魔法少女リリカルなのは DOUBLE STANDARD 作:トータス
こうなったのではないか、ああなるのではないかと捏造した結果です。
過去語り編となります。
割と長いので、時間の猶予があればどうぞ。
知られざる裏側
早朝訓練に駆り出される朝。
朝起きる事自体は辛くはない。
だが、する事が多いのにそれは・・・正直しんどい。
全壊にまでされたアーマード・デバイスの修理。
いっその事、一から組み直す事も考える。
それにしても、材料が・・・発注はしているが、もう暫く掛ると・・・
今は、修理可能な部分だけでも修理し、部分運用中。
この前は、バイザーに視覚・聴覚系センサーを組み込み、立体視覚を作って使っていた。
他にも、腕部・脚部のパーツ単位で運用。
使えない事はないが、全体のバランスが取り辛い事から、長期運用は出来ない。
下手したら振り回されて終わるし・・・
やっぱ、実家(アジト)の方が使えないのが痛い・・・
今度、内緒で幾らか持ち出して貰おうか?
・・・ ・・・
陸戦訓練フィールド
なんだかんだで、のらりくらりとかわしていた訓練に参加する事になった。
基礎訓練位なら、如何にか何とかついて行ける。
だが、それは極一般的な訓練で有って、NANOHA式訓練法には、当て嵌まらない・・・
へたり込まないだけまし?
座ったら立てなくなるから、一応立っている・・・倒れたいが、倒れたが最後、駄目押しを喰らいそう?
一応、技術職である事から、一対一で教わっている。
「おーし。出来るじゃねぇか」
【・・・ヴィータ姉。これは、拷問?】
「ん? 何言ってやがる、これは列記とした訓練だ!
・・・NANOHA式だがな・・・」
後半は聞かなかった事にしたい・・・
「お? 向こうもソロソロ始まるみたいだな?」
【・・・模擬戦?】
「ああ、これからは一対二でのコンビネーションを見るんだったな」
【ふぅん】
「見ておく事も勉強だ、良く見ておけ!」
そうこうしている内に、始まっていた。
絶え間なく動く二人。
それを易々といなす教官。
狙われない為に幻術を駆使し、撹乱し様とするティアナ。
空中での足場と、遮蔽物を巡らすスバル。
「あーあー、無茶苦茶じゃねーか」
【・・・ヴィータ姉。あれじゃ、疲れるばっかじゃない?】
「ああ、撹乱出来てるつもりなんだろうが、あんなんじゃ、まだまだだな」
【てか、何をしてるの?
スバル姉が道を作ってるのは見えるんだけど・・・
ティアナ姉が動きながら途中で止まったりしてるし・・・
道の上に何かへんなのが見える】
「あん? ・・・そっか、見えてるモンが違うんだったな。
スバルが作った道の上に、幻術で作った自分達の分身を走らせているんだ」
【・・・ふぅん、何か自棄になって突っ込んでるだけみたいに見えたんだけど・・・】
「それも、間違ってはいないかな?
アイツ。最近、何か焦っててな。
危なっかしいんだ・・・」
思い当たる事はあった。
【・・・この間の誤射も?】
「あぁ、あん時は助かった。ありがとな」
【・・・手を出さなくても良かった様にも思えたけど?】
「確かに、アタシは間に合っただろう。だけど、もしも、間に合わなかったなら・・・
ティアナは立ち上がれなくなってたかもしれねぇ。例え、それが無事に終わったんだとしてもな」
【そう言うモンかな?】
「あぁ、アタシもあの時は、心が折れそうになったさ・・・」
【あの時の事?】
「ああ、あの雪山の・・・」
二人が思い出すのは、守られる事しか出来なかった自分と、守る事が出来なかった自分。
【・・・でも、今は?
折れてないし、大丈夫だと思うけど?】
「いや、アレは相当根が深い。
またあんな事が有ってからじゃ、どうしようもない。
そうなる前に、如何にかしてやれればいいんだが・・・」
そんな事を話しながら、その訓練を眺めていた。
【・・・! ヴィータ姉!】
「な! バッカ! それじゃ、そんな事を教えた覚えはないぞ!」
スバルがなのはを抑えに掛り、その隙に一撃を加えようとしているティアナ。
どう見ても、特攻か合い討ち狙いにしか見えない。
そんな手が通じる相手だとは、とても思えない。
案の定、アッサリと捕まる二人。
片手で抑え込まれている。
刃と化した魔力を、素手で掴んでいる!
下がるティアナ、それを更にバインドで拘束するなのは!
「馬鹿が! 何であんな見え見えな手を!」
【・・・ヴィータ姉、なのは姉を止めとく?】
「・・・ほっとけ! ああいうのは一度痛い目見ておかねぇと、また同じことを繰り返すんだ!」
そう口では言うものの、その顔や手には、あの二人が心配な様子がアリアリと見て取れた。
【・・・判った。じゃぁ、後の事はよろしくね!】
「はぁ!? あ! 馬鹿!」
傍に居た筈のその姿は、ティアナの前へと進み出ていた。
【なのは姉、そこまでにしておこうよ。
それ以上は、過剰攻撃だよ。
後の訓練に響くし、二人とも十分に判ってると思うよ?】
相変わらずオッカナイのだが、ココで退く訳にも行かない。
「・・・デュオ、そこを退いて。
そこに居たら、貴方まで巻き込んじゃう」
【・・・頭を冷やすのなら、もう少し、別の方法があると思うんだけど・・・
それじゃ、駄目かな?】
「・・・駄目だよ、それ位じゃ。
やるのなら、徹底的にしなくちゃ・・・」
ティアナの方は、その事に憤りしか見いだせない。
「な、何よ! レアスキルが有って、才能も有る貴方には、関係が無いじゃない!」
ティアナの方も、悲観に暮れている。
【・・・じゃあ、俺は恵まれてるんだね。
だったら、大丈夫かな?
なのは姉、そのまま撃って見て】
「・・・如何なっても、知らないからね。
ファントム・ブレイザー」
複数のシューターを、一か所に集弾・着弾させる魔法。
それが迫る中、ティアナのバインドを解除し、後ろへと押す。
「「「え?」」」
そのまま落下するティアナ。
その事に驚きを隠せないなのはとスバル。
一度放ったモノは、そうそう変更する事は出来ない。
【ちゃんと着地しないと危ないよ!
・・・流石に、痛いのはゴメンだから、幾らか防がせて貰うね】
そう声を掛けつつ、シールドを張る!
本当なら、ストーン・クラウドを展開したいが、時間も手間も間に合わない。
直撃を受け、数秒は堪えるが、アッサリと砕け散った!
【あ、やっぱり無理だったか・・・】
それだけを言い残し、光に包まれた・・・
「な! 何が・・・」
咄嗟に着地する事が出来たティアナ。
「あんの馬鹿! そんな事で防げるわけがないだろ!」
苛立ちながら、そう言い放つヴィータ。
光が通り過ぎた後、そこには石柱が存在した・・・
【シャマル! 急いで来てくれ! 急患だ!
・・・デュオが、無茶をやらかした!】
【! 判ったわ! 直に向かうから!】
「な、何が?」
「馬鹿野郎! 庇われたんだ!」
「え?」
「ったく! この間の事もそうだ! デュオはココの奴らに甘過ぎる!」
「え? この間って?」
「あのホテルでの事だ! あん時キッチリと言い渡しておくべきだったか・・・
思い上がるな。お前達に出来る事なんざ、ホンの一握りの事なんだ!
その一握りもまともに出来ない内に、出来もしない事にまで手を伸ばすから、こうなるんだ!」
そう言って指し示すのは、石柱の中に居るデュオ。
「デュオ兄!」「デュオお兄ちゃん!」
駆けつけて来るエリオとキャロ。
キャロは咄嗟に魔法を掛けて助けようとするが、
「待て! 魔法じゃ、駄目なんだ」
二人に言い聞かせる様に、言い含める様に、区切って言った。
「え?」
「・・・そのまま魔法を使うんじゃ、余計に駄目なんだ・・・」
「え? でも・・・」
今までは魔法を使っても、特に何ともなってはいなかった筈だと・・・
「今までは、意識が有ったから、自分で如何にか出来たんだが・・・
今は駄目だ、全てを石に変えちまう」
ヴィータはそう言うと、石柱と化したそれをそっと持ち上げ、下に降ろす。
そうこうしている間に、シャマルが辿り着いた。
「・・・どうなんだ?」
「・・・うん! 大丈夫! このまま運んじゃって!」
「そ、そっか・・・」
そのまま医務室へと運ばれる。
「デュオ兄・・・」
「心配すんな、直に元気になる」
・・・ ・・・
医務室
気が付けば、見知った天井?
見慣れたほどには来ていないが、見覚えはある。
施工も幾らか手伝った。
【・・・あー、喉乾いた・・・】
「アラ? 気が付いたのね。もうじき夕方よ」
【流石に、なのは姉のは効くね。
ストーン・コフィン《石棺》を形成して見たけど、それでも意識が持ってかれた】
「そりゃ、訓練用魔法とは言っても、魔法ですからね。
もう、こんな無茶して・・・
咄嗟に発動出来たから良いモノの、それでも無茶なんだからね!」
【・・・あの後は?】
「訓練中止。ティアナも過労で倒れちゃうし、大変だったのよ?」
【・・・労災は、下りる?】
「ダーメ! そんな事では下ろせません!」
【おぉう! そこを何とか出来ない?】
「出来ません!」
【シャママ! お願い! 一寸、今ピンチだから!】
「・・・そこまで言っても・・・」
・・・あとちょいで陥落?
「駄目なモノは駄目です!
その代り、揉んでくれれば弾むわよ」
【・・・了解】
「フルコースね!」
堕ちなかった・・・昇ってしまった・・・
「あ、あの・・・」
隣のベッドから声がした。
隣では点滴を受け、意識が戻ったらしいティアナの姿があった。
「あら? 起きたの? 気分は如何?」
「あ、はい。大丈夫です」
「・・・大分疲れていたみたいね。
随分ぐっすり寝ていたけど・・・
! そうだ、デュオ! 先ずはティアナからお願いね!」
良い事を思い付いたとばかりに、手を打ち合わせるシャマル。
それを見て、疲れる事しか思い浮かばないデュオ。
【・・・良いの?】
「良いの良いの! 大分疲れてるみたいだし、先ずはね!」
「え? ええ!?
し、失礼しまっ!」
ベッドから降りようとするが、そのままクラール・ヴィントで拘束され、転がされた!
「え? あ、何を!?」
【・・・じゃぁ、失礼】
そう言うと、背中へ手を置き、始めた・・・
「へ!? う、わ! は!?」
ゆっくりと、動く掌。
押して、引き、押して引く。
ゆっくりと円を描く様に、回って行く。
それを交互に繰り返す。
暫くそのまま同じ事を続ける。
「う、わ。あふぅ、あ・・・」
ティアナの意識が遠退き、瞼が閉じる・・・
・・・ ・・・
「あら、気が付いたのね?」
「え? あ、あの! あれ!?」
・・・体の感覚が違う事に戸惑う。
「どう? 体の調子は」
「え? あ、軽い」
体を起し、方を動かしてみると意外にほぐれている事が判った。
「そうでしょ! とっても軽くなるの。
でも、この事は内緒にね!
知られちゃうと、引っ張り凧になっちゃうから」
「え? ど、どうして・・・」
「デュオね、こういった事は結構得意なの。
人体構造を掴んだり、ドコが疲れやすいかとか、そう言った事を良く見てるから・・・
大体の感覚でやってるにしては、本格的なんだけどね」
そう言われて思い出した、強制的に寝かされて、そのままマッサージされていたのだと・・・
「あ!」
「大丈夫、ちゃんと見張っていたし。
基本、背中と手足だけだから」
「あ、違くて・・・」
「・・・デュオの体質?」
「あ、はい。あの石柱は・・・」
「変換資質は、聞いてる?」
「はい、石化だと聞いています」
「じゃあ、魔力吸収能力者は、聞いた事がある?」
「・・・はい」
「希有な能力だと思われるんだけど、私達とそう変わらないわ」
「え? で、でも!」
「リンカーコアが吸収する、魔力の値が大きいか小さいか位でしか無いの。
それが突出していて、更に変換する値が大き過ぎる事も有るかな?」
「そ、それなら!」
「でも、溜めて置く事が出来ない。だから外へと排出するの。
石の状態で・・・」
「・・・じゃぁ、アレは・・・」
「内側から石化した状態。
本人はストーン・コフィン《石棺》何て呼んでるけど、受け身な防御方法よね。
リミッターを外していたから、余計にそうなったんだけどね」
「え?」
「あっと、これ以上は駄目ね。
後は、本人から聞いてみて。
聞かれたら、応えてはくれると思うから」
それで話はお終いとされ、モヤモヤしたモノが残ったまま部屋へと帰された。
なんだかんだで疲れていた事は確かで、そのまま部屋へと戻ったら寝てしまった・・・
目覚めと共に、ボソッと一言。
「下手ね」
「う、うわぁぁぁぁん!」
廊下を走り去るスバルの姿が・・・
・・・ ・・・
唐突に鳴り響く緊急招集!
急ぎ、着替えてヘリ・ポートへと向かうフォワード陣!
それを後目に、先ほどの労働でぐったりとしたまま、ロビーのソファーから動けないデュオ。
その後、何があったのか、頬を腫らしたティアナと他のメンバーが下りて来た。
「じゃぁ、なのはさんは何でそんなに心配しているのか。
シグナム副隊長が怒った事について、教えて上げる」
そんなこんなで、シャーリーによる、なのは姉の過去の出来事について、映像が流された。
「そ、そんな・・・」
「こ、こんな小さな子が・・・」
「集束砲!?」
「それに、カートリッジ・システム!?」
【フルドライブも使ってたぞ】
「え!? デュオ兄!? 如何して知ってるの?」
反対側の背中合わせのソファーの陰に居た為、気が付かなかった様だ。
【そりゃ、その場に居たからな。
あの時は、あんまり良くは分からなかったけどな。
ここに映っていない事も、知っているぞ】
「じゃ、じゃあ、教導の意味も?」
【・・・あの事を、繰り返したくないんだろ】
「あの事って?」
【・・・力が有るから、それに振り回され過ぎて、自分を見失ってたんだ。
頼られてると、自分がしないといけないって、無理をしていたんだ。
だから、無茶をして庇って大怪我をした・・・】
シャーリーが間に割り込む様に割って入る。
「その後、その怪我が元で、再起不能とまで診断されてたの・・・
後で、画期的な治療法が発見されなかったなら、如何なっていたか・・・」
その後を引き継ぎ。
【それに、庇うのは構わないけど、庇われる方も結構しんどい。
自分を庇ったから、そうなった。
そういった負い目が出来る。
庇った方は、それが当たり前だって言われると・・・余計にな】
「え!? それって・・・」
【俺を庇って、大怪我したんだ】
「待って! それでも、デュオ君が応急処置をしたから、その位で済んだんだよ!」
【それでも。自分が、原因の一つなんだ】
それだけ言うと、立ち上がり。
ロビーを後にした・・・
「待って! 一寸聞きたい事が有るんだけど・・・」
廊下に出て直に、呼び止められる。
【・・・何?】
「アナタは、抑制器《リミッター》を付けているの?」
【・・・あるよ】
「・・・何で? そんなに必要だと思えるほどのランクじゃない筈だけど?」
徐に眼帯を外し、腕輪も外して投げ渡す。
【ホイ、持ってて】
「え!? わっと!」
咄嗟に受け取り、目を戻すと、そこには徐々に手足が石化して行く人型が有った。
「な、何を!?」
【こうなるんだ、だから必要なんだ】
「ど、どうして・・・! わ、判ったから! 元に戻して!」
投げ渡されたモノを即座に返すティアナ。
そのまま受け取り、慣れた手つきで元へと戻す。
すると、石化が止まり。ボロボロと細かく砕け始めた。
「で、でも、何でそんな風に?」
【・・・俺、昔は実験体だったって言ったら、信じる?】
「え?」
【管理局の、実験施設で育った。
この変換資質と魔力吸収体質は、後天的に付けられたモノだ】
「ど、どうして?」
【まぁ、実験でしかなかったんだろうね。
処分される所だったし】
「な、何で?」
その質問は、如何してその事を話し、当たり前に居られるのかを問うている様に思えた。
【・・・もうどこにもないから、そんな事実は・・・
だから大手を振って居られる。
その代り、一生このままだろうけどね。
それに、荒唐無稽で、誰も信じないだろうし、ね】
そう言いながら、ふと笑っている自分に気が付いた。
【ははっ! 望んでいないモノでは有るけど、これが有ったから、今が有る訳で、そう悲観する様なモノでもないかな?】
「何で? 何で笑って居られるの?
そんな体なのに・・・」
【・・・じゃあ聞くけど、何でそんなに悲しそうなの?】
「え?」
言われて気が付いた様だ、自分が哀しい気持ちになっている事に・・・
「あ、れ? どうして?」
【俺は今の自分も気に入っているから気にはならない。
それが当たり前であり、これからも、そう有り続けるから。
急に変えられると言われても、如何したら良いのかを戸惑うからね。
コレ無しの状態の方が、分からなくなってる】
「で、でも!」
【それでも、話し合えばある程度は分かったかな? 俺の事。
だから、話し合って見ると良いよ、なのは姉とも。
良かれと思ったら、そのまま突っ走る方だけど、聞けばちゃんと答えてくれるよ。
それに、次の段階に関しては、ずっと先を見据えてるから。なのは姉は・・・】
「え? それって?」
【・・・これ以上は話せないかな?
喋り過ぎると後が怖いからね
あ、あと、コレを見ておいた方が良いかな?】
そう言うと、ある記録端末を手渡す。
【コレは、見るのは構わないけど、危険なモノだよ?
見た者全てに災いが降りかかる。
呪われた映像。見るのなら、出来るだけ大人数で。
出来るだけ同時に見る事をお勧めする。
そうすれば、被害は(分散する分?)軽くて済むかもしれない】
「え? ええ!? そ、そんなモノを!?」
【そう、もし、見つかったら・・・消されるかな? ・・・俺が】
「で、でも、如何して、そこまでしてくれるの?」
【・・・覚えてないかな? ・・・俺の事】
「え? 何処かで?」
【・・・同じ様に、助けられたから。
お兄さん、ティーダ・ランスターに・・・】
そう言われても、思い当たらないかもしれない。
あの時は、こうなるとは思いもしていなかったから・・・
・・・ ・・・
それは、本当に偶然だった。
人気のない路地裏。
「は、はは! ざまぁ見ろ! 俺に、逆らうから、そんな目に会うんだよ!
大人しく見逃せば、そんな事には、成らないんだ!」
そう言い捨てて、男は走り去った。
その場に、血塗れの男性と子供を置き去りに・・・
「・・・あ、痛ぅ。
・・・大丈夫かい?
怪我は、していない?」
痛みを堪えながら、それでも、こちらを気遣っている。
コク!
頷く事しか、出来ない。
必死に、出て来る血を押し止め様とするが、そう簡単には止まらない。
以前やった方法で止めようとするが、それでも、損傷が激しい!
止め様にも、止まらない!
・・・ ・・・
偶々、近道をしようと思い、路地裏に入ったのが悪かった。
揉めている様子の男性達を後目に、早々に通り抜けようとした。
そうしたら、その片方がこちらに銃を向け、発砲した!
咄嗟に、自分を庇おうとその前に立ち塞がった男性!
そのまま、撃たれ、倒れた!
・・・ ・・・
「は、はは・・・ゴメンな。
・・・怖い思いさせちまったか?
咄嗟に動いた結果、こんな事になっちまって・・・
でも、無事で良かった」
【喋ラナイデ! 傷ニ響ク!】
「まぁ、こんな事になったのも、仕方が無いんだけど・・・
せめて、守れたモノが有るだけ、良かったのかな?
・・・ア、レ? ・・・オヤジ? オフクロ? どうして、そこに居るんだ?
何だよ、そんな邪険にしなくても良いだろ?
あ、そうそう、ティアナも大分大きくなったんだぜ・・・」
虚ろに、虚空へと向け、声を発し続ける。
血液の不足から、ありもしないモノが見えている?
危険だ、せめて、もう暫くは、持たせられるかもしれないが・・・
・・・ ・・・
結局、如何にも出来なかった・・・
だから今、ここに居る。
深々と小雨が降りしきる中、その姿は墓所に有った。
「・・・だから言ったのだ! 無能な輩は必要ないと!」
無能だと、無謀だと、無駄だと、喚き散らす相手。
ただ、やかましかった。
自分は、守られ、守って貰えた事を、感謝するべき相手を、貶された。
その事が正しいのかは、判断する事は出来ないが、ただただ、邪魔だと感じた。
だから、実力で排除する。
・・・ ・・・
「な、何だお前!?」
摘み上げ、投げた。
下は芝生と土だから、そう大した怪我はしていないだろう。
一緒に居た部下と思しき相手は、その様を呆気に取られて見ていたが、思う所が有るのか、黙認してくれた。
投げられた方は、ほうほうの体で起き上がり、這いずりながら去って行く。
新調し、新たに作り上げたアーマード・デバイス・ブリアレオス。
その試運転としては、様にならないが、それで少しだけ溜飲が下がった。
今は人に見える様に偽装している。
「ねぇ、何で・・・そんな事、してくれたの?」
その顔は・・・知っている。
ティアナ・ランスター。
嘗て、姉と慕い、お世話になっていた。
今は、その事を知るのは自分一人で有り、誰もその事を知りもしない。
【・・・助ケラレタノニ、助ケラレナカッタ】
「え? どうして?」
【・・・助ケテ貰ッタノニ、助ケル事ガ・・・】
「・・・ありがとう。
・・・そんな風に思ってくれて。
でも、兄さんは、そうしたかったから、そうしたんだと思う。
その事は、後悔していない筈。
だから、貴方は他の人を助けて上げて・・・
兄さんも、そう願う筈だから・・・」
コク 小さな頷きを応えとして返した。
・・・ ・・・
「え? あの時の?」
子供を庇っての殉職だとは聞いていた。
ただ、子供である事から、踏み入った事は聞く事が出来なかった。
その、目撃者が、目の前に居た。
【そう、守って貰ったからね】
「で、でも! あの時は・・・
アレは、デバイスだったの!?」
コク
「そっか・・・あの時、会っていたんだ・・・」
【でも、顔は見せて無かったね。
改めて、君のお兄さんに助けられた、デュオ・S・鮫島です。
あの時は、ありがとうございました。
・・・あんな形になって、ゴメンなさい】
そう言いながら、深々と頭を下げた。
「ううん。でも、嬉しかった。怒ってくれて・・・
兄の死が、無駄じゃなかったんだって、判っただけでも」
【だから、無茶をしないで、焦らないで、貴女は確実に強く成る。
・・・それを、知っているから】
「え?」
【じゃぁ、戻って休むから、また・・・】
「あ、ありがとう、話してくれて・・・」
・・・ ・・・
・・・喋り過ぎたか?
でも、何時かは話さないといけなかったし、これで良かったのかもしれない。
・・・ ・・・
「ティア、如何したの?」
廊下へ飛び出したティアナを心配し、スバルが顔を出した。
「あ、ううん。・・・何でもない」
「何でもないって感じじゃないけど・・・」
「うん、一寸・・・知りたかった事を、教えて貰っただけなの」
「・・・そっか。で、知る事は出来たの?」
「うん!」
「皆、心配してるから、中入ったら?」
「そうだね・・・」
そのままロビーへと戻ると、今度はエリオとキャロが真剣な顔をして待っていた。
「どうかしたの?」
「何か、言いたい事が有るの?」
「・・・はい、一寸聞いて貰いたい事が・・・」
「私も、聞いておいて貰いたいと思う事が・・・」
・・・ ・・・
エリオ・モンディアルとの出会い
体調不良に伴い、管理局所属・異能研究所に検査入院をさせられた。
そこで、出会った。
「がぁあ!」
「っだあ! くそ! コイツ! また噛みやがった!」
「おう! 抑えておけ! 体に教えなけりゃいかん、な!」
そう言って、手に持つ警棒で以って、強く打ち据える!
ガッ! 「ぎゃっ!」
「っはん! 思い知ったか! これに懲りて、そんな抵抗は諦めるんだな!」
手を噛まれた相手が、更に蹴りを入れようとする。
そこへ割り込み、足を掴んで投げた。
「っだ! な、何が?」
引っ繰り返りながら、それをした相手を見据える職員。
【ソレ以上、ダメ!】
「な、何を言ってやがる! コレは躾だ! 関係無いなら、退いてろ!
お前も、同じになりたいか!」
そう言って、警棒を持つ方が振り被り、迫る!
「お、おい! やめろ!」
相方が止めようとする声も聞こえない様だ。
だが、相手はその警棒を持つ手をいなし、たたらを踏む相手の襟首を掴み、首を刈る様に後ろへ投げた!
「がぁ!」
叩き付けられた勢いで、伸びてしまった。
【マダ、ヤル?】
そう言って、拳を作り、牽制する。
その拳は、硬質なナックルと化す。
「い、いや。! だが、そうなったとしても、コレには敵うまい!」
傍に有ったスイッチ《AMF発生装置》を叩き割ろうとする!
が、割れない!
「な! 何が!?」
良く見れば、それは何か別の石の様な物に覆われ、簡単には割れない様になっていた。
【・・・ソレデ?】
指を鳴らしながら迫る、その小さな姿が恐ろしく見えた。
小柄で、そこに転がる子供と大差が無い様に思えたが、敵わない事を思い知った。
「わ、分かった。・・・もう、殴らないから!」
それだけ言うと、伸びてしまった相方を引き摺り、去って行った」
それを確認すると、その子の傍に屈み、怪我の具合を確認しに掛った。
「ど、どうして?」
自分を助けてくれた相手を前に、それだけしか言えなかった。
言うべき言葉は、分かっていたのに・・・ありがとう、と。
【・・・オマエ、似テルカラ】
屈み込み、覗きこむ様に顔を近づけて来る。
「え? だ、誰にですか?」
【誰ダッケ? 思イ出セナイナ。
ソレヨリ、オマエ。ナンデココニ?】=気が付いてはいない?
「ぼ、僕は、両親に捨てられて・・・」
【ソッカ】
「そっかって! そんな!」
【デモ、オレガ知ッテル奴ハ、ソンナ事オクビニモ出サナカッタ】
「そ、それは・・・その人が強いからで・・・」
【強ク、成リタイカ?】
「は、はい!」
【強イノ、紹介スルヨ。マタナ】
それだけ言って、立ち去った。
「え? ええ!?」
ここは「自分が強くしてやる!」とか言われると思っていたが、当てが外れた。
数時間後
監査が入り、研究所の人事が大分入れ替わった。
その際、一人の子供が執務官に引き取られる事に・・・
その子供は、自身が見た事を話すが、誰もそんな子供が居たとは、言わなかった。
髪は長い白髪で、緩い三つ編みに編まれ。
褐色の肌をしていた、自分より幾らか年上に見える少女だと伝えたが、そんな少女は存在しなかった。
アレは、自分が見た夢だったのか?
何も解らないまま、引き取られ。
その後、自分の認識の間違いに気が付いた。
・・・ ・・・
キャロ・ル・ルシエとの出会い
訓練学校卒業後、第6管理世界 アルザス地方少数民族「ル・ルシエ」を尋ねた。
竜使役について知る事で、自身の体について、何らかの変化が有る事を期待しても居た。
ル・ルシエ族長の天幕
「そなたは・・・
いや、言わないでおこう。
そなた自身の体に何が埋め込まれたのか、判っておられるのだろう」
【・・・それは、判ってはいる。
だから、どうなるのか、どうする事が出来るのかを、知っておきたい】
ゆっくりと首を振りながら、族長たる老人は答えた。
「毒竜は、あるがままにしかならない。
己を守る事に執着した揚句、そうなったとしか・・・」
【・・・では、このままで有れば?】
「いずれ、その身は竜と化すのやも知れぬ、そのまま滅びるやもしれぬ・・・」
「・・・その竜と、向き合いなされ」
傍に居て、黙ったままだった老婆が、唐突に言葉を紡いだ。
「内なるモノと向かい合い、折り合いを付ける事位しか、言う事は出来ない」
「過ぎたる力を、この里に持ち込んでくれるな。
過ぎたる力は、争いを招く事しか・・・」
長老は言葉を区切り、考え込むようにして、紡いだ。
「御客人よ、頼みが有る。
この里から、大き過ぎる力を持った者が生まれ居出た。
その者を、導いては頂けんか?」
【・・・それは?】
「この地の守護神である、真竜と心通わせた者が居る。
その者の心が揺れ動く時、その竜もまた揺れ動いてしまう」
【・・・つまり、心を強く出来ないと、竜が暴れてしまう、そう言う事なのか?】
「さよう、この地に残る者で、それを抑える事が出来る者は、皆無じゃ。
だから、追い出す事しか・・・」
「不憫な事じゃが、そうする事でしか、我々もその子も不幸になってしまう」
【つまりは、厄介払いをしたいと?】
「・・・身も蓋も無い言い方じゃが、その通りだとしか・・・」
【・・・じゃあ、十分に心が強くなったなら、ここに帰る事は?】
「・・・それでも、ここに居る事は、その子に不幸な事でしか無いのやもしれん」
【それを決めるのは、本人だけだよ】
そう返す事しか、出来なかった。
「左様に言われても、これは決定した事であって、そう覆す事は・・・」
「だが、真竜と心通わせる事の出来た巫女は、代々他所へと渡り行く。
我々もそろそろ、新たな地へと赴く頃なのであろうか・・・」
【・・・連れて行く事は、構わないけど・・・
知らない相手に任せても良いの?】
「そなたなら、任せられる。
そなたの目には、竜の毒が有れど、竜と心通わせる事が出来て居る」
「なればこそ、我らはソレに信を寄せる者。
否応なく、それを信ずる者。
お頼み申す。迷える力を振るい得る、広き世界を見せてやってくだされ」
そう言いながら、二人は頭を下げて来た。
【・・・で、その子には、何て言うの?
急にそんな遠くへ行けって言って、納得するの?】
「・・・我らは、竜を信仰する。
竜と一体となった者が居るのならば、それは名誉な事でもある」
「左様、その身心を学ぶ様、申し付けるまで。
これ以上の修行は、どこを探せば見付かるものか・・・」
【そんな事を言われても、こっちにも都合が有るから・・・】
「なれば、そなた様の信頼のおける方に・・・」
そこまで言われたのであれば、浮かび上がる相手は、一人しか居なかった。
【・・・だけど】
「お頼み申す。
我らが不甲斐ないばかりに、この様な難題を押し付けざるを得ない事を・・・」
「我らも、出来得る事なら、その様な事は致したくはない。
なれど、このままで在れば、必ずや災いを招く事となるだろうと・・・」
そう言いながら、両手を地に付け、額を擦り付けんばかりに下げられた。
「お頼み申します」
「せめて、あの子の幸せを願う為にも」
【・・・その子の両親は?】
「既に、他界しております」
「あの子を産んで直に。その後、父親も病を得て・・・
ですから、あの子は里全体の子として育てました」
【だったら、他の里人は?】
「反対しておりますが、強過ぎる力に怯えております」
「何時、その箍が外れるのか・・・
畏敬の念で見る事が出来れば良いのですが・・・」
【怯懦《きょうだ》の念に置き換わる事が、怖い?】
「さよう、そうなってしまう前に・・・」
「はい、そうならない内に・・・」
【・・・判った。引き合わせるまでは、出来るけど・・・
その先までは、保証が出来ない・・・】
「それでも、先が示されたのならば」
「我々はそれを受け入れまする」
そう言うと、長老は両手を叩き合わせ、人を呼んだ。
「はい、お呼びですか?」
「キャロをここへ」
スッと引き下がり、遠ざかって行く。
・・・ ・・・
「キャロ・ル・ルシエ、入ります」
そう言って入って来たのは、年端も行かない子供。
【・・・彼女が?】
「左様です」
「キャロや、今日呼んだのは他でもない。
そなたは修行の旅へと赴かなければならなくなった」
「え!? ど、如何してですか?」
唐突にその様な事を告げられ、動転するキャロ。
「・・・キャロ、良く聞きなさい。
お前は、このル・ルシエの巫女として、優秀過ぎるほど優秀じゃ。
だが、過ぎたる力は、災いを呼び寄せ、災禍を招く事となる」
「じゃから、強くお成りなさい。
強くなり、その力を御せる様に成るまでは、帰る事を禁じなければならないほど、お前の力は強くなる」
「で、ですが!」
「これは、我ら族長たる者の決定じゃ」
「それを、破る気かえ?」
そう強く言われ、キャロは居竦んでしまった。
それを見て、族長は優しく語り掛ける様に言った。
「じゃが、お前は幸運じゃった。
この方が、お前を導いてくださる」
そう言って、指し示された。
【デュオ・S・鮫島だ。
短いか長いかは判らないが、これから宜しく頼む】
「え、えっと・・・キャロ・ル・ルシエです」
少し、見知らぬ相手に怯えている様子が見えるが、しっかりとこちらを見て応えた。
「この方は、毒竜をその身に宿す方だ」
「え!? ど、どうして・・・」
【幼い時に埋め込まれて、それから出せなくなった】
「それで、ここへお見えになったのだが、何とも致し様が無い。
だが、我々にとっては行幸であった」
「さよう、そなたを導ける者としては、助けとなって頂けるであろう」
【まぁ、そんな事になったんで、一緒に行く事になった。ヨロシクな】
「は、はひ! よ、宜しくお願いします!」
・・・ ・・・
その後、連絡が取れる所まで着いた時点で、事件は起った。
どこにでも悪徳は蔓延る。
そう願わなくとも、その芽は何処かへ・・・
それは、本当に偶然だったのか・・・
その情報が伝わる前に、それがなされた・・・
ル・ルシエの竜が、外へともたらされた・・・
好事家・蒐集家・研究者・学者・・・
様々なモノが、それを求めた・・・求め様とも、得られるモノでは無いのだが・・・
ガセで在ろうと、無かろうと・・・
それが金になると、判断された・・・
大金を積まれ、それを見逃す様に・・・それを為す様に・・・
町は、大火の海へと呑み込まれた。
大金に目が眩み、それさえあればと、人を狂わすには十分であった。
そんな中、二つの人影が逃げ続ける。
人目を避け、崩れかけた壁に隠れながら・・・
【・・・無事か?】
「は、はい!」
【悪かったな。こんな事になって】
「え? い、いえ! でも、如何して?」
【・・・珍しいそうだ。人に慣れた竜という存在は・・・】
「え? フリードが? ど、如何して?」
【ル・ルシエでは珍しくないと思うが、こっちでは大層珍しいんだ。
・・・それこそ、どんな事をしてでも、欲しがる奴はいる】
「何で、そんな・・・」
【他人が持っていないモノ、それだけで欲する理由としては十分。
当たり前に手に入らないモノこそ、価値があると信じているんだ】
「じゃ、じゃあ!」
だったら、フリードを逃がせば!
【・・・その竜は・・・キャロの、何だ?】
「フ、フリードは、私の・・・家族です!」
【家族なら、守りたいだろ?】
「は、はい! だから!」
【駄目だ、それ位で如何なる訳でもない。
それに、逃がした所で無事で居られる保証はない。
「だったら、如何したら・・・」
【・・・オレも、家族が居る。
そこが居たい場所だから・・・だから、手を放すな。
あと、数え方は、一体二体で良いのか?】
「え?」
【アルザスの守護竜である真竜・ヴォルテールは、キャロと居たいそうだ】
「え? ええ!?
そ、そんな・・・何で、私が・・・」
戸惑う事しか出来ないで居るキャロに、思った事を伝えてみる。
【キャロだから、そこを居場所としたいんだろ?
迷うなら、選ぶ事は出来る。
選ばれたと考えないで忘れ、無かった事に・・・
そう在る事を受け入れ、そう在り続ける事を選ぶか・・・】
「あ、あの! デュオさんは、選んだんですか?」
一寸だけ考え、直に答えを伝えた。
【・・・選んだよ。そう在り続ける事を・・・】
「辛くは、無いんですか?」
【辛いね。どうしてこうなったんだと、叫ぶ位に・・・
それで、どうなる訳でもないけど、そう在る事を受け止めた人が居たから、自分もと思う事が出来た】
「そ、その人は?」
【・・・オレの爺さん。
そのまま、丸ごと呑み込む様な所があるけど、俺にとっては、尊敬に値する】
「・・・私も、そうなれますか?」
迷いながら、尋ねる相手に出せる答えは少ない。
【成れるか成れないかは、其々。成ると決めれば、成れる。
迷っている内は、成れないよ。
それでも良いと割り切り、それをも受け入れ、呑み込めないとね】
「は、はい! ガンバリます!」
【取り敢えずは、ここを何とか抜けないとね】
「はい!」
【・・・キャロ、ここで一度別れよう。
一応、コレとコレを渡して置く】
「え? これは?」
【こっちは通信機。一応、管理局の知り合いの所に掛け続けてるけど、忙しいから時間が掛るかな?
それと、こっちは、そこの連絡先。
あと・・・こっちは本当に不味いと思った時用ね。
ココに連絡を入れて、俺の名前を出せば、直に助けてくれるはずだから・・・】
「は、はい! こっちへ掛けて、それで駄目だったら・・・」
【もし、こっちに繋がったら、こっちは破棄して】
「え? ど、如何して?」
【それだけ危険な所だから・・・
強過ぎる力は、不幸を招くしね】
「あ・・・」
言って見て、気が付いた。
こうなった理由を・・・
もっと言葉を選ぶべきだったか?
自己満足でしか無い事しか出来ない自分に、人を諭し導く事が出来るのか?
やって見る事しか、出来ないのだが・・・
・・・ ・・・
言われて、実感した・・・
それだけ大きな力を背負い。
その事を受け入れた・・・
そう言った選択をした経験者だと・・・
「あ、あの! 頑張ります!」
【・・・それなら、逃げ切ってね】
「え?」
トン! と押して、滑らせた。
魔力で地面を固め、良く滑るように細工を施した坂。
「きゃああぁぁっぁぁ!」
下りた先には、火の海も、人影もまばらな元来た荒野だった・・・
振り返ると、そこには沢山の人影が一つの人影を追い駆けている。
【・・・もしもし?】
渡された通信機から、声が響く・・・
「あ! はい! えっと、あの・・・」
【あら? アナタは? デュオからの連絡だったと思ったんだけど・・・】
「は、はい! デュオさんから、コレで連絡を取ってくれって渡されて・・・
た、助けてください!」
【エット、アナタのお名前は? 私は、フェイト。フェイト・T・ハラオウン。管理局の執務官です】
「キャロです。キャロ・ル・ルシエです。
第6管理世界のアルザス地方で、沢山の人に追われてて!」
【・・・判った、直に向かうけど、一寸時間が掛りそう。
それまで、隠れて居られる?】
「は、はい。でも、デュオさんが・・・囮に」
【判った。でも、心配しないで、あの子は私達でも手を焼くほどの子だから】
「で、でも!」
【デュオは、アナタに頼んだのでしょう?
連絡を取って、ここの事を伝えて欲しいって】
「は、はい! でも!」
【だから、私達が行くまで如何なっているのかを教えて。
それは、今のアナタにしか出来ない事だから】
「・・・はい! 頑張ります!」
【ええ、お願い。じゃぁ、このまま繋いだままにするから、気が付いた事を伝えてね】
「はい!」
・・・ ・・・
時間にして一時間程・・・
「! 居たぞ! こっちだ!」
「そっちに回り込んだぞ!」
「何処だ!? 何処に行ったんだ!」
そんな怒声が離れているのに聞こえて来た・・・
・・・ ・・・
明朝
綺麗な女の人が現れた・・・
「貴女が、キャロ・ル・ルシエさん?」
「は、はい! キャロ・ル・ルシエです!」
「状況は?」
「あ、あの・・・少し前から静かになって・・・」
「・・・そう。じゃぁ、車の中で状況を説明して貰っても、良いかな?」
「は、はい!」
「シャーリー! この子をお願い!」
「ハイ! フェイト執務官は?」
「私は街の状況を確認してきます」
「では、お気を付けて!」
そのまま、未だ煙が燻る街へと・・・
「あ、あの! あの人は・・・」
「ん? ああ、フェイト執務官?
あの人は、たった一人でも軍隊を壊滅させられるほど凄い人だから。
大丈夫だよ。デュオ君も、卒業したばっかりだけど、二つ名持ちだから・・・」
「え? えっと、デュオさんも凄いんですか?」
「うーん・・・ある意味、凄いんだよ。
だから、安心して」
「は、はい・・・」
それでも、まだ不安はぬぐえない様子だった・・・
・・・ ・・・
町の中は、閑散としていた・・・
「・・・静かね」
人の気配は薄く、されどそこいら中に漂っている・・・
【フェイト姉?】
「! デュオ?」
声を掛けられたが、辺りには姿は見えなかった。
【ああ、来てくれたんだ。・・・キャロは?】
「無事よ。アナタは?」
【ウーン、無事だけど・・・一寸表に出られないかな?】
「また、アレが?」
【まぁね。殆どの人は拘束したけど・・・まだ何人かは、閉じ籠ってるから。
安心させてあげて】
「判ったから、早くその状態から脱しなさい」
【・・・判った。で、キャロはそのまま、そっちで面倒を見てもらっても良い?】
「それは構わないけど・・・
それで良いの?」
【うん、その方が良いんだ】
「なら、その通りにするけど・・・検査は受けなさい」
【・・・ハァイ】
そのまま、その声は聞こえなくなり、事件は終結した・・・
謎の竜襲撃事件として・・・
大量の逮捕者・共犯者を捕え、終結した・・・
・・・ ・・・
思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・
・・・ ・・・
二つ名《=蛇足・要らないというか、上手く行きませんでした》
キャロが語り終え、ふと思い出した事があった。
「あ、あの! シャーリーさん!」
「なぁに? キャロ?」
「えっと、あの・・・デュオお兄ちゃんの・・・
二つ名って、聞いた事が無いんですけど・・・」
「あ、僕も、まだ耳にした事無かった・・・」
「え? デュオに二つ名があるの?」
「へぇー、どんな名前なの?」
その場に居た者にとっては、興味が引かれるモノであった。
「えっと・・・話しても良いのかな?
まぁ、ココまで来ちゃったんだし、良いかな?」
「それで、どんな二つ名なんですか?」
「ぼ、僕にも教えてください!」
「どんなだろう?」
「知ってるかな?」
「・・・じゃあ、言うけど。
あんまり言いふらさないでね?
一寸気にしてるみたいだったし・・・」
「「ハイ!」」「「判った!」」
言質を取り、いよいよ口を開いた。
「デュオ君の二つ名はね・・・
【ロード・レス】 道無き者とか、無軌道とか言われてて・・・」
「え!?」
「え? ティア? 知ってるの?」
「な、何言ってるの、スバル!
私達が入る前に卒業していった先輩なのよ!」
「え? ええ!?
えっと・・・誰だっけ?」
「・・・だから、ロード・レスは、ウチの卒業生だって!」
頭を掻きながら答えるスバルに対し、叩いてまで教えるティアナ!
「痛たた・・・え? えっと私が知ってるのは・・・
気に食わない上級生を吊るし上げた下級生とか、全過程を修了しつつ学校に居残り続けたとか・・・
あ、そうそう! 管理局の高官の頭を吹き飛ばした卒業生!
それで、行く当てが無くなったからって聞いたよ?」
「それ全部、その人がした事よ」
「へぇー・・・え?」
「ふわぁー、デュオお兄ちゃん。そんな事してたんだー」
「え、えっと・・・それを全部デュオ兄が?」
「あらら、そこまで知ってるんだ。
あと補足すると・・・デバイスを自分で組んで色々としていたとか、ストレージの複数起動の記録保持とか・・・
それと、居残りに関しては、出席日数が足らなかったりで、在学してたんだけどね。
他にも、道なき者に関しては、壁とか天井とかを、変換資質を利用して走っていたりしてたからなんだけどね。
あとは、進路が決まらなかったり、上に立とうって相手が尻込みしちゃったりしてね・・・
なんせ、後見人がレジアス中将だったし・・・結局、中将直属の部署に配属になったりしてたし・・・」
そんな話をしているとドアが開き、新たな人が招かれた。
「ん? 何を話しているんだ?」
「あ、シグナム副隊長!」
一斉に立ち上がり、敬礼する。
「今は警戒待機中だ。
雑談も良いが、気を引き締めていろ」
「あ、あの! シグナム副隊長は、デュオ兄の二つ名を御存じだったんですか?」
「うん? ああ、あの名か・・・下らん。
アイツにはもっと相応しい二つ名がある」
「ど、どんな二つ名が相応しいんですか?」
「まぁ、あの姿を見たのは、随分前だが・・・
石毒竜《バジリスク》だな」
「え!?」
「? キャロは、知ってるの?」
「え? あ、う、ううん! 一寸聞いた覚えがあったから・・・
でも、気のせいだと思う!」
「シグナム副隊長? その二つ名は初耳ですが・・・
どうしてそんな名前が?」
「ん? ああ、これは一応機密になるのか・・・
まぁ、色々有ってな。そんな一面を垣間見る事もあったんだ。
さぁ! 話はこれまで! 各自何時でも動ける様に休め!」
「「「「ハ、ハイ!」」」」
【・・・緊急警報が解除されました。各自、警戒態勢を解き。
所定の場所で待機してください】
・・・ ・・・
思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・
行き詰っており、息抜きにでも・・・
Fate/stay night in Duo
Zero終了時に転送された。
士郎の後に発見され、一後と・・・
衛宮 一後=デュオ
推定年齢 13歳
衛宮 切嗣の養子(=第二子として)。
切継の死後、丁度里親として名乗りを上げていたグレン・マッケンジー & マーサ・マッケンジーに託された。
後に、ウェイバー・ベルベットと知遇を得て、手ほどきを・・・
一後とジジィ達との十年戦争 =ヤルか! ジジィ!編
間桐編
間桐のサク姉(=サクラ)の家に遊びに行ったら、変なジジィに追い出された!
腹が立ったから、傍で焚いてたミストルティン(=燻蒸型殺虫剤)を、入って行った倉の入り口にブチ込んで見た!
見た事も無いのがゾロゾロと・・・
捕まえて、漢方薬局に持って行ったら大層高値で引き取ってくれた!
以後、蟲をけし掛けられる様になった。
虫除けの薬を自作・・・
咬まれても痒いが、直ぐ死んで消えてしまう。(=血が蟲にとっての毒性を発揮)
アインツベルン編
ジーチャンが何処かへ出かけるから、勝手に付いて行って見た!《=密航》
寒い所で何か叫んでた。
寒かったから、その先のお屋敷で温まった!(=結界は穴を空けて通り抜け)
おねーちゃん(=イリヤ)が遊んでくれた!
美味しいモノもくれたー!
でも、ジジィに見っかって摘まみ出されたー!
腹いせに、通信機置いてった!
後で、イリヤおねーちゃんからメール来た!
読めないから、ジーチャン読んでくれた! 泣いてた?
藤村編
ほぼ毎日、オヤツを取り合っている。
「オヤジ、甘いモノは・・・」
「じゃかぁしい! ワシャ、まだまだ負けられん! もっと持ってこい!」
「へい!」
「お嬢! オヤジを止めてくれ!」
「あー、ダメダメ。今さら言う事なんか聞かないわよ。
来てくれるのが嬉しいのは分かるけど、本物の孫には如何したのよ?」
「フン、ひ孫の顔も見せん癖に・・・」
「ほっほおぉぉお!」
「お、お嬢! 日本《ポン》刀は駄目でさぁ!」
「お嬢が乱心した! 誰か! オヤジを!」
「だ、駄目だ! 誰にも止められねぇ!」
「に、逃げて下せぇ! オヤジイィ!」
既に悠々と外へと駆け出す二人。
行きつけの甘味処へ・・・
とまぁ、遊んでおります。
行き詰ったので、気分転換。
フェイト繋がり、十年繋がりで・・・色黒繋がりで作ってみました。
作ってみても良いですか?
こちら(DS)は六課襲撃編までは出来上っております。
結末で蹴躓いておりますが・・・
上げるのは週一ペース位にしたいかと・・・時間稼ぎに・・・