時間は大体昼頃だろうか。
都であの胸糞悪い爺を放置して、その孫娘と俺は今ゆっくりとあてのない旅を始める・・・つもりだった。
「ぐおおお・・・!身体が!?身体が痛い!」
「・・・八咫、情けない」
はい。あの時の戦闘で無理矢理能力を使い続け、こうしてその反動が全身に遅れてやってきて近くの茶屋で休まして貰っています。
「何が、「これからは、あてのないキツイ旅になる。それでも文句言うなよ?」ですか。八咫の方が最初に倒れているじゃないですか・・・」
「面目ない・・」
何故、格好つけた数分後に痛むかな。あれか?調子乗んなってことか?
「ほっほっほ、仲の良い兄弟ですなあ。どれ身体の調子はどうですかな、八咫殿?」
気のよさそうなご老人が近くにやってきた。
「あはは・・・。身体の痛みは先ほどよりだいぶ楽になりましたよ」
「それは良かったですわい。この老骨もたまには役に立つものですな」
この人は茶屋の主人で昔、特殊な医療を習ったらしい。
その治療は髪の毛くらいの鍼を身体の痛むところに打つというものでいきなり鍼を取りだしてきてびっくりした。その説明を聞いて面白そうだと思いやって貰ったのだがこれが意外と効いた。相変わらず身体は痛むが今ではだいぶ楽になった。
「このたびは本当にありがとうございました。駄目な兄に変わって感謝します」
「おい、だめは余計だからな、真?」
この少女陰陽師の名は『真』というそうだ。大人しそうな雰囲気で礼儀正しいのだが、
「口答えしないでください」
ギュムッ
「あたたたたた!!?」
意外と口より先に手が出てしまう様だ。今もこうして看病の傍ら攻撃してくる。
「お爺さんや。そろそろ、手伝ってくださいな」
奥からお婆さんが出てきてお爺さんを呼ぶ。
「おお、すまん。では、何かありましたら呼んでくだされ」
そうして、にこやかに部屋から出ていった。
ふう…。ため息を一つ漏らして目をつぶる。
「八咫、寝ますか?」
真がこちらの顔を覗きながら聞く。
「ああ、悪いが少し眠ることにする。真はどうする?」
「そうですね・・・。昨日の戦闘で霊力を使いましたし、私も眠ります」
「そうか・・・。じゃあ、・・・」
「ですので詰めてください」
「はあ?」
何を言い出すんだこいつは?
「ですから、これ以上ここの人に迷惑をかけれませんので私も同じ布団で寝ると言っているんです。ほら、早くしてください」
「何だよそれ・・・。ほらこれでいいか?」
思わず呆れるが、真のことも一理あるので一人分の場所を空ける。
「はい、出来ればもう少しくっ付いてください」
布団の中に入ってきて訳のわからないことを注文してきたがもういい加減眠りたいので肌が触れる位置まで真を布団の中に招き入れる
「では、良い夢を。おやすみなさい、八咫」
「はいよ。おやすみ」
睡魔はものの数分でやってきて俺は眠りに落ちた。
後に、後悔するのはまた別の話・・・。
どうも作者です。
東方忘鏡録を一話から最新話まで文章を訂正や改変しています。