「さて、色々と不安なこともあるだろうけど、今日から君は木ノ葉の一員だ。よろしくな」
「………………」
「警戒されてんな。俺ってそんなに怖い?」
京之介は五尾の人柱力である少年――ハンと共に木ノ葉に帰還した。
「木ノ葉の奴は信用出来ないんだで」
「ああ、うん。まぁそうだよな」
京之介は苦笑いを浮かべる。自覚はあったらしい。
「君の中にいる五尾を取り出して、君を自由にさせることができる。と言ったら信じてくれるかい?」
「!!? そ、そんなこと出来るわけ……」
「やって見せるさ。そもそも危険だなんて言って一人の人生を台無しにするのはよくないって。尾獣といえどうまく付き合える道はあるはずさ」
「お、俺はみんなから嫌われない?」
「ああ、岩隠れには戻れないかもしれないけどな。木ノ葉であれば俺やほかの連中がお前の生活を保障する」
「…………」
ハンは無言で瞳から涙を流す。
「早速で悪いんだが五尾を取り出すぞ」
「いきなり!?」
「こういうのは早いほうがいい。行くぞ」
京之介はハンを連れて儀式を執り行う現場に向かった。
「おおっと、皆さんお揃いで。すみません遅れました」
「構わん。始めるぞ」
儀式場で待っていた扉間の合図で、周囲にいた忍たちが印を結ぶ。
秘術・霊魂分離術
台座に眠らされたハンからチャクラの塊が現れる。
それを京之介、扉間、ヒルゼン、ダンゾウといった者たちが、暴れださぬように儀式場の奥に用意させていた広場へと送り出す。
京之介はハンが呼吸をしていることを確認。先行している扉間たちを追う。
「さて、手荒な真似をして悪かったな五尾殿」
『いきなり外へと放り出すとは何用ですか』
「木ノ葉に住んでもらいたい。加えて今から提案する事業への助力を頼みたい」
『聞きましょう』
「ありがたい。まず――」
戦いになることもなく穏便に話が進められた。
京之介は五尾が持つ沸遁に注目し蒸気を使う性質を事業や生活の一部に扱うことができればより発展できると考えていた。湯の国から来た泥遁使いたちと共に温泉事業を始めてもよいし、機械と取り合わせることも視野に入る。
「もし、木ノ葉から出たくなったときは俺を倒してからにしてくれ」
『あなたと敵対してもこちらに旨味はありませんよ』
「そう言ってもらえるなら光栄だ。これからよろしく頼みます」
京之介は頭を下げる。これからのことを考えながら。
五尾の蒸気を使った事業は温泉施設におけるサウナ室や蒸し料理に始まり、三尾と共に住まいを近づけ尾獣たちの入る地下温泉などを開発。不定期で入りに来る尾獣見たさに多くの者たちがやって来た。これに加えて泥遁で作られた美容商品が女性に大うけした温泉関連事業は成功。経済発展の一助になった。
それらで得た資金を使い迫害を受ける血継限界たちの保護を加速させる。次に保護するのは小波藍歌からの報告にあった雪一族である。
ハンを登場させましたが、おそらく原作ではもう少し若いかもしれませんが、年齢がざっくり調べても分からなかったので登場してもらいました。