かれこれ、二ヵ月はぬえとマミゾウと共に京の都を楽しんだ。
ぬえが提案した作戦は、まず初めに『件』という妖怪にマミゾウが『化けさせる程度の能力』で姿を変え、その姿を俺が『映し』都にある牛舎に入る。そして、早朝に人間の一人にわざと見つかり京に災いが起こると伝える。さらに、慌てた人間を再び『映し』そいつに成り代わる。驚いた人間をぬえが気絶させ放置。後は、成り代わった俺と人間に化けたマミゾウで噂を広め、あえて不安が残る言い回しをする。最後は、夜にぬえが一番偉い天皇とやらに恐怖を与え続ける。こうして、天皇が倒れたことにより人々は居る筈もない化け物の噂を始め、ぬえが『正体を判らなくする程度の能力』で『正体不明の種』をばら撒く。その種で今の都は人々が勝手に作った怪物があちらこちらで出現している状態だ。
ぬえは、大変満足そうだった。それを確認したマミゾウは自分の場所に帰っていった。
帰る前日は三人で宴会を開き遅くまで騒いだ。かなり飲んだため今絶賛二日酔いで苦しんでいる、ぬえが。
俺はどうだったかって?俺も二日酔いで苦しんでいる最中だよ・・・。
そんな、俺たちをよそにマミゾウは普通に帰っていったがな。
「いてぇ・・・。これが二日酔いか。何で、マミゾウは平気なんだ?」
「うるさーい、頭に響くから八咫は黙って」
俺よりもぬえは酷いようだ。はあ・・・、仕方ない。軽い物でも作るとしよう。
ん?出来るのかだと?ここ最近は二人に食事係としてこき使われていたから大丈夫だ。
それに、貴族の家や天皇の住む場所から食べ物をくすねてるので食料も問題ない。何せ腐るほどあったのだ。本当に腐らせるより俺達が食べてやった方がいいだろう?
「味噌汁と卵焼きでいいか」
手早く米を研ぎ、献立を考え実行する。
・・・・・・付喪神料理中・・・・・・・
「う~ん?いい匂い・・・」
おっと、飯の匂いにつられてぬえが起きてきたようだ。
「おはよう、ぬえ。はい、水」
「ん・・・」
ぬえは貰った水をゆっくり飲み干す。
「ぷはっ!ありがとう。今日のご飯は何?」
「その前に、顔と口をゆすいで来い」
今日は、のんびりとした一日なるな。ま、たまには良いか。
こうして、ゆったりとした時間が流れた。
????視点
「すまんな。お主を呼ぶような事態になってしまって・・・」
床に伏せたまま二条天皇は来客に謝る。
「いえいえ、これも私たちの仕事です。あとは、任せて病を治すのに専念してください。彼も張り切っていましたし安心してください」
老人はメリハリのある声で天皇に声をかけた。その傍らで鳥が老人の肩に乗り、紙へと姿を変える。
「それに、今話題の僧侶も来ています。失敗することはありません」
「そうか・・・。では、後は頼む」
そういって、天皇は再び眠りにつき、老人は踵を返し、
「明日の夜は楽しくなりそうだ」
にやりと笑いながら姿を消した。