空、今日も幻想郷は快晴ですね。
さあ、そんな幻想郷に今日泊まっていただくのはこの方、るりまさんです。
「こんなやからですが、どうぞよろしくお願いいたします」
はい、こちらこそよろしくお願いします。どうでしょう、泊まりの交渉からすべてをおひとりでやるわけですが、緊張してますか。
「おま……緊張しています」
おま?
「いえ、なんでもありません」
そうですか、では早速行きましょう。
幻想郷に泊まろう
るりまさん、土が踏みならされた道を歩いて行っています。
右には大きな山が見えますね。
「自然が多くていい場所ですね……あれ」
おや、早速、幻想郷の住民を発見したようです。
彼女は人形遣いのアリスですね。るりまさん、早速交渉に行くんでしょうか。
あ、るりまさん近づいていきました、お泊り交渉をするようです。
「おんまこ」
あれ、何やってるんでしょうか。アリスさんすごい目をしてますよ。言い間違いでしょうか。
「おんまこ」
違いますね、明らかに女性器の名前を言ってますね。
「すいません、用事があるんで」
ああ、アリスさん行ってしまいました。まあ、そりゃそうでしょう。
ちょっと、るりまさん。
「おんまこ?」
大丈夫ですか、頭おかしくなったんですか。
「お……すいません緊張してて」
緊張?緊張しておんまこなんて言うやつ初めて見ましたよ。
「ごめんなさい、緊張するとおまん語がでちゃって」
おまん語って何ですか!?そんな言葉あるんですか。
「はい、8歳までずっとおまん語だったんで、緊張すると出てしまうんです」
よく日本で生きていけましたね。
「まあ、ちょっと異常な人には見られます」
そうですか、しかしおんまこおんまこ言ってるだけじゃ、誰も泊めてくれませんよ、オンチポオンチポ言ってる人間を誰も泊めないでしょ。
「私は泊めます」
ちょっと黙っててください。
「おんまこぉ……」
女性器の名前言いながら落ち込まないでください。緊張しなければいいんですよね、だったら落ち着いていきましょう。
「無理です」
何でですか。
「30の経験ない売れ残りを、泊めてくれるとは思えません。そう思うと緊張します」
なんでそんなネガティブなんですか、別にそうだとしても泊めない理由になりませんよ。
「何か移りそうじゃないですか、貧乏神みたいなものが」
大丈夫ですから、早く行ってください。
「おんまこぉ」
また出てますよ……まったく、なんだよおまん語って。
さあ歩いていきました、さっきより顔が暗いですね。
おや、次は大きな帽子をかぶった魔法使いがいます、あれは魔理沙ですね。
るりまさんちょっと戸惑ってますね……あ、行きました。
「あの」
「ん、なんだ」
お、いい感じですね。
「おんまこ」
ダメだこれ。ヤバイやつを見る目になりましたね魔理沙さん。
「ご、ごめん私用事あるんだった、では諸君サラダバー」
あー飛んで行ってしまいましたね。しかもすごい速さで。
あ、るりまさんがこっちに来ました。
「おんまこ」
一回落ち着いてください、なんて言ってるのかわかりません。
「やっぱりおんまこ」
もうちょっとです。
「……やっぱり、無理じゃないですか」
大丈夫ですって、緊張しなければいけますよ。
「無理ですよ、30にもなってソシャゲしまくってる女と誰が結婚するんですか」
知りませんよ、結婚しろとは言ってないです、お泊り交渉してくださいと言ってるんです。それに最初はできてたじゃないですか、しっかり深呼吸して挑みましょう。
「分かりました、スーハー、スースーハー、スッスッハー……子供ほしい」
はい、雑念が入りましたよ、しっかり深呼吸して。
「はい、スーハー、スーハー」
いいですよ、その調子……あ、るりまさん見てくださいあれ。
「なんですか」
彼女は霊夢さんです、すごいですよ、るりまさんとおんなじ格好で顔もかなり似ています、なんだかシンパシーのようなものを感じますよ、いけるんじゃないですか。
「そうですね、彼女も独身っぽいですし」
それは知りませんけど、行ってみましょう。
「はい、おま……今度こそは」
行きました、さあるりまさん、頑張って。
「おんまこ」
おい。
「なにあなた、おまん語を使うの」
知ってるの!?嘘だろ。
「おんまこ」
「へえ、泊まりたいんだ」
しかも聞けるのかよ、しかしよかった、これでるりまさんは泊まれるんじゃないでしょうか。
「おんまこ……おんまこ」
るりまさん深々と頭を下げましたね。ここを断られてしまうと大変です、たぶん彼女ぐらいしかおまん語を聞ける人間はいないでしょうから。
「いやよ」
あー、ダメでしたね。
「おんまこ」
「なんでって、あなた30で経験のない独身女でしょ、そんな女泊めて変なのもらったらいやだから」
「……」
……。
「あと、幻想郷で泊まるところを見つけるんなら、無理だと思った方がいいわよ。みんなおまん語を使えるけど、独身でソシャゲばっかりやって結婚できなさそうな女誰も泊めないと思うから。と言うか話をしてくれる人も少ないんじゃない、一緒の空気を吸いたくなくなるし。私用事あるから、じゃあね」
「……」
……。
あ……るりまさん、座っちゃいました。
るりまさん?
「おんまこ」
今日は野宿なされるのですか。
「おんまこ」
……さっきは気休め言ってすいませんでした。まさかあんな理由で断られるとは。
「おんまこぉぉ、おんまこぉぉ」
泣かないでください、泣いたらさらにヤバイやつになりますから。
「おぉぉぉん、おんまこぉぉぉ」
……今日は野宿ですね。
太陽はすっかり落ちて、真っ暗ですね。
「おんまこ」
本当にここで寝るつもりですか。
「お……はい」
あ、やっと落ち着きましたね。
「はい」
……。
「……」
まあ、きっとるりまさんにも、いい人が現れますよ。
「とうらぶに出てくるキャラみたいな人がですか?」
それは知りませんけど。
「そうですか……今日は本当にすいません、こんなことになってしまって」
いえ、我々のせいでもあるので。
「私、頑張ろうとおもいます、絶対にいい男を見つけて、結婚して見せます」
はい、応援しています。
「ありがとうございます、お優しいんですね」
いえ、そんなことは。
「お優しい方ですよ、あなたは。あ、見てください、星がきれいですよ」
そうですね、今日は天気が良かったですから。
「……」
……。
「あの」
はい?
「私達って、結構――」
それはないです。
「……」
……。
「……おんまこぉ」