真に導く者   作:挫梛道

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仮面の男

「そこまで!勝者、フィーグ!」

「ウオォオオォォォォオオォォオオォ!」

 

ふぅ…まずは一勝か…

 

「フィーグ選手、一人勝ち抜き!

次の対戦相手はバルログです!」

「ウオォオオォォオオォオォォォォオ!」

 

なぬ?バルログ?

あー、そういえばドラクエⅢに、そういう名前の鞭と剣を持った悪魔系モンスターがいたよなあ…

次の相手は鞭の使い手かな?

まさか、モンスターが、そのまんま出るとは思えんし…

 

はい?ベロリンマン?

アレって着ぐるみ設定じゃないの?

 

 

「Yodel-La-Hee-Hee!!」

選手入場の扉が開き、掛け声と共に登場したのは、白い上着の下に蛇のタトゥー、右腕に鉤爪の付いた鉄甲、長い金髪を三つ編みで結い、白い仮面を被った男だった。

「そっちかよ!」

 

そう来たか…

上着を羽織っているって事は、ストⅤ版のバルログか…って、いや、ちょっと待て!

ドラクエの世界に全く違うゲームのキャラクターが、そのまんまな格好で居るって、普通に有り得んだろ? 

だとしたら、考えられるのは一つ…

奴は俺と同じ転生者!

 

…とかなんとか考えていたら、試合開始を告げる銅鑼(ゴング)が鳴った。

 

「地味な顔をしている…(笑)」

「う、うるせー!」

 

なんて失礼なヤツ…

これから戦うとはいえ、初対面の人間に言う台詞じゃないぞ?

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

開始早々、高速のスライディングキックから鉤爪による突きと斬撃の連打、カウンターを狙った一閃も躱され、背後に回り込まれてからのジャーマンスープレックス。

 

「ちぃ、接近戦は分が悪いぜ!」

槍による中間距離の間合いが得意なフィーグに対し、素速い足運びで鉤爪が得意とする近~隣接距離の戦闘を強要する対戦相手は相性が良いとは言えず、なかなか有効打を与えられずにいた。

「(しかもハスターより遥かに速いし!)」

 

「シュッ!」

再度、スライディングキックを放つバルログに対し

「甘いんだよ!」

それを槍で捌き、斬り叩き払う。

幼い頃から祖父より学んだ槍術の基本から繋ぐのは、前の試合でサイモンを撃破した

 

「覇極流千峰塵!!」

 

しかしバルログは、これを難無く連続のバク転で躱すと、そのままバックステップで十分な距離を取り、己の対戦相手に向かって走り出す。

そして槍の間合いに入る直前に

「ヒョーーーーーーーーーーーーーッ!!」

独特な掛け声と共に天高く跳躍してからの

 

「フライング・バルセロナ・アターック!!」

 

天からの急降下の鉤爪による斬撃。

迎撃しようと槍を構え、敵を見据えるが、

「う?!」

標的が太陽と重なり、目を逸らした瞬間、フィーグはマトモに技を喰らってしまう。

 

「ぐ…」

「ほう…アレを喰らって立ち上がるか…」

 

 

 

 

「こなくそ!」

槍を短く持ち直し、乱打戦に突入。

 

「ヒョウ!」

バルログがローリングソバットを放てば

「おらぁ!」

フィーグはケンカキックで応戦。

「く…貴様も体術を…?」

「槍程じゃないが、誰も格闘戦は不得手とは言ってないぜ?」

フィーグは祖父からの王宮兵団流槍術だけでなく、父親からは傭兵流の武器だけに拘らない、体術や魔法も併用する、戦場では何でもアリの喧嘩剣術も仕込まれていた。

もっとも、フィーグは今のところ、戦闘系魔法を習得してないのだが…

 

 

たまらず後退するバルログ。

しかし、退いた先はフィーグの好む間合いとなり、すかさず千峰塵を放つが、これもバックステップで避けられ、穂先が身体を掠めるも、決定打には到らなかった。

バルログは高速のステップで再び距離を詰めると、鉤爪の突きで牽制した後、

「ヒョーーーーーーーーーーーッ!!」

近距離で助走無しで跳躍、フィーグの頭上を飛び越え背後に回り込み、

「イズナ・ドローップ!」

序盤で見せた以上の強烈なジャーマンスープレックスを放った。

「かはぁ!」

「ふっ…キミの様な地味顔が、この私に勝つというのが間違いなのだよ!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

あ゙…?! また言うか?

 

あー、どーせ俺は地味顔だよ!

昔っからハスターと込みで、地味顔コンビとか言われてたよ!

もし鳥山先生に似顔絵描いて貰ったなら、ドラゴンボールのモブ顔か、良いとこドラクエⅤのピピン(青年)だよ!(泣)

てゆーかテメー、死亡フラグ立ったぞ。

 

だいたい、さっきから黙っりゃ地味顔地味顔と好き放題言いやがって…

そーゆーオマエもバルログはバルログでもストⅤ版バルログだろが!

 

「てぃや!」

躱される前提での薙払い。

その真の狙いはステップで距離を空けた際の着地の瞬間。

その瞬間を逃す事なく、確実に足払いでダウンを奪う。

すかさず背後を取り、厄介な右腕の獲物を足でガッチリとロックして、仮面の顎の部分に手を掛ける。

「な…何をする気だ?

止せ…止めろ!!」

「うっせー!言われんでも分かるだろが!

オラ、大人しく素顔ぉ晒しやがれ!

この濃い顔ヤロー!!」

 

フリーになっている左手で必死に仮面を抑える対戦相手の耳元で、そっと囁く。

「オマエ、転生者だな?」

「!!」

 

一瞬の硬直

一瞬の動揺

 

ぱか…

その一瞬の隙を見逃す事なく、白い仮面を挽き剥がし、空高く放り投げる。

そして、次の瞬間…

 

「いやあああああああああ!素敵ぃ!」

「きゃああああああ!バルログ様ぁ!」

「うほいい男!」

 

観客席にいる殆ど全ての女性(&一部の男性)から黄色い声援が飛ぶ。

 

白い上着を纏っていたので、ストⅤ版の濃い顔バルログだとばかり思っていたら、それは大きな間違い勘違い。

その仮面の下の素顔…

それはⅤより前のシリーズの優男だった。

 

 

鳴り止まない声援の中、目の前の金髪男が前髪をかき上げ、溜め息混じりに呟く。

「ふぅ…私は別に顔を庇う為に仮面を着けていた訳ではないのだよ…

単に、こうなるのを避ける為…

キミには一生、解らないだろうがね…」

 

あー、解らねーよ!(泣)

 

 

「シュッ!」

「「「「きゃあああああ!」」」」

「でりゃあ!」

「「「「Boo!Boo!Boo!Boo!」」」」

鉤爪と槍が交差する度に黄色い声援とブーイングが飛び交う。

 

「あ゙ー、やり辛ぇー!!」

「フハハハハハハハハハハ!

これが現実なのだよ!

美こそ正義!

キミの様な地味ぃ~な顔の男にモニカ姫は釣り合わない!

あの麗しき姫君には私こそが相応しい!

悪い事は言わない。

さあ、今すぐ棄権したまえ!」

 

ぷち…

まだ言うか?

 

「うるあぁ!」

近距離での短く持った槍での一閃。

バルログも後方に大きく跳んで躱すが、

此方も腕が伸びきった瞬間に瞬時に槍を長く持ち替え、

「でぇりゃああっ!!」

鋭い踏み込みからの更なる一撃を放つ。

 

 

ぽた…

イケメンの額から一筋の血が流れる。

それを左手で拭い、無言で掌を見つめるイケメン。

 

「おんや~?もしかして、

『ヒイイイイイイイイイイ!

よ、よくも、この私の美しい顔に傷を!

テッメェ、絶対に許さねぇずおおお!

ぶっ〇してやるぁ、このХХХХがぁ!』

…とか言ってキレるの?(笑)」

「一体キミは、私の事を、どんなキャラクターだと思っているのだ?

そもそも顔を傷付くのを恐れる闘士が何処の世界に居るというのかね?」

「ハッ!意外にも普通に漢じゃねえか!」

互いに武器を打ち合い交えながらの会話。

 

因みに観客席からは大半の女性(&一部男)による非難轟々罵詈雑言大絶賛ブーイングの雨霰な真っ最中な訳だが全力でスルーだ。

俺のMP(メンタルポイント)は、もう0だから止めてなんて思ってないぞ、本当だぞ。

 

 

「だが、私の顔に傷を付けた罪がホンダの体重より重いのは確かだ!

その罪は命で償ってもらうぞ!

この私の最強最大の必殺技でな!!」

「やっぱキレてんじゃねーか?!」

おいおい、本田とか、この世界の人間が解らない比喩を持ち出してんじゃねーよ。

てか、そんなに重罪なのかよ?

 

またも跳躍からの急降下攻撃。

「紅く染まれ!

ブラッディー・ハイ・クぶへらっ?!」

「あ~悪い…な~んとな~くだが、技の軌道が分かったもんで…」

「き…貴様ぁ~!!」

 

原作(ゲーム)知識からか、何だか次の技は、間違いなくブラッディー・ハイ・クローが来る気がしたので、技の軌跡を読んでからのフルスイング。

これが見事に脇腹にクリティカルヒット。

 

間髪入れずに斬り叩き払うのコンビネーションラッシュを仕掛ける。

鉤爪の鉄甲を前面に出して、ガードを固めるバルログ。

 

 

カラーン…

 

しかし、怒涛の攻めに耐えきれず、敵の攻撃の要の鉤爪鉄甲が弾き飛ばされた。

 

「!!!!」

一瞬戸惑い、無防備となった処を追撃。

この試合、3度目となる千峰塵がクリーンヒットする。

 

「こ…この私が…貴様みたいなヤツに…」

それでもフラフラと立ち上がる対戦相手。

 

「たとえ爪が無くとも…貴様如きに負k…

「いや、終わりだね。」 

左手で槍の柄尻を持ち、深く腰を落とし半身の姿勢で穂先を相手に向ける。

同時に右掌を敵の前に出し、その親指と人

差し指の間から見える獲物に標準を合わせ

て間合いを一瞬で詰めて突進、敵を貫くべく繰り出すは必殺の…

 

「牙突!!!!」

「で・かるちゃ~!!」

ドカッ!

本来は刀剣の技だが、刺突系の技という事もあり、鍛錬の末に槍でも放てる様になった必殺技は正しく会心の一撃となり、バルログは壁まで吹っ飛びダウン、そのまま起き上がれなかった。

 

ふぅ…前世(むかし)から傘や棒っきれで練習してて良かったぜ…

 

 

「そこまで!勝者、フィーグ!」

「「「「ウォォ(Boo!)ォオ(Boo!)オオォオォ(Boo!)ォ(Boo!)ォオ(Boo!)ォ!!」」」」

 

歓声とブーイングが飛び交う中、足元に転がり落ちていた仮面を拾い、未だ自力では立ち上がれない対戦相手の元に歩み寄る。

仮面をポンと頭の上に乗せてやり、

「テメーの敗因は…

たった一つだぜ…バルログ…

たったひとつの単純(シンプル)な答えだ…

『テメーは俺を怒らせた』。」

「~~~~~~~~~~~~~!!」

言ってやったぜ。ざまあ。

 

 

「フィーグ選手、2人抜き!

次の対戦相手はデスピサロです!」

「「「「ウォォォオォオォォオォオオオォオォォオォォオオオォォオォォ!!!」」」」

 

「何…だと…?!」

死亡フラグが立ちました。

 

 




他にもフィーグが前世(むかし)、
練習(笑)していた技…

デンプシー・ロール
スペシャル・ローリング・サンダー
アバン・ストラッシュ
昇竜拳

…等々。

今後、使用するかは未定です。
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