「わたし」が残した手紙を蓮子さんが発見する。ただそれだけのお話。
電車の待ち時間とか、バスの待ち時間とか、ちょっとした暇つぶしになればいいなぁ……なんて。まあ暇をつぶせる程長くないんですけどね。

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どうも、こんにちは。パンタシアです。
また短編を投稿してしまいました。いつもの如くノリです。
え?反省もしてないし後悔も……多分してないですよ?

それでは、どうぞごゆるりとお楽しみください。


手書きのお手紙はあったかい

蓮子へ

 

わたし達が出会ったのはいつだったかしら?大学に入ってからかしら?

 

そうだとしたら、時間が経つのはなんともゆっくりね。アッと言う間になんてとても言えない。特に貴女と出会った日のことなんてついさっきのことの様に鮮明に思い出せるわ。それにね、他のなんにもない日のこともとてつもなくキラキラしてた。

貴女とわたし、二人で色々なところへ行ったわ。

蓮台野の墓地に行ったり、東北や信州に行ったり……そういえば一緒に東海道線に乗ったこともあったわね。ちょっとだけ危ないときもあったけど、ちょっとだけ怖いときもあったけど、とっても楽しかった。貴女と一緒だったから。

 

それにね、わたし、貴女と出会っていなかったらずっと変わっていなかったと思うの。ずうっと、死ぬまで目を逸らして、逃げて……みんなと一緒じゃないことがコンプレックスになって。多分、いつも暗い顔をしてたと思うわ。貴女と出会ったばかりの頃のわたしのように。

 

でも、貴女と出会ったから、変われた。自分の瞳と向き合えるようになったの。貴女は自分の瞳の力を恐れることもなく、むしろ利用していた。もちろん、無意識のうちにだと思うし、どうしようもないことにばっかり使ってたし、夜になると貴女の時報癖が出てきてうるさかったけど……逃げてばかりのわたしから見れば、とても貴女が眩しく見えた。だから、わたしもこの瞳と向き合おうと思ったの。貴女に勇気をもらったのね。

 

そして、逃げるのをやめた。力による影響が大きくなって、今わたしがいる場所が夢か現かわからなくなったときもあった。怖い思いをすることも増えた。でも、一人じゃなかったから。貴女が現できっとわたしを待っていてくれる。そう思えたから、夢に捕らわれそうになったときも戻ってこれた。それにね、逃げているときよりも……なんていうか、心が充実してた。これまでのように自分の瞳に振り回されてばかりじゃなくなったからかしら。

 

そういえば、前に貴女の瞳、気持ち悪いって言ったわよね。多分覚えていないと思うし、もちろん貴女ならわかってくれてたと思うけど、一応言っておくわ。わたしは、貴女の瞳を気持ち悪いなんて思っていないわよ。むしろ、とても綺麗だと思うわ。その力も含めて貴女らしいと思う。

 

貴女と出会ってからの日々は、心に深く刻み込まれる程に濃密だったわ。

 

できることなら、ずっと貴女と一緒にいたかった。だけど、それはできないの。だから最後にこれを書いたわ。手紙なんて初めてだし、書きたいことが沢山ありすぎてグチャグチャになってしまったけど、ちゃんと読めたかしら。

 

貴女が見る頃には、わたしのことを覚えていないでしょう。もしかしたら、誰にも読まれないまま塵となってなくなるのかもしれません。 ……でも、もしも貴女がこれを読んでくれているなら、これだけは覚えていてね。

 

わたしは、貴女のことが大好き。例え世界中のみんなが貴女のことを嫌いになっても、わたしは貴女の味方よ。……まあ、自分でもありふれた陳腐な言葉だと思うわ。でも、わたしは自信をもってそう言える。

 

だから言わせて。貴女は一人じゃない。わたしのことを覚えていなくてもいいから、貴女のことを大切に想っている人が必ずいるってことを忘れないでね。

 

それじゃあ、またいつか。

 

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「うぅーん……」

 

わたしは手紙を読み終え、大きな伸びをひとつした。

今、わたしはアパートにある自室で荷物の整理をしている。というのも、大学卒業を機に引っ越そうと考えたからだ。しかし、大量にある本の整理に入ったところで見覚えのない手紙を発見し、つい読みふけってしまった。

 

それにしても、これは誰からの手紙なんだろうか。もしかしたら、わたし宛の手紙ではないのかもしれない。まあ最初に蓮子と書いてあるけど、蓮子違いかもしれない。だって、わたしには大学でいつも一緒の友達なんていなかったはず。でも……誰にも話した覚えがないわたしの瞳についても知っているし、字体もなんだか懐かしい気がする。

 

「なんか……チグハグ?」

 

そう呟いたところで顔を上げる。時計を見ると手紙を発見してから既に一時間が経っていた。マズい。このままだと眠る場所の確保もできない。わたしは慌てて整理を再開した。

 

ーーそれから数時間。

 

やっと本の整理と寝る場所の確保が終わった。わたしは机の上に置いておいた手紙を手に取り、もう一度読み直す。

 

この手紙は残しておこうと思う。懐かしいというのもそうだが、なんだかすごく大切に思えたから。

 

「それに、こんなにわたしのことを大切に思ってくれているんだもん。わたしもこの人のこと、大切に思っていたんだよね、きっと」

 

そう蓮子が独り言を言ったとき、遠い幻想の地で少女の涙が一筋流れた。





秘封倶楽部って良いですよね……(遠目)
二次小説だと大抵結末って決まってるんですけどそれまでの過程で全然違うお話に化けたり。
というか秘封の二次創作ってクオリティ高いの多い気がします。
あ、もちろん曲も大好きです。

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