ヒルゼンらが追う雨の忍たち6人はしばしの休息を取っていた。口寄せ用の巻物に入りきらなかった武器もあり、なおかつ巻物の数も一人当たりの持つ量を超えていたために、疲労があった。
「予定より手に入れた数は少ないが、まぁ、十分だろう」
「しかし、これが研磨の技術か。すさまじいな」
男は手に入れた武器の一つである刀に、己のチャクラを流し込む。
流れ込んだチャクラに呼応して、刀身は液状になっていく。
「俺の性質が水だからか、刀が液化している。それでも――」
男は近くの木を切りつける。
「……切れ味はしっかりとしている。それもチャクラを流し込めば、長さも変わるのか……恐ろしいな」
「へへっ、これを精鋭部隊が持てばより強力になるんじゃねぇか?」
「ああ、いずれやってくる戦乱で優位に立てる可能性が上がったことは間違いない」
「……そろそろ休憩は終わりだ。いくぞ」
「おう。……ん?」
「どうした?」
「なんか、地面が柔らかくないか? さっきまでなんとも思わなかったんだが……」
「はっ!!」
男たちの一人が地面を見つめると、柔らかくなった場所から、一人の少年が姿を現した。研磨京之介である。
「「「っ!!?」」」
とっさに男たちは距離を取るが、すでにそこには待機していた猿飛ヒルゼンと加藤ダン、そして、日向ヒアシが待ち構えていた。
「くそ、木ノ葉の追っ手か!」
「そういうことだ!」
「ぐっ!」
「うわ!」
相手の体勢を立て直させる前に、ヒルゼンは2人を無力化した。
「職人たちが汗水流して作った品々を返してもらうぞ!」
『影分身の術』
2つの分身を作った京之介はそれぞれの敵に向かわせる。その間にもダンが一人を無力化、残り3人となる。加えて、ヒアシが柔拳で点穴を打ち抜き、無力化に成功。
「「「残りは貰った!」」」
『沸遁・剛力』
分身の2人は、沸遁の力で身体能力を底上げし、近距離戦闘を開始した。
「ぐっ、こいつ!」
「子供なのに、なんて強さだ!」
「本体を忘れずにね!」
「「っ! しまった!?」」
分身に気を取られた2人は簡単に後ろを取られてしまった。
『水遁・水連弾の術』
「「うわあああああっ!」」
口から多数の水弾を連射し、2人に当てていく。
「まだまだ!」
『水遁・水断――』
「そこまでだ!」
「っ!」
ヒルゼンの一言に、京之介は攻撃をやめ、分身を消す。
「威力が強すぎたんだろう。完全に伸び上がっている」
「こいつらは拘束しますか?」
「いや、火影様は捨て置けと言っていた。任務が失敗したことが敵に伝わればそれはそれで良いそうだ。ただ、可能であれば、死体と生きた者を連れて来いとのことだ。おそらくはアレをやるつもりだろう」
(絶対穢土転生だ……)
京之介は苦い顔をした。扉間が何をするか分かったからだ。
武器が収納された巻物を回収した京之介たちは、後からやってきた後詰部隊と合流した。彼らは隊長格の男の死体と部下1人を連れて行った。
「まぁ、何はともあれ、初任務完了だな」
「ああ、敵が油断していたおかげで簡単にすんだな」
「でも、毎回こうもいかないだろうから、油断は禁物だな」
初の任務の感想を言い合う京之介とヒアシ。
「頼もしいな2人とも、この調子で頼むぞ」
「「はい!」」
ダンからの言葉に、2人は力強く答えた。
「……ヒアシ、お前そんなに力強く返事ができるなら、なんでいつもしないの?」
「黙れ、たわけ」
「ひど!」
二年の月日が流れる。
誰かが、始まりの引き金を引き、時代は大きく動く。
人が変わり、過去の言葉を忘れる。
力を欲した者たちが、国土を欲する者たちが、野心を抱く者たちが、互いにぶつかり合う。
流れゆくままに争いに巻き込まれる者は死を招く。
ここから先は地獄なのだから。
更に苛烈なる忍たちの殺し合い。
第二次忍界大戦は開戦した。
次回からは第二次忍界大戦に突入です。
原作第一部にはいつ入るんだろうか……。
『沸遁・剛力』
蒸気の力を体内で使用し、身体能力を著しく上昇させる。
『水遁・水連弾』
水弾の連射版。