭上からの落雷が襲い掛かってくる。
「ぐっ、なら!」
直撃から逃れた京之介は印を結ぶ。
『風遁・風塵の術』
「そんなじゃ、アタシは倒せないわぁ!」
性質の相性を無視するかのように、風を雷でなぎ払う。
(技量の差か……きついな)
実力が同等であれば間違いなく風は雷に勝つ。だが、京之介の技量は雨由利にはまだまだ及ばない。
加えて林檎雨由利は若くして雷遁の天才と称されたほどの腕を持つ。そこに霧隠れが誇る忍刀の一本が組み合わされば、相性の良し悪しは多少なれど覆る。
「まだまだ楽しませてよぉ!!」
雨由利が再び京之介に接近してくる。
忍具を使って距離をとるが、遠近対応が可能である雨由利には無駄であった。
京之介が忍術を使おうとすれば、接近または遠くからの雷遁が襲い掛かる。優劣はだれが見てもはっきりとしていた。
「まだだ!」
「ちっ」
起爆札を使い雨由利の視界を一時的にでも潰す。がむしゃらに雷を放つが、雷を纏わせた京之介は多少当たってしまっても何とかなる。
『多重影分身の術』
100人ほどの分身を作り、周囲に展開する。
しかし、これでは雷を落とされてしまえばそれで終わりなので、20人ほど待機させる。風遁部隊と称し、1人で無理ならば、20人で雷遁に対応してもらう算段である。
「へぇ、面白いじゃない。ますます斬った時が楽しみだわ!」
『火遁・火龍弾』
『水遁・水龍弾』
『土遁・土石龍』
『雷遁・雷龍弾』
待機している20人を除き、80人の分身が一斉に攻撃を開始。
さすがに雨由利も回避をしなくてはならないようで、雷のチャクラを纏い、猛スピードで逃げ切った。
「いいわぁ、楽しくなってきたわぁあああああ!!」
笑みを浮かべる雨由利は自身のチャクラを雷刀に送る。
「喰らいなさい! 雷遁・雷牙あああああああああ!!」
膨大な雷が周囲を襲う。
『風遁・特大風弾』
残りの20人が巨大な風の球体を放ち、雷を相殺する。
爆風と爆音が辺りに被害を及ぼす。木々は倒れ、爆発の中心では地面がえぐれ、辺りから焦げたにおいが漂っている。
京之介の分身はすべて消えており、立っているのは雨由利のみとなった。
「残念、もう終わりなんて……楽しかったのにねぇ」
残念そうに笑う雨由利だったが、自分の足元から強い殺気を感じた。
次の瞬間、地面から京之介が現れる。
「っっっ!?」
一般の忍であれば、絶命していたであろうが、高い戦闘センスを誇る林檎雨由利は一瞬にして雷遁チャクラを纏い回避することができた。
そしてすかさず反撃の一撃を与える。
だが――――。
ボン
「分身っ!?」
ドゴン!
雨由利の背後の地面が伸び上がり、京之介が現れる。両手にはクナイを持ち、まさに雨由利の命を奪わんとしていた。
この時の京之介は失態を犯していた。確実に取れたと思い、自信の身体能力を底上げしていなかったことだ。結果、雷遁を纏った雨由利と11歳の身体能力では埋められない差がある。
ガキィン!!
「くっそぉ……」
「残念だったわねぇ」
雷刀に弾かれた京之介は距離をとる。
「ぐっ……」
「さぁ、続きを楽しみましょう?」
「……残念ですけど、撤退する時間ですので」
ボン
京之介は煙となって姿を消した。
「…………分身……」
今回の任務は強襲であって林檎雨由利を討伐する任務ではない。多重影分身を作ったあとに、地面に隠れていた京之介は撤退時間になっていることに気がつき、分身を2人作ったのちに、合流地点へと向かっていた。
雨由利は倒せるならば倒して置きたかったが、力量の差を感じた京之介は任務を優先にしたのだった。
「まぁいいわ。次に会うときまで、楽しみはとっておくわ」
獰猛な笑みを浮かべた雨由利はゆっくりと歩き出す。逃げたと見せかけて攻撃をしてくるのではないかと考え、一定の警戒をしながら本陣へと帰還した。
「おお、雨由利、無事だったか」
本陣を立て直している霧隠れの忍が雨由利の帰還に気がついた。
「ええ、敵には逃げられちゃったけど」
「そうか、だが、忍刀七人衆のお前がいれば、まだ巻き返せるさ」
「ええ、そう……ごほっ!」
「おい、大丈夫か!? 医療班! 来てくれ!!」
林檎雨由利は幼きころより病に体を冒されている。自分が長い人生を歩むことができないとうすうすながら感じている彼女は、戦いの中で自分を満たしている。生きていると強く思えるからだ。
(……そういえば、彼と戦っている間は発作が起きる様子もなかったわね……まぁ、次の楽しみができたと思えばいいわね)
雨由利は京之介との再戦を楽しみにしながら医療忍術に身を任せる。
し、死ぬかと思った……。
さすが穢土転生に選ばれただけはある。
しかも絶対目をつけられたじゃん。なにかっこつけて名乗ってんだよ俺。
てか、あんな人があと6人もいんのか……。はぁ……。
後にわかったことだが、林檎さんが異常に強いだけでほかの6人はそこまで化け物じみていないらしい。
扉間様に隊長を任された以上はちゃんと仕事をしないとなぁ、後でなに言われるか分かんないし……ただでさえ嵐遁習得に遅れて怒られたしなぁ。てかまだ未完成ってダメだしされたしな。
次に戦うまでにはもっとレベルあげないと。応用力とかも必要だし。
はぁ……前途多難だ……。
作戦自体は成功に終わった強襲部隊の活躍により、霧隠れは再び後退を強いられ、波の国で一時兵力を蓄える構えを見せた。
また、二代目水影が驚くことに海を渡り、岩隠れの里に強襲を仕掛けたという情報や砂隠れが開発した傀儡人形などが猛威を振るっているなどの知らせが届き、戦争はまだまだ続きそうであった。
そんな中で一際京之介が食いついたのが、木ノ葉と雲が同盟を結ぼうとしている。という話である。
京之介はその先の未来を知っている。しかし、現在は霧隠れへの警戒をしていなければならない。ゆえに、彼にできるのは無事を祈ることだけだった。
数十日後、千手扉間が雲隠れでクーデターに遭うも主犯格の金角銀角両名を撃破し、六道仙人の宝具をいくつか持ち帰った。という知らせが木ノ葉の忍たちの士気を大いに高めることになった。
「…………あれ?」
喜ぶ皆の中で、1人首をかしげる京之介であった。
林檎雨由利との戦いはこれからも少しずつ書くつもりです。
各地の情報も書ければいいなと思っています。
そして卑劣様は生き延びる。理由は次回あたりで。
雷遁・雷龍弾
雷の龍を相手に当てる。高い機動力を誇る。
風遁・特大風弾
バスケのボールほどしかない風弾を大玉螺旋丸ほどの大きさにして放つ。