如何にして隊長を尊敬している戦車道に対して真面目な黒森峰女学園機甲科生徒達は副隊長の下着を盗むようになったか 作:てきとうあき
趣味がかなり入っています
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「今日は何を食べますか!?」
午前の活動が終了すると何時ものように浅見が妹様に聞いてきた。
「ええと……じゃあ今日はハンバーグ定食で…」
「解りました!ではお先に失礼します!」
ここ最近は毎日の様に見る光景だ。
普段から戦車道では妹様の狩猟犬の様に偵察等に働いていたが、ここ最近は日常に置いても積極的に動くようになっていた。
まるでご主人様にボールを投げて貰いたがっている犬の様だ。
着替えるのも行動するのも早い浅見は何時もこうやって妹様の注文を聞いてはダッシュで食堂に行っては席の確保と妹様の注文をするのだ。
ご苦労な事だとは思うが……つい無意識になのかありがとうとお礼を言われながら頭を撫でてもらう様は羨ましかったし、
不覚にも撫でられながら気持ち良さそうにして、嬉しそうに尻尾を振る浅見の姿は少し可愛かった。
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「斑鳩ってさ……」
「……なんだよ唐突に」
私が食堂でラーメンを食べているとオセロが唐突に呟いてきた
「アンタ、何か妹様かかわると変態っぽいよね」
ぶほぉ!!
「げほぉ!いってぇ!鼻に!鼻に!」
私が凄まじく間抜け面を晒しながら鼻からずるるると麺を取り出すのを見て囲碁がクスクスと笑っている。オセロに至ってはゲラゲラと下品な笑い声を高らかに上げている。
「い、いきなり何を言い出すんだお前!」
私は少し…いやかなりドキりとした。
無意識に右胸の内ポケットに手をやる。
「いや、だってさ。私、アンタがあんな風に丁重に礼儀正しく恭しく接してるのはじめてみたわよ」
「私は何時だって礼儀正しいぞ?少なくとも目上にはな」
私は怫然としてオセロに反論した。
「まぁ斑鳩は確かに年上には表面上は礼儀正しいけどさ」
「おい、ちょっと待て。何だその表面上とやらは。
そういう事はそこで小難しい本を読んで如何にも文学少女ですって面して猫かぶっている奴に言え。
あと、お前は少しは猫を被る事を覚えろ」
「だって貴女。根が小心者だからかお偉いさんの前に立つとびびって縮こまる癖に、ちょっとぷっつんするとメンチ切り出すじゃない」
「……そんな事をした覚えがない」
「嘘つきなさんな!どの口が言うのよ!
貴女、この前に学園艦の出資者のお偉い人が来た時、借りてきた猫のようにビクビクしてたのに妹様の悪口言ったら途端に目つき悪くして睨んでたじゃない!
私、リアルで『あ"あ"ん?』なんてヤンキーみたいなセリフ聞いたの初めてよ」
それを聞いて囲碁がぶふぅーっと噴出しやがった。
私が止めなきゃとび蹴りをかまそうとしたこいつにだけは笑われたくない!
「私が蹴ろうとしなかったら自分が殴りかかっていった癖に」
うるせぇ!
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「それでは、パンツァーフォー!」
妹様の号令を聞きながら私は戦車を前進させる。
それにしても…熱い……暑い…。
ただでさえ日差しがきついのに私たちがいるのは金属の塊の中だ。
直射日光は確かに来ないが通気性は最悪で戦車の中は軽いサウナ状態だ。
飲み物はしっかり取るように指示されているがこれでは脱水症状や熱中症で倒れる者もでるのではないか?
折角、妹様の戦車に乗るという普段ならば何度体験しても飽きが来ない至福の瞬間なのに今日は流石にこれには参った。
周りを見れば私だけではなく赤星も逸見も浅見も汗をだらだらと流して半ばグロッキー状態だ。
全員の汗のせいか戦車の中の湿度はむわぁ…とますます増して行き、それが更に不快指数を加速させていく。
これには流石の妹様も……とちらりと視線をよこしてみると妹様もこの暑さには参ったのかやはり汗を沢山流している。
妹様の頬を伝って首を通り襟首へと流れていく汗の一滴。
汗で透けて肌に張り付く胸元のシャツ。
つい視線を下げれば……汗雫を浮かせた両脚とその奥にじわりと蒸せた……。
私は何時の間にかごくりと何かを飲み込んでいた。
気づけば回りの皆も喉を鳴らしている。
むわぁ……
戦車の中の湿度が上がる。
しかし私は蔓延する湿気や湯気に何かこう……なんていうか……うへへへ。
なんだかあたまがまわらなくなってきた。
ああ、やばい。いいにおいがする。
ふらふらとにおいのするほうこうに わたしはたおれた。
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*みほ転校後の話です
「斑鳩先輩はみほさんの誕生日で何を大洗に送ったんですか?」
「……パンダカラーのボコだ」
浅見に唐突に聞かれて私は少し戸惑いながら答えた。
「まったですか?それ前にも送ってませんでした?」
「また別のなんだよ!……ボコってのは私にはよく解らないが妙に種類が多いんだ」
「本当にパンダ好きですよね……。キャラに似合わず」
「じゃあ、お前は何を送ったんだよ」
「『海底探険』です!みほさん、同じ戦車の皆さんと仲いいですから五人でできる物を送りました!」
「……まぁボードゲームは黒森峰っぽいといえばっぽいけど、女子高生が女子高生に送るものかぁ?」
「いいじゃないですか!面白いですよ!」
「……そういえば逸見のやつは何を送ったんだろうな」
「エリカさんは絶対に重い物送ってますよ。指輪とか」
「ぶふっ……やめろよ!唐突に笑わそうとするのは!
……でもありえそうで怖いな…誕生日に指輪か…」
「チョーカーとかもありそうですよね」
「やりそうだなぁ……」
後日に赤星に聞いてみるとエリカはサイズぴったりの銀の靴を送ったそうだ。
それも「踵を三回鳴らしてくれるのを何時までも待っているわ」ってメッセージを添えて
それを聞いた時、私と浅見は咄嗟に抱き合いながら「エリカ、重い…怖い…」って震えた。
その後で赤星が送った物を聞いてこいつが一番やべぇなと再認識したが。
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あれから誰かの部屋に集まって五人で食事をする事が常となっていた。
無論、私としても五人でとる食事は美味しいし、何より妹様がとても楽しそうにしているのを見る事はとても素晴らしい事である。
そして最近は食事をした後は五人でボードゲームをする様になったのだ。
女子高生が集まってする事かといわれれば疑問ではあるが、ドイツの国風が強く影響している黒森峰ではボードゲームで遊ぶ事はそれほど珍しくないのだ。
「今日は何をするんですか!?」
特にこうして友人同士で顔を突き合わせてボードゲームで遊ぶという行為に強い憧れを持っていたらしく、妹様が非常に楽しそうにプレイしている様は見ているだけでこちらも楽しい。
「今日は"チャオチャオ"ですよ~」
ちなみにボードゲームを持ってくるのは浅見の役目だ。
私達はボードゲームといえば人生ゲームだとか日本でも有名なものしか知らないが、浅見はよくドイツを初めとする国外のボードゲームを持ってくるのだがこれが中々面白いのだ。
ふむふむ……ルールを聞くとゲーム自体はマス目がたった9マスの橋を渡る単純なすごろくの様だ。
ただし、サイコロの目を自分しか確認できず、嘘をつく事も出来る。
他のプレイヤーはダウトと指摘する事ができ、実際に嘘だったらサイコロを振ったプレイヤーのコマが橋から落とされる。
正しかったら指摘したプレイヤーが落とされる。
そして6面体のサイコロは1-4の数値と二つの×で構成されており、×がでたら嘘の数値を言わざるを得ない訳だ。
プレイヤーの持ちコマは7個でこれを可能な限り橋の向こうへ送るゲームとなっている。
つまり運ではなく嘘を見抜く能力と裏をかく能力が必要になる訳だ……あれ?これって……
「やったー!また私が勝ちましたー!」
妹様がストレートに3つのコマをゴールさせて一位を確定させた。
此方が嘘をつくと100%見抜かれダウトを宣言され、正しい目を言った時は一切ノータッチだった。
それでいて何とかしようとダウト宣言をすると巧妙に正しい目なのだ。
しかもそれですら後から考えると言わされた感を強く感じてしまう。
「……この手のゲームでみほに勝てる訳無いじゃない!」
いや、全く逸見の言う通りだ。
結局の所、妹様が勝ち抜けした後にやっとゲームが始まり、4人で競うというゲームになっている。
普通に考えればクソゲー極まりないのだが……
「えへへ……」
まぁ困ったように嬉しそうに笑う妹様がむっちゃ可愛いので良いだろう。
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前回の反省を活かして今日のボードゲームは読み合いや騙しあいの要素が薄い者が選ばれた。
「今日はこれを持ってきました!古典的傑作ボードゲーム!カタンです!」
おお、それなら私も知っている!
確かにこれならサイコロの運と交渉力が主軸だ。
駆け引きの要素も確かにあるが、昨日の様な裏の読み合いが全てではないのだから妹様相手でもゲームになるだろう。
「斑鳩さん、私のレンガと麦を交換してくれませんか?」
いや、それはちょっと……確かに一対一の等価交換だが、妹様はこれで村から町に発展させてしまうので妹様にとって大きく有利な交渉だ。
「……駄目ですか?」
「良いですとも!」
……あっ つい頷いてしまった。
「えへへ、ありがとうございます!」
「ちょっと斑鳩先輩!ゲームにならないですよ!」
「うるせぇ!逸見だってさっき家が建てれる時に副隊長に木とレンガ渡していただろ!」
ある意味では昨日よりゲームになってない。
昨日は妹様が強すぎただけで全員ゲームの勝ちを目指していたが、今回はそれを度外視している感じがする。
大体、赤星なんてニコニコしながらいりませんか?これ欲しくないですか?って聞いてくるぐらいだ。
……でもこの妹様に貢いでいる感じは何かゾクゾクするものがしてやばい。
「……そういえば斑鳩さん。私の事は副隊長ではなく名前で呼ぶようにって約束でしたよね?」
「……え、いや、まぁ……み、みほさん」
「"みほ"です!さんは要りません!
「……み、み、みほ」
「はい!」
あっあっあっ
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