不老不死の暴君【凍結中】   作:kuraisu

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第十七話 覇王

セアがガルーダに捕食された翌朝。

レイスウォール王墓にとある一行が到着した。

 

「ここがレイスウォール王墓か!」

 

ヴァンが王墓を見ながら叫んだ。

バッシュやウォースラも声には出さないものの王墓の偉大さに驚いていた。

アーシェも王墓に入ろうと近づくと魔物の咆哮が轟いた。

ヴァン達はあたりを警戒し武器を構えると空からガルーダが飛んできた。

 

「体が発光しているな。あのガルーダは原種か」

 

バルフレアは銃口をガルーダに向けながら呟いた。

ガルーダは体が発光している原種と退化した発光しない種がいる。

原種はその神々しさから聖獣として崇られることもある。

もし生け捕りできたら高い値段で売れそうだと考えながら発砲した。

バッシュやウォースラも遠隔攻撃で、フランは弓矢でガルーダに攻撃する。

ヴァンはガルーダが攻撃してきたところを剣で攻撃していたがヴァンのダメージも大きくそれをパンネロが白魔法{ケアル}で回復させる。

全員がガルーダに向け攻撃するがガルーダは縦横無尽に飛び回り、攻撃を回避しているので中々効果的な攻撃が出来なかった。

ガルーダは立ち止まっているアーシェ目掛けて突っ込んでくる。

それを待っていたかのように戦闘が始まってからずっと詠唱していた魔法{サンダラ}をガルーダに放った。

{サンダラ}の直撃を受けたガルーダは苦しそうに咆哮を轟かせ上空へ飛び去った。

・・・因みに{サンダラ}の直撃を受けていた人物がもう一人いた。

 

「ギャバババババッ!!!」

 

昨夜寝ている間にガルーダに捕食されたセアである。

魔法の直撃を受けセアはあたりを見渡しどうやらまた魔物に食われたようだと腰から剣を抜きガルーダの胃を内側から切り裂いた。

するとガルーダは凄まじい絶叫があたりに響き渡る。

しかしヴァン達はまさかセアが中にいるとは思わなかったためガルーダが怒り狂っていると勘違し警戒を強める。

セアはというと内側から剣で数回斬りつけたが外に繋がる気配がない為魔法を詠唱しだした。

するとセアを中心に魔方陣が形成され詠唱が終わると同時にそこから暴風が吹き荒れ、ガルーダは内部からの暴風に耐えられず空中分解した。

ガルーダが空中分解されるとセアはガルーダの血とガルーダだった肉隗と一緒に空中に放り出される。

セアは落ちるまでの間になんとか着地の体勢を整え、砂の地面に着地した。

ウォースラとバッシュがセアだと解らずセアに剣を向け警戒する。

なにせウォースラ達の視点から見れば守護獣の血の雨と共に空から降ってきた返り血を浴びた不審人物である。

しかしヴァンは最初は警戒していたが目の前の光景に軽いデジャブを感じ不審人物の正体に気づいてしまった。

 

「ひょっとしてセア?」

「俺以外の誰かに見えるのか馬鹿弟子?」

 

その会話を聞きアーシェ達は驚愕した。

セアは鋭い目つきでヴァンを睨みつけながら物凄く低い声で話しかける。

 

「馬鹿弟子・・・お前、俺に黙ってどっか行くとはいい度胸だね」

「い、い、いや、だだ、だってセアに教えたら絶対とめるじゃん」

「ああ、ミゲロさんや他のみんながどれだけ心配していると思っているんだ?」

「ご、ごめん」

「まったく俺もミゲロさんに叱られてイライラしてヤケ酒したらぼったくられるしよ」

「・・・誰に?」

「トマジに決まっているだろ」

「・・・あいついい奴だけど金にがめついからなぁ」

 

ヴァンは空を見上げ呟いた。

するとバッシュがセアに話しかける。

 

「何故君は魔物の中にいたのだ?」

「いや、それが昨日の夜に王墓に着いて寝たんだ。で、気がついたらなんか魔物の胃の中にいたから寝ている間に食われたみたい」

 

セアが頭を掻きながらしくったなという表情を浮かべ明るい声で答えた。

ヴァンとパンネロは東ダルマスカ砂漠でワイルドザウルスに丸呑みされたことを知っているので呆れるだけだがそれ以外の全員はセアの神経を疑った。

アーシェはセアの神経を疑いながらもさっきの言葉に疑問を感じセアに問いかけた。

 

「まってください。何故あなたはここに来たのですか?」

「ヴァンたちを追ってですが?」

「では何故私達が王墓に向かっていると解ったのですか?」

 

・・・ドラクロア研究所の所長に聞きましたなんて答えられないしな。

ダラン爺に濡れ衣を着せるかとセアは嘘を混ぜて答えた。

 

「ダラン爺に貴女の事を話すと西の王墓にある王家の証を取りに向かったのではと聞いたからです」

「ダラン爺?」

「ラバナスタに住んでいる物知りの爺さんの名前です」

 

そう言ってセアはヴァンの方に向く。

 

「大方、王宮への進入方法もダラン爺から聞いたんだろ? 馬鹿弟子」

「げっ! バレた・・・」

 

その様子を見てアーシェはダラン爺とは一体なにものなのだろうかと思慮に耽っていた。

王家の証が王墓にあることや王宮への進入方法を知っているなんて・・・

そんなことを考えているとパンネロが話しかけてきた。

 

「すごい大きなお墓ですね。レイスウォール王ってどんな人だったんでしょうか?」

「御伽噺でしか知りませんがそれでよければ」

 

パンネロが頷いたのを見てアーシェは王家に伝わる話を語り始めた。

 

「往古、神々に愛されたレイスウォール王は・・・バレンディアからオーダリアの両大陸にまたがる広大な領域を一代で平定し・・・ガルテア連邦を打ち立てました」

 

アーシェの話をパンネロ以外も聞いていた。

そしてセアはなにか嫌そうな表情をしながらアーシェの話を聞いていた。

 

「覇王と呼ばれてはいますが・・・連邦樹立後のレイスウォール王は民を愛し、無用の戦を憎み・・・その精神は後継者にも受け継がれ平和と繁栄が数百年もの間続いたのです。アルケイディアもロザリアもその源流はガルテア連邦に属していた都市国家であり・・・レイスウォール王が築いた平和の中で生まれ育ったようなものです」

 

そういえばアルケイディア帝国の前身アルケイディス共和国もロザリア帝国の元になった都市国家群もガルテア連邦に属していたことをセアは思い出す。

 

「レイスウォール王は覇王の血統の証となる3つの遺産を残しました。その内【夜光の砕片】はのちのナブラディア王家へわたり・・・【黄昏の破片】はダルマスカを建国した我が父祖へ・・・最後のひとつ【暁の断片】はここに封じられて・・・その存在は王家にだけ伝えられてきたんです」

 

ん?じゃあ何故ダラン爺は王家の証が王墓にあることを知っていたんだ?

セアはダラン爺が何か問題をおこして王家から追放でもされたのかいう想像が浮かんだ。

意外とありえそうだと思うセアであった。

 

「覇王は今日の事態を見越しておられたのでしょう」

 

ウォースラがそうアーシェに言うが幾らなんでも無理だろとセアは思った。

ダラン爺から聞いた話では直系の王家が断絶した際にナブラディア家とダルマスカ家の当主が【暁の断片】を封印したと聞いた。

しかしアーシェの話を信じるならば当初より【暁の断片】はここに封印されていたようだ。

まぁ数百年も昔の話だし諸説があるのだろうとセアはあまり深く考えなかった。

アーシェは王墓を見上げながら話を続ける。

 

「代々の王のみに許された場所ですから証を持たない者が立ち入れば・・・」

「生きて帰れる保障はなし。墓守の怪物やら悪趣味な罠やら・・・そんなところか」

 

バルフレアがアーシェの言葉に続け喋った。

バルフレアの台詞にアーシェは頷き続きを話す。

 

「その先に眠っているのです。【暁の断片】も覇王の財宝も」

「話が上手すぎると思ったよ」

「バルフレアがここにきた理由は財宝目当てか」

 

アーシェとバルフレアの会話からバルフレアの目的を財宝と推測したセアはからかうような声でバルフレアに話しかけた。

するとバルフレアは嫌そうな声でセアに言う。

 

「そうだよ。そういうお前の目的は?」

「ヴァンたちを生きてラバナスタに帰すことだよ」

 

あまり乗り気ではないが同じく遺産狙いの為セアは苦笑しながら嘘をついた。

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