トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
ケプコン。とりあえず今回もゆっくり見ていってね!
時は放課後、俺はただいま体育館裏におります。
え、なぜかって? ははっ、わかるだろ? ヒントは鳥頭で学校で有名すぎる俺の彼女が教室の真ん中で俺と付き合ってるなんていう発言しましたので男共に囲まれてまさか俺にモテ期でも来たのか! と錯覚してしまうくらいだ。やったすっごく嬉しいわけねぇわ。俺はホモじゃないんで。
「なぁ、お前どういうつもりだよ?」
「ど、どういうちゅもりとは何の事でひょうか?」
ただのぼっちだった俺がいきなりこんな人数に囲まれてキョドらずに喋れると思うか? いや、無い! そんなこと出来るわけないだろ。は? そんなんでよく折本に告れたなって? 知るか自分で調べろそんなこと。
「とぼけんなよ! なんでお前みたいな奴がかおりと付き合ってんだよ!」
いやまぁどうしてって聞かれてもなぁ。俺から言えることは「さぁ?」の一言なんだよ。昨日は無理矢理納得したけど未だにアイツの考えてることわかんねぇし。いや、わかる奴いるか? いなくね? 仲町さんですらわからなそうなのに。
「いや待て。俺の話を聞いてくれ」
「うるせぇこのクソ野郎! どうせお前のことだ、脅して無理矢理付き合わせてんだろ!」
「ばっかちげぇよ。んなことして俺が何か得するのか?」
「ふざけるな! いいか、かおりはこの学校で男女問わず1番の人気者だぞ! それなのにお前みたいなクズがそもそも関わっていいわけがないだろう!」
「だから待てっての。俺の話を───」
「ゴチャゴチャうるせぇんだよ!」
ダメだコイツ話を聞かないタイプだ。おそらくコイツは次に「俺と勝負しろ! 俺が勝ったらかおりに二度と関わるな!」と言う。
「俺と勝負しろ! 俺が勝ったらかおりに二度と関わるな!」
やっぱりな。コイツほど単純バカは初めて見たわ。さて、ぶっちゃけ面倒だし別に受けなくてもいいんだが後々面倒事が押し寄せてきそうだし受けておくか。あ、ついでに俺が勝ったら話を聞くよう頼んでみるか。
「わかった。その代わり俺が勝ったらゆっくり俺の話を聞いてもらおう」
「はぁ? なんでお前の話を聞かなきゃいけねぇんだよ?」
「負けるのが怖いから俺の条件は飲めないのか。別に俺はこのくっだらない勝負に応じなくてもいいんだ。それをわざわざ受けてやるって言ってるんだぜ? それくらい受け入れる器持てよ。女の子から、もとい折本に嫌われるぜ?」
「なっ!?」
あ、うっかり余計なこと言っちゃった。いや、敢えて言い訳すると少し今のこの状況が俺の胃をキリキリと痛めて俺にストレスを与えているんだ。だから『僕は悪くない』。あ、今のなんか某ボックスの漫画で出てくるキャラみたいだった! 嬉しいっ!
『お前いい加減にしろよ! この状況わかってんのか!』
『もういい! コイツやっちまおうぜ!』
え? ヤっちまおうぜ? やだ俺犯されちゃう! んなわけないですよね気持ち悪い。
「そうだな、なら勝負の内容は『相手を先に背を付けさせる』でどうだ? もちろんルールは無しでな!」
「よしわかったいくぞぉ!」
『『『は?』』』
俺は素早く一番前にいたソイツの顔面を掴み身体を反転させて壁に打ち付けた。加減はしているもののかなり痛いだろう。しかし問題ない。すぐに痛みが引くレベルだ。
相手の身体が硬直しているうちに頭を持ちつつ大外刈りの要領で倒す。ハチマンは勝負に勝った! ハチマンはレベルが上がった! ハチマンは新しく格闘スキルを覚えた! ……あんまり必要無さそうなんだけどな。使う機会は少ない方がいいだろこんなスキル。
『て、てめぇ! よくもやりやがったな!』
「いや、ルール決めたのコイツだろ? 俺悪いことしたか?」
これで文句つけられるなら俺はどうすればいいんですか? 問答無用で集団リンチ喰らえばいいんですかそうですか。まぁ痛いのは遠慮しておきたいんですが。
それよりなんで俺が壁ドン(物理)と床ドン(物理)が出来るのかというと、鍛えたからとしか言いようがない。その他はイメトレだ。イメトレの意味知らない人はググってくれ。
『っ、コイツ! 皆、やっちま───』
「はーいストップストップー」
『『『っ!?』』』
ここで登場折本グループの方々。なんでこないなところにおんねん? わいビックリしてもーたわ。
「比企谷、こんなところで何してんの?」
「お前が起こした暴動を収めようとしてんだよ」
「これあたしのせいなんだウケる」
「いやウケねぇから。ていうか、そういうお前はなんでここにいんだよ」
「それは私が説明しよう。いいかい比企谷。かおりは基本バカだからいつかこんな日が来るかもしれないと思いイジメや集団リンチをしそうなところは全て私が把握しているのだよ」
三木さんアンタマジすげぇな。口調と身長が微妙に噛み合ってないけど。
「なんか失礼な事言われた気がする」
「アタシも美咲に失礼な事言われてんだけどマジウケるわ!」
「はいはいウケるウケる」
仲町さんの折本の扱いが若干酷くなった気がしなくもない。
『え、いや別にイジメとか集団リンチしようとしてたわけじゃなくて』
「ゴメンねぇ、全部録画済みだから君達に弁明の余地無いんだよ」
三木がこの紋所が目に入らぬかぁ! と言いたげな顔をしながらスマホを突き出す。うわっ、俺こんなえげつない事してたのか。八幡ってば乱暴者ね!
「よし、じゃあ比企谷帰ろー。あと帰りにどっか寄って行かない?」
「いや帰ろーじゃねぇよ。この状況どうすんだよ」
「どうするって?」
あ、この子本格的にバカなんだっけ? 忘れてました。俺も折本の扱いが悪くなっているのは仲町さんの影響なのです。
「まぁいいじゃん。とりあえず比企谷には色々とやってもらいたいことがあるからさっさと行くよ」
「は? なに? なんなの?」
「後でゆっくり話すって」
『さっさと行くよー』
『アタシサーティーワンのトリプルアイス食べたいんだから早く』
何この状況さっきまで修羅場だったのにいきなり花畑だよ? いや、花畑は言い過ぎか。しかし昨日から思ってたがフワッといい匂いがゲフンゲフン。
『ま、待て! まだ話は───』
「あ、じゃあこうしよう」
折本がクルッと男子連中に向き直り、
「集団でイジメをするような人達とは関わりたくありません。ゴメンなさい」
『『『なっ……!』』』
ペコリとおじぎをするとすぐに体制を戻して俺を引っ張って歩いていく。あの、まさかこのまま行くつもりですか? 俺まだカバンが、
「安心して。君のカバンはここだ」
「お前さっきから気が効きすぎだろホレるぞ」
「そう。なら私に乗り換える?」
首を少し傾げる。あれ? 俺まさかフラグ作ってるわけないですよね。だって俺だもん。……なんか自分で言ってて泣きそうになった。
「ちょ、比企谷それはないでしょ? 今はあたしの彼氏なんだよ?」
「確かに美咲の方がよかったかもね」
「千佳も軽く酷いよねー。マジウケ──」
「かおり、ちょっと本気で比企谷狙うからよろしく」
「いや、それはガチでウケないからね美咲!?」
なんか俺の知っているところでアレやコレや言わないでっ! もう理解することを諦めてるから!
「とりあえず行きますか。皆も準備OKみたいだし」
「なんか俺の知らないところで話が進んでんだけど、何しに行くんだ?」
『『「「「比企谷改造計画」」」』』
拝啓父さん、母ちゃん、小町へ。俺、とうとう悪の軍団に連れ去られてしまいます。
そうそう、なんか投票やらお気に入り登録してくれると嬉しいな♪ て言うとなんかすごい勢いでしてくれるみたいなんで言っていきますね。