東方忘鏡録   作:雨の日の河童

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なんだかぐだぐだになってしまいました。
いつか、書きなおします。


夜は落ち、朝日は昇る

少女視点

私はいつも一人だった。父の顔も知らず大好きな母とはだいぶ前に引き離されて以来会っていない。祖父を名乗る男は、嫌がる私に様々な修行をさせる。私が抵抗すれば、拳が飛び、逃げれば蹴りを放ち、術を失敗すれば罵声が飛んだ。殺したくないのに妖怪を殺す術を磨き続けた。そのうち、私はただ祖父の言うことを聞く人間になっていた。その姿を次期党首の男はまるで式の様だと嗤った。私の未来は暗く変わり映えのないもの、そのはずだった。だが、今の光景は何だろう?あの絶対的な祖父が何かに怯えている。顔を青くして、目を見開いて今まで一方的に攻撃を加えていた妖を凝視している。私は、祖父すら怯える顔がどんな表情なのか気になった。

「・・・」

その妖怪は無表情で祖父を見つめているのに私には、泣きそうなそれでいてどこか疲れた顔に見えて思わず手を伸ばす。

私に気づいたのか妖怪はこちらに歩いてきた。でも、何故だろう?全く怖くない。祖父は虚空を見つめ何か言っている。そして、直ぐ近くに来た妖怪は、しゃがみ私と目線を合わせてゆっくりとした口調で

「頼むから、俺にお前を殺させないでくれ。そこの爺が死んだらもうお前は自由だ。だから・・・」

その後の言葉は続かずまた私から離れ祖父の元まで歩いて進む。私にとって最後の家族を殺すために。

 

晴道視点

そこに居たのは、人間の姿をした妖ではなく、黒い影だった。周りの風景は何もない。不気味な影と二人だけ。解らないのに解ってしまった。あれは死神なのだと。

追いつかれた瞬間に問答無用で地獄に引き釣り込む、死その者。

死にたくない。

ゆらゆらと揺れて姿すら定まっておらずこちらに向かってくる。

死にたくない。

ゆっくり。ゆっくり。だが、確実に。

「う・・・」

嗤いながら影が喋る。

必ず殺す、と。

「うわぁあああ!?ば、化け物!来るなァ!くるんじゃない!?」

 

八咫鏡視点

「うわぁあああ!?ば、化け物。来るなァ!来るんじゃない!!?」

少女に釘を刺し、そこから爺の元に歩き出すと奴は腰が抜けたのか無様に地面を這いながら俺から少しでも距離を取ろうとしている。

はあ、あれだけ偉ぶっていても所詮は人間か。いったいあいつには何に見えていることやら・・・。

あきれながらも俺は、ゆっくりと奴に向かって歩き出す。

 

 

 

 

さて、ひさしぶりですね。今回はなぜ鏡が自分より各上に勝ったのか説明しましょう。

まあ、単純なことですが一つずつ説明します。

まず、呪言の誤爆ですが能力を全開にして相手の能力だけを『映し』て、呪言に対してでたらめな呪を混ぜ『移し』ました。

え?「こんな能力あったか?」ですか?ええ、ありました。『写す』の応用ですね。烏天狗を助けるときに傷を自分に『写し』た事が有りましたよね?それの逆で、自分の傷、まあ今回は呪ですがそれを相手に写しました。これで、呪言は不安定になり相手に届くまいにその場で自壊したのです。

次に、術ですがこれもまた相手の知識を『写し』ました。勿論、前提として相手を『映し』ておく必要があります。

最後に秘術ですね。これは人間の霊力を代償にして一時的に神通力を使うことが出来ます。

まあ、まあ、言いたいことは解ります。そう、この術は妖怪には絶対に使えないのです。ですが、思い出してください。この鏡は限りなく妖怪に近い神です。普段は、そこら辺の妖怪と同じですが、今回戦った陰陽師の様に霊力を使うものになれば使えるのです。まあ、普通は人間にしか使えない霊力の代わりに妖力を使いますが。もし、秘術が神通力ではなくただの霊力なら終わっていたでしょう。では、何を代償にして秘術を発動したのか?

まずは、神の力を説明しましょう。

神は信仰をつまり、自分が見える者達から畏怖や感謝を集め自身の力にします。なら、鏡はどこから集めたのか?別に生きている者から集めずとも良いでしょう?

そうです、朽ち果てた都から今の今まで憑いてきている亡者達に崇められているのです。

彼等は、自身を縛っていた土地から解放してもらい鏡に感謝の念を捧げました。

それで、鏡はそれを消費することで秘術を使った、ということです。

それでは、今回はこの辺で。ん?最後に質問ですか?いいですよ。答えられる範囲でお願いします。なぜ、相手の行動を先読みできたのか?それも、相手の考えを『写し』ていたからですね。それではみなさん。またいつか。

 

 

ゆっくり、ゆっくりと恐怖心を煽る様に近づき遂に爺はあまりの恐怖に気を失った。

後、数十歩で奴の元に着く、はずだった。

「・・・」

そこに立ち塞がったのは先ほどの少女。はあ、こいつの記憶を見た俺はあまり傷つけたくない。

「いったい何のつもりだ?俺はそこに倒れている奴に用がある。どけ」

殺気を全身に漲らせて忠告する。邪魔するなら殺すと。

だが、それでもそこから離れようとしない。

「おい!聞こえているだろう!速くそこをどけ!」

「お願いします。祖父を助けてください。なんでもします。だから・・・お願いします。」

「な!?」

少女は額を地に擦り付けて懇願してきた。どうか、祖父を殺さないでくれと。

ふざけるなッ!俺の友を殺しておきながら。今更、助けてくれだと?

そんな都合のいい事が通るとでも!

あまりの身勝手さに怒りで目の前が白くなる。

話にならない。俺はこのまま無視して爺を殺そうとする。だが、

「お願いします。お願いします」

それでも真摯に願い続ける。

自分が殺されるわけでもないのに、何でこいつは・・・。

「お前はなぜそいつを庇う!?なぜだ?俺はお前の扱いを知っているんだぞ。母と離され、酷い扱いを受けて・・・。答えろ!お前はそいつに恨みこそあれ、自身の身を挺して守る理由など微塵もないはずだ!?」

「家族だから・・・」

「は?」

「私のたった一人の家族だから・・・。お願いします、殺さないでください。お願いします・・・」

「なん・・だよ・・。それ・・・」

あれだけ、酷い扱いを受けたのにそれでも自分の家族だから助けてくれと懇願する。

頭の中で二つの選択肢が浮かぶ。殺すか殺さないか。

そうだ、こいつらはぬえを殺したんだ。許せるはずがない。殺したい、殺そう、殺す。

でも、子供の前で親を?しかも、殺さないでくれと。たった、一人の家族を助けてくれと願っているのに?

でも、・・・だが・・・しかし・・。

頭が痛い。

「どうか、どうかお願いします」

どっちが正しい?どちらがセイカイ?

答えはいくら考えても出ない。まるで、底なしの沼。

ああ、苦しい、苦しい苦しい!!

初めての感情に気が狂いそうになる。しかも、少女は今までずっと苦しんできた。今ここで、邪魔だからと言って殺すことなど…。

だが、答えが出ないのだ。一つしか選べないのならどちらも殺してしまえば・・・。

物騒な考えが頭をよぎったその時。

「待ってください!」

「「!?」」

息を切らせながら誰かが割って入ってきた。

「ふう。如何にか間に合ったようですね」

そこに、現れたのは何時ぞやの少年だった。

「お前・・・」

「旅人さん、お久しぶりです。すいませんが結論から言います」

何が何だか分からないが少年は一つ咳払いをする。

「まず、ぬえさんですが生きいています」

「え?」

い、いまなんて・・・?

「ですから、一時的にですが地底に封印しただけでいきていますよ。ですから、その老人を殺す必要はもうないはずで」

「う、嘘じゃないよな?本当に生きているんだな!?」

言葉の途中で思わず少年に詰め寄り問いただす。

「ええ。本当ですよ」

「・・・良かった。本当に・・・良かった」

身体から力が抜けた。その瞬間目の前が白くなりかけるが気合で持ち直す。

「なら、もうここにはようはないな。はあ、疲れた」

ぬえが無事ならもうここには居たくない。俺は早速都から出る為に歩き出す。ああ、やばい頭が痛いし身体も痛い。鈍痛が身体を襲う。

「旅人さん。僕の名前は命蓮です。良ければあなたの名前、教えてくれますか?」

そういえば、少年の名前は聞いていなかったな。命蓮か・・・。なら礼儀として返さなくては、

「俺の名前は八咫鏡。命蓮、またいつか会おう」

「ええ。またいつか」

そして今度こそ俺は都から去った。

 

 

のはいいんだが・・・。

「おい、何時まで付いてくるつもりだ?」

「どこまでも」

「はあ・・・」

なぜか、あの少女陰陽師が着いてきた。なぜだ・・・。

「貴方には祖父を見逃してくれた恩がある。それに、貴方が自分で好きにしろって」

そう、都から出るときこの少女に止められたのだ。

簡単に説明すると、何でも、自分はもう祖父の元にはいられない。だから、私を連れって行って、と。疲れていた俺は自分の人生だから好きにしろ、と答えた。

はい、自分のせいですね・・・。はあ。なぜ、自分の命を狙った相手と旅してるんだか。

「爺はいいのかよ?」

「ほっといても大丈夫。それに、目の前で死なないなら構わない」

「なんだそりゃ・・・」

なんだか、結構割り切ってるんだな。まあ、あの爺の元に帰るよりはましか。

「それで?」

「ん?」

小首を傾げながら少女はこちらを見た。

「名前だよ。名前。これから、一緒に来るんだろ?俺の名前は八咫鏡。気軽に八咫と呼べ」

おし!こういうのは切り替えが大事だ。俺も見習うとしよう。

少女は一瞬、驚くがそれでも返事を返した。

「私の名前は・・・」

こうして、夜は終わり新しい朝を迎えた。

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