「ここはどこだど?」
胸部と頭が一体化した青を基調にしたボディーに腹部に大きなプロペラを取り付けたロボットがそうつぶやいた。彼の名前はエアーマン、Drワイリーが作った空中戦闘用ロボットで、メンコが大好きだが秋が嫌いな個性的なロボットだ。
「まるで寮の部屋だど」
辺りを見渡してみると、ブロンドの長い髪を持つ女性がベッドで寝ていることに気がついた。
「起こしてみるど」
自分が暮していた環境に女がいない。エアーマンは体を揺さぶって無理矢理起こすが、当然飛び起きた女はエアーマンに対して驚いてしまう。
「だだだだだ誰ですの!?」
「オイラはエアーマンだど、ここはどこだど?」
「せ、扇風機のオバケが喋りましたわ!?」
「扇風機のオバケじゃないど、エアーマンだど」
このままではまずい。女は急いで私服に着替え、現在地と自分の名前を話した。エアーマンも自分は戦闘用ロボットで、作ってくれたDrワイリーことを話した。
「ここはIS学園の寮で、お前の名前はセシリアか。良い奴そうだど」
「ロボットに褒められても・・・」
「そういえばISってなんだど?」
「え・・・ご存じないですの?」
「そういうセシリアもワイリー博士知らないど、何か変な感じがするど」
二人は真剣に考え、エアーマンがワイリーのいない世界に飛ばされたことで結論づけた。エアーマンは彼女の机にあるISについて書かれた本を読み漁り、知識に入れた。
「何か不便だど。女しか使えないとか、開発者は変態かよっぽど性根腐ってるど」
「そう言われましても・・・」
実は彼の勘は当たっていることを、セシリアは突っ込まないことにした。
「差別はダメだど。ワイリー博士は人間でもロボットでも平等に接していたど」
「世界征服考える科学者って変わってますわね・・・」
「その点、セシリアは良い奴だど。オイラを見て追い出さなかったど」
「淑女として困っている方を助けるのは当然ですわ」
「ありがとう、お礼にメンコあげるど」
「気持ちだけでいいですわ」
何だか蒸し暑い。そう感じた彼はセシリアに対して弱い風を送る。
「これでお礼ができたど」
「ちょうど暑かったから感謝しますわ」
しばらくすると、自分の体が透けていることに気がつくエアーマン。いくらロボットでも透明になる機能は備わっていたい彼は、自分のいた世界に帰れるかもと期待する。
「オイラ帰れるかもしれないど。セシリア、今日は楽しかったど」
そう言って笑顔で手を振ったエアーマンは消えていってしまった。
「なんだか変な感じでしたが、楽しい朝ですわ」
そういうと、彼女は部屋を後にした。
「あれ、ここは自分のステージだど」
辺りを見渡すと、いつも見ていた空のステージ。エアーマンは帰れたことに気がついた。同時に手にはISの本が握られている。
「夢じゃなかったど、セシリアもオイラのステージに来て欲しかったど・・・ダメだ、帰る手段をワイリー博士に相談しないとダメだど」
そして彼はワイリーの城へと飛んで行った。今日見た夢のことを話しに。
こんなエアーマンは倒せないと思います