真と旅をして二か月。
ゆったりとした日々が続いている。
基本的に、朝の内に進み、昼は休憩を取りながら進む。夜は主に俺が見張りをしながら自分の力を制御する練習をしている。
真には、昼の休憩中に陰陽師の術を教えたり真から学んだりするのが日課になった。
道中で何度か妖怪に会ったものの、脅威にならない奴らだったな。
大体は、妖力や霊力を過剰に浴びた妖獣だったため原因となったものを取り除いて森に返した。
多分だが、都のアイツらだろう。全く・・・自分で挑む事もしないとは腑抜けめ。
時々、森に返してくれた動物から恩返しの木の実や山草が届けられる。
いやー、最初は驚いた。朝方に鳥が木の実を持ってきたから何事かと思い能力を使ったものだ。
真は、人間や妖怪以外にも思考を読むことが出来るのかと驚いていた。その後、真から動物には能力を使ってもいい、と許可をもらった。
ある日、いつも通り二人でたわいない会話をしている時のこと。
もしかしたら、木や水の思考も読めるのでは?と真に言われ試してみたことがあった。
最初は、簡単だと思っていたのだがこう、なんか漠然としか分からなかった。
そのため、今は木や水の気持ちを読み取れるように練習中だ。
「なあ、真。先の方に村があるみたいだぞ」
その村を見つけたのは昼頃だった。
能力の練習として鳥から見た景色を映した。
「いいですね。今日はそこで一泊させてもらいましょう」
久し振りに布団で寝むれると。
そんなことを二人でいいながら村に向かった。
「・・・なんだこの村」
だが、その村で見たのは村人達が一生懸命農作業をしている風景ではなく一体の鬼と下級の妖怪がまるで、王様のように振る舞っている光景だった。
人々は皆、震え、怯えていた。
その様子を満足げに鬼は見ながら酒を飲み、村の娘らしき少女達を侍らしていた。
下級妖怪の周りには骨が転がっている。その中には、鍬や竹槍などが散らばっていた。
「おい、そこのお前!」
「は、はい」
鬼は自分の周りに侍らせていた少女の一人を呼びつける。
「八咫、あれは滅していいですよね?」
真が自分から妖怪を滅するなど初めての事だが、今は気にはしない。
確かに、この世は弱肉強食の一面を持っている。
今から起こるだろうこともある意味自然だ。このまま鬼は下卑たる笑顔で少女に絶望を与える。
ああ、なるほど。真が言っていた事はこういう事か。
確かに、知りたくなかったな・・・。
この世に生まれて初めての純粋な悪意だ。
これなら、まだ爺の方がいい。あいつは、歪んでいたが誇りがあった。けど、あの鬼にはない。なら、あいつは・・・
「そうだな。だが、あれは俺が殺す」
俺の言葉を合図に二人で悲劇の元を消しに飛び出した。
村娘視点
昨日までは、昨日の夜までは平和だったのに。・・・どうしてこんな。
幸せだった村は、この鬼が来たことによって地獄と化した。
勇ましい男たちは無残に殺され、弱い老人や子供を捕まえて下級の妖怪に面白半分で与える。
絶望しながら逃げ回る姿を見て楽しそうに口元を歪める。
女には酒を注がせ、時には腹が減ったと一口で呑みこんだ。
私は何度も何度も神様に願った。ただ、助けてくれと。
だが・・・
「おい、そこのお前!」
私の番になった。
震えて上手く立つことも出来ない私を見ながら鬼はにやにやして、ゆっくりと口を開く。
私を殺す言葉を言うために。
もし、逆らえば家族を喰われる。私の残った道は一つしかなかった。
(・・・まだ、やりたい事がたくさんあったのになぁ)
神様に願っても結果は変わらない。死ぬ直前にそのことを悟るなんてね・・・。
「お前、今から、俺に・・・」
死が近づき私は心の中で泣き叫ぶ
(・・・やだ、いやだ!?まだ、死にたくない!!誰でもいいから助けてよ!!)
眼を固く閉じ。無駄だと分かっている願いを叫んだ。
その瞬間、
「任せろ」
誰かの優しくも力強い声が聞こえて・・・
その声に安心したのか私は気を失った。
これからは気をつけます