十九話を書きなおして再投稿しました。
次の日、俺はいつもより早く起きた。正確には、緊張して眠れなかったのだ。
「はあ・・・。何だか、かなり面倒なことになったな・・・」
まあ、それでも見返りは大きいので文句は言えない。
日はまだ完全に登り切っていない時間。
肌を撫でる風は少し冷たい。日が照り付ける夏は終わり、作物が実る秋が近いのだろう。
初めて、この身体を手に入れてからもう三か月も経っていた。
今、思ったがなかなか濃い毎日だったと思う。
最初は、廃れた都で骸を弔い、そのまま近くの山で傷ついた天狗の少女を助けその仲間に追いかけまわされたんだったな。その後、フラフラになりながら逃げ切り、近くの川で竹取の夫婦に会い手紙を託された。
その後は、一か月くらいぶらぶらとゆっくりできたな。
そして、命蓮と出会い、ぬえと出会い、マミゾウと出会い・・・。
そして、あっという間に二か月が過ぎて・・・。
「すまない。貴方が紫様から手伝いを頼まれた者か?」
おっと、いつの間にか八雲の使いが来ていた様だ。
後ろを振り向き絶句した。
「・・・おい、おい。式神が九尾狐って、アイツでたらめだな・・・」
そこには、八雲の式がいたんだが格が違う。
もはや、呆れるしかできない状態だ。
「こほん、気を取り直して。私は紫様の式、名を『八雲 藍』という。今日は貴方の付き人に術を教えるため、ここに来たのだが・・・」
俺は八雲の話に耳を傾けた。ある事をしながら。
八雲藍視点
今、一瞬だが妖力を感じた様な気がしたが気のせいか?
それにしても、この男、弱すぎる上に気配の察知も出来ないのか。なぜ、紫様はこの妖怪に頼んだのか分からない。
「私はあくまで教えることしかできない。それでもいいか?」
「ああ、頼む」
「まずはだな・・・」
大雑把に説明すると自身の妖力を与えて同じ妖怪にする術を教えた。本当はより確実な方法を伝えるように言われたが必要ないだろう。どうせこのままではすぐ死ぬ。
それに、紫様は使い終えたら消すともおっしゃっていた。
「・・・分かったか?それでは、もう行くぞ。私も忙しいからな」
そして、相手が返事をする前に『スキマ』を開いてそこから去る。最後に、奴がどんな顔をしているのか気になり少し見る。
不気味な奴だ。
此方を見ながら笑っていた。まるで、何もかもお見通しだというように。
少しの不安が胸をよぎったが気のせいだとその考えを捨て、今度こそその場を離れた。
この時、八雲藍は自身の考えが筒抜けだったとまだ知らなかった。
八咫鏡視点
成程な。
相手の考えも分かったしこれからの対策はおいおい考えるとするか。
それにしても、面白い術を知っていたな八雲の式。
人間を神にする術式か。
今の俺では、どうあがいても無理だが補助があるなら話は別だな。
さて、真ももうそろそろ起きてくるし補助の道具も機会を見て手に入れるとしますかね。
「お~い、真。起きろー」
真を起こす為、俺は茶屋に入り小声で起こしに行くのであった。