東方忘鏡録   作:雨の日の河童

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なんだか、中二病みたいになってしまった・・・。



八咫鏡は全てを映す

身体が熱い。いきなり能力を全開にしたせいであちこちに痛みが走る。この熱さはその代償かそれとも・・・。

目の前の爺がこちらを驚きと恐怖が混じった顔で見ている。いや、固まっているのか?今俺はどんな顔で奴見ているのだろうか?

まあ、どうでもいいか。どうせ今から・・・。

「おいおい、どうした?そんなに驚いた顔して?ほら、いつものように滅してみせろよ。今まで一度も敗走も敗北もしなかったんだろ?」

奴は頭を左右に振り此方を睨む。

さて、確実に息の根を止めるにはまず、流れを変えるとしよう。睨む奴の眼を正面から見据えて嗤いながらその名を呼ぶ。

「なあ、晴道?」

「貴様ッ、なぜその名を!」

「ああん?教えると思っているのか、馬鹿が」

この場で俺が知るはずもない奴の本名を暴露したことで動揺している。だが、まだだ。こいつの流れを完全に崩さなくては意味がない。

「ま、所詮はただ力だけが取り柄の屑だったな。悪い、悪い馬鹿なのは当たり前か」

「私が馬鹿だと!?もう良い、貴様だけは確実に殺してやる!!楽に死ねると思うな!」

奴は霊力の籠った針を水平に三本こちらに投げつけ、同時に自身は先ほどよりも強力な祝詞を紡ぐ。

やっぱりな。この爺は自分に絶対的な自身があり誰も彼も思い道理にしてきたのだろう。だから、こうも簡単に挑発に乗る。こういう奴はほとんどの場合、先手を取ることで自分の得意な流れを作って敵と戦う。だから、崩さなければまず俺に勝ち目はない。

「甘いんだよ」

水平に投げつけられた三本の針を横避け、目の前を横切る外側の針を一本を掴み取り投げ返す、妖力を込めて。

「な!?」

まさか、投げ返してくるとは思わなかったのだろう。しかも、自身の霊力をかき消して逆に、妖力を込めてくるとは。爺は慌てて詠唱を中止して右に避ける。

「『方角は北 黒を司る水神に願い奉る 清き水で悪鬼を流せ 玄武水撃』」

新たな祝詞で反撃に転じる。何処からともなく水が現れ鋭い槍の様にこちらに向かってくる。

だが、遅い。既に俺はそこにはいないぞ?

「『方角は南 赤を司る霊鳥に願い奉る 我が身に癒しを 炎帝癒膜』」

俺が距離を取ったのを逃げたと思い自身の身体を癒し始めた。

「させるか!」

俺は、妖力弾を奴に向って乱射しながら突っ込む。さらに、

「『中央の土を持って湿とする 全てを返せ 黄龍分割』」

爺の記憶を『写し』、邪魔する術を発動しながら落ちている針を投げつける。

「ふん!」

爺は向ってきた針を弾くが動きが先ほどより鈍く突っ込んできた俺の前蹴りを辛うじて受け止める。が、完全ではなく身体の体勢が崩れる。

俺は、さらに追い打ちをかけるため次の蹴りを放とうとして、

「滅ッ!!」

奴は崩れた体勢から素早く呪言を放って迎撃をしてきた。だが、

「無駄だ」

先ほどと同じ様に完成していた呪言はあっさりと崩れその場で周りを巻き込みながら自壊する。蹴りは外れたか・・・。

「ぐうぅ!?」

爺は先ほどの様に衝撃を殺せず足で地面に長い線を引いた。

そのせいで砂煙が上がり奴の姿が少しだけ見えなくなる。

 

晴道視点

(やつはどうやって私の名を知った!?なぜ呪言が崩れる!?しかも、少しだけだが術まで使ってきただと?!)

失敗した呪言に巻き込まれ吹き飛ばされるなか、混乱する頭を如何にか働かせ次の攻撃に備える。

(私は、最強の陰陽師!人に仇なす妖共に負けるなど会ってはならん!)

吹き飛ばされたが完全には身体が浮いておらず、足が地面に擦れ砂が空中を舞い砂煙になる。痛みを自身に喝をいれて消し飛ばし防壁を創り上げる。

 

(攻撃が来ない?ならば!!)

晴道はこの歳で初めて成功した秘術を使う。それは、自身の霊力と引き換えに神と同等の力を放つ最高の術式。

「『青龍、白虎、朱雀、玄武 四門を開き中央へと至り都を脅かす者を滅ばせ 四象討滅』」

(勝った!これで、私を馬鹿にした死にぞこないを滅することができる!!)

晴道は勝利を確信する。この術の利点は一度紡げば必ず成功するのだ。さらに、高威力故に必殺の一撃となる。口は弧を描き、老いた心は歓喜に満ちる。

だが、現実は時には非常である。冷めた眼で屑妖が祝詞を紡ぐ。

「『窮奇、檮こつ、混沌、饕餮 四門を塞ぎ行く手を阻め 我を追いかける者よ去れ 四凶』」

「え?」

必殺の一撃はまだ、己が習得出来なかった秘術に破れた。

「なぜだ?なぜ、・・・貴様がそれを撃てる?神でしか、選ばれた者にしかできないのだぞ・・!?」

意味が分からなかった。自身ですら習得するのに人生の大半を使いようやく使うことができた術を初めて会った、それも妖怪に使われた。

「「この術は貴様如きに使える物ではないのだぞ!?」ってか?」

「な!?」

なぜ、こいつは私が言う言葉がわかったのだ???

混乱は恐怖に変わる。

顔を見てはいけない。私の感がこれ以上相手にするのは危険だと警報を鳴らす。

「なあ?」

なのに、

「俺が・・・」

身体は勝手に、

「何に見える?」

見てしまった。

 




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