魔法少女リリカルなのは DOUBLE STANDARD 作:トータス
こうなっていたのではないかと捏造しております。
108部隊ナカジマ部隊長による昔語りが語られる頃・・・
・・・ ・・・
・・・一寸リミッターが効き辛い。
だから一度精密検査で調べて見るって!
今は、シリンダーの中でお休み中!
・・・ZZZ
・・・ ・・・
「これは? ・・・! この子! どうして、ココに?」
・・・何だか騒がしい。
そっと目を開けて見る。
何処かで見た事のある人や、知らない人が一杯!
「・・・この子、意識が有る?
待ってて! 今、助けてあげるから!」
そう言うと、端末を操作し、シリンダーを開けようとする。
「待って! 今開けてしまっては、この子にも危険が伴うわ!」
「でも! ・・・判った。
ゴメンね、直にココから出して上げるからね」
同僚であるメガーヌに制されて、思い留まるクイント。
そう言うと、奥へと向かって行った。
暫くし、度重なる破壊音と共に、断末魔の悲鳴が上がる。
今は、動く事は出来ない。
動けない事もないが、それはそれで危ないからと言われた。
だから、今暫くは、ジッとして居よう・・・
そのまま、そっと目を閉じ、時の流れに身を任せた・・・
・・・ ・・・
満身創痍のクイントは端末を操作し、シリンダーを開けようとする。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・
この子だけでも、助けて上げないと・・・
ゴメンなさい、皆。
・・・せめて、この子だけは、連れ出して見せるから」
シリンダーが開き、中の子供に手が届く。
そっと抱き上げ、怪我の有無を調べ、連れ出せるかを調べた。
力なくダラリとした手。
小さく上下する胸。
肌寒さを感じたのか、自然と丸くなろうとする。
「・・・この子、寝てるのかしら?」
穏やかに眠るその顔を眺めつつ、脱出する為の手段を模索する。
行き当たりばったりにではあるが、壁を抜き、道なき道に道を作り、駆け抜けた!
外へと出た時に、気付いた。
「え? ええ?」
手が、腕が、足が、動かない。
まるで、石と化したかの如く、動かし辛くなっていた。
「こ、この子、石化能力者?」
そうしている間にも、手が、足が、腕が、徐々に石に覆われて行く。
「・・・そっか、だから。
だったら、この子を寂しくない様にして挙げる事位しか、出来ないのかな?
・・・私には」
もう逃げられない。せめて、この子を助けられればと考えたが、それも適いそうにない。
出来る事といったら、寂しさを感じさせない相手が居る事だろう。
ただ、気掛かりとなるのは、残してしまう事になる家族の事。
せめて、もう一度会う事が出来ればとも考える。
このまま、この子供を放って逃げれば、逃げ切れるかもしれない。
それは、かもしれないと言う事であり、確実とも言い切れない。
・・・だったら、足掻いて見よう。
何処まで行けるかは判らないが。
もしかしたら、又会えるかもしれない。
この子も、助けられるかもしれない。
ただ、それだけを考えていたら、足が動いた。
未だ動かし辛くはあるが、体が動かせる事に気付いた。
そうとなれば、後は出来る限りの事をするまで。
走る事は出来なくとも、移動するだけであれば、道を作り、その上を滑れば良い。
そうすればせめてこの子を、誰かが助けてくれるかもしれない。
今は、そうすべきなのかも・・・
そう考え、実行に移した。
・・・ ・・・
「・・・居たか?」
「イヤ、こっちでは無い様だ」
討ち漏らした敵を捜索するトーレとチンク。
そこへ、大慌てで駆け込んで来たのはセイン。
「一寸! デュオが居ない!」
「「何!?」」
「・・・確認したわ。
あの捜査官が連れ出したみたいね」
クアットロは状況を冷静に判断しようとするが、顔色は良くない。
「それで、無事なのか?」
「ええ、今の所はね。
でも、お偉方にはバレてしまったかしら?」
「それでも、まだ何とか出来る」
「探せ! そう遠くへは行っていない筈だ!」
・・・ ・・・
クイントは動き続けている。
少しでも遠くへ、ほんの少しでも可能性を挙げる為に。
「オイ! 大丈夫か!?」
唐突に、声が聞こえた。
もう何も見えないが、それは誰かを心配しての声だと言う事だけは分かった。
「だ、誰? この子を、お願い! この子を、助けて上げて!」
そう言われるとは思いもしなかった。
「あ、ああ、目が、見えていないのか?」
「ええ、ここまで来る事は出来たけど、私はもう、駄目かもしれない。
だから、せめてこの子だけでも・・・」
「ああ、判っている。
この子の資質も、状況も・・・」
「お願い。せめて、この子がちゃんと育て・・・」
そのまま、途切れた。
全身が硬化し、石像と化していた。
「・・・済まない。この子は我々の子だ。
お前の願い通りにする事は出来ないが、我々なりの育て方で育てよう」
トーレはそう言うとその石像を後に、デュオを抱えて立ち去った。
見えなくなる位に離れた頃、デュオが目を覚ました。
【ン、トー姉? ドシタノ?】
一寸だけ、寂しげな伝わり方だった。
「ああ、何でもない。
どうした? そんな寂しげな念を出して?」
【ン、コッチ来ル前ノ事、思イ出シタ・・・
凄ク温カクテ、デモ、段々冷タイノ・・・】
「そうか。では、また温めてやろう」
そう言って、ギュッと抱きしめるトーレ。
【ン、苦シィノ】
「我慢しなさい。直にまた、皆のもとへと着くから。
・・・ライド・インパルス」
その場を後に、姿を消した。
・・・ ・・・
数日後
「では、ご説明させて頂きます」
「はい、お願いします」
医務室には医師と壮年の男性が居た。
「・・・残念ながら、今の技術では、奥様に罹った石化を解除する事は不可能です」
「・・・そうですか」
覚悟はしていた。
そうなる事も、想定していたが、それが何時とは思わず。
何時かで有ればと、思い続けていた。
「ですが、石化されている事で、何時かは、蘇生できるかもしれません」
「! それは!」
「・・・今は無理かも知れませんが、現状を維持し続けるのであれば、可能性はあります。
但し、法的には、死亡したとみなされてしまいます」
せめてもの願いを込めて、聞いた!
「それで、何時頃に!?」
「・・・直でない事は、確かです。
このまま研究を続け、解呪する方法が判らない限り、このままでしかあり続けられません」
「・・・では、ほぼ不可能だと?」
「はい、劇的な革新が有れば、別だと思われますが・・・
現状では何とも、お応えする事は出来ません」
「・・・では、何時かは、解けるのですか?」
「・・・断言はできません」
「・・・判りました」
「申し訳ありません。
期待を持たせるような事を・・・」
「イエ、ただ、希望が持てた事は、確かです」
・・・ ・・・
その後、しめやかに葬儀と共に、お別れを告げて。
その姿は消えた。
何時か目覚める時を待つかの様に・・・
・・・ ・・・
そんな夢を見ていた。
懐かしく、温かな夢を・・・
「さて、そろそろ起きて貰おうか」
目覚めには余りヨロシクナイ声が聞こえた。
気が付けば、シリンダー内の溶液が減って来ている。
【・・・もう出番?】
目を開けると、目の前には祖父・スカリエッティの姿が見えた。
「ああ、そろそろ地上が五月蠅くなってね。
我々を騙る輩が現れた様だ。
目障りだから一掃してしまおうと考えているのだが」
【ああ、それならリハビリ代わりに行って来るから、心配しないで】
「そう言ってくれると思った。娘達はどうもやり過ぎてしまうからな」
【だって、姉達の一番嫌いなタイプだと思うよ。
便乗して悪さをするってのが。やるからには堂々とねじ伏せるし】
「だが、お前が行ってくれるのであれば安心だな」
・・・ ・・・
ミッドチルダ・クラナガン郊外
ガラの悪い派手な輩が大挙して暴れている。
「ヒッハハァッ! オラオラ! 如何した如何した!
俺らに手も足も出ねぇってか?」
「なぁに、管理局もウチのボスにビビってるってだけだろ?」
「ぶははははっ! だったらもっと派出に行くぜっ!」
徒党を組み、便乗して名を騙り、好き勝手する集団が街を闊歩している。
それに、つい巻き込まれてしまう者も居る。
それを、遠巻きにしか見守る事が出来ない一般市民。
管理局としては、事態を鎮静化したいが、何分人手には限りがある。
守らねばならない場所がある。守りたい気持は有るが、そこへの道が閉ざされている事も・・・
「や、止めて! 何でこんな事するのよ!」
幼い少女が、その集団に歯向かった。
寄って集って一人の人を痛めつけ、それに悦に入っているのを割って入ったのだ。
「はぁん? 何を言ってるんだ? これが見えないのかよ?」
そう言って指し示すのは、
「ウチ等はボスに言われてやってるだけだからな。
お前の指図なんざ、受ける訳がないだろ?」
「文句があるなら、ボスに言うんだな!」
「そんなに止めてぇなら、止めて見ろって!」
「ぎゃははははははっ!」
「止められっこないだろ?」
【ハァン? そりゃ、誰なんだい?
第一、お前達なんざ見た事も聞いた事も無いんだが?】
その声は、遠巻きに見ていた群衆からだった。
「な! なにをぅ? 手前ェ、何者だ!」
「で、出て来やがれ!」
「野郎ども! そいつを引っ張り出せ!」
【退いた退いた。前に出してくれ】
そう言いながら、無貌の仮面を被った男が現れた。
【寄って集って一人を苛びる様な輩は、ウチには居ない筈なんだが?】
「だ、誰だ! テメェ!」
【誰って・・・そうだね。バジリスク・・・とでも名乗ろうか。
それと、お前達が騙っている相手の関係者だ。
家には一騎当千の少数精鋭が主だからね。
吹けば飛ぶ様なのは、端から消す事にしてる】
「な、何!?」
【だからお前達を、消しに来たよ】
それだけ言って、左手に持つガトリング・ガンをぶっ放した!
万遍なく、一塊りになった暴徒に向けて。
咄嗟に一般の人を盾にしようとする者や、逃げ隠れようとする者もいるが、それら障害物を避け、銃弾と化した魔力が降り注ぐ。
「テ、テメェ!」
声を上げたのは、偶々離れた所に居た暴徒のリーダー格の男。
その男の腕の中には、先ほど割って入った子供の姿があった。
その子供にナイフを突き付けている。
「こいつが如何なって・・・」
【・・・何か、言った?】
その姿は既に相手の目の前にあり、手に持ったナイフごと、大きな籠手によって握られている。
手を動かそうとするが、石になったかの様に、ピクリとも動かせない。
「な! 何が?」
視線を下げた先には、石と化した己の腕。
子供は早々にへたり込み、足元に蹲っていた。
【ハイ、退場】
そのまま、徐に相手の顔面を掴むと、相手の顔面が石化を始めた。
「がっ! がぁああぁぁぁ!」
焼ける様な痛みが、男の顔面を襲う。
その叫びを煩げに、そのまま掴み続ける。
「ぁぁぁぁぁ・・・」
叫び声が、途切れた。
その足元では、強張りながらも自分が助かった事に気が付いた子供がいた。
「あ、あの、ありが・・・」
その感謝の言葉を遮る様に、
【君は、邪魔だよ。
邪魔にならない所に居てくれると、嬉しいかな? こっちとしては・・・】
群衆の中から、幾分か年嵩の女性が飛び出して来て、その子を抱きかかえた。
「だ、ダメ! この子だけは! どうか、この子は! 私は如何なっても!」
それを耳にした所で、考えは変わらない。
【・・・だったら、早くここから連れて行って。ここは危ないから、何処か安全な所へ。こっちの目と手の届かないだろう場所まで、行って貰えるかな?】
「は、はい! さ、行くわよ!」
「ま、待って! まだ!」
まだ何かを言い足らなそうな子供を引っ張り、女性は消えて行った。
【ヤダな、まだこんな感傷が残ってるなんて・・・】
そう言いつつ、その場を後にした。
切り替えなければならないのに、思う様には出来ない。
これからは機械の様に的確に、目的に沿って行動すべきなのだ。
その為には非常に徹し、目的の為には誰であろうと何であろうと唾棄する事。
まだまだ、割り切らなければならない事が多いらしい。
幾つもの石像と化した人間を後目に、立ち去った。
・・・ ・・・
十数分後・・・
「ここか! 通報があった場所は!」
「な! なんだ、これは・・・」
「何が・・・」
「こんな事が出来る相手って・・・」
「どうやったら・・・」
「オイ! 生きているのか?」
「あ、ああ。まだ、生きているみたいだ」
辛うじて呼吸を続け、生存が確認された。
次回は未定です。
夏休み中には仕上げられればと・・・
一応出来ては居ますが、もう少し納得のいくモノにしたいので、お待たせする事になりそうですのでご了承いただきたい。