初ハジメモノ物ガタリ語   作:北松文庫

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第2話

 先程まで探していた相手。

 探すのを止めると、こうもあっさり見つかった。

 何て間抜けな話だろうか。

 常日頃心の中で暴言を吐いている相手が、その場にいなくとも憎い相手が、今そこにいる。

 最初の一言目が肝心だと思う。最初の一言から、最後まで嫌悪を露にして、心この男にたいして「近づくな」と。

 そう言おうと思っていた。

 私がこいつに送った最後の手紙に書いてあったこと。それをこいつが忘れていようがいまいが、今は関係ない。

 今はこの男とのこれまでにけじめをつけるのが先だ。

 そしてそれで終わりだ。初物語終わり!

 ――――。

 「髪長すぎよ!」

 

   004

 

 なんだこいつ。シルエット変わりすぎじゃない? 全くとは言わないにしても分からないわ。

 阿羅々木家は髪型を良く変えるって、風の噂の噂で聞いたけど。

 この男はアホ毛に片目隠しの厨二スタイルを貫いていたんじゃないの?

 そこらにいる女の子よりも長いわよ。

 いくら本編が終わってオフシーズンに突入したからって自由過ぎない?

 いいの? 私ツインテール辞めるわよ。

 小学生からのこの髪型を。

 ――――少し取り乱し過ぎたかな。うん。私はあれから考えることもあって成長した。

 プリクラも撮れなかったけど、友人も作れなかったけど。それでも私は成長した。

 大丈夫。

 私は冷静よ。

 急にボールペンで刺したりしないし、紅茶の入ったティーカップを投げたりもしない。

 頬をはたいたりも、パジャマで出迎えたりなんて。しない。

 「久しぶりね、戦場ヶ原さん。そして・・・阿羅々木。」

 「老倉。本当にこの大学に来ていたのか」

 「そうよ。私じゃ入れないと思った?」

 「いや、そうじゃなくて。あの机の下の手紙。さえに書いてあった通りに、来たんだな」

 「ちょっと。彼女の前で、感動の再会なんて止めてくれる? 傷つくなー」

 戦場ヶ原さんは、急に変なキャラで会話に入ってきた。

 え、素じゃ無いわよね。

 かの深窓の令嬢が。

 「ちょっ、ひたぎ・・・」

 阿羅々木が何か言いたげにしたが、気にせず話を続けた。

 だってその事は気にしないようにしているから。

 「阿羅々木。髪伸びたんじゃない。切ったらどう? 首」

 「ん? ああ、そうだな。僕も最近伸び過ぎてきたなって思っ・・・思わねぇよ!」

 「そうよ、老倉さん。それは酷なことだわ。ただでさえ低い身長を、さらに下げる行為を強いるなんて」

 「お前も残念だよ! それはそれで気になるが、そこじゃないだろ」

 「あら?こよみは毎日、自分の身長と私の裸のことばかり考えているものかと思ったわ」

 「妙な二択だな・・・」

 ――――二人に恋人同士ののりで会話されると、私はどうすればいいのだろうか。

 この二人は、たしか高校三年の頃から付き合っているんだっけ。

 にしては完成されている。

 ・・・しかしなんだろう。憎むことを止めると、止めようとすると、どういう感情で阿羅々木に接すればいいのだろうか。

 少し睨み過ぎていたのか、阿羅々木は、つまらせながら話しかけてくる。

 「ど、どうした。老倉」

 ・・・なにも。

 「とは言え、本当にびっくりしたぜ、老倉もこの大学。上越大学に来てたとは」

 「私は入試の時に会ったからね。ところで老倉さん? この男知ってる? 私さっきから話しかけられてて」

 「僕に対する記憶が消えている!? ひたぎさん? じゃあ貴女は誰と付き合っているんだ」 「水袋くん」

 「確かに体の六十パーセントは水分だと言うけど!」 

 「あら、貴方とは言っておりませんが」

 「ひど!」

 

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