とある科学の青春ラブコメは間違っている   作:一級狙撃手

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はいどうも、以下略。


今回の投稿は割りと早い方でしたね。

それでは、本編以下略。


第十二話

「着いたぞ」

 

俺はそう言いながら、とりあえずまだ持ってていいと言われた鍵を使って久しぶりに実家の玄関を開ける。

 

すると、中から小町が飛び出して来た。

 

「おー兄ちゃーん!!」

 

そしてそのまま俺にダイブ。その瞬間、背後から感じる熱が消え、奉仕部の雪ノ下よろしく体感温度が下がる。

 

「あ、あー、折本さん、……コンニチハデス」

 

危険を察知した小町が片言になりながらも対応するが、時遅し。

 

「そうだ!後で小町ちゃんに話があるんだー!」

 

 

──つとめて明るく言われたその言葉に、裏があるのは明白だった。

 

 

 

──────────

─────

 

とりあえず玄関でこんな事をやっていても仕方ないのでリビングに入ってからそろそろ三十分。

 

「できたわよー」

 

そう言いながらこっちにくる我が母親の両手には久しぶりにみる特製料理。そして、小町が持って来たのは四人分の取り分け皿。

 

もうここまで言えばわかると思うけど……、

 

 

結論だけ言おう。

 

 

 

結論:親父が帰って来ない。→話が進まない。

 

 

という事。

 

これはどうやって方程式を解くのが正解なんだろうか?

 

いや、親父が帰って来られない時点で解きようがないね、うん。

 

「親父は?残業か?」

 

取り敢えず一番可能性の高い解を導き出し、聞くと、

 

 

「それがね……実は長期海外出張らしいのよ。アンタ、家出てたし興味なさそうだから伝えなかったんだけどね。今日はその準備らしいわよ?」

 

「マジでか?……せめて話くらいはしてくれよ。ってか小町、お前これどういうことだよ」

 

「い、いやー、そのー、何ですかね?……たっ、たまには、お兄ちゃんに会いたいなー、なんて思ったりもしたりたりしなかったり……」

 

俺が小町を問い詰めると、先程の事もあってか、折本にビクビクしながらそう言った。……これはあれか?この後自分の気持ちに気付いてくれなかった小町が俺を殺して、俺を殺した小町を恨んだ折本が小町を殺……、これ以上の妄想はよそうな。うん。

 

まぁ、小町が俺を好きでないのでこんな未来は起こり得ない。あ、でも空鍋くらいはやりそうです。主に折本が。

 

と、まぁ、そんな訳で小町の嘘はあっさり暴かれて、小町には暗い未来が待っている事が確定したのだが、それにしたって俺たちはどうするか。

 

「折本、俺たちはどうする?親父いないんじゃいても意味ないし帰るか?」

 

「私は帰ってもいいけど、でもせっかく彼氏……と言うか将来の夫の実家に来たのに何もせず、っていうのはなんか勿体無い気がする」

 

……その言葉、絶対に【 独 神 】(平塚先生)の前では言うなよ?という言葉を飲み込み、

 

「……分かった。んじゃ今日は久しぶりに実家で過ごすか」

 

「私は初めてだけどね?」

 

──と言うことで、俺は折本と実家に泊まる事になった。

 

 

 

──────────

─────

 

ーー(とある上条side)ーー

 

「「ただいまー(でーす)」」

 

俺と佐天さんが部屋に帰って来ると、取り合えず荷物を床に放り出してそのままベッドにダイブする。

 

 

──が、

 

 

身体を休めるはずのその行動は、意味を為さなかった。

 

 

 

なぜなら──

 

 

──ボフッ!

 

「ぐえっ!」

 

ベッドにダイブした俺の上にダイブしてきた。

 

「疲れたので寝ます…ね………」

 

「いや待て!力尽きるな!佐天さぁぁぁぁんんんん!?!?」

 

そのまま俺は、身動きがとれなくなってしまった。

 

「すぅ……、ん……」

 

ついさっきの事なのに、もう寝息が聞こえる。余程疲れていたんだろう。

 

今日の客は、至って平凡な人達だけだったので、俺はあんまり疲れていないが、まあでも、俺を信用してくれていると考えればこれもいいかな。と考え直して、風呂は明日の朝にまわして俺も寝る事にした。

 

今日は、この時間帯にも関わらずお隣さんが静かなのが気にはなったが、どうこうする前に、急に襲ってきた睡魔に負け、ベッドに突っ伏した。

 

 

 

──────────

─────

 

ーー(俺ガイル八幡side)ーー

 

折本が泊まる事が決まり、それからしばらくしてから風呂に入って、現在は炬燵でポケーッとしているところ。

 

折本は今、小町と一緒に風呂だ。

 

なので、今ここにいるのは俺とカマクラと母親だけだ。

 

「……ところで八幡、アンタ上手くやれてんの?金銭関係も、かおりちゃんの事も、学校の事も」

 

どうやら心配してくれたらしい。

 

「金銭関係は今のところは変化なしだな。仕送り分は少しずつ貯めてる。折本の事は………今のところは俺からは何もしてない。本人もまだいろいろ片付いてないだろうしな。……今できるのはせいぜいが支えになってやれるくらいだ。学校も問題無い」

 

取り合えず、現状をそのまま話す。

 

すると、我が母親は、超意外そうな顔をしたあと、今度は感心したようにうんうんと頷き始めた。……一人で勝手に驚いて勝手に終結させて勝手に納得されても困るんだが………。

 

「そ。まぁ、アンタなりに考えてんならいいのよ。……それと……」

 

そこまで言った母親はこっちに来て耳打ちするように、

 

[ちゃんと守ってあげなさいよ]

 

そして、俺の肩をぽんぽんと叩いて、そのままキッチンへ向かって行った。

 

俺は、その言葉に感謝して、取り合えず折本が風呂から出てくるのを待つ間適当なテレビを見つつ久しぶりにカマクラをいじる事にして、時間を潰した。

 

 

 

──────────

─────

 

ーー(小町・折本side)ーー

 

お兄ちゃんが風呂から出て来たので、折本さんを誘って一緒に入る事になった。

 

ただやっぱり、家の風呂じゃ高校生一人と中学生一人じゃあ狭い。

 

取り合えずは、片方が先に洗ってバスタブに入り、そのあと、身体を洗わないと無理だろう。

 

と言うことで、折本さんに先を譲って、私はその間待つのもなんなので、折本さんの背中を洗ってあげる(洗いたいだけです)事にして、現在に至る。

 

「いやー、それにしてもかおりお義姉ちゃん、スタイルいいですねー!」

 

小町の中では、お兄ちゃんがかおりさんと同居を始めた時からかおりさんはお義姉ちゃんになる!と決めていたので、すんなりと出てきてしまったのだが、勿論かおりさんに向かって『お義姉ちゃん』と言うのは初めてなので、言った瞬間に、かおりさんの身体がビクぅっ!と跳ねた。

 

「こっ、ここ、小町しゃん!?」

 

「大丈夫ですか、お義姉ちゃん」

 

びっくりし過ぎて噛んでいたけど、取り合えずお義姉ちゃんといい続けてみる。

 

すると、お義姉ちゃんは後ろからでもわかるほど耳を赤くして、疼くまってしまう。

 

「……あはは」

 

ちょっとからかい過ぎたかな?なんて考えつつも、お義姉ちゃん(確定)の背中を洗い始める。

 

「しっかし、中学の頃も思ってましたけど、やっぱりスタイルいいですね、お義姉ちゃん」

 

と、言ってから(またお義姉ちゃんと言ってしまったー!)と脳内で後悔が始まる。

 

「………う、ううっ……」

 

軽く泣き出して?しまったかおりさんを、慰める。……原因が自分なのに自分で慰めるっていうね。

 

「……小町ちゃん、ちょっと怖い」

 

グサァッ!!

 

な、なに今の破壊力!?………ちょっと二重の意味でグサっと来た!!

 

 

いや、勿論傷ついた意味でのグサっ、もそうだけど、それよりさっきの表情(かお)!!

 

サバサバ系でいかにも『お姉ちゃん』って感じの人だと思ってたのに!あんなに乙女な可愛い表情もできるとは…….。ちょっと可愛(かわ)い過ぎてグサって来ちゃった。

 

っと、一旦それはさておき、本題にそろそろ入らないとね。なんの為に一緒に入ったのかわかんなくなっちゃうよ。

 

「かおりさん」

 

取り合えず普通に呼び掛けて、そのまま続けてみる。

 

「どうして……兄のところへ?真壁先輩とか、あの中学から総武へ行ったのは兄だけじゃないですし、そもそも総武以外の選択肢もあったんじゃないですか?」

 

そう。

 

小町がずっと気になっているのはここ。

 

お兄ちゃんから付き合っていることと、かおりさんが引っ越してきた経緯は聞いた。

 

でも、それだけじゃ分からなかったのが、この部分。

 

「言い方悪くなっちゃいますけど、かおりさんって確か中学の時の『あの件』の………」

 

と、そこまで言った時に、かおりさんが小町に被せる。

 

「うん。小町の言う通りなんだけどさ。……綺麗事を言ってるのはわかってるんだけど、高校に入ってからなんだ。中学の時の友達と遊んでたら、だんだん考えが変わって、謝らないといけない、って思って、それでアイツの事を考えることが増えたんだけど、周りが慌ただしいというかなんというかで、全然答えに辿り着けなくて。……しかも、友達はたまにまだ比企谷の事をネタにするしでいろいろあってさ。……で、チャンスが来たから謝ったんだけどね…………」

 

「………兄の事を考えていたら自分を守ってくれた事に気付いて好きになっちゃた、と。………どこの少女漫画ですか?それ」

 

かおりさん(頭 文 字(イニシャル)Dじゃないよ)の話の最後にくっつけるように小町が言って、そのまま二人してクスッと笑う。

 

「流石兄ですね~」

 

「本当にね~」

 

「でも、兄の事ですから他にもいるんじゃないですか?」

 

「雪ノ下さんと結衣っちのこと?」

 

「ああ、いえいえ、その二人以外にも、という意味です」

 

「……まだ他にもいるの?」

 

「小町が知ってるのは、同じクラスの川崎さんだけですね」

 

「『だけ』か。よし、後で比企谷を問い詰めよう♪」

 

「お、お手柔らかにしてくださいね?」

 

……お兄ちゃん、大丈夫だろうか。

 

 

 

──────────

─────

 

ーー(八幡side)ーー

 

ゾワッ──

 

「うぃっ!?」

 

急に背中に寒気が走って、某ゲーム機の名前を伸ばさずに短く切ったような声をあげる。

 

俺がびっくりした事で、あぐらで床に座って、その上に乗って寝ていたカマクラが(びっくりして膝を閉じたから)跳ね上がった膝から打ち上げられ、そのまま着地に成功……してなかった。転がってたビニール袋の上に着地したおかげで滑って転んだ。……正確に言えば、滑ったせいで体勢を立て直そうとして高速で脚を動かしたらビニールが絡まってコケた。ゴメンよ、カマクラ。

 

 

それにしてもさっきの感覚はなんだろうか。いや、なんかマジで怖いんだが。

 

「お兄ちゃん、出たよー」

 

どうやら小町と折本が風呂から出て来たらしい。

 

俺は振り返って──

 

「おう、もうあがったの………か」

 

 

 

──この世の終焉の欠片を見た。

 

 

「……小町よ、一体何をした」

 

小町の隣には、溢れ出る殺意の波動によって、本人がどんな顔なのかわからない程周囲が黒くなっている人ほどの背丈の物体?がある。

 

いや、もう予想はついてる。

 

「あのー、折本さん?」

 

 

とてもヤバい状況ですねー。

 

もしかしたらふざけた風に言えばなんとかなるかもしれない。

 

 

《返事がない。ただの死神のようだ》

 

 

………。

 

……………。

 

 

 

TSU☆N☆DA

 

 

うん、もう事実確認にしかならないというね。

 

 

 

──────────

─────

 

※この後、俺と折本がどうなったかは読者様の想像にお任せしよう。べ、別に話を書くのが面倒くさかった訳じゃないんだからね!読者様の折本像を壊さないための緊急措置なんだからねっ!!

 

─────

──────────

 

ーー翌日ーー

 

「今日も一日頑張るZOY(ぞい)!」

 

マジでつい最近のネタをどうでもいいところで披露しつつ、俺は部屋の出口を目指す。……これ、俺じゃなくて小町のが似合うよな。絶対に。

 

ちなみに、俺は今、全身のあちこちが痛い。

 

肩。

 

両腕。

 

首。

 

頭。

 

その他もろもろ。

 

 

なぜ痛いのかは……知らなくてもいいよな。

 

現在時刻は朝の七時。

 

まあ、いつもの起床時間とさして変わらない。

 

俺は伸びをしながらあくびをしてベットから降りる。

 

あと二日学校に行けば土日か、なんて休みを恋しく思いつつ隣の小町の部屋の扉を叩く。

 

 

「小町ー、折本ー、朝だぞー」

 

すると中から、今行くー、と言う声。折本のものだ。小町はもう起きているらしい。

 

「おっ待ったせい!」

 

「朝から元気だな……」

 

「アタシから元気とったら何が残るのさ」

 

「……俺の、彼女?」

 

「……………」

 

「……………」

 

「///」

 

やっちまったー!朝から何やってんの!?『……俺の、彼女?』とかバカじゃねぇの!!おかげで折本は照れてるし本当何やってんの!?

 

 

………ふぅ。一旦落ち着くか。クールダウンクールダウン。

 

 

「茶番は終わった?お兄ちゃん」

 

 

「こっ、小町!?……聞いてたのか?」

 

「いやまあ、そりゃあねぇ?……しっかし、お兄ちゃんも言うようになったねぇ」

 

 

 

もう死にたい……。

 

 

 

 

朝から、大変な一日になる予感がした。




今回のネタ:スクールデイズ・シャッフル・イニD・NEWGAMEなどなど。

おそらくシャッフルが一番古いかな?最新はもちろんNEWGAME。

今期はこの美が一番良かった。



ちなみに、途中で出てきた『真壁先輩』は名前だけのオリジナルモブキャラですので。そこのところの説明はこれで終了。

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