プレイ当初はクスリが関わってる話ということもあり、こんなENDがあるんだろうなと思っていたんですが、無かったので書きました。
主人公が自分勝手な考えすぎるという意見を持たれてしまうかもしれませんが、そこは二次創作ということで、お許しを…(汗)。
あの時だろう。俺が覚悟を決めたのは。
彼女を校長室から連れ出し、公園の遊具の中で彼女の本心に触れてしまった瞬間から、俺は決心したんだ。
彼女と一緒に妖精郷へ行くことを。
だから俺は彼女に言ったのだ。
「…ねぇ、宏子ちゃん。最後に……もう一度だけ……ねこ子ちゃんになってみないか?」
そして、俺はクスリの半分を彼女に渡した。
「やーほー! 来たな公平、我が宿命の探索の旅へ!」
妖精郷の入り口である木の前で、俺らは待ち合わせ、俺が持ってきた食べ物を二人で食べ、彼女が木を上ろうとするのを俺が手伝う。
あっという間に上ってしまったねこ子ちゃんは、いつものように木の枝の上に立ち、手を大きく広げると、
「うん! なんか、妖精郷が出てきそうなお空だね……!」
と得意げに言い。
「そうだね」と、俺も返事を返す。
もうクスリは飲んだ。
後は、妖精郷を見つけるだけだ。
俺たちは空を見上げていると、ねこ子ちゃんが突然体を揺らし、空を凝視する。
「ああ……見えそうだ……うん、見えてきた……見えてきたよ、ほら、あれ……!」
「あ―――――!」
そこには確かにあったのだ。
壮麗な、教会堂や大聖堂のような、美しい建物が。
「見える!? 公平も見える!? 見えるよね!」
「あ、ああ……見える……」
彼女の必死の問いに、俺は驚きながらも答えた。
クスリを飲んだ、俺ら二人だけの妖精郷がそこにはあった。
「すごい……綺麗な建物……」
そう言った彼女は、妖精郷へと続く階段の一段に足をかけ、振り向く。
「公平? 妖精郷に行かないの? 探そうって誘ったのは公平だよ?」
「……うん。そうなんだけどね」
「だけど?」
彼女は俺の問いを待つ。
そんな俺は、改めて覚悟を決めると、頭の揺らぎを感じつつも彼女の居るところまで木を上り始めた。
今からすることは誰も救われない。
父さんも、母さんも、綾も。
彼女の両親も。
そして、彼女自身さえも―――――。
これは俺の完璧な自分勝手な決め付けだ。
だが、クスリを一度でも使ってしまった人間は、完全に治ることはない。
待っているのは、永遠に依存症と戦い続ける生き地獄。
そんなものに溺れてしまった彼女の居場所は、もうあの妖精郷にしかないのだ。
―――――それならばせめて、俺が彼女のそばにいよう。彼女と一緒に妖精郷へ行こう。
ようやく彼女の元へと上り終えると、俺はもう一度彼女に問いかける。
「……ねこ子ちゃん、本当に妖精郷へ行きたいんだね?」
「……うん」
宏子ちゃんなのか、ねこ子ちゃんなのか分からない声で、彼女は答える。
「妖精郷へ行けば、空っぽなねこ子たちの心もいっぱいになるんだよ! オズの魔法使いみたいに!」
「だけど、俺は妖精郷に行くための努力を、全然してこなかったけど、大丈夫なのかな……?」
「大丈夫! 公平はこれまでねこ子に付き合ってくれたじゃん、それで十分に公平は行く資格があるんだよ!」
「……そうか。じゃあ行こうよ、ねこ子ちゃん」
「うん!」
今までにない一番の笑顔を見せたねこ子ちゃんは、俺の手を取り階段を上り始め、俺はそれに続く。
二人の足取りは軽く、気づけば俺らの足元には街の光が引きつめられていた。
「公平公平! すごいよ! すごく綺麗だよ! 光の絨毯だよ!」
「本当だ……! すごい! すごいな! ねこ子ちゃん!」
クスリの影響か、二人ともテンションが上がる。
光の階段をひたすら上り、俺らはようやく妖精郷の扉の前までやって来たのだ。
「やっと……来れたんだ……妖精郷に……」
「……うん」
「本当に……本当…に…!」
嬉しさからなのか、彼女は泣きながらもその気持ちを伝えようとする。
そんな彼女を抱きしめながら、俺は彼女の話を聞く。
「もう…もう……苦しまなく…て、済む…ん…だ…!」
「うん……」
一頻りなき終わった彼女は、その扉に手を掛ける。
「公平! 準備はいいか?」
「うん、いつでもどうぞ」
俺らは二人はしっかりと手を握り合い、彼女は扉を徐々に開けていく。
すると中から暖かい光があふれてきた。
「公平……、公平がいてくれたから、ねこ子は妖精郷へ来れた……。本当にありがとう」
「……うん」
俺らは扉の中へと入っていく。
「加々見くん……。本当にありがとう……!」
彼女の笑顔は光に照らされ、とても輝いており、とても眩しく、何があろうと彼女のそばに居続けようと俺は改めて決意するのと同時に、二人を迎えるように妖精郷の扉は閉まっていく。
まるで、二人の世界を壊さないようにと。
【END:二人の妖精郷】