この世界で生き残る   作:鴉星

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第23話 第二次忍界大戦 弟子?

「…………両肩がすごい痛いんだけど」

 

「目が覚めた第一声がそれか」

 

「で?」

 

「……お前が三代目雷影を引き付けてくれたおかげで、拠点を奪うことには成功した」

 

「そうか……そういえば、雷影の腕は?」

 

「……敵が回収していたな」

 

「つまり、砕けなかったのか……あー、とてつもなく未完成なんだな。あの術。切り落とした腕すら砕けないなんて」

 

 悔しさと肩の痛みから、京之介は顔を歪める。

 

「……」

 

 ヒアシはフォローの言葉を入れるようなことはしない。長い付き合いで、京之介が次になにをするか位は予想がついていたからだ。

 

「いつから動いていいって?」

 

「しばらくは無理にでも休ませろと医療班は言っていたな」

 

「今は戦争中だ。そんな暇があるとは思えないんだけど?」

 

「雲隠れは里の近くまで撤退して、防衛線を作ったようだ。しばらくは睨み合いになるだろうな。お前たちが資源をつぶしたおかげだ」

 

「なら、働いた価値もあるってもんだ」

 

「ああ、それとうちはカガミ殿に礼を言っておけ」

 

「そりゃ、一緒に組んだし礼くらい……」

 

「出血多量で死にそうになったお前に、血液型が同じだったカガミ殿が大量の血を渡したんだ」

 

「……」

 

 事の真相に押し黙る京之介。

 

「もちろんカガミ殿だけではなく、我々日向も多少は提供したがな。一番多かったのは彼だろうな」

 

「そっか……ありがとうよヒアシ。後で礼を言っておくさ」

 

「そうしろ。私はこれから周辺の監視に出る。後のことは護衛に頼んでくれ」

 

「護衛? てか、そういえばここどこだよ」

 

「ここは湯隠れの里の旅館だ。護衛は泥遁の一族たちだ。自分たちのことを笑わないでくれたことへの礼だそうだ」

 

「なら、お言葉に甘え……ようか……な」

 

 弱ってしまっている京之介は最後にそれだけ言って、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 京之介らの活躍によって後退を余儀なくされた雲隠れの忍たちは防衛線を敷いて敵を構える体制をとっていた。

 

 しかしながら、一部の忍からは不安がこみ上げてきている。原因は里の中でも最強と言われている三代目雷影が負傷したからだ。

 

 

「ぬううう……」

 

「雷影様。今ならまだ腕の治療が間に合います」

 

「しかし……」

 

 雷影にとって凍らされた左腕は弱さの塊のようなものだ。運がよいことに、切り落とした後に砕け散ることはなく。そのままであったため、部下が回収した後、解凍。

 

 腕利きの医療忍者を集め、治療を開始しようとしたが、雷影本人が乗り気ではないのだ。

 

「親父! なにを躊躇してるんだ!!」

 

「お前は黙っていろ! これはワシの問題だ」

 

「違う! これは里全体の問題だ!! 親父が弱くなったことがほかの大国に知れ渡ってみろ、霧や岩が攻勢を仕掛けてくるかもしれないんだぞ! 親父には万全の状態じゃなきゃだめなんだよ!」

 

 息子からの言葉を受け、雷影は考える。

 

(万全の状態……あの小僧も生きていればさらに強くなる……)

 

 戦いのとき、左腕にチャクラのほとんどを集め、守りに徹しながらも突き進んだ雷影は京之介がほんの少しだけ斜めに動いたことで、心臓に突き刺すはずだった地獄突きを回避されてしまったのだ。

 

「分かった」

 

「親父っ!」

 

「治療を始めてくれ」

 

『はっ!!』

 

(再戦が楽しみだ)

 

 雷影は己がまだ強くなると確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い空間に京之介は寝ていた。

 

「起きんか馬鹿者」

 

「……げぇ! 扉間様!!?」

 

「なんだその間抜けな顔は」

 

「いや、あなたは死んだでしょうに、まだ穢土転生は使ってないはずだし」

 

「当然だろう。今目の前にいるのは精神体だからな」

 

「精神体?」

 

「お主が長時間己を鍛えられない状態に陥ったときに発動するように生前のワシが仕組んでおいたのだ」

 

「……つまり、夢の中でも特訓ができると?」

 

「そうだ」

 

「鬼! 悪魔! 卑劣!!」

 

「何とでも言え。そら始めるぞ」

 

「ううっ……俺、やっぱり長生きしたい……」

 

 現実時間で翌日の朝まで、京之介の悪夢は続き、元のように動けるようになるまで、夢の中の特訓は続けられた。

 

「俺、初期の我愛羅みたいになるかも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一週間後

 

「あ~生き返る」

 

 湯隠れの名湯に浸かりながら、京之介は体を癒し、ついでに心も修復していた。

 

「ようやく多少の激しい運動はできるようになったけど、やっぱり肩が痛いな……夢の中じゃ痛みがない代わりに心が痛いし」

 

「京之介」

 

「おお、ヒアシか、どうした?」

 

「里からの伝言だ。研磨京之介は木ノ葉へと帰還し、体を休めよ。だそうだ」

 

「ん、了解。んでお前は?」

 

「お前を里まで安全に送り届けた後にまた雲へ行くことになっている」

 

「そっか、迷惑かけるな」

 

「もう慣れた」

 

 ヒアシにしては珍しくうっすらとだが笑顔を見せた。

 

「ほかの部隊にいるヒザシや矢鶴たちが来たら出発だ」

 

「なら、里でしっかり体を休めますかね(悪夢は見るけどな)」

 

「次に会うまでに、体は整えて置けよ」

 

「大丈夫だよ。なんならこのまま復帰しようか?」

 

「それはやめろ」

 

 他愛もない話をしながらヒザシたちの到着を待った京之介らは、数時間後には木ノ葉へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木ノ葉に戻った京之介はいつも使っている里外れの演習場に来ていた。

 

 

「はぁ、はぁ……参ったな」

 

 

 京之介は休みを入れながらも、特訓を再開した夢の中では忍術、幻術関連を中心にやらされていたため、今は体術を中心に行っていた。ちょうど休みで京之介が無茶をしないようにと監視役を請け負ったヒザシと組み手をしている最中にそれは起きた。

 

「ぐっ!!」

 

 ヒザシの攻撃を受けて、京之介は吹き飛ばされてしまった。

 

「京之介!?」

 

 近くで見ていた雨由利が駆け寄る。

 

「大丈夫!? 今の点穴に……」

 

「いや、なんとかずらした……ぐっ」

 

「今ので君が吹き飛ばされるなんて……」

 

「すまん。よっぽど体が鈍っていたんだな」

 

「……そうか」

 

「よし、もう一度だ」

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですよ雨由利さん」

 

 笑顔を見せる京之介だったが、内心では動揺していた。

 

(なんで、ヒザシの攻撃に怯えているんだ俺は……)

 

 ヒザシと組み手を始めてすぐに、自分の体に違和感が起きた。うまく動かせていないことに気がついたが、精神で鍛えても、体が弱くなってしまったと解釈し、改めてヒザシに集中したが、どうしても、ヒザシの攻撃に対して動きが悪い。自分が攻撃しているときにはなんともないのに、なぜか相手からの攻撃だけ動きが悪い。

 

(京之介の動きがおかしい……)

 

 ヒザシもまたそれに気がついていた。

 

 しかし、原因が分からない以上はどうしようもないため、そのまま組み手を再開することになった。

 

 より実戦に近いほうがいいと思ったヒザシは本気で点穴を狙うように、指先の狙いを定める。

 

「っ!?」

 

 ヒザシの指を見た瞬間。京之介の動きが止まった。

 

「っ! はっ!!」

 

 僅かに点穴からそらしたヒザシだったのだが、それでも京之介は深手を負ったかのようにうずくまってしまい、呼吸を荒げる。

 

 それを見た雨由利は今日のところは終わりにするべきだと判断。家へと戻る。

 

「京之介……」

 

 ヒザシは弱弱しい京之介の背中を見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、ヒザシと雨由利に協力してもらい、体術と剣術を中心に稽古を行っていたが、ヒザシの体術と雨由利の雷遁を組み合わせながらの組み手において、京之介は呼吸を荒げ、冷や汗をかいていた。

 

 

 京之介は自分が雷影との戦いから、体術と雷遁に対して極度に反応してしまうことを理解した。

 

 

 当然だが、そんな状態では役には立たない。必死に治そうと努力するものの、うまくいかず、息ができなくなったり、組み手の途中で動きをやめてしまったりと、ボロボロの状態だった。

 

 

「少し休んだほうがいい」

 

 ヒザシにそう言われ、何日も休んでいた京之介は、夢の中の扉間にすらも、今のお前を鍛えても無理だろうと言い、自分の力で乗り越えろとだけ言って、そこから夢に現れることはなかった。自分で乗り越えなければいけないと判断した京之介は1人で演習場で特訓していた。

 

「くそ……」

 

 最近では体術の稽古以外でも雷影のことが頭を過ぎり苦しめていた。

 

「なんなんだよ……くそおおおおおおおお!!!」

 

 武器を振り回し、周囲に八つ当たりする。地は抉れ、木はバラバラに切り裂かれた。

 

「…………はぁ、はぁ……」

 

 京之介は息を整え、空を見る。

 

「もうダメなのかね……」

 

 

 

 

 

 

「見つけた!!」

 

「……ん?」

 

 演習場の入り口に1人の少年が立っていた。

 少年は京之介へと近づいてくる。

 

「なあ! あんた研磨京之介だろ!?」

 

「……ああ。なんか用か」

 

「俺は千手縄樹! 将来火影になる男だ!!」

 

「そうか……で?」

 

 京之介は目の前の少年が綱手の今後に関わる人物だと理解していたが、現在は自分のことでいっぱいいっぱいであった。

 

「頼む! 俺を弟子にしてくれ!!」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

 




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