「上陸するなら、この地点くらいしかないですねぇ…」
「上陸出来る様なポイントがあっただけ、奇跡でしょ?」
「「「う~む…」」」
ミントスで姫さん…サントハイム王女のアリーナ姫と、そのお付き2人を仲間に加えた俺達は、キングレオを目指す事となりった。
俺達は今、その海路の途中にある大陸の村、リバーサイドにいる。
少しばかりの休憩と、物資の補給買い溜めが目的だ。
マーニャさんが酒場もカジノも無い!…とか、ブーたれていたが無視。
明日の朝には、キングレオを目指して海に出る訳だが、ここで問題が。
キングレオ領は現在、ハバリアを始めとして、全ての港が閉鎖されている。
つまり、まともに船を着けられる場所がないのだ。
そんな訳で今は船の中の一室で、船を何処に着けるかをテーブルの上に地図を広げてミーティングの真っ最中。
因みに話し合いに出席しているのは、俺、旦那、船長、副船長、航海士、あとモブな船乗りが数名ほど。
結局は、航海士さんが地図上に指を差したポイント…位置的にはコーミズ村の真西になる、険しい岩山に挟まれている草原…
ここに僅かだが、船を陸に着け、馬車を降ろす事が可能なポイントがあったのだ。
「では、今日はここまでとしよう。
明日は早くから出発するから各自、体を休めておくように。それでは解散!」
船長の一声で会議はお開きに。
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「船長はモンバーバラに行かないの?」
「ふっ…別に必要ないだろ。」
「いやいや、久しぶりに御父上に会えるんじゃないんですか?カノン船長?」
「今更、会って嬉しがる歳じゃないさ…
俺も、父上もな…」
俺や副船長の言葉をサラリと流す船長。
この船の船長であるカノンの父親は、なんと!今はモンバーバラの劇場で毎晩、お笑いライヴを開いている、現役にして既に伝説の二つ名を持っている、あの!パノンなんだぜ!
因みに、この息子には、お笑いの才能は皆無な様だ。
まあ、この男に其れを求めるのは、余りにも無茶振りな訳なのだが…(笑)
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次の朝、船長の「錨を上げろ」の合図と共に、リバーサイドを出発。
航海中、俺達には基本的にやる事はない。
何故なら俺達は、船のオーナーである、トルネコの旦那の友人ポジだからね。
船員達の邪魔にならない限りはフリーなのだ。
ぶっちゃけ、魔物が現れても、大抵は船員達が片付けてくれる。
まあ、姫さんは喜び勇んで戦闘に参加するし、ソロも修行として、俺がムリヤリにバトらせている。
その姫さんは現在、デッキの船首側で、シャドーしてるし、ソロは後ろ側で剣を振っている。
因みにソロは新技の鍛錬中。
ミントスからリバーサイドに行く途中で魔物に襲われた時、船員の1人が…あ、俺の知る限りでは、普通、船乗りって言うと短剣やナイフ、あとは銛なんかを武器にして戦うんだけど、その男は珍しく、普通に長剣を握って戦っていた。
そして彼が繰り出した技に何かを感じ、ソロに教える様に俺が頼んだのだ。
それに快く?応えてくれた海の男はソロに技の一通りの基本を叩き込んでくれた。
後は反復練習と実戦で完成させるのみ。
マーニャさんは相変わらず『ぴー』な水着を装備(笑)して、日光浴。
船乗り達のテンションが上がる上がる(笑)。
残りのメンバーは中の船室でくつろいでいるよ。
え?俺?
俺は…
とりあえず今は、マーニャさんの隣に椅子を置いて、リュートを弾いてる。
「フィーグー、次は少し静かなの弾いてみてよ~?」
「はいよ♪」
~♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪…
果物タップリ入れ込んだトロピカルっぽいドリンク(料理長自信作)を片手に曲をリクエストするお姉さんの期待に応えています。
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ガンっ!
「ぉおっふ!」
「きゃあ!」
突然、船が大きく揺れた。
偶々、椅子から離れ、立ち上がっていた俺は、バランスを崩して倒れ込んだ。
倒れた先には柔らかいクッションの様な物があり、大事には至らなかったのだが…
「フィーグー?
いつまで、そーやってるのかしら?」
「で、出来たら永遠に?」
バランスを崩した俺は、何も無ければデッキ床に顔面を痛打する処だったが、そこには運が良いのか悪いのか、マーニャさんが居て…簡単に言えば、所謂ぱふ〇ふな状態になっていたのである。
わざとじゃないぞ、本当だぞ。
「あー、なんだか無性にサメの丸焼きが食べたくなってきたわー。
誰かー、エサなら此処にあるから、ロープ持ってきてー。」
「ま、待て、この海でハングドマンは流石に洒落にならんぞ?!」
「「「はい、どーぞ、マーニャさん!」」」
すると、数人の船員がガチにロープ持って来やがった。
「お前等ー?」
「「「フィーグさんばっかし美味しいのは許さないッスよ!」」」
涙を流してまで訴える事か!?
ガンっ!
「ぬぉっ?」
「きゃああ!」
「「「あ゙ーーーーーーーーーーっ!」」」
再び、船が何かにぶつかった様に大きく揺れた。
そして、またもや俺は、マーニャさんを押し倒す様な形になってしまい…
「フィ~グ~?少し、頭冷やそうか?」
「待て、わざとじゃないんだ!」
「「「何でフィーグさんだけ?!」」」
泣きながら文句を言う船員達。
更には
「何なの、今の揺れは?…て、フィーグさん、姉さん、何してんですか?!
不潔です!」
「「いや、誤解だから!事故だから!」」
ミネアさんが慌てて飛び出して来て、愉快な誤解をしてくれる。
「とりあえずフィーグ、早く退きなさい!」
「あぁ、すまない…」
立ち上がり、マーニャさんの手を取り引き起こすと、
「「何ですか?今の揺れは?」」
「何なの?何があったの?」
…次から次と、皆が出て来て、導かれし者達が勢揃い(現状)した。
更には
「何事だ?」
カノン船長まで出て来た。
「船長、舵取りは良いのかよ?」
「うむ、今は副船長に任せて、私は仮眠していたのだが…」
ガンっ!
「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」
そして三度目の大きな衝撃と揺れの後、船の前方から2本の巨大な触手が現れた。
俺達から見て、右側の触手が手招きする様な動きを見せ、
「気に入らねーなー?」
触手が喋った?
…と、思うと、今度は左側の触手が同じ様な動きをして
「おぅ、気に入らねー気に入らねー!」
どうやら、2本の触手を2人の人物に見立て、1人芝居をしている様だ。
そして次は両方の触手が同じ動きをして、
「この、海の覇者、オセアーノン様に挨拶も無しで、この海域を素通りするのが気に入らねー!」
ザッバーーーーーーーーーン…
そう言うと、海の中から触手の本体の、巨大なイカが姿を見せた。
見た目は大王イカだが、大きさは半端なくデカい…ってか、デカ過ぎ。
「チース、オセアーノンサン、コンニチワー、コノウミ、トオサセテチョウダイネ、ジャ、トオルカラネ、アリガトウ。」
「何言ってんだ、あんたわーっ?!」
俺じゃないぞ、今回は俺はツッコミだぞ!
今回、こんな人をってかイカを舐めた様な発言をしたのは…
「いや、挨拶云々と言ってるから、平和的にだな…頭下げるだけで無事に航海出来るなら、安い物だ。
船長として、乗っている者達の安全を最優先にだな…」
「そういう問題じゃないだろ!黒サガ!」
「だから違うと言っているだろ!」
船長のカノン…。
実はこの男、某・聖なる闘士が活躍する世界からの転生者だった。
顔は悔しいが、かなりのイケメンに分類され、癖のある黒い長髪に血走った紅い目…どう見ても、あの双子座の黄金聖闘士の悪バージョン(原作版)だ。
最も本人は、自分はその双子の弟だと言っているのだが。
「貴っ様等ーっ!
この俺様を舐めてるなーっ?!」
ビシィ!
自らをオセアーノンと名乗った巨大イカが怒り出し、触手でデッキに攻撃を仕掛けて来た。
「ふむ、せっかく人が穏便に済ませようと挨拶したのに攻撃してくるとは…
こうなれば仕方あるまい。
よろしい!ならば戦闘だ!」
あんたわ少佐かっ?!
てゆーか、最初から戦る気満々だったろ?
「魔法が使えない者は下がっていたまえ!
む?お嬢さん達と御老人、貴方達は手伝って貰えるかな?」
「は、はい!」
「うむ!」
「任せなさい!メラミ!」
船長の要請に、早速マーニャさんが魔法を放つ。
「僕も行きます!炎よぉ!」
ソロも破邪の剣から炎を飛ばして攻撃。
「ナイスだ少年!
よし、遠距離攻撃や魔法が使える者はガンガン行くぞ!
フィーグは前衛でガードしてくれ!」
「俺は壁かよ!?まぁ、仕方なしか…」
黒サガ…いや、カノン船長の指示に、俺は渋々だが好手故に従い前面に立ち、クロスボウを手にした船乗り達が一斉射撃を開始する。
「フィーグさん、これ!」
船乗りの1人が俺の槍を持って来て渡してくれると、無駄なアクションと言う事なかれ、手にした槍をグルグル回して大見栄を張ったポーズ取り、
「サンキュ!よし、行くぜ!」
戦闘体制を整えた。
「バギ!」
「ヒャダルコぢゃ!」
そしてミネアさんや爺さんも呪文を連発。
そしてカノン船長が…
「見るが良い!
銀河の星々が砕け散る様を!」
そう言いながら、自らの両腕を手首の位置でクロスさせて、そのまま頭上に振り上げるた。
「これは、まさか…?!」
「ギャラクシアン・エクスプロージョン!
ィォ…」
ドゴオオオオオオオォン!
「ぐっぱあ!」
オセアーノンの顔前で爆発が起こし、それなりのダメージを与えるが…
「今の何処がギャラクシアン・エクスプロージョンだ!
只のイオじゃねーか!
最後にボソッと言ってたの聞こえたぞ!
あの技を生で見れると思って期待したじゃねーか!俺のワクワク、返せー!」
「仕方あるまい、転生した この身体では、小宇宙(コスモ)が使えないのだ!」
「吉良君は転生しても、小宇宙を燃やして聖闘士の技を使ってるぞ!」
「誰だ、それは?」
…当然だが、この転生云々のやり取りは、他の皆には聞こえない様に言っている。
「クソ人間がぁ!舐めた真似を!」
怒った巨大イカが触手を伸ばして攻撃してくるが、
「遅い!」
ズバッ!
それを槍で捌く。
前衛としての仕事はキッチリこなすのだ。
「えぇい!デカい図体は伊達ではないか!」
確かにHPは、その巨体に見合って、かなりな数値な様だ。
「船長、冥界波(ザキ)かましてやれ!」
「あんなイメージ悪い技、出来るかっ?!
しかし、此処はヤツを倒すより、この場を安全に切り抜けるのが最優先事項なのも確か!」
何だか世界中の蟹座の皆さんに凄く失礼な言葉(参考までに、この世界には星座の概念はない)を言い放つと船長は、右腕で三角形の軌跡を描き、
「さあ、異次元の彼方まで飛んでいけ!
ゴールデン・トライアングル!……」
そう叫ぶと、
「ぬわーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
巨大イカ…オセアーノンは、遥か北方の彼方に吹き飛んでいった。
…バシルーラだよね?
畜生、ゴールデン・トライアングルの後に、何かボソボソ言ったのだけは分かったのだが、聞き取れなかった…。
因みに後日、エンドールの海岸に突如現れた巨大イカが、その場に偶然、居合わせていたブランカ兵団に討伐された記事が世界時事通信に載るのだが、それは別の話。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「陸が見えてきたぞー!」
ミントスから出発してリバーサイドに…更に数日の航海を経て、俺達はキングレオに上陸しようとしていた。
因みに筆者は蟹座の生まれです(笑)。