エレナ・ブラヴァツキーとぐだおのお話

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大きな暖かさを持った小さな彼女

「ふぅ~」

 

 俺は、イスの背もたれに深くもたれながら一息つく。

 今日も今日とて沢山のサーヴァント達から様々な訓練をしてもらった。

 今はその訓練が一段落ついて休憩中。一息入れたせいなのか、体が悲鳴を上げているような感じがして、凄い疲れているのが分かる。

 

「だらしないわよ」

 

 向かい側で本を読んでいる彼女、キャスターのエレナ・ブラヴァツキーが溜息混じりにそんなことを言う。

 かの特異点事象を人理修復し、一度は別れを体験したが、召喚に応じてくれたエレナ。

 彼女と再会し、一体どれほどの月日が流れたのだろうか。エレナはすっかりカルデアに馴染み、名実ともにカルデアの大切な一員。

 そして今では俺とエレナは師弟の関係になり、エレナがいつか言った。

 

『教えて欲しいならいろいろ教えてあげる』

 

 という言葉通り、日々いろいろなことを教えてくれている。

 もっとも、何かを教わるよりも、手伝い、雑用をしていることのほうが多い。弟子というよりかは、手のいい助手といったところ。

 だが、別に気にはならない。弟子であることには変わりなく、助手としての働きは俺が好きでやっていること。それどころか、エレナの役にたてているのなら嬉しいところだ。

 

「疲れているのは分かるけど、しゃんとしなさい。私の弟子として情けないわよ。いつもはもう少しちゃんとしているのにね」

 

「今は休憩中だからいいだろ」

 

 休憩中までしゃんとしていたらそれは中々休まらない。

 次なる特異点事象に備えて訓練は大切で、サーヴァント達が訓練をつけてくれるのはありがたいが、彼らは英霊。人間である自分にしたら訓練内容は中々ハードなものが多い。

 だから、休憩中ぐらいゆっくり休ませてほしい。相変わらず、エレナは小言が多い。普段から、いや召喚に応じてくれ、師弟関係になってから、エレナはずっとこんな感じ。それは俺を気にかけてくれてのことだと分かるが、まるで母親のようだ。口に出したら、怒られるだろうけど。

 

「というか、何で私の部屋で休憩しているのよ」

 

 そう俺が今休憩している場所はエレナの部屋。

 カルデア内で生活するサーヴァントには個室が一部屋与えられ、皆自分好みしている。

 ちなみにエレナの部屋はものが多い。その中でも圧倒的に多いのが紙書籍類。おそらく、魔術関連のものなんだろうなってことは俺にでも分かる。エレナはいつ見ても本を読んでいることが多いから。

 

「ダメなのか?」

 

「ダメではないわ。疲れているのでしょう? 休むのなら自分の部屋に帰ってちゃんと休みなさい」

 

「そんなこと言ってもエレナは追い出さないじゃん。それどころか、お茶まで飲ませてくれているし」

 

 そう言うとエレナは口をむっとさせそれ以上は何も言わなくなった。

 俺とエレナ二人分のお茶を用意したのは俺だが、こうしてお茶を飲みながらエレナの部屋で休憩させてくれている。

 そもそも最初に部屋に二人でやってきた時に何も言われなかったし、今更な気がする。

 小言……じゃなくて、それ以上お叱りの言葉を言われることもなくなって、休みながら俺は目の前の席にいるエレナの様子を見る。

 

「……」

 

 玉座の様なデザインの大きなイスに座る小さなエレナ。

 容姿はこんなにも幼いのに、その身は英霊。英霊、キャスターの実力はよく知っているが、やっぱりこうして本を読んでいる彼女は、可愛らしいただ幼い女の子にしか見えない。そのギャップみたいなものも凄いが、本を読んでいるエレナの姿もいろいろな意味で凄い。

 上着らしきあれを下に敷き、イスに深く腰掛け、立てた膝に本を置き読んでいる。

 エレナは、スパッツのようなものを履いてないので、生足がモロ見えてしまう。それだけではなく、肘置きに肘を置いて頬杖ついているので、脇もモロ見えてしまう。

 正直、凄く気になる。あまりじーっと見てしまうのはよくないとは分かっているが、何というか色っぽくてついつい視線が釘付けになってしまう。

 こんな幼い外見をしているが、エレナは歴とした大人の女性。だからなのか、幼さの中にも大人の色っぽさみたいなものも感じて、それが全体的な色っぽさを増長させているのかもしれない。

 落ち着かない気分だ。

 

「何、じーっと見て」

 

「べ、別に」

 

「ふ~ん」

 

 じと~っ、と不審なものを見るかのような目を向けられる。俗に言うジト目だ。

 そんな目で見られたら、罪悪感を感じて、目をそらして視線から逃れるしかない。

 いくらなんでも見すぎたのは分かっているけど。

 

「はぁ~」

 

 また呆れたような溜息を疲れてしまった。失礼な。

 すると、本を置く音が聞こえ、視線を戻すと目の前にエレナが立っていた。 

 

「わっ」

 

「何驚いているのよ。まったく、あなたはスケベね。ジロジロ見すぎなのよ。ましてや、英霊である私に劣情を抱くなんて」

 

 エレナは呆れ顔でそんなことを言った。

 劣情って……あのなぁ。反論を言いたかったが、エレナに対してムラムラしてしまっていたのは事実なので、これ以上みっともない姿を晒さない様、ただ黙るのみ。

 

「仕方ない人ね、あなたは。でも、あなたは世界を救う役目を負っていてもまだ年端もいかない男の子。劣情を抱いても仕方ないわよね」

 

 あきれられた次は子ども扱いされてしまった。

 まるでお姉さん……というよりかは、完全に母親だ。

 そりゃ、エレナから見れば俺がまだまだ子供なのは否定しようが事実。英霊である身から見たら俺なんて若造だ。

 でも、男としてこうも子ども扱いされてはたまったものじゃない。悔しさが募る。仕返ししてやりたくなってきて、目の前で立っているエレナに思い切って抱きついてみた。

 

「きゃっ!」

 

 エレナの可愛しらい驚いた声が聞こえた。

 やったあとであれだが、仕返しにしては幼すぎた。

 それにこんなことをしたら多分、物凄く怒られるかもしれない。

 そう思いながら顔は慎ましやかなエレナの胸に押し付けたまま、上目でエレナの様子を伺うと……。

 

「まった、くあなたって人は。やらしいだけではなく、こんなに甘えん坊だなんて」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 頭を抱きかかえられ、エレナに頭を撫でられる。

 その様子は怒るとは正反対の母親のような慈愛に満ちた様子だった。

 くそっ、仕返しどころか、また子供扱い。別に甘えたくてやったわけじゃないのに。

 けれど、なてでくれるその手つきは優しく、不思議と悔しさが消ていく。そして変わりに安堵を感じた。撫でてくれる手もそうだけど、エレナの慎ましやかな柔らかい胸は温かく、甘い感じがして、とっても安心する。

 

「もう、あなたは本当に仕方ないわね。よしよし。でも最近のあなた、本当によく頑張っているわ。それは私もよく知っているもの。だから、今日ぐらいは甘えても、よくってよ」

 

 彼女の口癖とも言える言葉を、優しい声色で言ってくれた。

 腑に落ちないものがありはするもの、嫌じゃない。

 何より、言ってくれた事が、ちゃんと自分頑張りを見て、褒めてくれたのが嬉しかった。

 

 本当に母親の様なエレナ。

 母性が溢れているのを感じるというか何と言うか。

 母性と言えば、ウチにいるサーヴァントではマタ・ハリだが、小さな体から感じる測りきれないほどの暖かさ。俺はやっぱり、エレナのほうがいいな。

 

「ほら、よしよし」

 

「……ん」

 

「折角なんだからもっと喜んだら? 素直じゃないんだから」

 

「ほっとけ」

 

「ふふっ」

 

 そんな風に柔らかくくすくすと微笑まれると、何も言えなくなる。

 

「また甘えたくなったのなら言って頂戴。あなたが頑張っているのなら沢山、甘えさせてあげる。でも、頑張らないといけない時はあなたのお尻を優しくて叩いて頑張らせるから覚悟するように。それがあなたのサーヴァント、師匠のとしての役目なんだから!」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべながら言うエレナ。

 本当、師匠にはまだまだ敵わないな。そう思わさせられる笑みだった。

 




エレナは小さくて脇をprprしたくなるところが魅力的だけど、個人的にはオカン属性を持っているところが一番の魅力だと思っています。

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