この世界で生き残る   作:鴉星

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短くても早めに投稿しようと思った次第です。

三作目の奴がどう話を作るかでちょっと煮詰まったというのもあります。




第36話 時は進む

「…………忍たちの行方不明者が出た?」

 

 京之介たちに与えられた職場にてヒアシからとある報告を受けていた。

 

「ああ、ここ数日で下忍上忍を問わずに六名の行方不明者が出ている」

 

「いずれも技量があって期待されている人たちか……(大蛇丸の仕業か?)カガミさんがせっかく血之池一族を見つけてくれたというのに……迎え入れるのはもう少し待ってもらうしかないかな。なにかあってからじゃ遅い」

 

「カガミさんは平気だったのか?」

 

「戦いにはなったらしい。無理もないけどな。だが、カガミさんはなんども話し合いに向かったと報告書には書いてあるし、最後には理解してくれたみたいだ。全員が納得したわけじゃないだろうけどな」

 

「まぁ、難しいだろうな……」

 

「このことはもう少し扉間様たちとも話してみるさ。それよりも行方不明者たちのほうが優先されるべきだろう。サクモさんやほかの人たちにも迫害されている血継限界の保護を頼んでいたけど、一度協力を仰いだほうがいいな。ヒアシ悪いが各地に任務で出ているみんなに通達頼む。保護を優先で構わないと付け加えておいてくれ」

 

「分かった」

 

 ヒアシは頷くと急ぎ足で部屋から出て行った。

 

「さて、容疑者は大蛇丸一択なんだが、他の候補も考えておかないとな」

 

 京之介は影分身を作り出し、里の各地へと向かわせた。

 

「万が一の為に雨隠れにいる自来也様にも戻っていただくか……」

 

 京之介は手早く筆を執って要件をしたためると追加で影分身を作り出すと変化をさせたうえで、手紙を渡した。

 

「さて、血之池の皆さんを迎い入れる領地の作成もしないと……ああ、そういえば雪一族が見つかったって報告も……あーやること多すぎ……まだ十代の子供にやらせていいことじゃねぇぞまったく……でも俺が始めたことだから自業自得か……はぁ」

 

 一人寂しく書類関係の仕事をしていると、コンコンと部屋の扉を叩く音が聞こえた。

 

「どうぞ」

 

 少なくとも律義に扉を叩くことのない仲間と扉間と縄樹以外の人物だろうと思っていると、そこにいたのはクシナだった。

 

「失礼します……あ、先生よかった。時間ありますか?」

 

「ああ、大丈夫だ。そっちのイスに座ってな」

 

 書類作業を一旦やめてクシナを客用のイスに座らせると、お茶を用意する。

 

「で? どうしたんだ。ミナトと別行動とは珍しい」

 

「い、いつも一緒ってわけじゃないってばね!」

 

「はいはい悪かったよ。それで、そんな暗い顔をしてどうしたんだ?」

 

「…………先生は私が木ノ葉にいる本当の理由をご存じですか?」

 

「……ああ、扉間様から聞いている」

 

「………………そう、ですか……」

 

「怖いか? 尾獣を自分の中に取り込むのは?」

 

「……はい」

 

「だよな……」

 

 二人の間に沈黙が流れる。

 

「クシナ。実は扉間様から一つ仕事を受けていてな」

 

「仕事、ですか?」

 

「尾獣をミト様から取り出すとき、死なせない儀式術を構築せよとのことだ」

 

「それって」

 

「俺が三尾殿を連れてきたことで、尾獣を封じることをせずに共存させる方針に変更されてな」

 

「けど、九尾は……」

 

「ま、やばいのは分かっているさ、けど、うずまき一族を犠牲にしていいわけじゃない。暴れるならそれなりの方法もある。なに、連中も無敵じゃない」

 

 京之介はニンマリと笑顔を見せる。

 

「じゃあ、私は……」

 

「ミナトと幸せになればいいじゃん」

 

「うえ!?」

 

「ま、何とかしてみるさ、人柱力の件に関しては扉間様やヒルゼン様そしてダンゾウ様までちゃんと協力してくれてんだぜ? お前さんは毎日を楽しく生きてくれればいい」

 

「けど、失敗したら……」

 

「気持ちは分かるよ。けど、何事も挑戦しなきゃな。始まりはいつだって前例がないんだからさ」

 

 京之介はグイっとお茶を飲み干す。

 

「クシナ。お前は木ノ葉に住む大事な命の一人だ。俺たちはそれを守る義務がある。まだ確実じゃないが、近いうちに完成させて見せる。待っていてくれるか?」

 

「はい!」

 

「よし、じゃあこんな場所にいないでミナトのところにでも行ってこい!!」

 

「はい、はい!! ありがとうございました!!」

 

 クシナは一礼して部屋を出て行った。

 

「若いねぇ」

 

 京之介も十分に若い。

 


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