トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
部室から葉山にドナドナされて現在学校の敷地内にある自販機の前で俺は絶望をしていた。
理由は至極当然の事で葉山がここに来るまでの間、一向に手を離さないまま連れてこられたため女子からの叫ぶ声が止まなかったからだ。なんなら「はやはち!? はやはちなんだね! くぅ〜! たまんねぇぜ!」という三木の声が聞こえてきたからな。アイツ絶対許さない。そんな誰得なワード作りやがって。そもそもはやはちでもなんでもねぇよ。
「さっきすごい騒ぎだったね。なんだったんだろう?」
「お前マジか! マジで言ってんのか!?」
「?」
いやそんなミミッ〇キュみたいな感じで首をコテンってさせてもダメだからな? やるなら化けの皮も剥いでやれ。ありのままのお前を見せろ! いややっぱりいいです要らないです。俺得じゃないので。
しかし葉山のやつあの騒ぎで何も気づかないってどんだけ鈍いんだよ……。周りの目とか気にし無さすぎじゃない? もっと視野を広くしてくれてもいいと八幡は思うよ?
「それはそうとして」
「いや流そうとしないでくれ。結構重要な事柄だから」
「君から見て雪乃ちゃんはどう思う?」
スルーですか……。雪ノ下をどう思う? そんなの、
「壊れた美少女」
「……すまない、この質問は早すぎだみたいだ」
当たり前だ。今のところ壊れてるところしか見てないからな。もしこれ以外の感想を持っている人はぜひ俺に教えてくれ。参考にしながら雪ノ下を見てみよう。
「なら俺の事はどう思う?」
「ホモ疑惑」
「…………」
「安心しろ、三割は冗談だ」
「残りの七割の所在を聞きたい所だよ……」
やめておけ。一方的に傷つくだけだぞ。一方的に痛めつける側のやつに言われたくないとは思うけど。
「そもそもなんで今そんな質問をしてきたんだ? するなら昔話とかじゃねーのか? する程のものがある訳でも無いけど」
「……昔の事より今の俺達を見て欲しいから、かな?」
「疑問形で返すなよ。俺にわかるわけないだろ」
「そうだね。でも、多分これが今俺が思っていることなんだと思うんだ」
「曖昧だな」
「これでも良くなった方だよ」
これでもって、小学生の頃色んなやつと話してただろ。子供なんだから自分の感じた事とかそのまま口に出してたような時期だろ? もしかして俺の知らないところでボッチにでもなって話し方を忘れたとか……無いな。こんな無駄にイケメンのコミュ力があるやつをハブにしたりするわけが無いし、そうなるような立ち回りをするとは思えない。
何故そんな事言えるかって?
そりゃあもちろん、人は一度でも良い環境を手に入れたら手離したくないものだからな。俺だって今の環境を捨ててボッチに戻れって言われても多分出来ない。ていうかしたくないからな。まるで俺の意志が大衆の意志のような言い方をしてしまっているが実際そんなもんじゃないか?
ん? あまり人の事言えないんじゃないかって? いやいや、俺と葉山じゃ全然違うだろ?
実際にその立場に立っている
今でこそ俺はこんな感じではあるが雪ノ下の一件があった時の俺は所謂、
ほら見ろ、全然違うだろ? 要は今まで生きてきた環境とそいつの人柄次第で周りからの評価だのなんだのは決まってくるんだよ。
「んで、なんで俺がお前ら二人を見なきゃならんのだ。俺はお前らのお父さんになるつもりは無いぞ」
「俺も同い歳の父親は嫌かな」
「だろうな。俺もこんなでけぇやつの面倒を見るのはごめんだ。この歳なら少し自立して動いた方が歳相応だろ。俺はまだ親の脛かじって生きるがな」
「そんな事堂々と言われても困るんだけどな」
しょうが無いだろ。俺まだ十六だぞ? こんな歳で親の助けも無しに一人でやっていける訳ねぇだろ。なぁどこぞかの大学のパンフで一人立ちしたかったとか言って一人暮らしをしてるのに親から仕送りで十万近く貰ってるどこの誰かさん? いや俺もどこのだったか忘れたから指名しないけど。でも大層な事言ってしてるくらいなら普通に実家にいた方が良くね? 俺みたいに親の脛かじってた方が賢明じゃね?
「とにかく、俺と雪乃ちゃんは昔とは違うから、その姿を見てほしいんだよ」
「えぇ? やだよ面倒臭い」
「どうしてもか?」
「……はぁ〜。わーったよ見てやるからそんな目でこっち見んな捨て犬かお前は」
だからお前はホモ疑惑の人だって言われるんだよ。あれ? そう言ってるの俺だけかな? あ、いや三木も言っててたな。なら問題ないな。……何が問題ないのか知らんけど。
それにしても葉山といい雪ノ下といい、昔とだいぶ変わってるな。雪ノ下なんてクールさが壊滅してるじゃねぇか。いや、普段はそうなのかもしれないけども。そういう所じゃなくてもっと違う部分を見ろってことなのか。
別に見なくても大丈夫じゃね? 俺が別にあれこれしなくても二人なら問題無くやっていけてるだろ。そもそも俺が手を加えてやる必要無し。超イージーな頼み事だ。
「そうか、ありがとう。……そろそろ行こうか。二人を待たせちゃってる」
その後、遅くなった理由を雪ノ下に根掘り葉掘り聞かれたり、由比ヶ浜から「ホモって何?」という質問に閉口したりと大変な時間を過ごしました。いや、クッキーまだ作らないの?
バイト前にちゃちゃっと書きました。どうも、死に体の主です。
ちょっと隼人との絡みを書いてたら違うこうじゃないっていうのが凄くて大変でした。隼人めぇ……。面倒かけやがって……。
まぁあとはクッキー作るだけの簡単なお仕事だからふぁいとだよ!