きっとこんな展開があったかもしれない。
そう思うのは俺だけではないはず……だといいなぁ。
見る、観る、視る、『観測』る。
蒼い蒼い硝子の月の下、滅びつつある―――否、既に滅びている深紅の空の下を。
『
「『
時に1783年、『
漆黒のバーサーカー「クー・フーリン・オルタ」が誇る因果逆転の魔鎗『
自らの肉体の崩壊も辞さないほどの全力投擲が影すら残さぬ速さを以って純白の花嫁ことセイバー「ネロ・ブライド」に迫る。
半神の権能一歩手前の宝具を前に、既に自身の宝具『
即ち―――打つ手なし、と。
本よりネロはこうなることは予測できていた。故に覚悟していた。
暗殺に失敗した暗殺者の末路―――無残な屍をさらすことを。
だがしかし―――
(……すまぬな、ランサー。約定はかなわぬらしい)
新たなる好敵手と共に歌う約束を果たせずして散る無念。
そして何よりも、ネロは―――ネロの奏者と出会っていない。
生前、誰よりも人間を愛しておきながら愛し、愛される歓びを知らずに没し、今回もまた、誰からも愛されずこの世を去る―――それが何よりもネロには無念であった。
しかし、もはやどうしようもない。
相手は因果逆転の魔鎗。これを防ぐ術はネロに無く、又、その余裕もない。
無念を胸に秘め、ネロは来る痛みに備え歯を食いしばり、前を見る。
己は帝政ローマ第5代皇帝にして寂しくも悲しいが悪名高き「暴君」ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。
最期の瞬間まで王として、王たる者の道理を、愉悦を知らぬバーサーカー「クー・フーリン・オルタ」に見せつけんがために!
観念に至り、無念を抱き、さりとて開かれしは―――燃え滾るほど熱き双眸。
それは情熱。それは炎。
燃え尽き、繁栄しながらも永遠を望まない、ネロにとっての愛のかたち。
ネロの目は言っている。
観念に至り、無念を抱きながらも、『諦めてたまるか(絶対前に進むマン)』と。
彼/彼女は見ていた。
月の深奥―――フォトニック深淵領域、事象選択樹、アンジェリカケージとも呼ばれるその場所で。
嘗ての自分達のように、諦めず、只管に前へ進まんとするその姿を。
彼/彼女は見ていた。
故に―――
『―――うん、それでこそセイバーだ』
蒼天の下、男と女、二重の声が響き、彼/彼女が動く。
時間?距離?そんなの関係ない。
助けてもらった。ならば今度はこちらが力になる番なのだと。
嬉しそうに、称えるように、誇らしげに、遥かなる彼方、宙に在りし天体より『力』が落ちた。
続きは皆さんの胸の中に!!