・・・いたい。
強烈な痛みが身体を駆け巡る。
その痛みを我慢しながら何故こうなったか原因を思い出そうとするのだが靄がかかった様に思い出すことが出来ない。それでも何とか思い出そうと足掻く。
「おう、ようやく起きたか。全く、俺を待たせるとはいい度胸だな。ん?」
「だれ・・・だ?」
近くから誰かの声がした。周りは暗く顔も見えない。
俺は自身の情報を得るために其処に居るであろう人物に話しかける。
「あん?寝ぼけてんのか?はぁ、一応俺の名前をかたっているんだからしっかりしてくれ『八咫鏡』」
「ッ!!」
その瞬間、全てを思い出すことが出来た。
「おいおい、そんなに殺気立つなよ。弱く見えるぞ?」
「・・・」
痛む身体を無視して素早く起き上がり距離を取るべく後ろに下がり臨戦態勢になるが奴は、此方を脅威と認識せず、出来る限りの敵意を向けるもそいつは涼しい顔のままだった。
「さて、俺はまどろっこしいのは嫌いでね。単刀直入に言わせてもらうぜ。三種の神器『八咫鏡』が命じる。その体を明け渡せ」
「こと・・わる!!」
八咫は本物の神にきっぱりと否定の感情をぶつける。
だが、そいつは笑いながらこちらの感情を揺らしてきた。
「それが、彼女を救う術でもか?」
「なに?」
「このままいけばあの嬢ちゃんは死ぬっていてるんだよ。いいか?お前の呪文は確かに発動したが半分以上は使えないポンコツなんだよ。あのままなら近いうちに必ず死ぬぜ」
「ふざけた・・ことを。あの術式で間違っていなかった。何度も、何度も俺は確認してきたんだ・・・。だから・・・」
「あのよ?俺が間違えていると思うなら覗け。それでわかる」
「・・・」
奴を警戒しながら能力を発動。
そして、奴の記憶を見て絶望した。
そう、術が完璧でも何事にも相性があり、真の力が中途半端であることを知った。
霊気は清らかなのにその力を出せない。肉体は神様なのに制御が効かない。
例えるなら、狼の前に生まれたばかりの小鹿が来たといったところか。
「だから、取引しようぜ?何簡単な話だ」
「取引・・・?」
だからだろう。
俺は、すがってしまった。自分より力を持つこいつに。
「ああ、お前が俺にその身体を渡すだけでいい。な、簡単だろ?俺が全て面倒お見てやるからお前はただの鏡に戻れ。そうすれば、あの巫女を完全な現人神に変えてやるよ」
それでも、この神が約束を守る確証はない。
それに、さっき見た出来事はあくまで推測の域。それならこいつに明け渡さなくてもいい。
だが、それでも・・・。
「そうだ。その判断が正しいぜ。何なら、もう一つ条件をくれてやる。あの巫女には指一本も触らないってな」
最悪な可能性が1%でもあるのなら・・・
「ああ。それでいい。三種の神器『八咫鏡』がその願い承ったぜ」
排除しなくてはならない。
真には幸せになって欲しい、俺の大切な人だから。
それに俺は鏡。ただの道具でしかないのだ。
なら、道具がすることは一つだけだろう。
「じゃあな、忘れ鏡。この身体は有りがたく貰っておくぜ。ついでに、お前に託されたこともやってやるから安心して、逝け」
そのまま、俺の意識は途絶えた。
そこには、綺麗な和鏡が一枚現れ、ほどなくしてそのままどこかへ消えっていったのだった。
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