真に導く者   作:挫梛道

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「ノースサンドラの町」を小説独自設定しました。


裏切りの洞窟

「一般的なサイズだし、やっぱりフォルシオンの血筋ではないみたいだな~?」

「「「?」」」

あー、そこの3人、「コイツ、いきなり何を言ってるの?頭、大丈夫?」な顔しない。

自覚はしてる。

 

「手綱に青いボタンも附いてないか~?」

「「「???」」」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

キャラバン隊の日程なんて、全っ然、知らなかった俺達は、ブランカ砂漠の北部入口にある、ノースサンドラの町で途方に暮れていた。

キャラバンなんて、結構頻繁に訪れるとばかりに軽く考えていたぜ。

因みに南越えのキャラバン隊が集まるのは半月後だとか。

この泥縄感、きちんと日程を把握していた某・商人の旦那とは大違いさ(泣)!

そんな中、数ある宿屋の中に、1頭の芦毛の馬と馬車を留めている宿屋を見つけた。

原作知識から、「この馬」 に間違いないと確信した俺は、皆をその馬の処まで呼び、冒頭の台詞に繋がる。

 

「とりあえず、あの馬車を出してもらえる

ように、馬主の人に掛け合ってみましょうか。」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「いらっしゃいませ。

本日は当宿にお越しいただき、ありがとうございます。」

「ハァーイ、ご主人♪

外の馬車の持ち主に会いたいんだけど、ここに泊まってるのかしら?」

「あぁ、あの馬車ですか?

あれはウチの息子の馬車なのですが…」

「砂漠を越えたいの。

その息子さんに会えないかしら?」

「会わせるのは構いませんが…」

「訳あり?」

「はい、実は…」

 

要約すると、宿屋の息子のホフマンは、少し前に友人と共に町の東にある洞窟に行ったのだが、愛馬が背中に乗せて戻ってきたのは、血塗れになった彼1人だった。

それ以来、ホフマンは人間不信のヒッキーになってしまいましたとさ。

目出度し目出度し。

 

「いやいや、フィーグさん、全然、目出度くないですから。」

脳内のボケに突っ込めるとは、更に腕を上げたな、ソロ!

「兎に角だ、主人、息子さんに会わせてもらえないかい?

話せるだけ話がしたいんだ。」

「はぁ…分かりました…。

連いてきて下さい。」

 

宿の主人に連れられ、ホフマンとやらの部屋に案内された。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ホフマン、お前にお客さんだ。」

 

「……………………………………………。

こっちは用事なんてない…。」

「そんな事を言うな。

入ってもらうぞ。」

宿屋の主人に部屋に入れてもらうと、そこには何をするでなく、単に椅子に腰掛けているだけの青年がいた。

「主人、済まなかったな。」

「いえ…では私はフロントに戻りますので失礼します。」

宿の主人が去った後、早速ソロがホフマンに話しかけた。

「ホフマンさん…ですね?

僕達は砂漠を越えたいんです。

馬車を出してもらえm「断る。」

「「「「…………………………。」」」」

早っ!断るの早っ!

「そこを何とかお願い出来ないでSっ…て、マーニャさん?」

ソロが話している途中、いきなりマーニャさんがソロを押しのけ、ツカツカとホフマンの前まで歩み寄ると、

「「「(色仕掛けで堕とす気だ!)」」」

「何だよアンタ…?

甘い声でも出したらホイホイと言う事を聞くとでも思ってる訳?」

バガッ!!!

「ちぇほんまん!」

ガン!

「「「え、えーーーーーーーーっ?!」」」

強烈な左フックを放ち、無防備に椅子に座ってるだけだったホフマンは、見事に壁までぶっ飛ばされた。

 

「巫山戯てんじゃないわよ!

何があったかは知らないけど、うじうじ引き籠もったりして、ヴァッカじゃないの?

あんた、それでも男?この軟弱者!」

「な、殴ったね?

親父にも殴られた事ないのに!」

え~と…、この世界にガン〇ムという物語は存在してない…よね?

てゆーか、マーニャさんといい、ネネさんといい、この世界の女性が男を窘める時はグーがデフォルトなのか?

「(フィーグさぁん…

マーニャさん怖いですぅ…)」

「(おぅ、お前も、いつまでも暗いキャラなままだと、その内にイワされるぞ?)」

「(ひぃい!ぼ、僕、明るくなります!)」

マーニャさ~ん、そのくらいにしとこ~

ソロがドン引いてるよ~。

 

「…ったく、こっちは世界の命運が賭かった旅をしてるかもしれないのに!」

「はぁ?世界を救う?

そんなの信用出来ると思うのかよ?」

そりゃ普通は思わないよね…

 

「まあ、聞けy

「ふん!そこまで言うなら、俺の話を聞かせてやるよ。」

………………………。

今更だけど、他人様の台詞を途中で遮るのは好くないと思います。

「これでも俺は、昔はアンタ達みたいに旅をしていたのさ。

ある時、世界で一番大切なお宝が、この町から東にある洞窟に隠されているって噂を聞いてさ、俺は友人と2人で、その洞窟に行ったんだ。

でも、一番の親友と思ってたアイツは…

突然、俺を…畜生!

ちっ、嫌な事を思い出したじゃないか!

もういいだろ?

俺は誰も信じないんだ、帰ってくれ!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「取り付く島もないですね…」

「あの人を人間不信にした親友サンとやらを呪ってやりたいですわ。」

ミネアさん、黒いよ…

 

「と、兎に角、明日は、話にあった洞窟に向かってみませんか?

何があったか分かるかもしれませんし、原因が分かれば、何か解決策も見つかるかもしれませんよ!」

ん。ソロ、その調子だ。

お前がリーダーだからな。

これからも、その調子でお前が指揮を執るんだ、分かったな。

 

「異議なしだな。

今日は遅いし、此処に泊まろう。」

「姉さん、分かってるよね?

部屋分けは男女別々ですからね!」

「仕方ないなぁ…

フィーグ…覗いたら殺すわよ…?」

マーニャさん、俺…殺されに行きます。

 

「ソロ、その爆new星人、あんたがしっかり見張ってな!!」

「ら、らじゃ…」

ば、爆にゅ…否定出来ないのが悲しい…

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「石煉瓦造りの洞窟か…」

次の日、町を出てホフマンの言っていた、名も無き洞窟…原作では『裏切りの洞窟』と名が付いていた洞窟に、丸1日掛けて辿り着いた俺達は、その内部奥深くまで進んでいた。

                 

「重い…フィーグさん、手伝って下さい、この扉、重過ぎます!」

「へいへい。」

暫く進んで行くと、目の前に巨大な鉄扉が現れた。

左右に開くタイプの扉だが、ソロ1人では開けない程の重さらしい。

「「せーのっ!」」

ギギギギギギ…

耳障りな音を立て、扉は左右に開く。

 

「ふぅ~、こりゃ確かにソロ1人じゃ無理だったわ…」

「でしょ?」

「よぉーし、さあ、先に進みましょ!」

カチ…

「「「「かち?」」」」

あー、少し前にも、こんなパターン、あったよなー。

あの時は、ゴゴゴゴって音がして、その後に水路の水が抜けて、新しい道が出てきたんだよなー。

 

ズボッ!!

「「「!!!!?」」」

 

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

「うぉっ?」

「キャっ?!」

「ひぇ~~~~~っ!」

「…!!ミネアさん!マーニャさん!フィーグさん!」

突如、床に大穴が空き、ソロを残して俺達3人は底が見えない暗闇に呑まれ、下のフロアに落ちて行ったのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

痛たたたたた…

派手に背中を打ったみたいだな…

てか、何か重い…

何か、身体の上に乗っかってる様な…

 

むにゅ…

「きゃっ?!」

へ?むにゅ?

今の声といい、この暖かくも柔らかな感触といい、もしかして、もしかすると…?

「フィ~グ~、あんたね~!?」

ははは…やっぱりね…

「フィーグさん、何も、こんな時にまで…不潔です…」

いや、それは誤解だから!

てか、マーニャさん、早く降りようか?

兎に角、2人共、無事で良かったよ。

 

 

「言い訳はしない。

とりあえず歯ぁ食い縛ってるから、殺るなら早く済ませて欲しい。」

「よ~し、なかなか良い心掛けだ…」

バキ!ドカ!ボコ!

「ユニバァァァス!!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「『Floomi』!」

………………………。

どうやら、ここが最下層みたいですね。

上に繋がる階段をさがしましょう。」

使えない使えないと思っていた空間認識の呪文が役に立った。

世の中、何が役に立つか、本当に分からない物だな。

狭い一本道の通路を進むと、突き当たりに階段を見つけた。

そして、その手前には俺達の知っている少年が笑顔で立っていた。

 

「ソロ?」

「あっ、マーニャさん達?

大丈夫でしたか?

いきなり落ちて行ったから、びっくりしましたよ!

兎に角、皆さん、無事そうで良かった!」

目の前の少年は、そう言いながら駆け寄ってきた。

 

ドカッ!x2

そんな少年に対し、俺…とマーニャさんは蹴りをくれてやった。

 

「く…な…何を…」

「…マーニャさん、気づいてた?」

「当ったり前でしょ!」

確かにね…

俺の場合は原作知識が先走ったけどさ、それを差し引いてたとしても、まだ出会ってから長い付き合いとは言えないが…それでも仲間だからね、分かる処は判るんだよ。

「そうだとしても…姿はソロさんそのものなのに、2人共、躊躇が無さ過ぎです…」

ミネアさん、迷いは敵だよ。

 

「まっ、そーゆーこった。

素直に正体現したらどうだい?偽物君?」

「クッククククク…

フフフフフフフフフフ…

ギャーッハッハッハッハッハッハッハ!!」

ソロの姿を象っていた者は、徐々にその姿を下品な笑い声と共に異形へと変化していった。

背丈こそ約130㌢と低いが、黒い皮膚に額には一本の角、その瞳は血の様に赤く、背中には一対の黒い翼を持つ悪魔の様な姿…

「(あれが裏切り小僧…か…)」

「グヘヘヘへ…

油断した処を殺るつもりだったのだがな…

まあいいわ、

どの道、お前等は死ぬのだからな!」

「バギ!」「ギラ!」「一閃突き!!」

「びびでばびでぶーっ!」

まさに瞬殺。

敵に先にターンを譲る気は全くなかった。

マーニャさん達も同じ考えだった様だ。

 

「う…うぅ…」

まだ辛うじて死なずにいる、床に這いつくばっている化け物の顔に槍を向け、

「貴様、何者だ?」

「ふん…素直に言うと思うか?」

「タイガーショォット!!」

バキャ!

「うげー!」

サッカーボールキックを見舞ってやる。

床を転がる魔物。

「喋る気がないなら仕方ない。

サクッと殺ってから、早くソロを探すとするかね?」

あ、そこのお姉さん達、ドン引きしない。

「ま、待て、話すから!

知っている事は全て話すから!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

このモンスターは人の町等に使い魔を放っては「宝の洞窟」の噂をバラ捲き、その話を聞いてやって来た冒険者を罠に嵌めては食い殺していたらしい。

ただ、お宝自体は洞窟に本当にあるが、それは聖なる力が宿っていて、悪魔である自分達は触れられないとの事。

 

「自分達…か。

つまりはまだ、仲間がいる訳だな?」

「ああ…俺の兄者がいる…。

今頃は、俺が化けていたガキを、食っtぐぎゃーっ!」

このモンスター、とんでもない事をさらっと言いやがるので、ついつい槍を背中越しに心臓に突き立ててしまった。

所謂、つい、カッとなったってヤツだ。

「急ごう。」

「「う…うん…」」

そこのお姉さん達、だから この程度でドン引いたりしない。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

迷路となっている洞窟を進んでいくと、通路の奥に1つの人影を見つけた。

 

「ソロか?」

「!!」

その人影は、俺の呼び声に反応して此方に走り出し…

「フィーグさん!

良かった、無事だったんですね…炎よ!」

ぶおぉぉおおぉ!

「おわぁっ?!」

手にした剣から炎を出し、それを此方に向けて放ってきた。

「ソロ、いきなり何をしやがる?」

「うるさい!フィーグさん達の偽物め!

もう騙されないぞ!」

あー、そういう事か。

「待ってソロさん、わたし達は本物よ!」

「そうよソロ!

…てか、アンタこそ本当にソロなの?」

「姉さん、多分、あの人は…」

「まーまー、俺が確かめる。

2人は下がっててよ。」

俺は そう言うと、ソロ?の前に立ち、

「ソロ…お前が本物なら、俺の質問に答えられる筈だ。」

…と耳元で囁く。

「…………………………」

「!!そ、そんな質問してくるなんて、本当に本物のフィーグさん?」

どーゆー意味だ?

「さあ、答えてみろよ?」

すると今度はソロ?が俺の耳元で

「……………………………………………。

……………………………………………。」

ふむ。

「マーニャさん、ミネアさん、大丈夫だ。

本物のソロだよ、間違いないよ。」

「本当ですか?良かった!」

ふぅ、とりあえず一安心だな…

「ふ~ん…それで、アンタ達、今、何をコソコソ話していたのかしら?」

「「え゙?」」

「2人共、何を話していたのかな~?」

何かマーニャさん、ニヤニヤと悪~い顔して微笑んでいます。

「「い、いや~、所謂、男同士の会話ってヤツで……なっ!」」

「ソ・ロ…?」

マーニャさんの目が鋭く輝き、勇者な少年を睨みつける…

「は、はいっ!」

「アンタにゃ怒らないから、素直に正直に包み隠さず喋りな!」

ちょ…ちょっと待って!

「じ、実は…マーニャさんとミネアさんの今日の下着の色を聴かれて…」

あ゙ー!ソロ!

お前もマジに言うか?!

「「ほう…それで?因みに答えは?」」

「ミ…ミネアさんが水色、そしてマーニャさんが、むらさkおっふ?!」

「ソローーーーーーーーーーーーっ?!」

マーニャさんのハイキックが馬鹿正直に喋った少年の側頭部にヒット。

「フィーグ?ソロ?

これは、どーゆー事かしら?」

「何故、ソロさんが答えられ、何故、フィーグさんが正解を知ってるのか、わたしも凄く興味があります。」

「フィ~グ~?…は吐きそうにないから、ソロ!全部吐きな!」

「は、はい。

いや、昨日の夜、僕は嫌だって言ったんですけど、フィーグさんが無理矢理に…」

「だーっ!お前だって最後は嬉しがってたじゃねーか!

いや、マーニャさん、俺は只単に、ソロが余りにも暗いから、元気つけてやろうと思ってだな…」

「2人共、不潔です…」

「とりあえず、お前等…

少し、頭冷やそうか?」

ニッコリと優しい顔で笑いながら、人差し指の先に火の玉を出すマーニャさん。

「いやいやいやいや!

それ!氷(ヒャド)でなくて火(メラ)だから!」

「心頭滅却すれば火もまた涼しって言葉、知ってる?」

ヤバい…顔は笑顔だが、目だけは完全に怒っていらっしゃる…

俺とソロは互いに顔を合わせ頷くと、自身の両膝、両掌、そして顔を床に着け、

「「すいませんしたーっ!!!!!!」」

DOGEZAして謝ったのだった。

 

「今度やったら、100回殺すわよ。」

「2人共、宿に帰ったらOHANASHIです。」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「皆さん…気づきましたか?」

「ああ…急に空気が変わったな。

この空間は魔力…

それも聖なる魔力?が漂ってるな…」

ソロと合流し、再び洞窟の探索を開始した俺達は、階段を下りた先のフロアで、急に今までの禍々しく重苦しい空気から解放され、安らぎある心地良い感覚に包まれた。

「これは噂のお宝が近いかもよ~♪」

「あ、マーニャさん、よく足下を見てスキップしないと、またスイッチ踏んでトラップ発動してしまいますyほげぇーーっ?!」

「ソ、ソローーーーーーーーーーーっ?!」

気持ちは解るが、口は災いの元とも言う。

と言うかソロ、君が口走らなければ、俺が「ほげー」って言っていたかもしれない。

身代わりになってくれてありがとう。

                  

「このフロアはモンスターは出ないみたいだな。」

「魔力が申し訳程度しかないフィーグさんですら感じる聖なる魔力です。

並みのモンスターは侵入出来ません。」

放っておいてください(泣)。

フロアを道なりに進んで行くと、

「……………………ぅ」

「「「「!!?」」」」

「皆さん、聞こえました?」

「え?やっぱり空耳じゃなかった?」

「あっちです!」

確かに、微かに呻き声が聞こえた。

その方向に行ってみると、瀕死の重傷を負った1人の男が壁を背に倒れていた。

「死んでるの?」

「…うぅ…」

「いや、返事したよ!

まだギリギリで生きているよ…

ソロ、ミネアさん!」

「「は、はい!」」

「ホイミ!」「ベホイミ!」

「うぅ…

!! 此処は…?」

「よ、気が付いたかい?」

ソロとミネアさんの回復魔法で持ち直した男から事情を聞いてみた。

「くそ、あの野郎、急に襲い掛かってきやがって…」

このローエルと名乗る男も、洞窟のお宝の噂を聞きつけ、友人と乗り込んでみたが、洞窟の奥で同行していた友人に急襲され、致命傷を負ったと言う。

このフロアに逃げ込む事により、フロアの聖なる力で完全回復は儘ならないまでも、命だけは取り留めていた様だ。

「あ、もしかしたら、アンタがホフマンの友人ってやつ?」

「な…!?そ、その名前を出すな!

あんなヤツ、友達でもなんでもない!

くそ、アイツだけは許さない…

絶対に殺してやる…!」

間違いない様だ。

とりあえず、ホフマンの現状と、俺達が洞窟であった事を説明してみたが…

「ふん…そんなよく出来た御都合主義みたいな話、簡単には信用出来ないよ。」

「なによ!アンタ!

あたし達が嘘ついてるって言いたい訳?」

マーニャさん、お願いだから、ちょっとだけ黙ってて…

「とりあえず、俺達は敵ではないって事だけでも、信じてくれないかい?」

「モンスターだとしたら、回復なんかしてくれる筈がないからな…

分かったよ…それは信じてやるよ…」

結局そのまま、ローエルは俺達と洞窟を同行する流れとなった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「これが、お宝…?」

「綺麗です…」

「へぇ…?」

ミネアさんの見つけた隠し扉の先は、祭壇の様なフロアだった。

そして其処には、不思議な色に輝く宝石が埋め込まれた彫像が奉じられていた。

 

「う…うぅ…」

「マーニャさん?」

「ああああああああああああああ!

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!

皆、特にミネア!

今まで色々とごめんなさい~!」

「ね、姉さん?」

彫像を見たマーニャさんが、いきなり泣き出し、過去の俺達(特にミネアさん)への我が儘三昧に対してか、謝りだした。

そして…

「うわあおあおうおお…!

俺は…俺はああああぁ!」

「ローエルさん?」

ローエルも自身に対し、何かを悔いたのだろう、号泣している。

そして

「あ、あんた、フィーグっていったな!

頼む、何も言わずに俺を殴ってくれ!」

バキっ!

「ぐはっ…」

お望み通り、無言で顔に良いヤツを一発、お見舞いしてやった。

 

「気が済んだかい?」

「ああ、済まなかった…」

「フィーグさん?」

「いきなり、何を…」

「先に言っておきたいのは、おそらく、この宝石には、心を浄化する能力(チカラ)があるのだろう。」

「それで姉さんが…!」

ミネアさん、納得し過ぎです。      

「…それでだ、このローエルも今までの俺達の説明を信じずに聞き入れなかった事、

そして、改めて真実として受け入れた今、

親友を信じなかった処か、殺意まで抱いてしまった事、更に…」

「まだあるの?」

「ああ…。そして、今の今まで、お宝を見つけたならば、俺達を出し抜いて独り占めして逃げる気満々でいた事…だろ?」

「うぅ…済まない…

全く、その通りだ…

しかし、信じてくれ!

その宝石を見た瞬間にだな…」

「ああ、もう良いよ。

それで罪悪感からの、ワンパン嘆願だろ?

あれでチャラにしてやるから、いつまでも引きずってんじゃねーよ。

皆も、それで良いだろ?」

「此処でダメって言ったら、僕達が悪人じゃないですか…」

「済まないな。」

「それにしてもフィーグさん、この辺りは流石は識者を名乗るだけありますね?」

「まあ…ね。」

この「信じる心」を原作知識として知っているから、そこから推理出来ただけどね。

 

「そうだ…ホフマンは…」

「ローエルさん?」

「アイツもまだ、俺を恨んでいるんだろ?

この宝石を見せたなら、アイツも俺みたい

に人を信じる心を取り戻すかもしれない!

頼む!俺をホフマンの所に連れて行ってくれないか?

キチンと誤解を解いた上で、アイツに謝りたいんだ!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「またアンタ達か…」

如何にも嫌っそ~な顔をするホフマン。

「これを…」

ミネアさんが、そんなホフマンの前に、洞窟で手に入れたお宝…「信じる心」を差し出した。

「何だよ?その宝石…

うぅ…!?」

「ホフマン?」

「あぁ、何故だろう?

この宝石を見ていると、なんだか心が洗われていく様だ…

キミ達、この宝石は一体…?」

「ホフマン、俺達もアンタ同様に、あの洞窟に行ってみたんだ。

其処で入手したのが、コレさ。」

とりあえず俺達は、モンスターの罠に嵌まり、仲間に化けた悪魔を退け、宝石を入手した事「のみ」を話した。

「何…だって…!?

それじゃ、あの時のアイツは…」

「ハァーイ♪もう、入っていいよ♪」

カチャ…

「よ、よぅ…ホフマン…」

「ロ、ローエル?!

お前、無事だったのか?」

マーニャさんの合図で扉が開き、ローエルが部屋に入る。

「ローエル…すまない、俺は…」

「何も言うな…もう、いいんだ…」

「…さて、今夜はもう遅いし、僕達は部屋に戻って休みませんか?」

「そうだな。」

「え~、ここから感動と友情の場面が…

痛い痛い!ミネア!耳を引っ張るな!」

言い忘れたが、マーニャさんは元のキャラに戻っている。

曰わく、確かに今まで我が儘三昧(特にカジノ関連)だったのは認めるし、悪いと思ったから謝ったが、反省も後悔も無い…って、それじゃ意味ないじゃん! 

俺達はホフマンの部屋を出た。

きっと今頃は太宰治の小説のワンシーンを再現しながら和解しているだろう。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「明日の朝、もう一度、馬車を出して貰えないか、頼んでみましょう。」

「そうね。」

「…だな。」

 

トントン…

「皆さん、入っていいですか?」

4人で明日の事を話していると、顔に絆創膏を貼ったホフマンが部屋を訪ねてきた。  

「今では自分が何故、あそこまで猜疑心に支配されていたのか、情けない限りだよ。

だから、まずはキミ達を信じる事から始めたいんだ。

俺も、キミ達の旅に仲間として同行させて貰えないかい?

勿論、馬車も一緒さ!」

「は、はい!よろしくお願いします、ホフマンさん!」

「よろしくな。」

「ありがとうございます!

それじゃ、明日の朝、また!」

そう言うと、ホフマンは自分の部屋に戻って行った。

「ふぅ…これで砂漠を抜けられるな!」

「はい!」

ふぅ、とりあえず、一件落着…だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、忘れてました。」

「ミネア、どうかしたの?」

「宿に戻ったら、ソロさんとフィーグさんに、OHANASHIをするんでした。」

「「え゙?」」

「あ、そー言えばそうだったよね。」

確かに言ってたけど…

「待て待て待て待て!

ここは一件落着で、とりあえず全てチャラの流れじゃないのか?」

「そ、そうですよ、せっかく、いい感じで話が纏まったんですから…」

「それはそれ、これはこれ…です」

「「ですよねーっ?」」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

その夜、宿屋の庭の木には、布団で体を巻かれ、ロープで吊された2つの人影があったとさ…。

 

目出度し目出度し?

 

 




現実(リアル)では、故意の場合は勿論、例えラッキースケベであっても、長く尾を引きますが、フィクションでは一度、〆られたら、それで許してもらえる物です(笑)。
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