鈴木悟分30%増量中   作:官兵衛

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すみません。将来のお話なのでオリキャラが出ます。
 
 
 
 



アルベド日記⑤「それからの あるべど」

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 さて、いとめでたき出来事から数日経ちました。正妻として、そしてサキュバスとしてこれからはモモンガ様の性生活のサポートにも全力を尽くさねばなりません。みなが子を望むのであれば、モモンガ様が人であるうちに着床し妊娠してもらわなければ……。まあ、この辺りはサキュバスにとっては得意技でございます。様々な術もございますので大丈夫でしょう。しかも、私・サキュバス、アウラ・エルフ、番外席次・エルフ系?、イビルアイ・人間と、人間であるモモンガ様との子作りの相性は良い種族が揃っておりますしね。問題はないと思います。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 バイコーンに乗れました!

 

 うふふふふふ。やりました。バイコーンは強力な魔獣ですので、ナザリックの戦力アップになりますわ。

 はあ……このバイコーンに乗れるようになったことが、こんなに誇らしいとは……くふふ。

 喜んでバイコーンに乗って、ナザリック内を走り回っている最中にパンドラズアクターを撥ねましたけどね。

 

 ……わざとじゃないデスヨ?

 

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 無事、ハーレムのメンバー全員が妊娠致しました。

 サキュバスである私の妊娠期間は短いので、一番はじめの出産となり、みんなの先陣を切ることになるでしょう。

 そして全員妊娠とともにモモンガ様が人間よりオーバーロードへと帰還されました。

 慣れた体で玉座に颯爽と座られた瞬間、シャルティアが「うわあん! モモンガ様あああああ!」と抱きつきました。いつもなら私もデミウルゴスも止めるところですが、今回ばかりは好きにさせてあげることにしましたが、モモンガ様の御体から「ミシッ」「メキッ」という不穏な悲鳴が聞こえてきたので、結局無理やり引き剥がし、そのまま反省室に送りました。コキュートスに引きずられながら「そんなっ!? やっとこれからわたしの出番でありんすのに!?」と泣きわめいていました。モモンガ様の腰椎が悲鳴をあげるほど締め付けるなんて……アナタ、馬鹿なの? ああ……シャルティアだったわね。それは仕方ない。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 くふー。無事、出産致しました。私もこれからは母で御座います。

 モモンガ様の子供を産む……こんな素晴らしい幸せが待っているとは思いませんでした。充足感に満たされた日々を送っております。サキュバス(女悪魔)の子は基本サキュバス(女悪魔)ということと、最高位魔術師の人間(モモンガ様version2)と私の子ということもあり、強大な魔力を秘めたサキュバスの娘が生まれました。未だ腰に羽は生えておりませんが、モモンガ様が娘を震える御手で抱き上げると、全身を輝かせながら感動されておりました。ああ……本当に幸せでございます。

 デミウルゴスが「お世継ぎがお生まれになり、これでナザリックも安泰ですね」と言っていたけれど、不老不死であるモモンガ様が居なくなるなどありえません。この子は決して跡継ぎではないのです。モモンガ様は永遠に我々と共にあるのですから。逃がしません。ええ、逃がしませんとも。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 アウラ、イビルアイ、番外席次の子供も無事出産。

 アウラは第六階層でエルフのメイド達と育てるらしいです。あの子も色々な心境の変化があったようです。マーレはアウラの子にデレデレでした。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 元ハーレム部屋・現在育児室にて、姉さんがウキウキと赤ちゃん達の面倒を見てくれている。すごく楽しそうで良いのだけれども、自分の部屋のカリカチュアのように、いきなり壁に赤ちゃんを叩きつけられるのでないかとハラハラしております。

 モモンガ様もそうらしく、姉さんが抱いているときにモモンガ様の体が「ピコーンピコーン」と点滅していたりします。正直な御身体……。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 育児室の門番を勝手に始めたコキュートスが煩い。

 扉を子供が通るたびに「若、爺ハ強イデスゾ……」とか「姫、命ニ懸ケテ オ守リイタシマスゾ」などと一々話しかけるのです。

 蟲王、仕事しろ。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様がすごく子煩悩です。

 1日5回くらい育児室を訪れます。

 この星の神に愛されて、この子達は幸せ者です。まあ、私のほうが幸せですが。すっごく幸せですが!

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 娘の初めての言葉は……「くふー」でした。

 

 モモンガ様が、とても微妙な顔をしておられました。……いや……なんか本当にすみません。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 イビルアイの子を外で育てると聞き、久々に大反対致しました。

 モモンガ様の血を受け継いでいる時点で、外界に置いては神人かそれ以上の脅威となるでしょうし、ナザリックで伸び伸びと育てるほうが宜しいと思うのですが……ちなみにコキュートスとデミウルゴスも反対です。デミウルゴスは「最も尊き貴重な血が外へ流れるなど!?」と訴え、コキュートスは「爺ハ若トノ別レガ耐エラレマセン……ドウシテモト言ウナラ、守役トシテ私モ同行サセテ頂キマス」と土下座して言った。良い顔で言った。

 しかしながらモモンガ様により却下。見守るために、山奥にひとつの村を作り、そこで育てるとのこと。まあ……それであれば……エイトエッジアサシンを久々に酷使するときが来ましたね。彼らも久々に本領を発揮できて嬉しいでしょう。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 娘を育て幸せな日々。

 ペストーニャが凄く育児室に来る。娘は「わんわんだぁ!」と言って喜びますが、騙されないで、やつは犬の皮を被ったUMAよ。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 ドラウディロン陛下がお越しになる。

 モモンガ様の御子を眺めて「かわいいのう、かわいいのう」とホクホクした顔をしたあと、「ところでアルベド殿。その……例の件じゃが……」と女王にあるまじき下卑たニヤニヤ顔を見せる。

 うん。完全に忘れていたわ。

 執務室のモモンガ様のもとへ連れていき、セバスを呼び出す。

 セバスが「セバス・チャン、参上いたしました」と一礼して入ってくると同時に「ゲェッ」と声を出した。

 そうなのです。そもそもが「セバスに男子としての女性の気持ちへの応え方を範を以って示す」というのが、モモンガ様がハーレム全員と向き合う切っ掛けだったのです。

 

「さて……セバスよ。私はちゃんとお前に男としての生き方を見せたわけだが」とモモンガ様が仰った。ああ、あれはちょっと昔のことを思い出して怒っておられますね。

「は、はい」とセバスが焦る。

「さすがモモンガ殿。自らを以って模範を示すとは王の中の王ですなあ」とドラウディロン陛下が続ける。

「子供は良いぞ……セバス。なあアルベド」とモモンガ様がパス。

「はい セバスの子も見たいものですわね」と私がワンツー。

「うむ 私も見たいし、たっち・みーさんも孫の顔がみたいだろうなあ~」とモモンガ様がシュート。

「ぐふっ」セバスが跪きました。

「ではセバスは竜王国へ長期出張ということでよろしいですな? 陛下」

「あひがとふございますぅぅぅぅぅぅ」 ヨダレを拭きましょう。陛下。

「モ、モモンガ様!? 私は――」と反論しようとした瞬間、モモンガ様がゲートを出して、私がセバスをゲートへ放り込んだ。

 

 セバスの子供……デミウルゴスも喜ぶことでしょう。そしてツアレニーニャも……いや、あの娘は血の涙を流しそうね。

 

 

 

 

 

 

○月×日

 

 何事もなく過ぎていく日々が幸せであり、少し寂しく感じるようにいつからなったのでしょうか?

 変わらないと思っていた毎日が、子供が育ち成長していくことで、昨日と違う存在へと更新されていくことで強制的に時間の流れを感じさせてくれます。不老不死であるモモンガ様。私やデミウルゴスは悪魔であり、魔力が失われない限りは半永久的に生き続けるでしょう。しかしイビルアイの子供が人として生きることを選び、そして天寿を全うし、さらにその子たちも生まれ成長し死にゆく。それが繰り返されていくことが奇跡の連続であると気づいたときに「永遠」という言葉の恐怖と儚さを想います。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様がいつからか、ナザリックに「正月」と「七夕」という行事を持ち込まれました。

 正月は分かるのです。制定した暦の切り替わり時に新しい年を記念して祝うというものです。そして七夕。これは子供達が生まれてから始めた儀式で、子供達はもちろん、僕どもも何か一つ願い事や誓いを短冊という紙に書いて木に吊すという催しです。実はナザリックには目安箱という下々からの意見を吸い上げるシステムがモモンガ様により創られているのですが、七夕での願い事や誓いは固い物ではなく、ごくプライベートな願い事を書くのが暗黙の了解とされております。

 

 毎年、それらの短冊をモモンガ様自ら読まれて嬉しそうにニコニコとしているのですが、今回、短冊を読まれていたモモンガ様の体が久々に輝くと、「うへあー」と深い溜め息をついておられました。

 本来、短冊はモモンガ様以外が読むのは奨められたことではないのですが、流石に気になってモモンガ様が読まれた短冊を発見すると、なんと私の娘の短冊でした。そこには「早くママを倒してパパを自分の物にしたい」と書かれていました。

 ……芽は若いうちに潰さねばならないと思うのです。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 イビルアイの子孫がナザリックに来そうです。何故かラキュース・アインドラの一族も一緒です。

 イビルアイは自分の子供を外で育てた。彼は人として生きていくことを選び、世界を回り、育った村で家族を作った。

 イビルアイは全てを見守り、そして見送った。私に娘の人生を見届ける勇気と覚悟はあるだろうか? 彼女はそれをやり遂げた。まさしく尊敬に値する仲間だ。

 そして人間として、その血族は伸び育まれていく。今は何代目だったでしょうか? 15世代目だったと思いますが、実は4世代目の中の一人が冒険者ならぬ、冒険家としてナザリックに辿り着いたことが御座います。そのときはイビルアイとプレアデスに歓待させて、モモンガ様はそっと見守るだけでした。しかし今回は冒険者として彼女は頑張っております。モモンガ様が最も望まれた形で、この星の陰の支配者へと、ナザリックへと立ち向かったのです。

 それを知ったモモンガ様やナザリックの皆の喜びよう……まあ、モモンガ様は「あ でも私を倒しに来る感じじゃないよね? というか討伐されるほどのことしてないよね?」と不安そうにしておられました。

 しかしこの子たち……すごく無理な戦い方をするのでペストーニャが蘇生によく出向いておりました。その後何故か彼らの財布からお金を半分抜くという決まりがありましたが……あれはいったいなんの儀式なのでしょうか? モモンガ様が「……そういうものなのだ」と仰っておりましたが。

 

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 彼女たち、モモンガ様とイビルアイの子孫のチームは本当に面白い。すごく遠回りをしたり、すごく非効率な冒険をしたり。

 このあいだは、とある村人から情報を聞くためだけに、畑の手伝いを一週間掛けてしていた。

 そして、この前は全財産を叩いて船を購入したのに、次の島で気球が手に入って船の意味がなくなり、呆然としていた。

 あと、冒険者であり正義の味方のハズなのに、なぜか他人の家に勝手に上がり込んではタンスやツボを叩き割って、マジックアイテムや小銭を略奪していく……ちょっとよく分からないです。

 ただ、それらをエイトエッジアサシンからの魔法の水晶で映し出された映像を観たモモンガ様はとても楽しそうだった。楽しそうで、懐かしそうで、そして少し寂しそうで……。

 数年間追い続けた彼らが、遂にツァインドルクスに会いナザリックへと向かってくる。感慨深いですね。モモンガ様もイビルアイも待ち遠しいようです。

 

 

 

 

 

○月×日

 

 彼女たち「勇者パーティ」を歓待致しました。

 まあ、シャルティアのセクハラが酷すぎて色々と台無しになりましたが……。

 あと、何故かモモンガ様が精神攻撃を受けたらしく、三日間ほど寝込んでしまいました。さすがモモンガ様の血を受けし勇者ですわね。

 イビルアイがラキュース(四代目)と嬉しそうに話していました。まあラキュース(四代目)はラキュース(初代)の暴露話を沢山聞かされてゲンナリしていましたが……名前まで受け継いだ人物の痛々しいところとかを懐かしげに聞かされるという罰ゲーム……。

 モモンガ様が復活したあと黒騎士モモンに変身して再び謁見し、「……これからも頑張ってください」とナザリックレベルでは程ほどのアイテムを下賜されました。その後にハグもされていました……ちょっと羨ましいなあと思っていたら、背後から黒いオーラがゾワゾワと溢れ出してきました。振り返ると私の娘を含めたモモンガ様の御子たちが凄い目で見て……睨んでおりました。娘が耐えきれなくなったのかモモンガ様と勇者のあいだに突っ込もうとしたので慌てて立ち塞がると「ママどいて、あの子殺せない……」とハイライトの消えた目で言われました……嫉妬とは恐ろしいものでございますね。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 子供の教育係をしているユリ・アルファが私の部屋に訪れ、「娘さんがサキュバスの倒し方を何度も質問してくるのですが……」と困惑顔で訴えてきた。

 いや、困っているのは私ですけど……あと、あの子もサキュバスなのですけど。

 

 

 

 

 

◯月×日

 

 コキュートスが来て「母ヲ倒ス必殺技ヲ教エテホシイ ト 姫ガ シツコク懇願スルノダガ……」と訴えてきた。なにをやっているのかしら、あの娘は。

 

 

 

 

 

○月×日

 

 朝、起きると枕元に牛乳が置かれていた……。

 いや、うん。確かに 「枕元に牛乳があると、サキュバスはそれを精液と間違えて持ってゆく」と言われて、淫魔除けに小皿一杯の牛乳を枕元に置いて眠るという風習があるらしいけれど……。

 

 牛乳嫌いの娘の部屋に行って「むきゃー!? うきゅー!」と泣き叫ぶ我が子に無理やり牛乳を飲ませました。大きくなーれ♪

 

 

 

 

 

○月×日

 

 朝、起きるとベッドの周りに無数の十字架が並べられていました。

 いやもう何がしたいのかは分かるけど……。レベル100の私の耐性力を舐めないでいただきたいものです。

 

 十字架を全部ズタ袋に詰め込んで、娘を袋に放り込み、首だけ袋から出した状態で縛り上げました。「う゛ー なんか気持ち悪いよう。ちくちく熱いよう」と泣きべそをかいてました。甘々な父とは違い、母はスパルタ教育ですの。

 

 

 

 

 

◯月☓日

 

 モモンガ様は未だに1ヵ月に一度のハグを実行してくれている。まあ、一応夫婦になったということもあり、二人きりの時は甘えたりいちゃいちゃすることもありますけど、結婚前から続いている習慣ですからありがたく継続してハグしていただいているわけです。前回に抱きしめていただいたときにモモンガ様の耳元で「二人目欲しいなあー」とボソッと呟いたらモモンガ様が光り出した。あと、なぜか有るはずのない心臓が「ばっくばっく」していた気が致します。もう……何がイヤなのでございますかぁ……くふん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 △月○日

 

 ふう……腰が痛い。年には勝てません。もう、私もオバサンですからモモンガ様にふさわしくない……ここは身を引いてパ…モモンガ様を娘に託すべきでしょう。

 

 

 

 

 

 △月○日

 

 いつまでもモモンガ様に依存して縛ってはイケマセン。そろそろモモンガ様を自由にすべきです。私、亡き後はどうか娘を正妻にお迎えください。

 私の遺言と思って絶対にそうしてくださ――――

 

 

 

 がしっ 突然、少女の腕を万力で締め付けるような力で掴む女性が現れた。

 ――――悪魔(アルベド)である。

 

 

 

「……私の日記にナニをしているのかしら? この可愛い娘は?」

 

 少女()の額を一筋の汗が流れる。

 (迂闊! 迂闊迂闊迂闊! かくなる上は先手必勝! 死なばもろとも!

  図書館の本で勉強した! 1日5000回の素振りで、実戦経験がなくとも相手をワン・ツーで倒せると!)

 そんなことが一瞬で脳裏に浮かんだ少女は、すうっと息を吐く。

 

「ふんっ!」

 

 少女の拳が唸りを上げる。黒い悪魔のボディを低い角度から襲う。

 

「破っ!」という(アルベド)の気合の声が聞こえる。

 

 ドスゥッ!

 

 確実に食い込んでいるはずの拳は、鈍い音を立てて弾き返された。

 

「あらあら。どういうつもりかしら?」

「……別に、なんて固い腹筋なんだこの母はなんて思っていませんよ?」

「うふふふふ」

「くふふふふ」

 

 両者は睨み合う。お互いがお互いを許せぬ所に来てしまったのだと悟った。

 次の一撃は母娘ながら必殺の一撃になるかも知れない。

 ゴクリと二人がツバを飲み込む……。

 

 突如、ブォンという音とともにゲートが部屋の真ん中に開く。

 ここはモモンガ&アルベド母娘の部屋。ここに直接ゲートで入ることのできる人物は世界で一人しか居ない。

 

「ちょっ 君たちなにしてるんですか!?」

 

「「パパ(アナタ)!?」」

 

 そう。ナザリック王、その人である。

 

「何か戦闘反応がすると思ってきてみれば……まったくもう」

 

 世界の王が呆れたように「やれやれ」と言いながら母娘のあいだに入る。

 

「だって、ママがなかなかパパを離してくれないんだもの!」

 

「当たり前です! 一生離しませんわ!」

 

「は、はは……相変わらず、怖い冗談を言うなあ……アルベドは」

 

「え!?」

 

「パパはこれからは私と生きるの! ねえー パパー 子供作ろ? ね?」

 

 アンデッドだからもう死んでるけどな……と呟きながら、世界の王は困ったように愛おしそうに、娘の頭を撫でつつアルベドをジト目で見る。

 

「本当にアルベドによく似ているな……」

 

「「え!?」」

 

 不本意そうに二人が悲鳴を挙げる中で、ふと彼は机に広がった日記に目を留める。

 

「ん? これは?」

 

「あっ それは!?」

 

 開いていたページをチラリと一読する。「むう……」夫であり父親は、日記を取り上げてページを捲る。

 

「……」

 

 そして、あまりな内容に世界の王の手が震える。

 

「ああっ パパがママの日記を読んでビカーッビカーッと光ってるわ!?」

 

「ええ!? わたしのせいなの?」

 

「……オマエ……ようやく『野良守護者統括に注意!』の看板が外されたというのに」

 

「そんな看板が在ったのですか!?」

 

「私、『暴れアルベド出没!』を見たことあるわ」

 

「君たちに……罰を与えます」

 

「え? なにかしらどんな罰かしら?」わくわく

 

「パパが私にどんなイケナイ罰を与えてくれるのかしら?」ワクワク

 

「罰として……一ヶ月間『モモンガ』禁止」

 

「「ふぁっ!?」」

 

「一ヶ月間、ハグ禁止。手を繋いでくるのも禁止」

 

「」

 

「お休みのキスも禁止。布団に潜り込んでくるのも禁止」

 

「「イヤどす」」

 

「黙れ。ヒドインs」

 

「あ、アナタァァァァァ!!」

 

「パパァ!? いやぁぁああああ!!」

 

「じゃ 反省するように。いや、ほんとマジで」

 

 マントを翻した彼は、ゲートを潜る。ブゥンと小さな重低音を響かせてゲートは消えた。

 

 

 呆然と愛する人を見送った似た者の母娘が溜め息のように「「くふ――――」」と長い悲鳴をあげる。

 

 ふらふらと手を床に突けながら娘が口を開く。

 

「ママ……パパの抱き枕貸してね……」

 

「ええ……どれが良いの?」

 

「AOG暦116年物の奴で……」

 

「ああ……あれは良い物よ。シクススを買収して手に入れた、モモンガ様のベッドシーツ(未洗い)を原材料に作った抱き枕ですもの……さすが娘。分かっているわね」

 

「くふふ……いえー」

 

「いえー」

 

 

 

「……一ヶ月後のパパの襲撃計画なんだけど」

 

「くわしく」

 

 

 

 

 

 ……母娘は強かった。ある意味、世界の王よりも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










初月様 244様 (ΦωΦ)様 誤字脱字修正有り難う御座います
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