迫真アシカ部 オットセイの裏技
三浦が脱衣所のドアを開くと、部屋を出ながら頭を拭きつつ言う。
「オウッオウッオウッオウッ!!」
後に鈴木も続く。
「オウッオウッオウッオウッ!!」
「オウッオウッビールオウッオウッ!!」
「冷エオウッオウッオウッオウッ!!」
二人に続き、木村も脱衣所から出た。
畳の部屋に入ると、鈴木は上半身裸で首にタオルをかけ、三浦はTシャツを着ているがブリーフのパンツ一丁でたたんで置いてある布団にもたれかかり、木村は隅で本を読みながら各自座った。
鈴木が三浦に訊く。
「ミウオ、オウオオウオオオウオ」
「オウッウッオオ」
「オウオオ……オオウッオ、オウオラーメンオウオオオオ、オオウオオオウ」
「オッウッッオ」
「イオウオウオ?イオウオウオ」
「オッソウダオ、アッオウオ。オウオウオオ!」
木村はなんだか呼ばれた気がして、三浦のほうを見る。
「なんですか」
「オウオオウオウオオオウオ、オウオウオオウオオ」
「何言ってるんですか」
鈴木も三浦に乗じて言う。
「オウオオオオウオオ、オウオヌッッオオウオオ、オオウオオウオオッオオオ?」
「普通に喋れよ」
木村の辛辣な言葉に、二人は静かに下を向く。
「オウッ……オウ」
「オオウオウウ」
「さっきからオウオウオウオウうるさいんですよ、意味わかんないし」
「オウゥ」
「オウゥ」
「普通に喋ってくださいって」
「オウゥ」
「オオウゥ」
「うっとおしいですね、いい加減にしてください」
「……」
「……」
「…………はぁ……オウッオウッオウッオウッ!!」
木村のサプライズに、二人は戸惑いながらも喜んだ。
「オ……オウッオウッオウッオウッ!!」
「オウ、オウッオウッオウッオウッ!!」
みな両手をたたきながら、体を振る。
「オウッオウッオウッオウッ!!」
「オウッオウッオウッオウッ!!」
「オウッオウッオウッオウッ!!」
これが友情というものか。
木村はそう思ったが、絶対に違う気がした。
迫真マッドマックス部 狂人の裏技
三浦は脱衣所のドアを思い切り開けると、ドアが粉々に砕け木の屑が舞い、煙となった。
その中から、三浦はタオルで顔を拭きながら出てくる。
「熱っつううううあああああ!!!」
その後に体を拭きながら鈴木も続く。
「ビィィル!!!ビィィルのむぜオイィ!」
「冷えてんだろうなテメェゴラ!」
「バッチェ冷えてるに決まっってんだろ殺すぞぉぉぉぉスゥゥゥゥFooooooo!」
その後に続いて、木村も脱衣所から出る。
3人はたたみの部屋に入った。
鈴木は上半身裸で首にタオルをかけて座る。両肩に竜、腹に鯉の刺青が彫ってある。
その隣で三浦がTシャツを着てブリーフのパンツ一丁で、たたんで置いてある布団にもたれかかるように座った。全身に大量の切り傷があり、背中の鬼の刺青が不気味なことになっている。
木村は隅に座り、本を読み出した。
鈴木は右手に豚の頭を持ちながら、左手にある牛の頭をかじりつつ三浦に訊く。
「三浦ぁ!夜中腹減るよなぁ!」
三浦はのどをかきむしり、血を出しながら返答する。
「へる!へるへるへるへる!お前から食っちまおうか!」
「この辺にぃ!NCNCっていう糞見たいなラーメン屋があるらしいんだわ!」
「糞みたいな名前だな!」
「血に染めちまおうや!血に染めちまおうぜ!」
「いいぜ!いいぜ!」
「じゃあ今夜地獄見せてやろうぜ!」
「今夜?今から見せてやるぜおい!」
「さすがだぜ!」
三浦と鈴木は立ち上がった。
「血の海にぶち込んでやるぜ!」
「オシャアアアア!」
二人は壁を殴りだすと、大きな穴を開けて外に出て行った。
静かになった部室で、木村は小さくつぶやいた。
「入る部活、間違えたな」
今日もいい天気かどうかは私が決めること☆
幻想郷、それは東にある名の通り幻想のような存在が多く住まう場所。
青い空を、なでこが横切ると、博麗神社の縁側に座る、巫女の霊夢は大きな湯呑からお茶を飲んだ。
「ぷはぁ、今日も――」
強烈な風が吹き、屋根がはずれ、すべてが飛ぶ。
痛いほどの強い雨が顔を打ち、雨音が響く。
霊夢の心は虚無。ただ水かさを増す、湯呑の中身をじっと見ていた。
鳥居があった場所から、二人組が歩いてきた。
魔理沙とアリスだ。二人とも、目が死んでいる。
アリスが訊いてきた。
「霊夢…さぼり?」
「仕事ができるように見える?」
二人は悲しそう目で見つめ合った。
アリスはその目で、手に持ったかごを見た。
「お土産…だったんだけどね」
「食べるわよ」
魔理沙が首を振りながら言う。
「霊夢…お茶とかいいから」
「全部とんだわよ」
二人も縁側に座ると、アリスはグチョグチョになったブラウニーだったものを出した。
霊夢と魔理沙は素手でつかんで、それを食べる。
馬糞の味がした。
魔理沙がつぶやく。
「おいしかったんだろうな」
「そうね」
「そう言えば…ホワイトデー」
アリスは下を向いて小さく返す。
「もう、いい」
「そう」
後ろから声がした。
「霊夢…」
振り返ると萃香がいた。
「アリスよ」
「知ってる、ふすま無くなったから、ずっと見てた」
アリスは訊いた。
「食べる?」
「いい」
「そう」
四人は豪雨の中、何も言わず静かに座っていた。
霊夢はつぶやく。
「魔理沙」
「なに」
「私、あんたのこと嫌いじゃないけど好きじゃない」
「しってる」
台風は二日間、幻想郷にとどまり続け、ついでにニコニコ本社も爆発した