「立ち聞きとは、ナイスな趣味してるね?詩人さん?」
「ひぃいぃいぃ…っ!」
倒れ込む様に入ってきた詩人の首筋に槍を当てると、
「ひぃい!」
「ちょっ、フィーグ?」
「フィーグさん、気持ちは何となく分かるけど、ここは抑えて!」
「フィーグさん、とりあえず話を聞くだけでも…」
「ふん…」
皆が止めるから槍を納めた。
本当は原作知識で詩人が立ち聞きしていたのは知っていたが。
「すいません…悪いとは知りつつ、立ち聞きしてしまいました。」
「…で?」
「其方のソロさんが、まさか世界を救うと云われる勇者様だったとは!」
最近の世界各地での魔物の活発化により、時事通信にも地獄の帝王復活の噂の記事が多く取り上げられ、同時に其れを倒すという勇者の存在も記事に少なからずなっていた。
ただし、ソロという人物までは辿り着いてはいない。
「ソロの事は出来れば、まだ公にはしたくないんだけどね?消すか?」
「ひぇえ!」
「フィーグさん!」
「ははは…冗談だよ♪…それで?」
「以前、この宿に泊まっていたライアンという旅人が勇者様の情報を求めていたのです。」
「ライアン…」
「詩人さん、それで、そのライアンという人は何処へ?」
「遥か西の国…キングレオに行くと言っていました…」
「「!!!!!」」
詩人の「キングレオ」という言葉に、マーニャさんとミネアさんの顔色が一瞬、変わった。
「ライアンという名前…
そして、キングレオの地。
感じます。運命の導きを…」
「運命とか、そんなの関係ないわ!
キングレオと聞いては、黙ってなんかいられない!
さあ、行きましょう!
あたし達の故郷へ!」
「まあまあ、この先は、とりあえずマリーさん達が戻ってから決めよう。」
キングレオという言葉を聞いてから、気がはやるマーニャさん達をなだめて、俺達はマリーさんとプレヤが戻るのを待った。
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「ただいま~。」
「皆さん、お待たせしました。」
マリーさんとプレヤが戻ってきた。
「あら?アリーナ姫は?」
「ああ、姫さんなら…」
姫さんと爺さんとクリフトは、ソレッタへ向かっていた。
一応、クリフトの病気がパデキアのお陰で治ったので、ソレッタ王にお礼と報告をしに行ったのだ。
そして俺達は、姫さん達が戻ってくる間に、今後どうするかの打ち合わせを宿の講義室を借りて行う事に。
「先ずはコレ、はい、フィーグ。
カンダタ一味を捕らえた報奨金よ。
単純に人数分けでいいかしら?」
「ん。それで良いよ。」
カンダタ一味はエンドールの監獄から脱走したので、一応の拘置義務はエンドールにあった。
故郷のブランカの警備団に突き出しても良かったのだが、エンドールのメンツ等を含め、この先、ブランカと要らぬ衝突が起きない為の判断だ。
経済大国エンドールの報奨額のが大きかったとか、断じて、そういう事ではないと言ってるのはマリーさん。
「それから、あたし達はブランカに戻るわよ、ハスター。」
「はい?」
マリーさん曰わく、エンドールまで行ったついでにブランカに戻り、ブランカ王に近況報告をしに行ったのだが、その時、国として改めて、地獄の帝王討伐部隊を組織する事を聞いたらしく、更にはマリーさんも、そのメンバーに選抜されたらしい。
その際にハスターをメンバーに推薦したと言う。
プレヤも教会から戻る様に言われたみたいで、それなら、ゼニーも、一度故郷のノースサンドラに帰るという運びになり、ハスターチームは解散となった。
で、それなら、ゼニーも、一度故郷のノースサンドラに帰るという運びになり、ハスターチームは解散となった。
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「それじゃ、またね。
マーニャ、今後、会う時までは既成事実作っておきなさい♪」
「おバカ言ってるな!」
「ははは…じゃ、また…マリーさん、ハスター。プレヤとゼニー氏も…」
「あ、そうだフィーグ、はいコレ、お土産だよ♪
会うんだったらって渡してくれって、おばさんに頼まれたの。」
「?」
マリーさんから渡されたそれは、【密林配送】からブランカの自宅に届けられた、所謂お宝本『悩殺教室』の最新刊(完結)だった。
しかも何故か、包装がされていない、「ぴー」なイラストの表紙が剥き出しの状態で。
(」゚O゚L)
「ノオォオオォオォォォォォオオォォ!」
「ほほぅ…フィーグ、後で見せてね♪」
「フィーグさん、不潔です。」
「……………………………………。」
「マリーさん?」
「ん?何?」
「コレ、包装してなかった?」
「あぁ、あたしが破いた。」
やっぱりアンタかい!?
「おばさんの前で。」
止めえぇぇぇえぇい!
そして、マリーさん達はルーラでブランカに戻って行った。
多くの傷痕を残して…
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「さてっと、次は姫さん達が戻ってくるまで待機だな。」
「私は船に戻りますよ。
船長達とキングレオへ向かう準備をしておかないといけませんからね。」
「分かった。旦那、よろしくな。」
「あ、私も戻ります。
宿屋でアリーナさん達を待つのは最低限の人数でいいですよね?」
「確かにそうね。
じゃフィーグ、後は任せたわ。」
「え?俺?まあ、いいけどさ…」
旦那達は俺を残し、船に戻って行った。
俺1人、一番安い部屋を借り、ゆっくりと休む。
件のお宝本を読みながら…
「…あら、結局、あのタコ先生を堕としたのは、こっちの男の娘だったか…」
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その少し後に、恐らくはマーニャさんから聞いたのであろう、ホフマンが「俺にも『悩殺』見せてくださいよ~」と部屋に入ってきた。
あ、そーいやコイツも自宅の方に注文してたんだよな。
とりあえず一通り読んだ後だから、貸してやると、喜び勇んで自室に戻って行った。
時事通信に目を通してみると、キングレオが国内でかなり無茶な政策を行っているとか、そういう記事が載っていた。
そして…
「なぬ?おいおい、「週刊跳躍」連載中の冒険譚『狩人乃二乗』、また休載…だと?」
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次の日の昼過ぎ、姫さん達が帰ってきたので、チェックアウトを済ませ、俺達はキングレオへ向かうのだった。
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『暗殺〇〇〇』なる小説も書いてみました。
是非とも、お試しあれ。