よって、たぶんこうだろうと思って書きました。
では、どうぞ。
付喪神視点
日が暮れ夜になった森で一人、夜空に浮かぶ月を見上げる。
近くには川があり今夜はその岩場で寝るつもりだ。
そういえば、月には兎がいるらしい。なんでも、餅搗きをしていたり薬を煎じていたりしながら暮らしているのだそうだ。…いつか、行って見たいな。
なんて、考えていると近くの森から誰かが近寄ってくる。
さて・・・、今夜は初めての実戦になりそうだ。
姿は未だに見えないのに凄まじい妖力を発しながら真っ直ぐこちらに向かってくる。
確実に俺より強い。今更逃げても猫が捕まえた獲物で遊ぶように直ぐに捕まっておしまい。
なら、今ここで選ぶのは逃走より防戦だ。何とかして話し合いまで持っていくしかない。もし、戦闘狂や知能がなければ不味いが、俺は何としてでも生き延びる!
恐怖で逃げだしそうな足を理性で繋ぎ止め能力を両方とも発動する。出し惜しみなんて出来るわけがない。初めから全力で挑む。そして、そこに現れたのは・・・・
黒い短めの髪で着物とは違う服を着た少女だった。
「・・・ん?」
あまりの出来事に頭が追いつかない。え?少女?いや、背中に赤と青の名状しがたいものが付いているため人間ではないだろう。背中の物をしいて例えるなら、赤は鎌の様で青は矢じりの様だ。
「おい、人間。怖くて声も出ないか?まあ、仕方ない。正体不明の化け物に出会ったのだからなぁ?」
にやにやと笑いながら近づいてくる少女。
何なんだこの妖怪は?正体不明?確かに名前は知らないが姿はもろ少女なのだが・・・。
困惑した表情で固まっていると恐怖していると思ったのか、さらにこちらに歩を進めてくる。
「ふははは、恐怖で震えることもできぬか!惨めに命乞いでもすれば助けてやってもいいぞ?」
こちらの目の前まで出てきてふんぞり返ってる姿がどうも悪戯を自慢する子どもの様で思わず頭を撫でる。
「…ぬえ?」
向こうもいきなりのことで、間抜けな声が出ている。
「あの、その、悪いんだが・・・。姿見えてるぞ?」
「・・・え?・・・え?ちょ、ちょっと待って!?見えている?このあたしの姿が?人間如きに!?なんで、能力は発動してるのにどうしてよ!??」
「まあ、少し落ち着いてくれ」
少女のあまりの慌てぶりに警戒が解ける。
「うるさい!今まで誰にもばれなかったのよ!?人間の癖にどうやって見破った!」
すごい剣幕で迫ってくる少女。
おおう!?これはどう説明すればよいか・・・。とにかく、誤解を解くことから始めるとしよう。
さて、皆さん久しぶりの解説のコーナーです。
どうしてばれたのか?それは、鏡の付喪神の能力のおかげです。『映す』ことで本来の姿を認識。さらに、『写す』ことで思考の一部を見た為、彼女の能力がうまく作動せず見えてしまった。と言うわけであります。その前にお前は誰だ?それは、秘密です。
では、またいつかお会いしましょう。
・・・・・・・付喪神説明中・・・・・・・
「ふーん?あんた鏡の妖怪なんだ?それで、私の能力がね・・・」
あれから、落ち着きを取り戻した少女が興味深そうにこちらを見る。
「まあ、それは置いといて。なんで、いきなりわたしの頭を撫でたのよ」
「何でと言われても・・・つい」
撫でたくなったので撫でた。もちろん反省はしている。
「ふん!まあいいや。あたしの名は『封獣ぬえ』よ。それで、あんたの名前は?」
少し怒っているが許してくれたようだ。だが、名前か・・・。
「ないぞ?だって、まだ生まれて三日しかたってないからな」
「はあ!?」
いや、仕方ないだろ?親なんていうものは最初からいないのだ。
「じゃあ、あたしがつけてあげようか?」
「本当か!!それじゃあ、任せる!」
「え?」
ありがたい、名前が欲しかったのだが全く思いつかずに困っていのだ。
非常に楽しみだ。
ぬえ視点
あたしは、目の前にいる和鏡の付喪神に名前を付けなくてならなくなった。
・・・もし、戻れるならさっきのあたしを殴ってやりたい。
嫌がらせのつもりでいったのに真に受けるなど考えもしなかった。
それでも、あたしからいったのだ。ちゃんと考えなければ・・・。でも、名前なんて今まで付けたこともない。だいたいのことは、友に頼んでいたのだ。
結局、一番分かりやすい名前を付けることにした。
「それじゃあ、あんたの名前は・・・」