「それでは白夜叉様!ギフトゲームも終えましたし、鑑定を是非、お願いしたいのですが」
「な、何?」
黒ウサギの言葉に気まずい表情を見せる白夜叉。頭を掻き十六夜・飛鳥・耀・万由里・士道・十香を見つめ、
「たしかにこやつらのギフトを知りたいのだが………生憎専門外での」
「そ、そうですか………」
ションボリと肩を落とす黒ウサギ。しかし白夜叉は万由里達のギフトを知りたいのが現状だ。
白夜叉は二、三度と首を左右に捻り、突如妙案を浮かんだとばかりにニヤリと笑った。
「ふふ、この手があったの!………さて、おんしらは私の試練を見事にクリアしたわけだ。〝主催者〟として、星霊の端くれとして〝
白夜叉はパンパンと柏手を打つ。すると五人の眼前に光り輝く五枚のカードが現れる。
カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。
コバルトブルーのカード
逆廻 十六夜
ギフトネーム
〝
〝監視対象者〟
〝監視者・万由里〟
ワインレッドのカード
久遠 飛鳥
ギフトネーム
〝威光〟
パールエメラルドのカード
春日部 耀
ギフトネーム
〝
〝ノーフォーマー〟
ゴールドベージュのカード
万由里
ギフトネーム
〝疑似精霊〟
〝疑似霊装〟
〝疑似天使・
〝天使・
〝管理人格〟
〝 の監視者〟
プルシアンブルーのカード
五河 士道
ギフトネーム
〝精霊召喚〟
〝天使顕現〟
〝
〝精霊・夜刀神十香〟
〝天使・
〝天使・
それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。
黒ウサギは驚いたような、興奮したような顔で五人のカードを覗き込んだ。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「「「ギフトカード?」」」
「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのです!?もう十六夜さんも飛鳥さんも耀さんも、間違えずにギフトカードと仰った万由里さんや士道さん、十香さんを見倣ってください!このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの〝生命の目録〟だって収納可能で、それを好きな時に顕現できるのですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
黒ウサギに叱られながら十六夜・飛鳥・耀の三人はそれぞれのカードを物珍しそうに見つめる。
万由里・士道もそれぞれのカードを物珍しそうに見つめ、十香も二人のカードを不思議そうに見つめた。
「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは〝ノーネーム〟だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」
「ふぅん………もしかして水樹って奴も収納できるのか?」
十六夜は水樹にカードを向ける。すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。
「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」
「出せるとも。試すか?」
「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティの為に使ってください!」
チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。白夜叉はその様子を高らかに笑いながら見つめた。
「そのギフトカードは、正式名称を〝ラプラスの紙片〟、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった〝恩恵〟の名称。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」
「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
ん?と白夜叉が十六夜のギフトカードを覗き込む。そこには〝正体不明〟の文字が刻まれており、ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情が劇的に変化した。
「………いや、そんな馬鹿な」
パシッと白夜叉はすぐさま顔色を変えてギフトカードを取り上げる。真剣な眼差しでギフトカードを見る白夜叉は、不可解とばかりに呟く。
「〝正体不明〟だと………?いいやありえん、全知である〝ラプラスの紙片〟がエラーを起こすはずなど」
「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」
パシッとギフトカードを白夜叉から取り上げる十六夜。だが白夜叉は納得出来ないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。
だが十六夜の次の言葉に、この少年がどういう存在なのかを思い出した。
「それはそうと、〝監視対象者〟に〝監視者・万由里〟ってのも刻まれてるな。本当に俺はオマエの監視下に身を置かなきゃならねえんだな」
「!!」
「そ。私も〝 の監視者〟っていうのがあったから、これがあんたの何かを見定めろってことなのね」
「ふうん?どれどれ………」
十六夜が万由里のギフトカードを覗き込み、驚嘆の声を漏らす。
「………へえ。結構あるな。それに『疑似』ってことは、霊力から生まれた意味を表してるわけだ?」
「ん。そうなるわね」
十六夜の言葉に短く返す万由里。そんな二人の下へ飛鳥・耀・黒ウサギの三人も群がってきた。
「あら、本当に沢山あるわね。この〝天使・
「ん。それも私の有する天使だけど………あの時は十香に皆の霊力を集めて顕現してたから、私自身はまだ未使用ってところかな」
万由里が答えて視線を十香に向ける。十香は頷き、
「うむ!あの感覚なら忘れられないぞ!こう力が溢れてきて………新たな力を得たような感じだったな!」
「そうなんだ。万由里が顕現させたらどうなるの?」
「え?………そうだな、天使の形は皆違うから多分、」
「伝承通りだと〝弓型〟じゃねえか?」
十六夜が割り込むと、万由里はえ?っと瞳を瞬かせた。
「伝承云々は知らないけど………そうなの?」
「ああ。そもそもシェキナーは智天使長ケルビエルの両肩に携わっている弓の事だからな」
「………そ。あんたって本当何でも知ってるわね」
「何でもって訳じゃねえよ。何でもっつったらそれこそこのギフトカードみたいに全知じゃなきゃだな。俺はただ知識量が多いだけだ」
ヤハハと笑う十六夜に………そ、と返す万由里。
黒ウサギは〝管理人格〟の下にあるギフトネームに首を傾げる。
「最後のギフトだけ、前半部分が空欄ですね。監視者というのは先程の話で理解出来たのですが………」
「何?」
黒ウサギの不可解な発言に白夜叉が万由里のギフトカードを覗き込んだ。
「………!やはりそうか」
「………やはり?」
白夜叉の言葉に首を傾げる一同。白夜叉はスッと瞳を細めて万由里を見つめた。
「すまんがこの後おんしだけ残れ。ちと話しておかねばならんことがあるからな」
「………?ん、わかった」
万由里はよく分からないが、白夜叉の真剣な表情を見て重大事項だと悟り頷いた。
話が終わったのを見計らって、士道がゆっくりと挙手して、
「なあ白夜叉。俺も皆と同じコミュニティに入ってる扱いになってるが………どういう事だ?」
「ん?おお、言い忘れておったの。おんしは実は―――〝ノーネーム〟の五人目の同士なのだよ!」
「―――………は?」
白夜叉の驚きの発言に素っ頓狂な声を上げる一同。まあ、今日逢ったばかりだと云っていたのに、士道がどのコミュニティに属するべきか知っていたからだ。
黒ウサギはすぐさま白夜叉に問いただした。
「ど、どういう事ですか白夜叉様!黒ウサギは召喚するのは三人しか聞いてなかったのですよ!」
「うむ。残り二人は後から召喚されることが決まった者達だからの。黒ウサギが知らぬのはそのせいだろう」
「そ、そうでございますか」
黒ウサギは脱力した。まさかイレギュラーな二人が、自分の知らぬ間に〝ノーネーム〟の新たな同士として追加されてるとは思いもしなかったのだろう。
士道は苦笑しながら頬を掻き、十六夜・飛鳥・耀・万由里・黒ウサギを見回して、
「ま、まあ、そんな訳だからその………これからよろしくな」
「おう」
「ええ。よろしくね士道君」
「うん。よろしく士道」
「ん、改めてよろしく士道」
「はいな。よろしくお願いします士道さん!」
挨拶を交わす六人。その様子を微笑ましそうに見つめる白夜叉と十香。だがふと白夜叉は十香に視線を向けて小首を傾げた。
「………それでおんしは何者で、何故此処におる?」
「む?私は精霊だが………此処にいる理由はさっぱりだ」
「「「「え?精霊?」」」」
驚く十六夜・飛鳥・耀・黒ウサギの四人に、万由里は呆れたような顔で言う。
「あんたたち私の話ちゃんと聞いてたの?十香は私の存在を形成している霊力の持ち主の精霊だって云ったはずなんだけど」
「「「「………あっ、」」」」
「………あっ、じゃないんだけど。白夜叉も表情には出してないみたいだけど忘れてたでしょ?」
「う、うむ………すまん」
ド忘れしていた五人に万由里の半眼から放たれた冷たい視線が突き刺さる。
士道は苦笑して自分のギフトカードを白夜叉に見せて言う。
「十香が此処に来た訳は………多分コレが原因じゃねえかな?」
「ん?………〝精霊召喚〟とな!?成る程。そのギフトで其処の精霊の小娘を箱庭に呼び出せたということか」
「え?十香さんはギフト扱いなの!?」
飛鳥が声を上げると、白夜叉はうむ、と頷いた。しかし十香は別段気にした様子もなく、
「別に私はギフトとやらの扱いでも構わないぞ。こうして士道や万由里と会えるのだからな!」
「な、なんて前向きな人なのかしら………」
「凄い………なんか尊敬する」
「………そうでございますね」
前向きな十香に、尊敬の眼差しを向ける飛鳥・耀・黒ウサギの三人。
十六夜と白夜叉はへえ、と感心したように見つめ、万由里と士道は苦笑して見つめた。
だが〝天使顕現〟の下にあるギフトネームを見て、白夜叉は瞳を見開いた。
「な、〝恩恵封印〟だと!?無効化ではなく封印か………これはとんでもないな」
「〝恩恵封印〟!?無効化は珍しくないと聞きましたが、封印出来るとなればかなり強力なギフトなのですよ!」
白夜叉の言葉に黒ウサギも驚愕の声を上げる。その一方で、士道・十香・万由里は首を傾げていた。
それもそのはず、士道が封印出来るのは〝霊力〟のはずなのだ。だがもしソレがこの箱庭でいう〝恩恵〟だとしたら………。
そしてその封印方法なのだが、
「シドー。もしかしてそのギフトもキスして封印するのか?」
「―――はぁ!?そんなわけ、」
「「「「「キス!?」」」」」
『キス』と聞いて十六夜・飛鳥・耀・黒ウサギ・白夜叉が反応して士道を見る。
「小僧、キスして封印とはどういう事だ!」
「え?あ、いやそれは………」
「うん。士道は精霊とデートして、デレさせて、最後にキスして霊力を封印していったんだ」
「な!?ちょ、万由里!何余計な事を」
「うむ!私も万由里もシドーとキスをして霊力を封印された身だぞ!」
「と、十香!?―――ハッ!?」
士道はハッとして十六夜達を見る。すると、十六夜と白夜叉はほう、とニヤニヤして、飛鳥・耀・黒ウサギの女性陣三人は絶対零度の瞳で睨みつけ、
「「「最ッ低!!!」」」
「ご、誤解だぁぁぁぁぁぁ!!!」
飛鳥達三人に誤解されて絶叫を上げる士道だった。
その後、十六夜・飛鳥・耀・黒ウサギ・士道・十香の六人と一匹は〝ノーネーム〟に向かい、万由里だけは白夜叉の話を聞くため〝サウザンドアイズ〟に残ったのだった。
指摘・意見・感想等お待ちしております。
士道のギフト強すぎた………人間としてはイレギュラーな存在ではあるんですがね。
五河士道
〝精霊召喚〟
夜刀神十香・四糸乃・五河琴里・八舞姉妹・誘宵美九のうち、一人召喚することが可能。
八舞耶倶矢と八舞夕弦は二人とも召喚可能。
なお時崎狂三は召喚出来ない。
〝天使顕現〟
鏖殺公・氷結傀儡・灼爛殲鬼・颶風騎士・破軍歌姫のうち、一つの天使を顕現することが可能。
無理矢理複数の天使を顕現させることも可能だが、その代償は計り知れない。
なお刻々帝は顕現出来ない。
〝精霊・○○〟
現在召喚している精霊の名前が記されている。
〝天使・鏖殺公〟
外界で既に発現済みのため、願えばいつでも顕現出来る。
〝天使・氷結傀儡〟
外界で既に発現済みのため、願えばいつでも顕現出来る。
万由里
〝疑似天使・雷霆聖堂〟
【ラハットヘレヴ】
精霊六人分の霊力が籠められた雷の砲撃が放たれる。
超音速で発射され、大地は焼け野原と化す。
未完成なため、最強種には効かない。
発射まで時間がかかるのが欠点。
〝天使・滅殺皇〟
弓型で顕現し、精霊六人分の霊力を籠めた文字通り滅殺の一撃が放たれる。
矢は物質ではなく霊力で出来たモノ。
光速で飛翔し射ぬかれた者は跡形もなく消し飛ぶ。
未完成なため、最強種には効かない。
発射まで時間がかかるのが欠点。
〝 の監視者〟
後に本編にて紹介します。