『役目終了と思いきや異世界へ引きずり込まれたそうですよ?』の方は消さずに続けますのでご安心を!
「私はもう、消えるために生まれた存在じゃない。あんたに………逢えたから……。それだけで………」
泣きそうな顔をした青髪の少年の頬に手を添えて言う金髪の少女。
金髪の少女は最後に笑って、
「ありがとう―――――士道」
士道と呼ばれた青髪の少年にお礼を告げると、光の粒子となって消えていった。
士道は彼女が残していったチュッパチャプスとペンダントを握りしめ、悲痛の叫びを上げたのだった。
「万由里ーーーーーッ!!!」
――――――――――――――――――――
役目を終えて白い空間に漂っていた金髪の少女―――万由里。
天使の羽のような四枚羽のヘアゴムで括られたサイドテールの金髪。
両耳にはトンボ玉のイヤリング。
身に纏っているのは、白地に黒のラインが入った制服。
黒いニーハイソックスとヒールローファー。
肩がけにした桃色の鞄には、ライオン、鳥、ミルクのマスコットがつけられている。
特にすることもなく漂っていた万由里の眼前に一枚の封書が舞い降りてきた。
「………え?」
驚いた万由里はその封書に手を伸ばして掴み、確認すると―――『万由里殿へ』と達筆に書かれていた。
「………何これ」
差出人不明の手紙を訝しげに見つめる万由里。その反面、内容が気になっている自分もいた。
「……………、」
葛藤した結果、見たいという気持ちが勝り、万由里は恐る恐る開封して手紙の内容を見た。
『あなたに―――逆廻十六夜の監視の任務を与えます』
「………は?
本当は『さかまきいざよい』と読むのだが、読み方が分からずに『さかめぐりいざよい』と読んだ万由里。
首を傾げた瞬間、万由里はこの白い空間から姿を消した。
――――――――――――――――――――
「―――それでは皆様。箱庭へご案内いたします♪」
その頃。ウサ耳の少女は金髪の少年、黒髪の少女、茶髪の少女の三人を箱庭へと招こうとしていた。
そこへ、
「きゃああああああああああ!!!」
上空高くより大音声で聞こえてきた少女の悲鳴。
四人が上空を見上げると―――金髪の少女が落下してきていた。
ウサ耳の少女が助けに行こうとしたところを、金髪の少年が止めた。
「な、どいてください!」
「まあ、見てなって」
金髪の少年は焦るウサ耳の少女を制したまま落下してくる金髪の少女を見つめる。
金髪の少女―――万由里はこのままではまずいと悟り、瞬時に霊装を纏い翼を広げて羽ばたかせると、ゆっくりと四人のいた岸辺に降り立つ。
それを見た四人は口を揃えて、
「「「「天使?」」」」
「え?」
四人の言葉にキョトンとする万由里。だがすぐに涼しげな表情で否定した。
「違うわ。私は天使じゃなくて―――精霊よ」
「「「「精霊?」」」」
「ん。正確には違うけど………」
涼しげな表情のまま答える万由里。
金髪の少年は「ふうん」と万由里の全身を見つめて呟く。
「翼が生えてるのに天使じゃないんだな」
「うん。………何?私の顔に何かついてる?」
「別に。中々扇情的な格好をしてるな、って思っただけだよ」
「え?」
金髪の少年の言葉に万由里は一瞬固まった。
髪色は先程より少し薄くなって金に近いベージュ。
腕に輪っかのブレスレット。
服は黒地に金のラインが入ったタートルネックのワンピースでチアガールみたいなスカート。お臍・胸元が菱形に開いている。
胸に大小の車輪の飾りがあり、胸下から鷲の足のような飾りがブラ状に胸を持ち上げている。
羽系の飾りは半透明で牛の角や目っぽい赤い光が中に一杯あり、鷲のように先が少しグレーになっている。
脚を包むのはニーハイソックスと網タイツを掛け合わせたものと金色の金属の足鎧、膝にはライオンのような形、踵に車輪のようなパーツ。
頭と背にそれぞれ一対の白い翼が、その後ろには大きなオーロラ色の二対の翼を展開している。
万由里はフッと冷たい視線で金髪の少年を睨み、
「………変態」
「ヤハハ。そんな格好してるオマエも悪いぜ」
ヤハハと笑って返す金髪の少年。
そんな二人に黒髪の少女が割り込んできた。
「睨み合っているところ悪いのだけど、精霊の貴女は何て名前なのかしら?」
「………私?私は万由里。<
「ケルビエル?」
「管理………人格?」
首を傾げる少女二人とウサ耳の少女。
金髪の少年だけは「へえ」と感嘆の声を上げた。
「ケルビエルって確か
「ん。智天使とかの話はよくわからないけど………<雷霆聖堂>は天使であってる。―――正確には違うけど」
金髪の少年の言葉に驚く万由里。天使とは一言も言ってないのに、ピタリと言い当てたことに驚いたのだ。
万由里は博識な金髪の少年をジッと見つめたのち、思い出したように黒髪の少女に振り向き、
「それで、私の名前を尋ねたあんたは?」
「え?私は〝アンタ〟って名前じゃないわ。―――私は久遠飛鳥よ。よろしくね、万由里さん」
飛鳥と名乗る黒髪の少女が自己紹介した。
黒い長髪を二つの大きなリボンで括り、青い瞳に学生服を着た少女だ。
「ん。そっちの猫を抱きかかえているあんたは?」
「………春日部耀。よろしく、万由里」
次に耀と名乗る茶髪の少女が自己紹介した。
茶色のショートカットの髪を白いヘアピンで留め、茶色の瞳にスリーブレスのジャケットとショートパンツを着た少女だ。
「ん。バニーガールのコスプレみたいな格好をしたあんたは?」
「コスプレじゃないです!黒ウサギは黒ウサギと言うのですよ!」
その次に黒ウサギと名乗るウサ耳の少女が自己紹介した。
青みがかった黒い長髪の頭に二本のウサ耳を生やし、赤い瞳に扇情的なミニスカートとガーターソックスを着た少女だ。
「そ。………それで、最後に博識で変態なあんたは?」
「変態とは失礼な奴だな。まあ、否定はしないが。俺は野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ精霊様」
最後に十六夜と名乗る金髪の少年が自己紹介した。
金のショートカットの髪にヘッドホンを首にかけ、紫の瞳に学ランを着た少年だ。
「そ。変態な上に駄目人間なのね―――って逆廻十六夜?」
「あん?」
万由里のその反応を怪訝な顔で見つめる十六夜。
万由里は手紙の内容を思い出していた。
『あなたに―――逆廻十六夜の監視の任務を与えます』
与り知らぬ人物が万由里に当てた手紙に書かれていたものだ。
〝十六夜の監視〟―――どういう理由で彼の監視を任されたのか不明だが、万由里は役目を与えられて此処へ召喚されたのだ。やらないわけにはいかない。
万由里はスッと涼しげな表情で十六夜を見つめ、
「………あんたが逆廻十六夜であってるの?」
「ああ、そうだが」
「そ。なら話は早いわ。今日から私は―――――あんたを監視させてもらうから。よろしく」
「「「「―――………は?」」」」
万由里の言葉に、素っ頓狂な声を上げた四人だった。
指摘、意見、感想等をお待ちしております。
万由里のみでいくか、士道達を徐々に(出すなら二人ずつ)登場させていくかは検討中です。
万由里の天使は映画通り、雷霆聖堂のみの予定です。霊力の方は映画通り精霊六体分でいくか否かは検討中です。
万由里は役目を担っているので恋愛はなし………かも(曖昧)。
問題児側のカップリングも検討中です。