魔法少女リリカルなのは DOUBLE STANDARD 作:トータス
聖王教会病院・特別室
そこには、何時もの格好とは違い、パーカーを着たデュオが、ジャケットを片手にベッドの側に立っている。
今、目の前にはヴィヴィオ姉が眠っている。
自分は、これ以降の記憶を朧げではあるが、持っている・・・
中庭で出会い、逃げようとして・・・痛い?
・・・駄目だな。
肝心な所から思い出せないや。
「うっ・・うう?」
呻き、身動ぎして、目を開けたヴィヴィオ。
【ん? 起きたかい?】
そう声を掛けると、
「ここは? ママ、何処?」
【ヴィヴィオ姉、おはよう】
「え? あ! テオ! ママは、何処?」
考え過ぎだったかな?
ヴィヴィオ姉が、自分と同じな筈が無いし・・・
【ヴィヴィオのママ?】
「うん。ママ、居ないの・・・
何処に居るの?」
【・・・何処だろうね? 捜しに行って見る?】
こういう時は、納得するまで捜させる方が良いのかな?
無理に抑え込むんじゃなくて、危なくない様に一緒に居た方が良いかな?
そんな風に考えたから、そう言って見た。
「・・・うん!」
【じゃあ、一寸待っててね】
そう言って、上着を掛けてやり、書き置きを残す。
一寸散歩してきます、と一応飛ばない様に重しも載せた。
・・・ ・・・
「こちらになります」
シスター・シャッハの案内で、病室に案内されたなのは。
部屋の中を覗き込むが、誰も居ない。
「え? あの、シスター。
今は検査中ですか?」
そう言われ、部屋を確かめるが、居ない。
「え? そんな筈は・・・!」
「まさか・・・」
何者かが侵入し、子供を攫って行ったと思われた。
もしくは、何がしかの目的で以て連れ込まれたか・・・
「・・・急ぎ、病院内を調べます!」
「私も、手伝います!」
「お願いします!」
二手に分かれ、其々が探し出す。
書き置きは慌てていた為、見ては貰えなかった・・・
・・・ ・・・
サイレンが鳴り響き、固く封鎖される音があちこちで聞こえる。
【ん? 騒がしいな】
隣ではギュウウッと、不安からか、こちらの腕を握り締めて来る。
【怖い?】
コク!
【そっか。でも、大丈夫。
ここは、とってもオッカナイ人が守っていてくれるから・・・】
そう言いながら、抱き上げているヴィヴィオ姉にそう伝えた。
「・・・オッカナイの?」
【うん、とっても。
優しいんだけど、オッカナイ】
「・・・優しいのに?」
【優しい分、余計に怖かったり・・・
でも、良い人だよ】
「・・・分かんない」
【あはは、そうだよね。
でも、そういう人も居るんだよ?】
「ふぅうん」
【じきに判ると思うよ】
「えっと、そこの君。その子を、降ろして貰えないかな?」
背中から、なのは姉の剣呑な声がした。
「振り返らないで、ジッとして。
その子を降ろしたら、両手を上げてゆっくりと振り返りなさい」
【なの】
「黙って!」
そのまま、ゆっくりとヴィヴィオ姉を降ろした。
それでも、ヴィヴィオ姉はその手を放さない。
「さ、怖くないから、こっちへおいで?」
優しく手招きをされるが、イヤイヤとばかりに顔を振る。
「えっと・・・如何したら」
「下がって下さい! なのはさん!」
「あ、シスター!」
そのまま、ヴィンデル・シャフトが迫り来る!
「テオ、怖い!」
咄嗟に、空いた左手を瞬時に石化し、双剣を受け止めた!
受けるまでは何とか成ったが、指が二本飛んだ。
石化し、生身ではないが、盛大に砕けた!
【あー。なのは姉、シスター・シャッハ】
「「え!?」」
【ヴィヴィオが怯えてるから】
「・・・デュオ? どうして?」
【どうしてって。検査のついでにお見舞いに来たら、おかしいかな?】
「えっと、おかしくないけど。
如何して、その子と?」
【丁度目が覚めたのと、保護した時に名前を教え合ってたから。
あと、勝手にフラフラしても何だから、付いていたんだけど?】
「え!? そ、それじゃぁ・・・」
「えっと、勘違い、だったの?」
・・・ ・・・
病院・駐車場
「ゴメンゴメン、何時もの格好と違ってたから・・・」
【まぁ、良いけど・・・】
車に乗り込み、窓を開けて話をするなのは。
運転席にはシグナムが座っている。
それを側に立ち、見送る体制のデュオ。
「でも、良いの? 一緒じゃなくても」
【・・・もう乗れないと思うけど?】
「まぁ、そうだね。
でも、ギリギリ大丈夫だと思うよ?」
【いや、流石に無理でしょ?】
どう見ても、スポーツタイプの車に、子供とは言え4人で乗る事は憚られる。
【それで・・・】
チラッとヴィヴィオ姉の方に目配せし、
【そっちに任せても良いの?】
「え? ああ、うん。
もう怖くないよねー!」
「・・・うん」
一寸不安げではあるが、大丈夫だと思ったらしい。
【じゃぁ、オレも検査結果を聞き終わったら、一寸寄り道して帰るから】
「あ、何か予定が有ったの?」
【まぁ、約束が有ってね】
「そっか。じゃあ、気を付けてね!」
「では、出すぞ」
【じゃあ、後で!】
その後、その事を多いに後悔したとか・・・
仲良くなったは良いが、直に見知らぬ相手の所に取り残されるとあって、大泣きだだっこと化した・・・
その後、暫くは離して貰えなかった。
【だから言ったのに・・・】
・・・ ・・・
地下レストラン
「おう! こっちこっち!」
「デュオ兄! ココ!」
先に来て、待っていたルーテシアとアギト。
【待たせたね。ゼストの小父さんは?】
「ああ、旦那は用事が有るとかって、不参加だって」
【そっか。で、あれは流石に、過負荷には耐えられなかったか・・・】
「ああ。ゴメン、悪かった」
そう言いながら頭を下げるアギト。
【まぁ、判っていたから・・・
で、どうだった?】
「アレ、結構良いな!」
「でも、どうしてあんなにおっきいの?」
ルーテシアから、意外な質問が出た。
【え? アギトの要望だったし】
「・・・ズルイ! 私も!」
【・・・まぁ、ルー姉も大きくなるさ。成長すればね。
お母さんがあれだけ美人なら、尚更にだよ】
そう言われ、一寸だけ赤くなるが、それで誤魔化されはしなかった・・・
「うう、でも、今は・・・今、大きくする訳にはいかないの?」
【さ、流石にそれは・・・】
「ルールー、それは一寸・・・」
「・・・如何しても?」
【難しいね】
「・・・判った。でも、大きくなるよね?」
【・・・多分ね】
「オウ! デカくなるよ! 絶対!」
「・・・なら、いい」
一寸だけ期待していた様だが、諦めてくれた。
「あっと、それより。
あれは、また作れないのか?」
【流石に直には難しいな・・・
クー姉に頼めれば早いけど・・・】
「クアットロか・・・アタシはアイツ、苦手なんだよなぁー」
「私が頼んで見る」
「へ? ルールー! そりゃ、頼んでくれるのは嬉しいけど、アイツは・・・」
「でも、アギトはアレが欲しいんでしょ?
だったら、頼む。それで済むんだったら」
【あー、ゴメン。
オレがそっちに戻れば、それで済むんだけど・・・】
「デュオ兄は、何時か帰るんでしょ?
だったら、それまで待てばいい。
だから、私が頼んで見る!」
「ルールー、ありがとう。でも、無茶はしないでおくれよ?
そんな事させたら、アタシが・・・」
【じゃぁ、一つだけ秘策が有る。
それを試してみようか・・・】
「「え!?」」
【クー姉の大好物を・・・】
その後は作戦会議とばかりに色々頼み、大いに飲み食いしていた。
・・・ ・・・
思い描けるがままに、思い浮かぶがままに・・・
・・・ ・・・
機動六課・宿舎入口
・・・何やら屋上のヘリポートから雄叫びが上がっている?
「やーだー! 行っちゃ、やー!」
【あれ? なのは姉、フェイト姉、まだ居たの?
会議だって言ってなかったっけ?】
「あ! デュオ! 丁度良かった!
この子の面倒を見てあげて!」
【・・・イヤ、一寸これから料理するんだけど・・・】
「お願い! 離してくれなくなっちゃって!」
【あー、やっぱり・・・
ヴィヴィオ、なのはさんが困ってるから、離してあげて。
その代り、このお兄ちゃんとお姉ちゃん達が遊んでくれるって。
いいなー、羨ましいなー】
そんな事を言いながら、エリオとキャロを生贄に差し出して見た。
ジッと見つめ合い、その手を放した。
そして、こちらへと向かって突進!
【エット、こっちじゃなくて、そっちだよ?】
「や! こっちが良い!」
足にしがみ付かれた!
「あ、あはは」
「ふふふ」
「えっと、デュオ兄、頑張って!」
「ほらほら、御指名なんだから、頑張りなさい!」
そんなこんなで、ヘリに乗り込むなのは姉とフェイト姉からは、
「ごめんね、デュオ。後はよろしく!」
「頑張ってね!」
そのまま飛び立ってしまった・・・
【じゃぁ、仕方が無いか・・・
エリオ、手伝ってくれ。
手伝ってくれたら、夜食が出るぞ】
「あ! うん! 手伝うよ! デュオ兄!」
「あ、私も手伝います!」
エリオとキャロは直に手伝ってくれる事に・・・
「へぇー、夜食だって」
「ねぇねぇ! 私達の分は?」
【は? 何で?】
「え? 無いの?」
すんごい残念そうな顔を浮かべるスバル。
その顔に、負けた・・・
【・・・良いけど、その代り。
どうなっても知らないよ?】
カロリー的な意味で・・・
・・・ ・・・
隔離工房・キッチン
雑然としているが、それなりに片付いた様子を見せる。
その後方では、ヴィヴィオとエリオ達が遊んでいる。
「へぇー、結構片付いてるんだね」
意外な様子に関心を示すティアナ。
【もっと凄いのを想像してた?】
「まぁ、ね」
「それで、何を作るの?」
既に夜食しか頭にない様子のスバル。
【チチャロン】
「え?」
「えっと、どんな料理なの?」
【・・・聞かない方が身の為だよ。文字通り・・・
まぁ、見てのお楽しみかな?】
そう言って、業務用冷凍・冷蔵庫を開けると、そこにはズラリと並んだ肉の塊と、多種多様な数々の瓶。
「え!?」
「はぁ!?」
【ああ、ここで見た事は内緒だよ?
ここは秘密のバーでもあるから。
でないと、食べさせてあげられなくなるからね】
「ちょ、ちょっと! それは、ムグッ!」
「う、うん! 判った!」
ティアナを羽交い締めにしながら応えるスバル。
暴れながら振り解こうとするティアナ。
「は、離して!
わ、判ったから、話さないから!」
【まぁ、ここから何処かへ飲みに行くって言ったら、そうそう帰れないから。
何時の間にか、ね】
「つまり、他の大人が預かってくれって?」
【まぁ、そういう事】
「ねぇねぇ! これとかこれは?」
【ああ、そっちの一升瓶はシグ姉と、シャマル姉。
そっちの冷凍庫に有るアイスは、ヴィータ姉のだから。
手を付けないでね】
「へ!?」
「ちょ、一寸! スバル!」
その手には、既に開けられたアイスと、食べられた痕が・・・
【あーあ、一番拙い奴に手を付けた・・・】
「ど、どうしよう!?」
「え、えっと。同じのを買って来る!」
【無いよ。こっちには】
「え!?」
【向こうのお手製だし・・・
まぁ、後は頑張って】
そういう後ろには、
「・・・ほほぅ、私の楽しみを奪ったのは、スバルか・・・」
そこには、お怒りなヴィータ姉がたたずんでいた!
「ゴ、ゴメンなさい!」
「・・・まぁ、良いけど。
次は許さん!
明日の訓練で思い知らす!」
【・・・ヴィータ姉。大人アイス?】
「ああ、そうしてくれ」
【了解】
アイスを皿に盛り、上から琥珀色の液体を掛ける。
さらに、何かに浸していたとおぼしき干しブドウを散らす。
【ハイ、出来たよ】
「おう! 仕事の締めはやっぱこれだな!」
そのままパクパクと・・・
それで一寸機嫌が直ったらしい。
「えっと、アレは?」
ティアナは一寸気になった様だ。
【ん? ラムとラムレーズン。
他で食べてると絶対に止められるからって、ココで作れってさ】
「な、成程・・・」
納得していると、更に追加の注文が来た。
「あと、何時ものアレな!」
【ハイハイ、もう出来てるから。
コレ、持って行って】
「え!? あ、うん」
手渡したのは、一寸キツネ色にカールした揚げ菓子の様なモノ。
それを山盛にした皿。
【それ持って行ったら、皆で食べてて。
直に無くなると思うから、残りを作っちゃうから】
そう言って取り出したのは、冷凍された白い塊。
デバイスを展開し、それを大雑把に石斧で叩っ切って行く。
適当な大きさになったら、更に別のデバイスで以て石刀を形成し一口大に切り、熱したフライパンに放り込む。
白煙を上げながら、徐々に溶け、縮んで行く塊り。
「わ、判った!」
そう言って、即席ウェイトレスになって貰った。
「へぇー」
「おいしい!」
「おいしー!」
「うん、美味しい美味しい!」
そんな声が聞こえた。
「デュオ兄、それって・・・鶏皮?」
エリオは何で作っているのか気になったのか、側に来て覗き込んで来た。
油を使っている事もあり、一寸遠ざけながら、
【ん? そう、コレをカリカリになるまで揚げて、塩コショウを振る。
本当は、豚の皮を使うんだけど、一寸使い切ったから、今日はこれで代用】
「へぇー、こんな風にしてたんだ」
【ほら、危ないからもう少し下がって】
「あ、うん!」
【鶏の皮に含まれる油をそのまま使って揚げてるからな。
特に油を用意しなくても良いんだ。
ああ、エリオ。
手が空いてるなら、そこの寸胴に火を付けてくれ】
「判った!」
その間に、出来上った物を皿に盛り、塩コショウ。
後は温まっているモノをよそって、それを振りかける。
【ほい、出来上り。
持って行ってくれ】
「はい!」
次回 模擬戦
もしかしたら、すてーきな舞台でキャロと戦う人参をご覧にいれるかもしれません。
好き嫌いと戦う侍と騎士の物語り・・・
ついでに部隊長を仕留め得る妖術師?
コレを他で上げた時、大いに評価は下がりましたが、気にしたら駄目だと思っています。
あっとひっとり!