『ギフトゲーム名〝沈まぬ太陽を撃ち落とせ〟
・プレイヤー一覧
逆廻 十六夜
万由里
・ホストマスター
星霊 白夜叉
・ホストマスター側 勝利条件
全プレイヤーの戦闘不能。
・プレイヤー側 勝利条件
ホストマスターに一撃を与える。
・禁止事項
ホスト側、プレイヤー側ともに殺害を禁ず。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
〝サウザンドアイズ〟印』
「勝利条件は『ホストマスターに一撃を与える』か。いいね、面白そうじゃねえかよオイ」
「ふふ。気に入ってもらえて用意した甲斐があったぞ。………おんしも異論はないな?」
〝
白夜叉は笑みを浮かべて、万由里に確認を取る。
それに万由里も頷いて答えた。
「うん。難しそうだけど、異論はないかな。………ただ」
「………?ただ、なんだ?」
「………白夜叉。あんたは―――
「ん?ああ、可能だよ。それはなにゆえかな?」
首を傾げて問い返す白夜叉。
万由里は頷いて、
「これから私の天使を顕現させるから………黒ウサギ達の安全を確保して欲しいんだ」
「………ほう。天使とは、ケルビエルとかいう奴かの?」
「ん。………それで、障壁を張ってくれるの?」
「ふふ、よかろう」
万由里の要求を呑んだ白夜叉は、黒ウサギ達に向けて手を翳す。
すると黒ウサギ達の周りに透明な半球形の障壁が展開され、彼女達を包み込む。
「フギャ!な、何ですかコレは!?」
「え?どうかしたの黒ウサギ?」
「黒ウサギ………?」
透明ゆえ飛鳥と耀には感じ取れなかったようだ。
黒ウサギはこの神格を帯びた透明な半球形の障壁に触れて白夜叉を見た。
「………この障壁は白夜叉様の?一体何をなさるつもりなのでしょうか……」
黒ウサギの視線に気がついた白夜叉は目配せした後、視線を万由里に戻した。
「ふむ、これでよし。おんしのお望み通り障壁を張ったぞ」
「ん、ありがと。それじゃあ―――」
白夜叉にお礼をした万由里は瞬時に黒い霊装を纏うと、スッと上空を見上げて天使の名を叫ぶ。
「起きて―――<
その瞬間、万由里の見上げた上空が発光し、突如出現した巨大な球体は様々な色に変化しながら高速回転する。
それは次第に形を変えて、漆黒の球体になると、それを中心に人工的な二対の白い翼。
鎖のような尾。
浮遊する四つの車輪。
二対の白い翼がついた鳥籠。
モードは『鷲』で人工的な翼の骨組みにハメ込まれた四つの宝玉の色は『橙』。
顕現した巨大な天使―――<
「な、何ですかアレは!?」
「巨大な天使………みたいね」
「………おっきいな」
「アレが、万由里の天使か!」
「………にしても大きすぎだと思うのだがの?」
白夜叉はニヤリと笑って万由里と十六夜に視線を戻し告げた。
「ふふ。ではギフトゲームを始めるとしようかの!」
――――――――――――――――――――
最初に動いたのは―――十六夜だった。
地上で待ち構えていた白夜叉に向かって雪原の大地を踏み砕く勢いで踏み込み、大気を焼き尽くすほど加速し―――第三宇宙速度で白夜叉の眼前に飛び込んだ。
「………!?」
第三宇宙速度を維持したまま振り抜かれた十六夜の拳を、白夜叉は間一髪で腕をクロスさせて受け止めた。
十六夜はこの初撃を防がれた事に驚くが、すぐに不敵に笑って追撃する。
白夜叉も不敵に笑って十六夜の追撃の拳を弾き、カウンターを狙う。
白夜叉のカウンターを弾いてカウンター返しを狙う十六夜。
殴っては弾き、殴っては弾きの攻防を繰り広げる両者。
そこへ、
「十六夜、下がって!」
「あん?」
万由里が十六夜に退避するように告げる。
十六夜は上空を見上げると、
<
その六角形の穴から瞬く間に収束した青白い雷が白夜叉に向かって落とされた。
「おいおい、マジかよ!」
白夜叉と殴り合っていた十六夜は咄嗟に後ろに跳んでその場から離れる。
白夜叉もその特大の青白い雷撃に気づき―――
「なんの!」
―――殴りつけて消し飛ばした。
「え?殴っただけで<
「へえ?流石は星霊様ってところか」
万由里は驚愕の声を上げ、十六夜はニヤリと笑った。
白夜叉は呵々と笑って悠然と構える。
「ふふ、あの程度では私に傷もつけられんよ」
「………そ。だったら数で押し切らせてもらうわ。十六夜、こっちに来て」
「………?ああ、分かったよ」
十六夜は首を傾げながらも万由里の下へ向かう。
十六夜が自分の下へ来たのを確認した万由里は叫ぶ。
「<
その刹那、<
この時のモードは『人』で宝玉の色も『赤』に変化していた。
それと同時に万由里は右手を掲げて頭上に霊力で編んだ光の障壁を展開する。
自分と十六夜をこれから来る攻撃から守るためだろう。
白夜叉もそれを見て身構える。
そして<
「―――って無差別攻撃じゃないですか!?」
黒ウサギの絶叫が響き渡った。
そう。無数の瞳は360度にわたる攻撃が可能であり、敵味方関係なしの無差別攻撃が行われていた。
黒ウサギ・飛鳥・耀の三人のところは予め白夜叉が透明な半球形の障壁を展開していたため雷撃は来ない。
しかしそうでない場所は容赦なく無数の雷撃が雪原の大地を蹂躙していった。
万由里と十六夜も、万由里が展開した光の障壁が雷撃を防いでいる。
白夜叉は自分に向かってきた雷撃を、愛用の扇を取り出して打ち消していった。
「ふふん。私を数でどうにか出来ると思ったか?」
「くっ、コレも駄目なんだ………。やっぱり私を取り込ませなきゃいけないのね」
とはいえ、それを白夜叉がやらせてくれるとは思えない。
万由里が困ったような顔をしていると、十六夜が察したように尋ねた。
「………時間稼ぎが必要みたいだな?」
「え?う、うん。ちょっとの間白夜叉を引きつけといてくれない?」
「いいぜ。元より俺はまだ―――遊び足りねえからな!」
十六夜は獰猛な笑みで承諾し、雪原の大地を踏み砕く勢いで踏み込み、再び第三宇宙速度で白夜叉に突っ込んでいった。
万由里は頼もしいような呆れるような十六夜の背を見つめて苦笑を零すと、翼を羽ばたかせて<
それに気づいた白夜叉は阻止しに行こうとしたところを、
「悪いが邪魔はさせないぜ、白夜叉!」
「………!また、私と殴り合いに来たか小僧?」
「ああ。時間稼ぎと思って油断したら痛い目見るぜ」
「ふふ、よかろう。殴り合いばかりでは観戦者も面白くないだろうしのう」
白夜叉は扇を広げて一振り。
たったそれだけで蛇神の時に見た嵐とは比べ物にならないくらいの巨大な竜巻が発生した。
十六夜はそれを見て牙を剥いて笑い、
「ハハッ。そうこなくちゃな!―――カッ、しゃらくせえ!!」
―――真正面から殴りつけた。
すると巨大な竜巻は十六夜の拳の一撃で消し飛んだ。
白夜叉は少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑みへと変わり、
「ふふ、中々やるのうおんし。これならどうだ?」
白夜叉は跳躍して上空に滞空すると、右手を出して小さな水球を生み出す。
白夜叉はその水球を今度は掲げると、瞬く間に巨大化し―――龍の如き姿へと変えた。
「これも砕いてみせよ、小僧!」
白夜叉は掲げていた手を振り下ろす。
すると龍の如き姿をした水柱はうねるように十六夜へ襲いかかった。
十六夜はその一撃に身体を捻った全力の拳をぶつけた。
「ハッ、しゃらくせえ!!!」
龍の如き水柱を全力で殴りつけた十六夜。
すると水柱は跡形もなく消し飛び、雲散霧消した。
白夜叉は嬉しそうに笑い、両手を広げて無数の小さな火球を生み出す。
それらを十六夜に放とうとしたその時。
「………む!?」
青白い雷撃が白夜叉を撃ち落とさんと迫ってきた。
白夜叉はそれを、扇を振るって掻き消す。
だが、掻き消した時、白夜叉は先程の雷撃より強力になっていたことに気づく。
白夜叉は雷撃が飛んできた方向に視線を向けると、
<
モードは『牛』で宝玉の色は『紫』に変化していた。
そして、<
「………ふむ。あの小娘を取り込む事で天使の放つ雷の威力も増しているということか。なら―――」
白夜叉は虚空を蹴るように加速して―――超音速を叩き出しながら鳥籠の中にいる万由里に突っ込んだ。
「………っ、<
危機を察した万由里は叫ぶ。
その声に<
さらに浮遊する四つの車輪も一斉に動かし白夜叉を襲った。
「………はっ!」
白夜叉は追尾型の雷撃を回避し続けながら、襲って来た車輪を拳で砕きながら突っ込み―――
「きゃあ!」
―――<
突然の衝撃に悲鳴を上げる万由里。
白夜叉は「ほう」と驚嘆の声を漏らした。
「ふむ、硬いのう。もう少し力を入れるべきだったかな?」
頑丈な<
すると、<
白夜叉はすぐさま飛び退くと、<
「………ちぃ!」
白夜叉は舌打ちしながら迫る小型の雷撃を扇で弾き飛ばしていき、万由里のいる鳥籠の下へ降りると、
「………え?」
「せいっ!」
鳥籠と<
「きゃあ………!」
鳥籠の中で悲鳴を上げた万由里は、急いでここから脱出しようと内側から殴って壊し外へ―――
「ふふ。鳥籠の中から出てくるこの時を待っておったぞ」
「………!?」
万由里はハッとして顔を上げる。
するとそこには、獰猛な笑みと共に万由里を撃ち落とさんと超音速で迫る白夜叉がいた。
万由里はここでリタイアか、と諦めかけたその時。
「―――俺がいることも忘れんなよ白夜叉!!」
「え?」
「何?―――ッ!!」
白夜叉は十六夜の声に反応して彼のいる方向に視線を向けると、すぐそこには―――第三宇宙速度で十六夜が投擲した瓦礫が熱を帯ながら迫っていた。
白夜叉はそれを間一髪で回避し万由里を狙うのを諦めて後退する。
万由里は咄嗟に十六夜にお礼を告げようと視線を向けたが、
「オラオラ、どんどん行くぞ!」
豪快に笑い声を上げながら第三宇宙速度で白夜叉に瓦礫を次々と投げ込む十六夜。
白夜叉は慌てる事なくそれらを躱していく。
万由里は呆れながらも頼もしいと十六夜を見つめた瞬間。
「………っ!<
異変に気づいた万由里は上空を見上げると、
<
漆黒の球体に生えた二本の牛の角。
漆黒の骨組みと紅い二対の翼。
そして、ドリルの先端からは収束されていく青白い雷の塊。
万由里は白夜叉に『ご愁傷様』とでも言いたそうな表情を向けて、見つめた。
異様な気配に白夜叉もハッとなって振り返る。
しかし時既に遅く、<
そして、万由里はこの天使が放つ必殺の一撃を口にした。
「<
万由里の叫びと共にビーム状の雷撃を発射させる<
白夜叉は咄嗟にアレは危険だ、と悟り雷の砲撃の軌道上から抜けると、
「ヤハハ、逃がすかよ!」
「何っ!?」
第三宇宙速度を遥かに凌駕した速度で跳躍して現れた十六夜の蹴りを紙一重でガードした白夜叉。
だがそれにより白夜叉は再び雷の砲撃の軌道上に戻され―――
「………ふふ。どうやら―――ここまでのようだの」
―――満足したような穏やかな表情で笑い、白夜叉は………雷の砲撃に呑み込まれていった。
そしてこの瞬間、『ホストマスターに一撃を与える』の勝利条件が満たされ、万由里と十六夜の勝利でギフトゲームは幕を下ろしたのだった。
万由里達が霊力の砲撃の直撃を受けたはずの白夜叉が、ほとんど無傷で生還したことに素っ頓狂な声を上げたのは、また別の話である。
指摘・意見・感想等お待ちしております。
万由里の霊装が黒いのは『死神』のイメージだからだそうです。
<
<
万由里が<
とはいえ弓形の天使とかイメージがつかない………。
技名は【
………滅殺皇が鏖殺公と絶滅天使から取っているってことは、
<
『世界を虐げる皇子』………みたいな。