前中後で分かれています
朝焼けの赤が残る頃、ポケモンセンターの裏庭で腕を十字に組み、グングンと腕を引き延ばすマーズの姿があった。正式な形でのポケモンバトルというのは一体何時ぶりだろうか。日々アカギに囚われていた頃にも鍛錬ばかりは欠かしたことはなかったが、実戦を経験するのは相当に久しい。腕が落ちていなければ良いのだが。
軽い心配を覚えながらも、彼女は相手にがっかりされないようにという気持ちを抱く。数時間後に訪れるであろう対戦に想いを募らせ、口元には小さな笑みが形作られていた。マーズ自身少々舞い上がってしまっているのかもしれない。なんせ、心の底からそうでありたいと思って挑んだ事はただのバトル以上に久しぶりなのだから。
「朝っぱらから精が出ることで」
「うわっ!?」
突如として降ってきた声はマーズの頭上から。その発生源たる二階の借りた個室の窓辺で、ヒラヒラと手を降っているハマゴの姿があった。窓辺で頬杖をつく彼に驚かされた仕返しと言わんばかりにマーズから多少の怒りが放たれる。
「なによ! びっくりさせんじゃないわよ」
ガーッと吠えるように抗議したマーズへ返されたのは薄ら笑いであった。
「ハッ! このくらいでビビッててバトルの指示ミスったりするんじゃねーかって言う心配だよ。素直に受け取れ」
「本心は?」
「驚いたろ」
「最ッ低! コンディション乱れたらどうしてくれんのよ」
「そんときゃ時の運だ。安心して負けてこい」
普通なら応援するものではないだろうか。とにかく、マーズがジムリーダー二人組に挑んだと知ってからハマゴの態度はずっとこれである。負けろ、負けてこいなどと間違っても意気込んでいる人間に浴びせる言葉ではない。その辺りが分からないはずもないのだが、奥の感情を察せない張り付いた笑みを浮かべていたため、マーズはその本心を計り知ることができなかった。
だから、結局のところ大きめのため息を一つ吐き出す。これが今の彼女にできる精一杯のハマゴへの反抗である。直接ポケモンでぶちのめしてもいいが、その際はまた揚げ足を取って話される話題が増えるだけだと彼女も十分に理解していた。
「実際のとこどうなんだ、相手はジムリーダーだろ?」
「しかもかくとうタイプが主体よ。クロバットはともかく、あたしの手持ち二匹は相性あんまり良くないわ。逆に、こっちから弱点をつこうと思えばエスパーとひこうの遠距離があるから問題はないけど……」
そこで言葉を詰まらせるマーズ。理論ばかりでは勝てないと分かっているから、形容スべき言葉が見つからずについつい黙りこくってしまう。
相性だけで考えて上手くいくのはジャンケンやプログラムのように、不確定要素が無いよう取り決められたものだけなのだから。
加えてこの世界において、トレーナーは苦手な技が来たからといって全てを受けるのではない。ポケモンに指示を出し、時には相殺、時には回避させることで食らわないようにすることもできる。だから、あまり防御の高くないポケモンであればワザの直撃はすなわち戦闘不能への終着点であるとも言われる。
更に言えば、相手が見た目通りの動きをするとは思えない。例えば、ドダイトスのように重量級の相手が出てきたとして、いざ動くと見た目と裏腹にすさまじい速度で懐に入られるということもある。どこぞのマサラ人が使っていたハヤシガメまでの戦闘スタイルのようなものだ。
「とりあえず、腹くくったのは確かよ。今やってんのはあたし自身のパワー充填! ブニャットちゃん達はしっかりセンターに診てもらったし、要所でふらりとよそ見しちゃったらポケモンちゃんたちに申し訳立たないったら」
ふんっ、と鼻を鳴らして言い切るマーズ。意気込みを語る彼女に返されるのは、やはりハマゴの薄ら笑いと適当に間延びした声だけであった。
「おうおうそうかいそうかい。んじゃ適度に頑張りな」
「ちょっとぐらい、激励くれても良いんじゃないの?」
「ほう?」
したり顔になったハマゴ。
彼はすぐさま面白おかしいといった様子で返してみせる。
「それじゃ、負けたらボディガードはシロナにでも頼んでみるか。当然テメェはお払い箱だ」
「ハァ!? あんた一人だと狙われるじゃない! 何言ってんのよ!?」
「と、想ってくれる程度にはジュピターと因縁あんだろ? せっかくのギンガ団と高確率で会える俺から離されないようせいぜい頑張るこったな」
「きぃー! あんた本当に性格悪いわね! このっ、馬鹿ッ!」
マーズの足が勢い良く振り上げられる。履いていたサンダルは見事すっぽ抜け、ハマゴの額と小気味の良い音を立てながら激突するのであった。
「どうやら、逃げずにやってきたようですね!」
「あぁはいはい。そういうのわかったからさっさと初めましょ」
シュッ、と正拳突きを繰り出し待ち構えていたのはスモモ。トバリジムの肉体派ジムリーダーというのは広く知れ渡る事実。そこから、まだまだ成長中という期待の星である。対するマーズは元犯罪集団の幹部。その事実が抜けきっていない以上、正義感の塊であるスモモは、同じトバリシティにあったギンガ団に手を出せなかったという負い目もあってか、いささか過剰な反応を見せている。
実際にそうした視線を向けられてみれば、思った以上にクルというのがマーズの素直な感想だった。今からするのはタダの野良バトルではあるのだが、相手方の気持ち次第でこうも自分の感情すら塗り替えられそうになるとは、とマーズは肩の辺りを重く感じる。
(ま、そう思うのも当たり前よね)
マーズは名ばかりの幹部ではない。谷間の発電所を占拠してエネルギーを奪取し、そして三湖を蒸発させるための爆弾を設置・爆破した実行犯でもあるのだ。幸いにも人間に死者が出なかったのは幸運だが、まず間違いなく爆弾の件で湖に住んでいた大半のポケモンは死亡している。命を奪った行為、それをこの両者は捉え方こそ違えど同じ事実を忘れては居ない。
変わったのだと言い切って、それで済むような話ではないのだ。まあ、ここまで来て持ち込まれても正直なところ思いだけだというのが、マーズが今感じている現実逃避気味の感情なのだが。
「なんでも良いけど、まずはルールを確認して真剣勝負と行きましょ。ぶちのめす、たたき直すなんてのはその後で十分でしょう?」
マーズの問いかけに、真剣な表情でスモモは頷き返す。これくらいの話は通じるようで何よりだ、とひとまずマーズは息をついた。
「使用ポケモンは三体。あらかじめ決まっているポケモンだけを繰り出せるわ。途中交代は無しの勝ち抜き。その他は基本ルールに従ってバトルよ」
「審判はどうしますか?」
「自分のポケモンのコンディションくらいわかるでしょ? それと、長考や間延びもありな野良試合の形式が望ましいわね」
「分かりました。どうやらそちらの方にはブランクがあるようですが……関係ありません。全力で参ります」
ようやく、何かしらのしがらみも関係のない普通の闘気を当ててくるスモモ。キッと睨みつけるような眼光は闘志を乗せるためのものだと思えば恐ろしくともなんともない。むしろ、これからだという気持ちがマーズの心を染め上げていき、真正面からニヤリと返す。
「さぁ、来なさいブニャット!」
「いきますよゴーリキー!」
飛び出してきたのはブニャットとゴーリキー。相性で見ればノーマルタイプのブニャットは完全に不利であるとも言える。事実、スモモはその相性差とブニャットの体格を見た上で眉を顰めてムッと唸ってみせた。
「手加減しているのですか?」
「まっさかぁ! あたしのブニャットちゃんは最強よ」
「それは、聞き捨てなりませんね! からてチョップ!」
まず先手を取ったのはスモモのゴーリキー。オウ!と勇ましい声を荒げながら、主人の怒りを体現するかのように、接近したゴーリキーから鋭い「からてチョップ」が振り下ろされる。その速さたるや、流石はジムリーダーに育てられたポケモンといった所か。
頭上に迫った凶刃ならぬ凶拳を、しかしブニャットは「見てから」反応してみせる。主人の号令なくともその身をひらりと翻し、まるで風圧を受けて舞う花びらのようにスルリと抜けてみせる。
この動きに驚いたのはスモモではなくゴーリキー。いつもなら完全に先手を取っていたはずの一撃を交わされ、ポケモンとしての意識に少しばかりの緩みが出た。それをやすやすと逃すブニャットではない。もっと力強く、もっと素早く、そして当たり前のように自分たちを滅して見せた「英雄のポケモンたち」に比べれば、と。
「みだれひっかき!」
「ッ、まもる!」
ブニャットはゴーリキーの突き出された腕を足場に、体に捻りと回転を加える回転にて爪による連撃をスクリューのように浴びせかける。しかし一瞬のスモモの判断で「まもる」の緑光の盾がゴーリキーの眼前に展開され、激しい火花と甲高い音を響かせながら攻撃を無効化。
それに負けじとまもるの効力が及ばない場所へ爪を伸ばし、トリッキーな動きで攻め立て、時には地面をドリフトするように後方へ回りこむブニャット。しかしゴーリキーはそれに思いもよらぬ対処の仕方をしてみせた。
「ゴーリキー! 行きますよ!」
スモモが、腰回りにつけていた二本の棒を鎖でつなげた道具―――ヌンチャクをじゃらりと取り出すとそれを振り回し始める。その声と音を聞き、ゴーリキーはスモモの動きをトレースしたかのように腕を振り回し、そして後方より迫っていたブニャットのみだれひっかきは弾き飛ばされた。
驚愕の表情を浮かべながらも、態勢を立てなおして下がるブニャット。ゴーリキーはしてやったり、と言った表情を浮かべるとその場でブンブンと「それ」を振り回し始めた。
「ハイッ、ハイッ、ハイッ!! 防御は最大の攻撃へ転じる、です!」
ゴーリキーがブニャットを弾き飛ばしたタネは、その手にもった「緑光のヌンチャク」にある。かくとうタイプであるのに、エスパータイプのように技を変形させて創りだされたその武器は、あらゆる攻撃を防ぎきる程に固く、それすなわち強靭な棍となる。
ゴーリキーとスモモの動きは一致していた。ヒュンヒュンと振り回されるヌンチャクの舞。ヌンチャク、と聞いて思い浮かべられるあの動きを繰り出し、ブニャットとマーズを威圧するようにゴーリキーは構えを見せた。
「大丈夫? まだイケるわね!」
面食らうブニャットであったが、予想外の攻撃が来たからといってどうなのだ。まだ受けたのは「まもる」を固めたヌンチャクの、つまりは攻撃技ですら無いそれの一撃。機動力が失われたわけでもなければ、攻撃が通じないわけでもない。尻尾の先にピンと張るような心地良い緊張感は、これまで久しく味わっていなかった良い味だ。マーズもブニャットを通じて、同じく感じる戦闘への高揚感。
温まってきたエンジンをかけ直すかのように、ブニャットは力強く地を蹴った。
「さぁ、特訓の成果を見せる時よ! ―――ねこのて!」
勇ましいマーズの雄叫びにも似た号令。そして繰り出された技は、なんと運任せと言ってもいい「ねこのて」である。自分以外の手持ちのポケモンの、誰かのどれかの技をランダムに繰り出す博打技。こんな転換する場面で使うということは、それによる動揺を誘うのが目的なのだろうか。スモモがそこまで考えて迎撃の構えを取った瞬間、同じく構えていたゴーリキーに真空の刃が襲いかかった。
「なっ!? くっ……!」
しかしすぐさま動揺を抑え、ゴーリキーはスモモと同じ動きをしながら真空の刃「エアカッター」を打ち破る。ゴーリキー自身の視界や距離感と、第三者視点であるスモモの視点。それらを混ぜあわせることで死角をなくした防御は、いともたやすくエアカッターの群れを迎撃する。
「まだまだ行くわ! ねこのて!」
しかし迎撃はたやすくとも、縦横無尽に駆け巡るブニャットからは追加のエアカッターが決まりきっているかのように吐き出される。指示しているのは「ねこのて」。そしてブニャットはエアカッターを覚えられないためまず間違いなく指示とは違う技を選択しているというわけではない。ともなれば、スモモに考えられる可能性の終着点は一つ。
「あなた、はっ!」
ゴーリキーはまだまだ防御から攻勢に移れない。そのため、同じ動きをするスモモはその動きの合間に思った疑問を口にする。
「その技、自在にッ! 扱える技を、選択できる、のッ、ですね!?」
「ご名答よ。正解したあんたにはご褒美上げるわ! ブニャット!」
号令が掛けられた途端、円を描くようにゴーリキーを包囲する動きのブニャットは一瞬でその軌道を変える。放たれたエアカッターよりも疾くゴーリキーの頭上に飛び上がり、ねこのての発動を止めてその巨大な腹をゴーリキーに向ける。一見すれば無防備だが、スモモは当然分かっていた。厄介さ極まりないノーマルタイプの手段の一つ、それの攻撃動作にほかならないのだと。
「のしかかり!」
「ゴーリキー……はぁぁぁぁぁっ!」
360度を埋め尽くすエアカッターと、そして空からは逃げ道を防ぐブニャットののしかかり攻撃。どうあがこうともゴーリキーの体力は削りきられると判断したスモモに、しかしゴーリキーは背中越しで口元の笑みを見せた。それに、スモモは安心したように笑い返すと右足を軸にぐるりと回転する。
動きに追いつくゴーリキー。しかしそれは防御のためではない。視線はのしかかり攻撃をしてくるブニャットへと向けられている。そして――――着弾。
炸裂した技はフィールドを土埃だらけにし、その煙が晴れる前にスモモは片腕をすっと前に差し出した。直後に晴れた土埃の向こう側には、目を回して気絶するゴーリキーの姿。一瞬でモンスターボールの光を浴びてボールに戻される。
その反対側のフィールドには、ゴーリキーを倒した強者たちの姿がある。しかし、一体目を倒したというのにマーズの顔は優れない。ブニャットもまた、片目を閉じてその身を僅かによじらせている。コレは一体、どういうことであろうか。
「…やるじゃないの。まさかあの瞬間に玉砕覚悟で来るとは思わなかったわ」
「こちらこそ、一度でも侮ったことに謝らせてください。確かに、あなたのブニャットは強い。これまで見てきたどのブニャットよりも」
「そのブニャットちゃんに、戦闘不能ギリギリまでしっかりダメージ与えてくれたじゃない。あんたも十分強いわ……このバトルがとんでもなく楽しく思えるぐらいにはね」
ニッと笑うマーズは、しかしその裏で冷や汗を隠していた。エアカッター包囲と、のしかかりによる封殺攻撃が炸裂した瞬間だ。スモモに合わせてその場で回転したゴーリキーは、遠心力とその膂力を利用した砲丸投げを行っていたのだ。当然、投げるのは「まもる」を変形させた例のヌンチャク。
砲丸というよりも、不壊の投槍の全力をまともに食らったブニャットは、攻撃の中断こそしないものの無防備に晒した腹へマトモに攻撃を受けてしまった。おかげで、やせ我慢をしてはいるが後一撃でもマトモにくらおうものなら倒れるほどに消耗している。
しかし、一勝は一勝だ。まだ完全に倒れる程ではないと気張って見せたブニャットは、大地へ根を下ろす大樹のように四足を地面に突き立てた。やる気を見せる眼光とともに視線をスモモへ投げかけ、まだまだと言わんばかりに不敵な表情を作ってみせる。
「さ、やる気だからね。あたしはブニャットちゃんを続投させるわ」
「わかりました。では、二体目のお披露目と行きましょう。恐らく、この地方の殆どの者が知らない私の新しい仲間です! いきましょう、メロエッタ!」
そうして、バトルには新たな刺客が繰り出される。
逆巻く楽譜のような橙色の髪。バレリーナを思わせる意匠の体型。そしてスモモによく似た華奢な体は、しかし見た目に反した高いポテンシャルを秘めていることがわかる。トレーナーとポケモンは、よく似通った育ち方をするという。だからこそ、スモモの体現のようで、しかしスモモという格闘家にはあまりにも不釣り合いな音楽要素を含んだポケモンの登場に、マーズは瞠目すると共に警戒度を引き上げる。
「一応、紹介しておきましょう。この子はメロエッタ。私達が旅をしている時、一緒に来ることになったポケモンです。こうした勝負の場でのお披露目は初めてですが、修行は一通りしましたので、遠慮無くどうぞ」
「あ、そ。……だからといって、あたしは簡単には飛びかからないわよ?」
「では、少し緊張感を煽らせていただきます! メロエッタ、かげぶんしん!」
ドレスの裾を持ち上げるように優雅な動作をしたメロエッタは、その一礼の態勢のままに2体・4体・8体・16体と影分身を増やしていく。マーズが知り得るスモモというジムリーダーとはあまりにも違う気質相手に、面食らったのは否定しない。だが、それが原因になって負けるのは否定したい。相手の口車に乗るようで癪ではあったが、まだブニャットが動けることを確認すると、マーズは次なる指示を下すことにした。
「あくのはどう!」
ブニャットが前足を振り上げ、地面に叩きつける。すると、薄い闇色の膜の中に黒いリングが散りばめられたような闇のカーペットが地面を這う。次の瞬間には影の中から飛び出して行き、メロエッタと言われたポケモンの影分身を次々と切り裂いていった。
影分身に対するお手本のような対処である。本体を見極められない状況にあるなら、まずはデコイだろうと本体だろうと影分身を一掃するための技を繰り出す。しかし、この場合においてマーズの判断は悪手として彼女に襲いかかることになった。
「かかりましたね、インファイト!」
なんと、メロエッタが現れたのは虚空から。地面やブニャットと同じ高さにばかり気を取られていたせいで、当然ながらその対処に遅れるマーズ陣営。反撃の一手に繋げられる前に、メロエッタの突き出された手がブニャットの横っ腹に突き刺さった。
そこから繰り出される乱打、乱打、乱打、乱打! 格闘舞踊を思わせる鋭くも美しく、滑らかな動きとともにインファイトがブニャットを打ち据え、最後のフィニッシュと言わんばかりの蹴り上げがブニャットの下顎を震わせた。
たまらず、もともと体力も大きく減らされていたブニャットは地面に力なく横たわる。完全に目を回して倒れ伏した愛猫に、片手で額を抑えながら、マーズはモンスターボールの光を当てた。
「やってくれるわ……あの透明化、固有の能力か何かね」
「さて、どうでしょうか? ヒントを与えるなら、メロエッタの外見から少しばかり想像して頂ければよろしいかと」
また貴人のそれに似た礼をするメロエッタ。華奢な体つきとは裏腹に、その瞳に揺れる炎は好戦的に燃え盛っている。今まさにその脅威へ晒されたマーズに対する挑戦だろうか。しがらみも何も無くなってきた現状、ただただその思考を目の前のバトルへと集中させ、高めていく。
それでいて、マーズは笑い返してみせた。
「ハッ、まさにそれでぶっ飛ばされたブニャットちゃんへの皮肉かしらね。ま、なんであろうとアンタがそう言うなら、こっちにも考えがあるわ」
言わずともわかるだろう。次のポケモンを繰り出すのである。
腰のモンスターボールを探り当て、収縮・開閉スイッチを押すマーズ。ビー玉サイズからソフトボール大になったモンスターボールをもう一度押して、天高くボールを放り投げた。
「さぁ、謎解きと行くわよクロバット!」
次に繰り出されたクロバット。ポケモンへの愛情が無くば、決して進化はしないという体現のようなポケモンに、スモモは「ほぅ」と知らずのうちに感嘆の声を漏らす。人差し指につけたキスをクロバットに送るマーズと、それに応えるように力強く翼を羽ばたかせるクロバットの関係は、見るからに強い絆で結ばれているというのがわかる。
そして、何より挑戦状を受け取ったクロバットという「音波」を操るポケモンの登場にスモモはさらなる闘志を燃やして、マーズ達と改めて正面から相対する。
勝負はまだまだ長い。
さんさんと降り注ぐ太陽の光の下で、雌雄を決する激突が再び酌み交わされた。
今回の解説 これからちょくちょく解説をあとがきに入れる形にします
スモモ:ポケモンと同じ動きをしながら、スモモの視点とポケモンの視点を随時同調してバトルするとかいう半ば超能力者地味たことしてる。そして格闘の若き天才という設定を利用して意外性詰め込んだ感じにした。 後に本編で貧乏設定とか絡めて展開創りたい
ゴーリキー:多分武器を使ったという意味ではめっちゃ珍しいと思う。「まもる」の防御エネルギーを棒・紐・棒という形に押しとどめ、ヌンチャク作った超器用さん。脳筋とは違うのだよ脳筋とは。 ちなみに進化しないのはスモモの動きがついてこられなくなるから。怪力さんは腕四本だし
メロエッタ:悩んだ結果、何かと絡ませやすいので後の展開に合わせてスモモと混合。最初期のプロットでは別のモブトレーナーが持ってた形。んで、形態は最初からステップフォルム。見た目と違って超パワーファイター。スモモの手持ちだしね
ブニャット:超かっこいいスピードファイター。しかも「ねこのて」は仲間との信頼関係およびに修行の成果(便利な言葉)で仲間の自由な技を選択可能。だけど一度劣勢に立つと負けやすいBLEACH臭漂うキャラに。最初のお腹壊した姿どこいった。
ハマゴとスズナ:一応観戦してます 次回冒頭で登場するよ。