霧隠れとの戦いに一段落し、木ノ葉の里から送られた交代要員の部隊と京之介たちは入れ替わり、里へと帰還した。
手術が終わった林檎雨由利は万が一を考え拘束された。
抵抗することなく拘束された雨由利は京之介に運ばれることを頼み込んだ。
当初は、名目上捕虜の身である雨由利の要望など聞く気にはなれなかったが、京之介本人が了承した為、周りの者たちは反対するのを諦めた。
万が一を考えて、京之介の同期が2人を囲んで行動し、不審な所があれば容赦しないということで決まった。
道中は特に大きな問題が起きることなく進んだ。
途中、村を襲う連中に出くわしたが、すぐに処理し、死傷者が出ることはなかった。
戦争の影響が出ていることを改めて実感した京之介たちは木ノ葉隠れの里に到着したのであった。
林檎雨由利への対応については、志村ダンゾウが戦力になるからといって信用はできないと主張。必要な情報を得た後に処分するべきと意見したが、火影になったヒルゼンは京之介の言葉を信じ、監視を任せた。
京之介からすれば全員が反対すると思っていたため、この結果には驚いていた。
雨由利が霧隠れの情報を渡す代わりに、京之介と共にいられるように手配して欲しいと言ったことも驚きであったが。
手に入れた忍刀の6丁は研磨家の職人によって解析され、新たな武器製作に生かすとのこと。
約一年ぶりに実家に戻った京之介は兄の部屋を訪れて唖然とした。
「兄上が結婚している……」
「そりゃ、結婚するさ、一応跡継ぎだし」
「いや、兄上のことですからあと10年はしないのかと」
「父上と同じことを言うんだなお前……」
やっぱり親子だな……と太刀之介は苦笑する。
「えっと、初めまして義姉上。太刀之介の弟、京之介と申します」
「こちらこそお初にお目にかかる。研磨太刀之介が妻、
深々と頭を下げる蘭夏の脇に小太刀があることに気がついた京之介は好奇心も働いて尋ねた。
「義姉上は鉄の国のご出身で?」
「ええ、以前より研磨家とは武器の取引を行っておるゆえその縁で」
鉄の国と研磨は昔から武器の取引を行う間柄であった。木ノ葉としては他国に武器が流れることをよしとしなかったが、鉄の国側と交わした木ノ葉との戦闘回避に関する条約が2つの国の間から争いの火種を消した。
太刀之介に縁談の話を持ち込んだ父――研磨徳之介は、太刀之介が京之介のために作っている武器が一段落ついたところで、話をした。
戦争が起きているこのご時勢だからこそ、早めに結婚したほうがいいと進められた太刀之介だったが、相手のことも考えずに結婚はしたくないとして、結婚相手の蘭夏としばらくともに過ごすことにした。その後互いの気持ちが重なったことにより無事結婚したのだった。
「なんというか、面倒なことしましたね」
「他里の娘を捕まえてきたお前に言われたくないな」
「いや、まだそういうのじゃないんですが……というより義姉上は剣術を?」
「たしなむ程度ではあるがな」
「うちって、女性陣が妙に強いですね」
「まぁ、そうだな」
「養母上も義姉上も見事な布槍だったな。私もあやかりたい物だ」
「しかし、戦争中に結婚したってことは鉄の国となにか取引でも?」
「ああ、新しい武装とかを少々な。悪い仕事じゃないし、お前が手に入れてくれた霧隠れの刀とかも参考になるさ」
「そういえば、昔の約束はどうしたんです?」
「ああ、あれか、すまんがもう少し待ってくれ、最後の所がうまくいかなくてな」
しばし、家族での会話を楽しんだ京之介は監視対象で監禁中の林檎雨由利の元を訪れた。
「あらぁ? 会いに来てくれるなんて嬉しいわぁ」
「不自由なことはありませんか?」
「特にないわ」
「ならよかった。一応監視という名目なのでできれば大人しくしていてくださいね」
「そうね、嫌な印象を与えて殺されるなんてことはしたくないもの」
すでに霧隠れの額宛をはずしている雨由利は京之介に向けて笑顔を見せる。こうして会いにきてくれるだけで心の底から嬉しいのだ。
「手術後ということもあるので、あまり無茶もしないようにしてください」
「それも承知の上よ」
「では、食事の時に」
京之介は部屋を出ると、外に視線を送る。
外にはヒルゼンが派遣した忍たちが雨由利を監視している。警戒しすぎることに越したことはない。
(お願いしますよ)
(……)コクリ
視線を向けられた忍は首を軽く縦に振ったのち、監視を続けるかのように動かなくなった。
その後、食事時に雨由利を部屋の外に連れ出し、家族と共に食事をしたことに関しては、監視の忍も雨由利も驚いたが、あとは概ね平和な時間が流れた。
二代目火影、千手扉間が死去したことを除けば。
次回からまた戦争に戻ります。