真に導く者   作:挫梛道

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オリジナル・モンスター登場


神の問い掛け

「♪宜候ォ~♪進路は東へ♪

♪宜候ォ~♪夕日が水平線に沈む前に♪」

甲板に椅子をセットしてリュートを奏でながら良い気分で歌っていると

 

「フィーグさん、船が向かってるのは南ですよ。」

いやいや、旦那、知ってるし。

そーゆー詩なんだから、いちいち突っ込んだりするなし。

 

「てゆーか、何だか変な詩~(笑)」

んだとぉ、この痴女ぉ!

剛サン馬鹿にするか?あ゙ぁん?!

 

「いや、何となくですが、自分は良い詩と思いますよ?」

心の友よ!モブ船員クンと握手。

 

 

 

「それにしても、船旅は久しぶりです。

妻との新婚旅行以来ですね。」

「新婚旅行ねぇ…。

旦那、ネネさんてさ、もしかしてその時、甲板の一番手前で、何と言うか、両手をこう…思い切り横に広げた状態で後からハグを強請したりしなかった?」

「おぉ、良く御存知で。

妻が何か言ってましたか?」

「いや、何となく…」

やっぱり、やってたか!

安定のネネさん(笑)

 

「あれって何か意味があるんですか?

まあ、ネネは凄い満足気だったから、特に気にはしなかったですけど。」

旦那、考えたら負けだぞ?(笑)

てか、惚気んなし。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「♪有りっ丈の夢をかき集めて~♪

♪捜し物を見つけに旅立つのさぁ~♪

ワンp(ドゴォッ!)おわっ?!」

甲板で良い気分でリュートを手にして歌っていると、いきなり船に何かがぶつかった様な衝撃が走り、派手に揺れた。

 

 

「「「モンスターだぁ!」」」

「「「!!!」」」

船員の声を聞き、ふと海を見ると、水面から無数のゲルっぽい「手」が伸びてきた。

何というか…マドハンドの水versionみたいな感じな見た目だが、ここまで数多く集まると、ぶっちゃけ、海でよく写る心霊写真の「アレ」みたいで凄く怖い。

甲板で作業してきたモブ船員達と、やはり偶々、甲板にいた旦那と俺で迎撃に出る。

 

言い忘れたが、ソロとホフマンは、出航早々に船酔いでダウン。

ミネアさんが船室で付き添っている。

 

因みにマーニャさんは海に出た早々に色々な意味で…特に戦闘に於いては防御力的にdangerousな水着に着替えており、ハッキリ言って、戦力外。

但し、その水着のお陰で船乗り達は、出航早々に所謂スーパーハイテンション状態になっており、未だに其れを維持している。

う~む…、これはもしかして、プラマイで言えば、寧ろプラスと捉えても良いのだろうか?

え?俺と旦那?

旦那はさ、ほら、ネネさん一筋だしー。

俺にしても、今更あの程度の水着で、普段は封印されている、残り70㌫の力を発揮する訳が…ねぇ?(笑)

 

 

「気をつけてください!

コイツはアクアハンド!

コイツに手足を掴まれたら、そのまま海に引き込まれますよ!でぇあっ!」

説明しながらナイフで攻撃する船乗り。

揺れる船の上という不安定な足場でも、普通に攻撃をしている。

そんな中、俺と旦那は不慣れな足場で普段通りの動きが出来ず、仮に強さ等を数値化すれば雑魚に過ぎない筈の魔物相手に予想外の苦戦をしていた。

 

 

 

「地味に凹むなぁ…

俺も、まだまだだなぁ…」

結局、アクアハンドの群れは、スーパーハイテンションな船乗り達が殆ど退治して終わった。

今回の戦闘、全くの役立たずとは言いたくはないが、殆ど良い処無しの見せ場無しで終わってしまった。

 

「修行鍛錬有るのみ…か…。」

船首の前まで足を運ぶと、揺れが激しい不安定な足場で、無言で槍の打ち込み素振りをやり始めた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「あっ、トルネコさん、引いてますよ?」

「おぉ?いつの間にやら…」

 

その夜、トルネコとホフマンは甲板に釣り糸を垂らしながら、商い云々について話し合っていた。

無論、成功を治めたと言っても良いトルネコが、駆け出しのホフマンにアドバイスをしている形だ。

 

 

「明日の昼前頃には、ミントスの町に着きますかね?」

「゙商売の神様゙ですか…

一体、どんな人か、気になりますね?」

「…………………………………………」

「ん?ホフマンさん、引いてますよ?」

「おぉっと!」

 

 

「やっ、釣れてる?」

「!」

そこにフィーグがやって来た。

 

「フィーグさん…丁度良かった…。

少し、話したい事が…」

「……………………………………。」

フィーグは何かを悟ったかの如く、駆け出し商人の青年の隣に腰を降ろした。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ミントス…ソレッタ領に位置しながら、キングレオ同様、王都より発展し、賑やかな商人の街。

゙商売の神様゙、或いは ゙伝説の商人゙と云われる人物が街を治め、世界中から彼に師事を求める者達が訪れると言う。

 

 

「立派過ぎます…。

分かってはいたつもりですが、ウチとは何もかも違い過ぎます。」

件の商人が経営しているという宿の前で、がっくしと頭を垂れるホフマン。

 

「いやいや、いつかは俺も、これくらい凄い宿屋に!」

少し前までは人間不信のヒッキーだった男が随分とポジティブになったもんだ。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「昼飯時には講義も終わるだろうから、もう少し待ってようぜ。」

「はい、そうですね。」

早速、宿屋のフロントで ゙商売の神様゙…ヒルタン氏との面会を申し出たら、従業員曰わく、今は宿の一室で商いについての講義中との事。

まさか、講義中に室内にヅカヅカと入り、此方の用件を言うなんて非常識な真似は出来ない。

部屋の前の廊下で少し待つ事にした。

 

 

暫くすると、扉が開き、老若男女、様々な人達が部屋から次々と出て来た。

皆、一流の商人を目指す為に、ヒルタン氏の話を聴いていたのだろう。

 

皆が去って行った後、

「よし、行くか。」

「はい!」

 

 

「失礼します~…」

部屋に入ると、規則正しく並んだ机。

 

「ΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖΖ…」

その一番前列の真ん中の席で、大鼾をかいて寝ている大男が1人、そして、その前の教卓の席には1人の老人が座っていた。

 

「す、すいません、あ、貴方が海に詳しいという、ヒルタン老師でしょうか?」

ホフマンが目の前の老人に恐縮しながら話し掛けると、

 

「は?海に詳しい?…馬っ鹿モン!

儂は海だけでなく、世界について詳しいのぢゃ!」

「ひっ!す、すいません~!」

爺さん怒ってホフマンがビビる。

 

「ふん…まあ、良いわ。

…で、儂に何用ぢゃ?」

「率直に言います!

ヒルタン老師、この私を貴方の弟子にしてください!」

両手両膝を突き頭を下げ、゙商売の神様゙に弟子入りを志願するホフマン。

 

「「え、えーっ?」」

これに驚いたのがマーニャさん達姉妹。

「フィーグさんは知ってたのですか?」

「俺と旦那は昨日の夜に、な…」

夜、ホフマンから話を振られたからね。

別に隠していたつもりは無かった。

只、敢えて黙っていただけだ。

 

「…まあ、あんたは、何か思う処があったんでしょうけど、なるべくなら、こーゆーのは事前にキチッと話して欲しいわ。

報連相って言葉、知ってる?」

「はい、以後、努力します。」

いやいや、それより、姉さんが其の言葉を知ってるのに驚きです。

…なんて台詞はグーでシバかれるから言いませんが…

それは兎も角…

 

 

「う~む…そう言われてものぅ…

お主みたいに弟子入りを申し出る者は沢山居るでのぅ…

お主だけを簡単に容認するだけには…ん?

ほう…お主、良い目をしているな…」

「………………………………………。」

 

「よし、お主に問おう!

商売に於いて、一番大切な事とは何か?

ズバリ答えてみせい!」

「……………………………………………………………………………………………。」

老商人の前に、無言となる若き商人。

 

 

 

「むむっ!天晴れぢゃ!

何も言わぬ…つまり、沈黙は金也ぢゃ!

良いぢゃろう!

お主に修行をつけてやろう!」

「あ、ありがとうございます!」

「やったな…!」

ホフマンの肩をポンと叩いてやった。

しかし、正直な話、原作知識があったにしても、この問答の真意はイマイチ理解出来ない。

「旦那は答え、知ってた?」

「当然です!」

どうやら、商売人にしか通じない、何かが在る様だ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「そういう訳で皆さん、此処でお別れとなりますね。

俺もいずれは父の跡を継ぎ、立派な宿屋になるのが夢でした。

その夢を現実にする為、俺はヒルタン老師の下で修行を積んでいきます。

これまで一緒に旅をしてくれた事、本当に感謝しています。

皆さんの事は一生忘れません。

そして、信じる事の大切さも…。

皆さんの旅の御無事を祈ります!」

「はい、ホフマンさんも修行、頑張ってくださいね!」

「ホフマンさん、わたしも貴方の成功を祈ってますわ。」

「あんたの宿が大きくなったら、泊まりに行ってあげるから、その時は、ん~とサービスしなさいよ?♪」

「ホフマンさんなら、立派な商人になれますよ、私が保証します!」

「商売の修行も大事だが、槍術の鍛錬も怠るなよ?」

「は、はい!皆さん、本当に…本当にありがとうございます!」

今の感極まった表情を見られたくないのだろう、若き商人が顔を抑える。

 

「じゃ…またな!」

俺が、そんなホフマンに笑いながら右拳を差し出すと、

「はい、また、会いましょう!」

ホフマンも顔を拭くと、良い笑顔で同じく右の拳を前に出し、互いに軽くぶつけ合うのだった。

 




※※※※※※※次回予告!※※※※※※※

「う~ん…う~ん………」

「フィーグさん、この魘されている人は誰ですか?」
「妄想恋愛一直線男だな。」

次回、真に導く者:『裸の王(仮)』
乞う御期待!
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