トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
「由比ヶ浜さんの誕生日パーティーをサプライズで行います」
いつもの放課後、由比ヶ浜を除いた奉仕部のメンバー+αが集まった部室に、雪ノ下の声が響き渡った。
「由比ヶ浜さんの誕生日パーティーを、サプライズで、行います」
「いや、聞こえてるよ。わざわざそんなサプライズのところを強調して言わなくても大丈夫だよ」
「いいえ、隼人君。それは早計よ。うっかり口を滑らせて喋ってしまう人が若干名いるもの」
ちらりと俺の方、というより、俺の隣に陣取っている折本に視線が集まる。
全員、「あぁ、なるほどなぁ」という空気になり、折本がウケ散らかしているのがテンプレとなっている。なんやかんや、ここにいるメンツはある程度どんな人柄なのかわかってきたようだ。
「本当ならメールで連絡しようと思っていたのだけれど、ちょうど都合よく由比ヶ浜さんが三浦さん達と遊びに行くという知らせを隼人君から聞いたから今ここで提案しているというわけよ」
「ほーん、ま、いいんじゃねぇの。頑張れ」
「あら、比企谷君は参加しないのかしら?」
「いや、俺だって一応忙しいんだぜ? バイトしたり部活だったりアニメ見たりエトセトラエトセトラ……」
「で、本音は?」
「面倒くさい」
「では参加ということで問題ないわね。各自、由比ヶ浜さんへのプレゼントは考えて置いてちょうだい。場所やケーキの手配は私がしておくわ」
あれー? おかしいなー? いつの間にか参加することが決定されちゃってるぞー?
「では、今日の部活動は由比ヶ浜さんへのプレゼントを買うことに費やしてもらって構わないわ。後で平塚先生には私から伝えておくから」
「はいよ。じゃ、お疲れさん」
「折本さん、比企谷君がサボらないよう監視をお願いね」
「オッケー、任せといて~」
おい待て、なんで俺がサボることが確定事項のように話し進めてんだよ。その通りだけどよ。
しかし、誕生日プレゼントか。アイツの好みとか知らんから何買えばいいのかわからん。最悪、折本のセンスに乗っかるか。
「折本、さっそく買いに――」
「――って、言おうと思ったけどね~。監視と協力はしないよ。比企谷、今回はちゃんと自分の力で買ってきな」
「は? いや、まさか」
「じゃ、頑張れ比企谷~」
そう言って、早々と自分のカバンをつかみ、三木姉弟達にウインクをしてから部室を後にされた。
……えぇ? まさか俺、折本に捨てられた? 頼む折本、カムバック! お前がいないとマジで何もわからん!
「き、刻、美咲!」
「よし、行くぞ姉貴。俺達の戦いはこれからだ」
「任せろわっしょい。最高の誕プレを仕入れて見せるぜぃ」
おい待て、謎のテンションで出ていくな置いてくな見捨てるな!
「え、えっと、仲町……?」
「……頑張って、比企谷くん」
「嘘だろ!? いやホントに待って! 頼む! お願い待ってぇぇぇ……」
いつどのタイミングで示し合わせたのか、いつものメンバーは俺を置いていなくなってしまった。
あぁ……。終わった。もうダメだこれ、どうしようもないわ。
「うし、帰るか」
「諦めるのが早すぎるぞ比企谷」
「うるせぇ、もう無理だ。お手上げだ。俺は家に帰らせてもらう!」
「テンションで乗り切ろうとしないでくれ……。いいから、ちょっと頑張ってみてくれ」
「そうは言うけどなぁ……」
実際、俺アイツのこと何も知らんからどんな物がいいのかわからんし。アレか? とりあえず最近の流行りのモノとかあげればいいのか? あ、ダメだ、八幡そういうのわかんないや、てへっ。
「いいわ、比企谷君。一つヒントをあげる。彼女、犬を飼ってるわ」
「……犬?」
「以上よ。じゃ、頑張ってね、比企谷君」
「え、いやちょっと――」
それ以上を何か言う前に、葉山によって優しく丁重に部室から追い出された。荷物も一緒に。
しかし、犬、犬かぁ。確かにそれなら犬関連のグッズ買えばハズレはなさそうだし良さそうだな。
「さて、んじゃさっそく買いに行くか。いつぞやか折本達と行ったあそこでいいか」
あそこ、というのは南船橋駅にあるかなり大きいショッピングモールのことだ。そこならペットショップとか似たような店がいっぱいあるだろ、たぶん、知らんけど。
今回投稿早くない⁉(当社比)
というわけで、東京わんにゃんショーの存在を完全に無くして結衣ちゃんのハピバに行きます。なんでかって? 原作とほぼ同じになるから別にいいかなって(((((((((
ついでに原作通りだと八幡と結衣ちゃんの仲違い(?)も削除です。そもそも仲違いする原因がこの作品だと無いものになってましたし。
まぁ、そんなわけで。次回の予定としては買い物編ブッちしていきなり次の日に飛ばします。なんでかって? めんどくさいから((((((((殴
というわけで、次回の投稿を首をキリンの如く長くして待っててくだちい~。