真に導く者   作:挫梛道

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馬車に乗って、仲間の戦闘を眺めてるだけではレベルは上がりません。


パデキアの洞窟①

「フィーグ殿、朝になりましたぞ!

さあ、早く出発しましょうぞ!

姫達~!只今、参りますぞ~!」

 

とりあえず、「落ち着け、爺さん」…と言いたい。

 

夜が明け、鶏が大合唱を始めると同時に、ブライ爺さんが出発を急かす急かす。

全く、年寄りは労らないといけないのは解るが、朝が早いのは勘弁して欲しい。

 

 

「うみゃ~、もお朝ですか~?」

「むにゃむにゃ…ネネ~…」

ソロと旦那も、まだこんな感じだし。

とりあえず2人を起こして、

「よーしソロ、マーニャさん達を起こしてこい!」

「え゙?勘弁してくださいよ~!

フィーグさんが行ってくださいよ~。」

「俺は嫌だよ!

じゃ、旦那に行ってもr「却下します。」

誰もマーニャさん達を起こしに行きたがらない。

まあ、寝ている女性の部屋に入るって時点でアレなんだけど…

俺的には、それは別に構わんのだが、後で簀巻きにされるのは御免被りたい。

 

互いに「オマエイケ」と言い合ってると

トントン…

扉がノックされ、

「お早うございます。

すいません、入っていいですか?」

ミネアさんだ。

 

「はい、大丈夫ですよ。」

カチャ…

「失礼しまs…きゃーーーーーーっ!!」

扉を開けて部屋に入ろうとした瞬間に悲鳴をあげるミネアさん。

「な、何か着てください!」

パタン!…

「…………………………。着てるよな?」

「「ですよねー?」」

 

 

 

ソロ…Tシャツ&トランクス

トルネコ…ランニング&ステテコパンツ

フィーグ…ボクサーパンツ

「さぁて、ここで Questionです!

一体、ミネアさんは、この3人の誰の姿を見て、『きゃーっ』と言ったのでしょうか?」

「フィーグさん、何言ってるんですか?」

「ん?何となく?」

 

 

 

 

 

 

「誤解されない様に言っておきますけど、決して『』なんか附けてなんていませんからね!」

俺達が着替えを済ませた後、改めて部屋に入ると同時に、ちゃっかりと聞いていた様で、早速突っ込みを入れるミネアさん。

其処は「誤解されない様に~」でなくて、「勘違いしないでよね!」のがベターだと思います。

 

「しかしミネアさん、今更でしょ?

俺の※※※、しかもMAX状態を見てるんだから、あんな格好程度で…(17話参照)」

「言うなー!」

「ほほぅ…既にそういう仲でしたか…

いやいや、てっきり私は、フィーグさんはマーニャさんと…

ん?もしかして、姉妹d「変な誤解しないでください!!」

「そうですよトルネコさん、あの時は僕も現場にいましたが、あれは只のラッキースケベだっt(ガン!)い、痛い?!」

「ラッキーじゃない!…です!」

「ソローーーーーーーーーーー?!」

ソロの顔面に銀のタロットが、そのカードを収めている箱丸ごと炸裂。

ソロは、そのままダウンした。

 

 

「全く…姉さんが全っ然、起きないから、手伝って貰おうと思って来てみたら…」

つまり、マーニャさんを叩き起こすのを手伝え…と。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「姉さん、いい加減に起きない!

もう皆、支度が出来てるわよ!」

カチャ…

「え?」

「あら?」

「……………………。」

 

結局は俺がミネアさんと一緒にマーニャさんを起こしに行ったのだが、その頃には既に目を覚ましていたマーニャさん。

部屋を開けたら、着替えの真っ最中。

お?今日は上下共に白ですか…

 

「見なかった事にします…」

パタン…

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「痛たたたたたたた…

あ゙ー、口ん中ズタズタで食い辛ぇー!」

両頬に紅葉の痕があるフィーグが呟く。

 

「オマエ、今晩、簀巻きな。」

「あんだけ殺っといて、まだ足りないのかよ?!」

「あら?消毒の方が好みかしら?」

「汚物じゃねーよ!」

朝食を口にしながら、いつもの夫婦漫才を繰り広げるフィーグとマーニャ。

 

「「だ・か・ら、夫婦漫才じゃない!」」

「わ、びっくりした!

いきなり、どうしたんですか?2人共?」

「「いや、何となく、突っ込まないといけない気がして…」」

「誰に?」

「「……………………さあ?」」

 

 

「そんな事より、朝食なんぞ、早々に終わらせて、早く出発しましょうぞ!

姫様~~~~~~~!」

「「「「「……………………。」」」」」

飯くらい、ゆっくり食わせてくれ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「頑張れー!」

「頼んだぞー!」

ソレッタ王に洞窟に行く話をしたのは夜だというのに、次の日の朝早くには周りの殆どの国民達が俺達の事を知っている様で、畑仕事をしている農民達が農道を通り抜ける度にエールを贈ってくれた。

とゆうか、爺ちゃん婆ちゃん父ちゃん母ちゃん兄ちゃん姉ちゃん、朝早過ぎだろ?

 

「おお、お主達、今から出発か。

気をつけて行くのだぞ。

正直、期待しておるぞ!」

恐らくは情報源であろう、ソレッタ王が昨日と変わらず上半身真っパで鍬を振り降ろしながら声を掛けてくれた。

 

という訳で城下町(というか農村)を出発。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

件の洞窟までの道は、パインウインドが魔物相手に無双してくれたお陰で、大した消耗も無く進んでいた。

てゆうか、ジジ…コホン、ブライ爺さんが余りにも急かすから、いつもは俺とソロが馬車の両脇を固めて歩く処を、全員馬車に乗り込んだ上で、パインウインドに頑張って貰ったのだ。

パインウインドの雄叫びが通じない魔物は、基本的に逃げるか、姉さんズ&爺さんが馬車からの魔法、そして俺とソロもクロスボウを撃ちながら蹴散らしていた。

 

そして、パデキアの種が保管されているという洞窟の入口が見えてきた。

「おや?入り口に5人…ですかね?

人影が見えますね。

あっ、中に入っていきました。」

パインウインドの手綱を握っている旦那が呟く。

 

「なぬ?姫様に間違いないですぞ!

トルネコ殿、ダッシュしてくだされ!

姫様ぁ~~~~~~~~~~~~~~!」

                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

その洞窟の内部は、床も壁も氷に覆われ、まるで水晶の様にキラキラと輝いていた。

そんな洞窟に侵入した5人の冒険者達の前に、巨大な扉が立ち塞がっている。

                  

「あら、この扉、鍵が掛かってるわね。

…よーし!あの技を試してみるわ!」

パーティーの先頭に居た、独特な形状の三角帽子を被った赤茶色い髪の少女が扉の前に立ち、

「てやーーーーーーーーーーーーーっ!!」

右手に装備した鉄の爪…でなく、皮製のグローブを填めているだけの左拳で、扉の錠前を粉砕したのだった。

 

「やた…やった!出来たわ!

さあ、行きましょ!」

鍵の壊れた扉を開き、気分良く前に進んで行く少女。

 

「姫様は確か、マスターキーみたいなのを持っていたよね?

そんなに新しい技を試したかったのか…

ま、いいや、さあ皆、行こうよ!」

鉄の装備に身を固めた戦士風の若い男が残った仲間達に声を掛け、先頭を歩く少女を追う。

その後に聖職者の衣を着た男、商人らしき出で立ちの男、そして所謂バニーガールの格好をした女が続いて行った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「うっわ?錠前がボロボロじゃないの?

一体どんな武器使ったのよ?」

洞窟に入り、俺達の最初に目に写ったのは開かれた巨大な扉。

そして、床には、その扉を閉ざしていたのであろう、錠前が破壊されたと思わしき鉄の欠片が転がっていた。

 

「恐らくは…素手だ。」

「「え゙?」」

マーニャさんの疑問に俺が推測込みで答えると、皆が驚いた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

話はかなり遡る。

それはフィーグがエンドールから旅立つトルネコをブランカまで護衛として同行し、一時的に帰郷した日の夜の事。

フィーグは街の外の森の中で新技の特訓に励んでいた。

 

「せぃやぁっ!!」

大木に向けて槍の連打。

「ふぅ…まだまだだな…納得いかねー…」

自身が頭の中で描くイメージと、実際の身体の動きが合致しない様だ。

そして気を取り直し、もう一度、打ち込みをしようとしたその時、

「こんばんは♪」

「!!」

不意に声を掛けられる。

その声がした方向を振り向くと、そこには独特な形状の三角帽子を被り、セミロングな後髪をカールに巻いた赤茶色い髪の少女が笑顔で手を振っていた。

 

「(あれは…アリーナ…姫…?)」

その容姿は紛れもなく、サントハイムのお転婆姫その人だった。

 

翌日には砂漠越えの為にノースサンドラを目指すというアリーナ。

その夜はなかなか寝付けず、街の外を散歩していたら派手な音が聞こえたので、その音の元まで行ってみたら、大木に向けて槍を突いているフィーグが居たという。

 

その後は互いに自己紹介して、エンドール武術会の話や技の鍛錬や修行方法の話する2人。

アリーナは先程、フィーグが槍を突いていた木に手を当て

「この槍の痕…人体に置き換えてみると、眉間、顎、鳩尾、それと両方の脇腹…確実に人間の「急所」を突いているのね。」

「流石はアリーナ姫様。

コレは本来は剣術の技ですが、その源流は実は拳闘術。

ですから、姫様も鍛錬次第で習得は可能ですよ。」

「そっか~!えっと…こんな感じ?」

ドゴオォォォォォォォン!

まるで落雷の如き轟音を響かせ、大木に左の拳を5連打したアリーナ。

 

「凄ぇ…殆ど完璧じゃねぇか…」

才能…その存在を目の当たりしたフィーグはガックリと頭を垂れた。

 

更に会話は続き、

「あたしも何か、強力な必殺技が欲しいんだけど…」

アリーナの台詞に

「ん~、こういうのは…」

フィーグは地面に落ちている石を拾い、話し出した。

 

「今から話すのは、大昔に読んだ、とある文献(笑)にあった技で、既にかなり虚覚えだけど…

因みに俺は、習得していない。」

「ええ…」

「いいかい?今から姫さんは、この石を壊す為に拳を打つとする。

(中略)まず、こんな感じに拳を立て、石に初撃を放つ。

その衝撃が石に伝わった瞬間に、こういう風に拳を折って第2撃を入れるんだ。

するとそのパワーは分散される事なく、完全に対象…この場合は石に伝わり…」

「石を完全に…破壊する…?」

「いぐざくとりー(その通り)。」

「凄い!早速やってみる!

その石、貸してみて!」

フィーグが手にしていた石を、ポンとアリーナに投げ渡すと

「えぇい!」

石を受け取ったお転婆姫は、フィーグの説明に習い、拳を当ててみる。

「あら?失敗?」

その石は粉々に砕けたというより、バラバラに割れたという表現が正しかった。

「ははは…それじゃ只の二度撃ち。

そんなに一朝一夕で習得出来る様な代物じゃないさ。

文献曰わく、その技の始祖でさえ、頭の中のイメージから実際に完成させるまで、約1月掛かったらしいからね。」

「ん!頑張るわ!

それで、この技の名前だけど…」

「あぁ、その技の名は…

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…てな事があってね。」

「なるほどね~。

…で、その技が完成した結果がコレ?」

錠前の欠片を拾って呟くマーニャさん。

 

「お、お、お、お…」

「お?」

ガシィ!

いきなり爺さんが俺の両肩を掴み、

「お主かーっ!

お主じゃったかーっ!

お主が姫様に要らぬ事を仕込んだかーっ!?」

涙目になり、俺の体を思いっきり揺さぶりに揺さぶる。

 

「お、落っ着け爺さん!

と、とりあえず姫さん達に追いつこう!

なっ?」

「姫さん?」

「あぁ、彼女、どうしても「様」で呼ばれるのが嫌らしくてさ、本人は呼び捨てで構わないって言うけど、流石にそれは…ね。」

「それで、「姫さん」…ですか。」

 

 

洞窟内を早足で進んで行くと、前方に奥へと進む数人の人影が見えてきた。

すると、

「姫様ぁ~~~~~~~~~~!」

「じ、爺さん?」

ブライ爺さんが、その目の前の一団目指して全力で走りだした。

 

 

 

 

「あれー!ブライじゃないっ?!

一体どうしたのよ?

こんな所までくるなんて?」

「姫様、私も、この方々と共にパデキアの種を取りに来たのでございます。」

ブライ爺さんの「姫様ぁ~!」の声にアリーナ姫が此方に気づき、姫さんパーティーと会話が始まる。

 

「ふ~ん…それなりに強そうな人達じゃない…って、えぇっ?!」

「や、姫さん、久しぶり。」

「フィーグ?あ、あなたがブライと一緒に来てくれたの?」

俺と爺さんが同行してたのに驚く姫さん。

 

「「フィ、フィーグ!」」

「よっ、ハスターとプレヤ、お前達も、おっ久♪」

そしてアリーナ姫は、俺の知ってる顔を何人か連れていた。

「フィーグさん、アリーナ姫だけでなく、こちらの人達も知り合いなのですか?」

ソロが俺に聞いてきた。

 

「ああ、ブランカの昔からの友達で、戦士のハスターと僧侶のプレヤ。」

「プレヤと申します。

よろしくお願いします。」

「ハスターだよ。

よろしくって…え?キミは…」

プレヤとハスターが、俺に紹介され、それぞれ挨拶し、更にハスターがソロに話し掛ける。

 

「やあ、また会ったね。覚えてないかい?

ブランカ城で会ったじゃないか。

あの時は仲間にしてあげられなくて、すまなかったね。」

「ああ、あの時の…

あの時は本当にすいませんでした。

砂漠越えの為にレンタルした馬車が4人乗りだった物ですから…

あの時、既に4人パーティーだったのに、このハスターが何も考えず、パーティーに誘ってしまって…」

更に思い出した様にプレヤも言葉を続けていった。

 

「いえ、全然、気にしてませんから…」

ソロが俺と会う前に、ハスター達とコンタクトがあったのは原作知識で知ってはいたが、その時にパーティー入りがなかった理由は、所謂「悪いな、の〇太。この馬車、4人乗りなんだ」の悪意無いversionだったのか…。 

 

「兎に角だ姫さん、目的は一緒な訳だし、少し人数が多い気がするが、此処は協力するって事で行動を共にしないかい?」

「そうね!この人数だと戦闘が楽になるのは、少しつまらない気がするけど、人が沢山居た方が、探し物も早く見つかるでしょうしね!

早くクリフトを助けないと!

それにフィーグとも、久しぶりに色々と話してみたいし!」

「決まりだな。」

こうして、9人パーティーが結成された。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

その頃…

「はぁ…姉さん達、大丈夫かしら?」

「フィーグさんがいるから心配ありませんよ。

あ、大富豪、きました。」

「えー?また負けですかー?!」

「ミネアさん、顔に出過ぎなんです。」

洞窟の外、留守番役の2人は馬車の中でカードゲームに熱中していた。

 

 

「トルネコさん、もう1回勝負よ!

次こそは負けn「ボォウヒヒヒーーーン!!」

「「「「ひぃっ?!」」」」

「「え!?」」

いきなりパインウインドが雄叫びを上げ、驚いた2人が馬車から顔を出して外を覗いてみると、逃げる様に洞窟内部に走っていく、数人の人影を見たのだった。

 

 

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