魔法少女リリカルなのは DOUBLE STANDARD   作:トータス

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些細な違い?

Blank・Side

 

 

ある艦内での出来事

 

「で、何だ、言い分はあるか?」

【・・・ナイ! ダカラ乗セテ?】

「・・・だぁ! だから、駄目だって!」

【ブー! ブー! ケチンボ!】

「そう言っても、駄目なモンは駄目だ!

大体、こんなモンで、良くこの艦に入り込めたな?」

 

 そう言って指し示されたのは、薄い緑の段ボール箱。

側面には、JSミカン! とデカデカと・・・

 

【爺チャン特製! ゲームデ出テタ!】

「・・・ああ、確かに有ったな、そんなゲーム・・・

だが、それこれとは話は別だ!

それに、この船は子供が乗る様な船じゃねぇ!」

 

 ビシッと付き付けられる指!

その意味を察するヴィータ!

 

「・・・アタシは大人だ!

・・・そこ! 笑うんじゃねぇ!」

 

 偶々通りかかり、その言い分を聞いて、噴き出した者一名。

残り数名、堪えている。

 

【・・・ジャア! ナノハ姉様ハ?】

「あん? ・・・まぁ、子供だな!」

「・・・ヴィータちゃん。O・HA・NA・SHIしようか・・・」

「な、なのは!? 今はデュオを叱ってるんだ、後でな!

デュオ! 大人しくしてろよぉ!」

 

 引き摺られ、遠ざかって行く・・・

問答無用な感じ?

 

・・・上手く追及は逃れたかな?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

一寸だけ遡る・・・

 

 

 なのは姉様、何だかフラフラしてた。

 

「・・・良い? 最近、なのはがまた無茶してるみたいだから。

それとなく、気を付けてみて」

「・・・ゴメンね、私たちじゃそっちにまで行けないの。

代わりに、無茶しないように気を付けて上げてね」

 

 そう、頼まれた!

だから気になって、付いて行って見た!

そしたら、このお船に乗る所だったから、付いて行く事に!

イザと言う時用、侵入・脱出用段ボール!《無駄に高性能=隠蔽機能! JS印付き!》

それで潜入! 出航してから見付かった!

 

 だから、取敢えず、監視付きで居ても良いって!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それは、目の前で起きた。

胸を貫かれ、倒れ伏さんとする少女。

 

 自分は、嘗て目にしている。

同じ様な光景を・・・

それと、重なった。

 

 力が足りず、守り切れず、目の前にしながら、潰えて行く様子を・・・

 

 だから、守れなかった・・・

また、守れなかった・・・

守れたかもしれなかったのに、守れない悔しさ・・・

それをまた、味わう事になった・・・

 

 だから、力が欲しい・・・

守り切れるだけの、力が・・・

守る為の、力が・・・

 

 だから、揮う・・・

今、持てる力を・・・

何も出来ないまま、後悔するよりは、後悔出来るほどの努力をしてから、後悔すれば良い・・・

だから、揮う・・・

・・・守る為に!

 

 傷を負わせた相手は、既に倒されている。

なのは姉様が、倒してくれている。

だったら、自分に出来る事は、誰かが来るまで、助けが来るまで、守る事・・・

 如何したら、守れる?

・・・まずは血を、どうにかしないと・・・

 

 血を止める為、出て来る血を石化する。

傷口から、溢れ出て来る。

止める事が出来ない。

 傷口から固めて見たが、それでも止まらない。

それに、固まり辛い。

 

 なのは姉様が、無意識に抵抗しているのかもしれない。

だったら、もっと直接的に・・・出ている先を、固める。

 

 一番多く出ている所から、止める!

 

 止める! 止める!

・・・止まった?

 

 一寸だけ、顔色が良くなった?

今の内に、他に、出来る事は?

 

 ・・・寒い!

ここは、寒い! 風が冷たい!

せめて、風邪を引かない様にしないと・・・壁で遮る!

 

 壁は、作れば良い。

だから、なのは姉様を囲う様に、障壁を張り、固める。

後は、誰かを、助けを呼ばないと・・・

 

 居なくても気が付いて貰える様に、旗を立てる?

旗になりそうなモノは・・・ない。

 

 だったら、コレを・・・

なのは姉様が倒した瓦礫を積み上げ、目立つ様に並べる。

 

 これで、誰かが来たのなら。気が付いてくれる・・・筈。

だから、待ってて!

間に合う様に、戻るから!

 

 そう念じ、吹雪の中へと飛び出した!

直に、見付かった!

 

「おぉい! なのはぁ! デュオォ! 何処だぁ!」

【ココ! ビータ姉! ココ! ナノハ姉様! 大変!】

 

 それに気付いたのか、直に近付いて来る!

 

【ハヤク! 血ガ一杯!】

「何所だ!? ! ・・・なのは?

おい! どうしたんだ!?」

【アレ! グッサリ!】

 

 そう言って、血の付いた破片を指さす。

 

「と、兎に角、救護班! 助けられる奴を!

誰でも良い! 直に来てくれ! なのはが、なのはが、大変なんだ!」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

病院内・集中治療室前

 

「一命は取り留めましたが、障害が残る可能性は高いでしょう。

ですが、ある程度止血されていた為、最悪の事態は免れた様です。

それでも、立って歩く事は・・・難しいかもしれません。

リハビリ次第では、何とか成る可能性も高いかと思われますが・・・

断言は出来かねます」

「そ、そうですか・・・ありがとうございます」

 

 そんな会話を、ぼんやりと聞いていた。

それでも、出来た事は、些細な事しか出来なかった。

守る事が、出来なかった。

守れない・・・

また、喪う?

 

 そう考えながら、その小さな体はフラフラと外へと向かう。

 

「・・・そっか、アタシが、一緒に居れば・・・もしかしたら・・・」

「そんな事言っても、今となっては、どうなるかは判らへん。

・・・所で、最大の功労者は? 何処へ行ったんや?」

「え? ・・・さっきまで、一緒に居た筈だぜ?」

「何所へ行ったんやろ?

なのはちゃんのお父さんとお母さんが、お礼言いたいって言うてたんやけど・・・」

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

アジト内・研究室

 

 デスクに向かい、何事か作業しているスカリエッティ。

ふと、傍に居る相手に気付き、そちらへと向き直った。

 

【・・・爺チャン、今回ノハ?】

「ん? どうかしたのか?」

 

 何時もとは違った様子に戸惑いつつも、先を促した。

 

【・・・アレハ、ウチノ?】

「・・・何処に行っていた?」

【エット、ココ】

 

 そう言って、事故の有った場所の座標を示した。

 

「・・・クックハハッ! そんな所にも!

・・・気に病む事は無い。

今回は、我々の関知する所では無い。

不幸な事故だ。遺跡の守護機(ガーディアン)の領域(テリトリー)に入り込んだ事故だろう」

 

 それを聞き、一寸安心するが、

 

【デモ、ナノハ姉様ガ・・・】

「・・・優しいね、お前は。だったら我々の技術を開示して、元通りとまでは行かないまでも、治療の手助けはしよう」

【元通リニハ?】

「それは、流石に難しいな。

だが、本人次第では、それ以上になる可能性も秘めている。

そこまでが、譲歩できる範囲だ」

【・・・ワカッタ。

・・・爺チャン、オネガイガ有ル】

「ん? 何だい?」

【・・・守ル為ノ、コノ先ヲ変エル力ガ欲シイ】

「フム、前に言っていた、別の私との会話だね?

・・・判った。手配しよう」

 

 その脳裏には、どんな設計が描かれているのか。

 

【爺チャン、改造ジャナクテ、手段ヲ学ビタイ!】

「何? ・・・それは?」

【コノ人】

 

 そう言うと、端末に映し出されたのは、訓練校の学長、ファーン・コラード。

 

「なぜ、なんだ?」

【守ル事ニツイテノ技術ガ凄カッタ!】

「・・・そうか。だったら、そうするが良い。

学ぶべきモノがあるのだったら、学んできなさい。

だが、他では駄目なのかね?」

【・・・駄目。

攻メルノハ得意デモ、ヤラレテカラシカ守レテナイ】

「・・・そうか。では、私は?」

【奇襲・襲撃・改造・開発・破壊。・・・マモレテナイ!】

「・・・クククッ! 手厳しいな。

まぁ、偶には顔を出しておくれ。

寂しがるのも居るだろうから」

【ワカッタ! アリガトー! 爺チャン!】

 

 首っ丈に飛び付かれ、満更でもない様子?

出入り口では、それを見て火花が散っている?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

管理局・地上本部 受付

 

「坊や、今日はどうしたのかな?」

【エット、コレ!】

 

 そういって、差し出されたカードを機械に通す。

 

「どれどれ? え!?」

「なに? 如何したの?」

「ちょ! 見て!」

「どれどれ? は!? ・・・坊や、このカード、何処で拾ったのかな?

お姉さん達に、教えて貰えないかな?」

 

 どうやら、拾得物を届けに来たと思われたらしい。

 

【ンット、ウー姉カラ。持ッテ行キナサイッテ】

「・・・そっかぁ。じゃあ、一寸待っててねぇ。

今、確認して来るからね」

 

 そう言うと、何処かへと連絡を入れている。

 

 

数分後

 厳つい顔の警備員が来て、別室へ・・・

 

 

その部屋の隣室では、ガラス越しに中の様子を伺っている大人が居た。

 

「それで、コレを持って来たのが、そこの子供だと?」

「はい、その子供が、お姉さんに持たされたとか・・・」

「・・・何処にでもいる様な子供だな・・・

それで、身元は?」

「はい、確認した所、管理外世界での滞在許可を持っていて。

その身分証の保証人が・・・」

 

 そう言いながら、端末を示す。

 

「なる程・・・ならば、この件は秘密裏に取り扱う必要が有りそうだな。

君達には、この件については、口外しないように頼むが・・・」

「は! 了解いたしました!」

「では、私が直接、問い質してみよう」

 

 そう言うと、隣室へと続くドアを通った。

 

「やぁ、お待たせして申し訳ない」

 

 ジー

 子供は、顔を見た途端、凝視している。

 

 心当たりはあるが、何だかちょっと違う気もする?

 

「? 何か付いているかな?」

 

 振り返り、後ろに居る部下に尋ねた。

 

「いいえ? 何も・・・」

「・・・そうか。

私は、ゼスト・グランガイツ。ここ、ミッドチルダ首都防衛隊の・・・」

【・・・ゼットン?】

 

 思い出しはしないが、何となくその呼び方が出た。

 

「は?」

「ブッ!?」

 

 一瞬、呆気に取られていると、後ろから吹き出す音がした。

 

「わ! 私は何も!」

 

 懸命に何も聞いてはいないと、アピールする部下。

 

「私は、ゼスト・グランガイツ・・・」

【ゼットン!】

「ブハッ! イ、イエ! 何も!」

 

 再度、堪えるのに失敗する。

 

「私は、ゼットンなどと言う名前では無いのだが・・・」

【呼ビ辛イ! ゼットンガ良イ!】

「まぁまぁ、隊長! ここは抑えて! ・・・プッ!

子供の言う事ですから、大目に見ましょうよ!

ゼットン隊長! ・・・ブハッ!」

 

 

 それから、暫くの間は、その愛称が定着したとかしなかったとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

管理局・地上本部・長官室

 

「ほぉう。

・・・それで、その子供が?」

「・・・はい。

信じ難いのですが、その様です」

「では、ここへ連れてこい」

「・・・宜しいのですか?」

「ああ、直に会って、確かめる事にする」

「・・・判りました。その様に手配します」

 

 

 その子供は、顔を見るなり早々、

【・・・オ髭、ジョリジョリシテミテ良イ?】

「な! なんて事を!」

「ワッハッハッハ! 良いぞ良いぞ! この髭が気にいったのか!

坊主! 中々に見る目が有るな!

気に入ったぞ! ああ、好きなだけ触ると良い!」

 

 そう、上機嫌で言い放った!

 

【ワァ! ジョリジョリ!】

 

 長官の膝の上で、顎髭を撫で回している子供。

それを上機嫌で好きな様にさせる長官。

その傍で、オロオロとうろたえる副官。

その様をカメラに収める秘書官。

後に、広報の一面に飾られたりも・・・したりしなかったり?

 

 

 後に、その写真が、レジアス中将に隠し子発覚!?との見出しでタブロイド紙に飾られたとか・・・

その子供の画像は、髭を触っている手と後ろ頭だけが映っており、顔は見えていなかった・・・

 

 そのタブロイド紙を手にした愛娘に、中将は正座して問い詰められたとか・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

時空管理局・首都防衛隊

 

 キビキビとした雰囲気の中・・・

 

「・・・ゼットン隊長! お茶が入りました!」

「・・・ゼットン隊長! お時間になりました!」

「・・・ゼットン隊長! ・・・イエ、何でもありません! ぶふっ!」

「・・・隊長! これが・・・」

 

 そう言って示されるのは、ソフビ人形の画像。

 

「な、何? これは、何だ?」

「は! 隊長のお名前で検索を掛けて見た所。この様な画像が・・・」

「は!? これが、私だと言うのか!?」

「は、はい! ゲフッ!」

 

 その画像に見入っていると・・・

 

「あ! ゼットンだ! ギン姉! ゼットン居たよー!」

「あ! スバル! ゴメンなさい! 隊長!

ウチの子が・・・フフッ!」

「何? 隊長、まだむくれてるの? 子供の言う事なんだから、そんなに気にしなくても・・・

ねぇ? ゼットン隊長? フフッ!」

 

 凹んだ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 本当は、訓練校への推薦状を書いて貰える様に認められた書状。

ついでに、後見人として名を貸してほしいと・・・

 

 無下に出来る名では無いので、イザという時に効力が有ると判断。

そうはならないと思いたいが、そうなるだろう事が、目に見えた?

 

 何がどう廻ったのか、レジアス中将の愛妾からの手紙と取られた?

そして、デュオは隠し子?

 

 

 深読みした結果、大騒動に?

 

 

 一応、入学許可に関しては、年齢的に幼い事、体質・資質などを考慮し、長期的に通う事に・・・

 

通常二年の所、四年程掛け、じっくりと・・・

学長の意向?

 

 飛び級は無し。

その分、伸び伸びゆったり?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

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