そう、俺達の旅は今、漸く始まったのだ!
ご愛読ありがとうございました!」
「フィーグさん…何だか何気に、凄く縁起の無い事を口走っていませんか?」
「俺達の冒険は、まだ終わらない!」
「また…」
ごめんよミネアさん…
以前からライアンが仲間になった時、一度は言ってみたかったんだ。
そんな訳で、仲間入りするエピソードにも拘わらず、キングレオでは途中退場で殆どバトルで魅せ場が無かった、ライアン(救済)回です。
第3章:そして導かれし者達
海賊船バトル
♪DANDANDAN!♪DANDANDAN!
♪DANDANDAN!♪DANDANDAN!
♪DANDANDAN!♪DANDANDAN!
♪DANDANDAN!♪DANDANDAN!
「♪バディ ヨア ボイ メカ ビグノイズ
プレ ィザ スィゴナ ビアビッマッサンデ♪
♪ユガッ マドン ヨ フェイス
ユ ビッディス グレイス♪
キキ ニョア キーャノ
オヴァ ザ プレイス♪シィギ
「「「「「「「♪ウィー ウー ウィー ウー
ロッキュー!
♪ウィー ウー ウィー ウー
ロッキュー!」」」」」」」
皆、サビだけはキチンと歌えるんね(笑)。
ライアンを仲間に加え、トリートーン号は彼の故郷であるバトランドを目指して航海中。
デッキでツインネックのリュートを弾いていたら、船員(クルー)がノリノリな曲をリクエストしてきたから応えてやっていた。
…てか、俺って既に、この船の楽師ポジションですか?
ポツポツッ…ポツッ…
ザザザザザー!
「げっ、まじかよ!」
「うっそ?サイテーっ!」
そんな事を考えていたら、いきなり周りが黒雲に覆われると同時に土砂降りな雨が。
運悪く見張り台に位置していた船員(クルー)以外は船内へ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆「カン!いっくわよー!
嶺上開花四重奏(ブロッサムカルテット)!!!!」
「うぐぐ…」
「おーっほっほっほ!
ほら、フィーグ!さっさと脱ぎな!
あんたの その御粗末な『ぴー!』、晒してやるからさぁ!」
どうして こうなった…?
まあ、何故かと言うと、雨の中、船内で船員の皆さんと雀卓を囲んでいたら、いつの間にかマーニャさんが乱入してきて、それだけなら良いのだが、これまた いつの間にか、負けたら脱ぐルールに発展。
既に同席していた2人は身包み全部剥がされ、俺とマーニャさんの一騎打ちに。
てか、この お姉さん、普通に強ぇー!
それに加え、予め色々と重装備に着込んできた卑怯者。
しかし、
「おら!大四喜(ヘイロー)!」
「うっそぉーん!?」
「ぎゃはは!大〇田信者舐めんな!」
「「「「大和〇って誰?」」」」
この時点で、俺はボクサーパンツ1枚、マーニャさんは所謂オフィシャルイラストな踊り子の服(装飾品は既に無し)の上下2枚となっていた。
「どーする?姉さん?
今なら ちゅーで勘弁してやるぜ~?」
「あ、あんたこそリーチじゃないの?
今なら、この前の臨時収入半分で許してあげるわよ?」
「別に~?負けても女の人って今、姉さん1人だけだし~?
この場に姫さんやメルシーちゃんが居る訳じゃないし~?
ま、俺は、居ても関係なく脱ぐけど~?」
「う…上等よ!」
くくく…姉さん、背中が透けてるぜ?
…そして、
「ロン!国士無双十三面(ライジング・サン)!!!」
「い、いやああぁあぁぁぁぁあ!」
「「「「ひゃっほーっい!」」」」
俺以上にギャラリーの船員君達大喜び。
「フィーグさん、ぐっじょぶっす!」
「フィーグさん、最高っす!」
「フィーグさん、一生付いていくっす!」
もっとだ…もっと俺を誉めてくれ…
親指を痛くした甲斐があったぜ(笑)。
「よし、それじゃ、お前等、退室な。」
「「「「「え?」」」」」
「『え?』じゃねーよ。
お前等に姉さんの御胸様を見せれるかよ!
あれは俺だけのもんだ!バカヤロー!」
「いや、ちょっと待て、何時から あんたのもんになったのよ!」
マーニャさんの突っ込みに対し、「何でぇ…違うのかよ」とか思ってると、
「巫山戯るな、テメー!」
「1人で堪能するのは卑怯だぞー!」
「さっきの賞賛、返せ!」
「「「「ぶーぶーぶーぶーぶー!」」」」
さっきまで俺の勝利を讃えてたのに、掌返しで意味不明な文句を言い始める船員達。
「しゃあらっぷ!
今宵のケイジは血に餓えてるずぉ?」
「「「「ひぇっ?!」」」」
仕方ないから、槍を突き出して、ムリヤリに退場して貰った。
さて…
「…で、マーニャさん、どうする?
上、取る?今ならコレで妥協するぜ~?」
…と、自分の右頬を指差す俺。
「よし、分かった。歯ぁ、食いしばれ?」
顔を赤らめて、左肩を右手で押さえ、左腕をぶんぶん回すマーニャさん。
「違うだろ!?」
「う…わ、分かったわよぉ…」
お?ついに観念したのか、俺の右頬に顔を近付けるマーニャさん。
ドキドキドキドキ…
ドンッ!!
「きゃ!」
「おわっ!危なっ!」
ドサッ!
「「~~~~~!!?」」
バタン!
「姉さん、フィーグさん、大変よ!海z…
きゃあぁ~~~~~~~~~っ!?
ふ、2人共、何してるのよ?不潔よっ!」
「「いや、事故だから!誤解だから!」」
「それの何処を どう見間違えたら、誤解に見えるのよ?!」
まぁ…アレだ…。
あと少しでマーニャさんの唇が俺の頬に触れる直前、船が何かにぶつかった様に激しく派手に揺れ、その勢いで俺はマーニャさんに、その…押し倒される形になり…
所謂、頬で終わらない結末になってしまった時に、ミネアさんが部屋に入ってきて、ぐだぐだな展開になった訳でして…
奇しくも その前に麻雀(…の様な卓上ゲーム)の敗者ペナルティーで互いに半裸状態だったのが、尚更 誤解に拍車を掛けたってゆー、ベタなオチが憑いてしまい…
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「何ぃ?海賊船ん?」
「えぇ、しかも、モンスターの!」
あの後、慌てて服を羽織りプロテクターを装着した俺は、どうにか誤解と納得してもらえたミネアさんと一緒にデッキに駆け上がった。
甲板の脇にはトリートーン号より一回り大きい帆船が。
しかも その大きな黒地の帆には、何とも判りやすい髑髏のマークが。
その船から多数のモンスターが此方側に押し掛け、船員達やソロにライアン、トルネコの旦那やクリフトも、未だ土砂降りの雨の中、魔物撃退に参加していた。
「船長!」
ズバッ
すぐ傍で魔物と応戦していたカノン船長に駆け寄り、斧を振るっていたバーサーカーを切り払う。
「おぉ、フィーグ!」
「一体、どうなってるんだ?
それに、この数、普通じゃないぞ?」
シードッグやガーゴイルを凪払いながら、状況説明を求めると、曰わく、『この船は いきなり、その姿をすぐ近くに現したと思うと急接近、そのまま体当たりしてきた』らしい。
「成る程、船ごとルーラか何かをしてきた感じか…?
さっきの大きな揺れは、その時な訳ね…」
あの揺れの御陰で、俺はマーニャさんと…
どうも、あざーっす!!…って、今は んな事を言ってる場合ではないか。
「姫さんは?こんな場面で外に居ないって、何かあったか?」
「姫様達には、船内の奥に非難している、非戦闘要員の船員さん達のガードを頼んでいます!」
俺の疑問には、襲ってきた骸骨剣士を、手にした細剣で十字の軌跡で切り払ったクリフトが答えてくれた。
あれが、噂に聞くアンデッド特化の聖・十字剣か…
あれも、いつかソロに覚えさせたいな…
それにしても…
「うっ!次から次と?!」
「うむ!如何に彼方の船がデカいと云えど、この魔物の数は尋常ではないぞ?!」
ソロの台詞にライアンが続ける。
「あの船はルーラの様な魔法的な力で、この場に現れた…
もしかすると船内にも、魔物を転移か何かで無尽蔵に呼び込む魔法的仕掛けが在るかも知れないな!」
「それだ、船長!」
船長の仮説に同意する俺。
「…だとすれば向こうの船に乗り込み、モンスターの大源を断ち切らないと終わらないと言う事か!では、誰が攻め入る?」
「うむ!ならば、儂が!!」
カノン船長の呼び掛けに、先ずはライアンが名乗り出る。
「よし、俺も行くぞ!」
続いて船長自身も名乗りを挙げるが、
「いや、船長は この場で指揮を取っていてくれ!」
「む…」
「クリフト、旦那!行けるか?」
「は、はい!」
「勿論ですとも!!」
「よし、決まりだな。
船長、出向くのは この4人だ。
ソロ、この場は任せた!俺達が向こうを片付けるまで、保ち堪えてくれよ!」
「はい!」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
俺、ライアン、クリフト、旦那の4人が、海賊船のモンスター共が此方の船に攻め込む為に掛けた簡易式のタラップまで、デッキ上を走る。
しかし、此方の動きに気付いたのか、そのタラップを無数の魔物が駆け降りてきた。
「ちぃ!意地でも そっちには行かせない考えかよ!?」
「ならば、この俺が道を開こう!」
「「「「船長!」」」」
俺達の後ろにカノン船長が立っていた。
攻め込むモンスター達と戦いながら、船長が俺達に話し掛ける。
「良いか?俺が、あの橋を降りてくる魔物に向けて、デカいのを放つ。
その時、邪魔が居なくなった隙に、お前達は上まで駆け抜けて行くのだ!」
「「応っ!」」「「はい!」」
船長がクロスさせた両腕を頭上に上げる。
「では行くぞ!銀河をも砕く一撃!!
Galaxian Explosion!!…io」
ドゴォン!
橋を降りて攻め込むモンスターの群れを、カノン船長が銀河爆砕…でなく、只のイオで吹き飛ばした。
…もう、突っ込まないよ、俺。
「…今だ!走るぞ!」
そして俺達は魔物達の海賊船に乗り込むべく、タラップを駆け上って行った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「しっかし、こりゃ海賊船て言うより…」
「幽霊船の方が正しいかも…ですね。」
大雨の海、突如、トリートーン号を襲ってきた魔物の船。
モンスターの侵攻の隙を突き、この襲撃の元凶を叩くべく魔物達の船に乗り込んだ俺達を待っていたのは、不死(アンデッド)系モンスターの群れだった。
「マジに旦那とクリフトが居てくれて、良かったぜ。」
ふぅ…コッチの船を襲ってきた魔物にも、少しは不死系の魔物はいたが、此処までホラーハウスみたいに、うじゃうじゃとは居なかった。
腐った死体が集団で襲ってきたのを旦那の正義の十露盤の破邪光(ニフラム)で、消し去った処だ。
更には宝箱の蓋を開けた訳でもないのに、人食い箱がその口をガチャガチャと開閉しながら襲って来た。
「でぇいや!」
バキィ!
それをライアンが、通常は両手持ちで装備するのが普通である、鋼の大剣を軽々と片手でフルスイング。
その一撃で人食い箱は完全破壊された。
そして
「雷光流転槍!」「聖・十字剣!」
俺がバーサーカーに向けて高速の連撃を、クリフトも聖職者に伝授される不死系特効の剣技を以て、ボーンプリズナーを退けていた。
「魔物の巣窟と化してますが、所詮は船。
ダンジョンと違って中の造りは、そこまで複雑ではないでしょう。
何処かに魔物を転移させている…恐らくは旅の扉みたいなシステムがある筈です。
先ずは其れを探し出して叩きましょう。」
「分かりやすいな。」
「判りやすいですね。」
不死系の魔物のオンパレードを突き進んで行くと、下層船室の扉の前に、如何にも この部屋を護っていますって感じの、煉瓦を積み重ねて人型を形成した様なモンスター…ゴーレムがいた。
もう既に、モンスターに関しては『Ⅳ』のナンバリングとかの概念は捨てるべきだと実感した。
船内に配置する為にサイズを小さく調整したのだろうか、身長約2㍍と、恐らくは標準的な大きさのゴーレムではないだろう。
「うわっ、危ない!」
ドカッ!
それでも充分過ぎる位に、驚異的な攻撃力を持つゴーレムがパンチやキックを繰り出していく。
その攻撃を避ける度、壁や床が破壊され、大穴が空いていった。
「この儘、破壊活動続けて貰って、船を沈めるのもアリかもな!」
「フィーグさん、あなた今、本気で言ってますね!?」
「今、船が沈んだら、我々も溺れてしまいますよ!」
ち…駄目か…
「くっそ…!
小型だからなのか、見た目以上にスピードもありやがるし…」
「残念ですが、コイツには破邪光(ニフラム)も効かないですね!」
俺も さっきから、千峰塵や牙突を放っているが、頑丈過ぎて大してダメージは与えられない。
「儂が出よう!皆、後ろに下がられい!」
「ライアンさん?」
「何か狙ってるんだな?」
「無論!」
「よし、任せたぞ!クリフト、ライアンにスカラだ!」
「はい!スカラ!」
「忝い!」
俺達は言われた通り、防御力強化したライアンの後ろに下がる。
すると当然、ゴーレムは正面のライアンに標的を定め、その剛腕を振りかざした。
ドゴォォ!
「ライアン!」「「ライアンさん?!」」
「ふっ…効かぬよ…クリフト殿の魔法の御陰でな…!」
ゴーレムの拳を、身構えた鉄の盾で受け止めたライアンは気合いを込め、
「ぬおおおおおおぉっ!大・切・断!!!!」
手にした大剣を、ゴーレムの頭頂部から縦一文字に打ち抜いた。
これがクリティカルヒットとなったのか、ゴーレムの体はボロボロと頭部から崩れ始め、最後には全体が大小の只の煉瓦の欠片となった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「「「「こ、これは…」」」」
扉を開け、部屋に入ってみたら、其処には縁ギリギリに水が入ったガラスの水槽が1つ。
そして、その中には1匹?1人?…の人魚が入っていた。
一瞬しか見なかったが、かなりレベルの高い金髪さんな人魚さんで、首輪に付いた鎖で柱に繋がれていて、逃げられない状態の様だった。
何故、一瞬しか見なかったかと言うと、この人魚さん、下は兎も角、上も何も付けてないんだもん!…&、全然、隠す気が無いっぽいもん!
そんな訳で今は皆、目を逸らしている。
本当はガン見したいなんて、これっぽっちしか思ってないぞ、本当だぞ。
クリフトなんて、既に鼻血ぶーでダウン寸前だぜ(笑)。
だが、この捕らわれの人魚さんを見てしまった以上、仮にも勇者と同行する者的には、何も見なかったかの如く部屋を出て、パタンと扉を閉める訳にもいくまい。
だって、手で水をバシャバシャと、派手な音を起てて叩いているんだもん。
あれって絶対、「助けて~!」のアピールだよね?
仕方なく、(皆にムリヤリ推されて)俺が後ろ向きで彼女に近づき、
「あの、すいません…とりあえず腕で、胸を隠して貰えません?」
「…?」
バシャバシャと水を叩く音が止んだ。
それで振り向いてみると、金髪人魚さんは「何故?」な表情をしながらも、右腕で胸を隠していてくれていた。
「ふぅ…俺はフィーグ。キミは?」
「…………………………………………。」
無言の…正確には、口をパクパクさせて、何かを喋りたい人魚さんは、右腕でマーニャさんに匹敵する、グレイトな御胸様を隠した儘、左手で自分の首に付けられた首輪を必死に指差す。
趣味の悪い髑髏の装飾が付いた首輪だ。
「!!そういう事か!」
俺は右手に魔力を込めて
「解呪(シャナク)!」
様々な呪いを解き放つ解呪の呪文を唱えると、読みが当たったみたいで、髑髏の首輪は人魚さんの首筋からポロリと外れた。
「ああ、ありがとうございます!やっと自由に喋る事が出来ますわ!」
「わわわっ?!うぷっ!?」
やはり、あの首輪は声を、延いては呪文を封じるアイテムだったのだろう、人魚さんは解放された嬉しさの余りか、両手を広げ、俺に飛びつき抱き付いてきた。
お願いだから、離れてください、この儘だと窒息死してしまいます…
否、この儘 逝けるなら本懐…否否否否!
とりあえず、さっき倒したバーサーカーのマントを剥ぎ取り、アムピトリーテと名乗る人魚さんに羽織って貰う。
ぶっちゃけ、目の毒だ。
『得』だなんて、ほんのちょっとしか思ってないぞ、本当だぞ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
俺達はアムピトリーテさんを連れて部屋を出た。
因みに彼女は『海の精』とやらが在る場所なら、魔力を消費して浮遊移動が出来るそうで、今はプカプカと宙を泳ぐ様に動いている。
マーマン系の魔物も、同じ理屈で海の上で動いているそうだ。
しかし正直、当てが外れたな。
てっきりゴーレムが護っていた この部屋に、魔物が際限無く攻めて来れる秘密があると思っていたのに。
「成る程、つまりアムさんは、真珠に目が眩んでトラップに嵌まって捕まったと…
言っちゃ悪いけど、間抜けっすね。」
アムピトリーテさんでは ちと長いし、どうせ皆、既に心の中で略してるだろうから、アムさんと呼ばせて貰っている。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「鏡?」
「はい、鏡を使って、無限にモンスターを喚べると、あたしを捕まえた海賊の幹部みたいな魔物が言ってました。」
「鏡…ね…。」
アムさんから教えて貰った鏡の情報…
恐らくは2台で1組の転送系マジックアイテムなのだろう。
つまりは、どちらか1台を破壊すれば、この場の増援は無くなると思って良い。
「アム殿、その鏡とやらは、この船の何処にあるか、存ぜぬか?」
「ごめんなさい~、其処までは…」
まあ、知らない物は仕方ない。
とりあえず俺達は、襲ってくる魔物を蹴散らしながら、甲板まで上がった。
「危険だからアムさんは もう、此処で逃げた方が良いよ。仲間も心配してるだろ?」
「う~、どうせなら最後まで御一緒したいですけど、あたしは戦えませんから、正直言って足手まといですよね~…」
いや、別に そんなつもりは無いですが…
「分かりました、此処で失礼しますぅ。
でも、何か お礼を…」
「いや、別に良「あ、この船には まだ、あたしの指輪がある筈です!
もしも見つけられたら、それを お礼として差し上げますわ!
それではフィーグ様、助けて戴いて、ありがとうございました、ちゅ♪」
「おぉ!」
アムさんは そう言うと、身に纏っていたマントを脱ぎ捨て、
「「「おおっ!!!!」」」「ぷはぁっ?!」
(-人-) ありがたや ありがたや…
神々しいまでの御胸様を披露されると
ばっしゃーん…
甲板から海に飛び込んで行き、
「皆様の勝利を信じていますぅ~!」
最後に そう言って、仲間達が待つのであろう、海の中へ帰って行った。
「フィーグ殿…先の接吻の件、とりあえずマーニャ殿達には黙っておくよ…」
「お、お願いします…」
さて、『鏡』とやらを探しますか…
…って、ん?クリフト?
「大きなメロンが1つ…
大きなメロンが2つ…ぷはぁっ?!」
「クリフト、気をしっかり持て!」
人魚のアムさんと別れた際、彼女の『メロン』をまともに直視したクリフトは、メンタル的に大きなダメージを受けていた。
幼い頃から禁欲的生活を強いられてきた、聖職者なDT青年には刺激が強過ぎたみたいだ。
姫さんに協力お願いして、耐性強化してみるか?
また爺さんが泣きながら文句を言ってくるだろうが、「クリフトを強くする為」と言えば、姫さんなら このDT青年の前だったら文字通り、一肌二肌脱いでくれるだろうと信じている。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「んだ?人間が何の用だ?コラ?」
扉を開けてみたら、其処にはシードッグとバーサーカーにガーゴイルが1、2、3…合計で7匹。
何だか知らんが、此方を見た途端、襲い掛かって来やがった。
「さてと…鏡とやらがある部屋に、案内して貰おうか?」
「…は…はい(泣)。」
最初は数に圧されて苦戦するが、最終的にはシードッグ1匹だけ半殺しで済ませてやり、残りは全て倒した。
その1匹を旦那の持っていたロープで縛り付け、鏡がある部屋までナビゲートして貰う事に。
「先に言っておくが、逃げようとしたら、後ろから心臓貫くからな?」
「ひぃっ!!」
「おら、キリキリ歩け!」
「「(フィーグさんが頼もし過ぎる!)」」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「…この部屋です。」
スシャ…
「よし、お前が扉を開け。」
「きゃぃん!!」
シードッグに連れて来られた扉の前。
ワンコの首筋に槍を軽く当て、扉を開く様に促す俺。
だって、扉を開けた瞬間にゾンビが出て来たらどうする?
凄く怖いじゃないか。
カチャ…
「ひぃっ!」
タタタタッ!
「あっ!」
カチ…
あの犬っころ、扉を開けたと同時にダッシュで室内に逃げ込み、内側から鍵を掛けやがった。
「…ふん。」
ドガァッ!
「よし、行こうか。」
「「「は、はい…」」」
仕方がないから、牙突で扉を破壊させて貰った。
…って、3人共、何をドン引きしてるの?
これは あくまでも、あのワンコが俺達を部屋に入れさせないとしたからだ。
だから…『僕は悪くない』。
「ぎゃいーんっ!」
俺達が部屋に入ったと同時に、案内役だったシードッグが魔物に、心臓を その手にしている獲物で貫かれた。
「ギギギ…裏切り者の役立たずがぁ…」
鉄の銛、鎧、盾に兜で身を固め、下半身は8本の蛸足の魔族…オクトセントリー。
その後ろには如何にも、「海賊船長です」な髑髏のマークが描かれた帽子を被った老人…の機械人形(オートマータ)。
「キャプテン・クック…」
「ほぅ、小僧…儂を知っているか…」
本来の登場シリーズである『Ⅴ』の様に単なる雑魚モンスターとして沢山存在している訳ではなく、どうやら この『Ⅳ』の世界では個体種の様だ。
もしかしたら、コイツが『Ⅴ』の時代のクックや幽霊船長のプロトタイプなのかも知れないな。
そして、その隣には様々な動物や魔物、そして恐らくは人間の骨で形成された型枠に嵌め込まれた巨大な鏡が。
ホーンテッドミラー。
『Ⅵ』では確か、モシャスの呪文で主人公に化けて攻撃してくる、厄介な奴だった記憶が…
カッ!!
「「「「!!」」」」
前触れもなく その鏡面が光ると、中から数体の骸骨兵士が出てきた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「このボスらしきロボットは儂が倒す!
クリフト殿とトルネコ殿は そのゾンビ兵の群れを、フィーグ殿は蛸足の魔族の相手を お願いいたす!」
「はい!」「はいな!」「任せろ!」
ライアンが指示を出し、それぞれの敵の前で構えを取り、戦闘開始となる。
「クリフト、旦那!隙を見て、ついでに鏡も破壊するんだ!
そうしないと、キリがないぞ!」
「「は、はいぃ!」」
クリフトとトルネコは不死(アンデッド)特効の技や武器を持ってはいるが、ゾンビ兵を倒しても、その度に新たな不死モンスターが鏡から わらわらと出てくる。
カン!キン!
「く…やりおる!」
「うぬ…お主もな…
機械にしておくのが惜しいわ!」
そしてライアンは、キャプテン・クックと互いの剣をぶつけ合っている。
一方、フィーグはオクトセントリーと対峙していた。
「小僧…貴様が、我が輩が捕らえた人魚を解放した人間だな?」
「あ、お前がアムさんを捕まえたっていう海賊の幹部か?」
半身が蛸の魔族の問い掛けに、懐から真夜の仮面を取り出し顔に装着しながら応じるフィーグ。
「あの人魚は我が輩の女にする予定だったのを…貴様は許さん!
喰らえ!そして死ね!五月雨突きぃっ!!」
オクトセントリーがフィーグに向け、外見では想像が出来ない流れる様な動きで、手に持った銛での連続突きを繰り出した。
「アムさん、触手プレイ専門の変態は嫌いだって言ってたぜ!」(注:言っていません)
「何だとーっ!?」
それに対しフィーグは挑発しながら、
「覇極流千峰塵!!」
意趣返しの如く、高速の連続突きを放つ。
「くぅ…っ」
「ぐっはぁ…っ!!」
結果、フィーグが打ち勝った。
「ふぅ…っ、あんな呪いのアイテムを使わないと、女性1人ゲット出来ない奴に俺は負けないよ?」
「き、貴様…?!」
「アムさんのメロンと唇、たいへん美味しく頂きました♪」
更に挑発を続けるフィーグ。
一応は嘘は言ってはいない。
唇は彼女からの不意打ち、メロンとやらは それで顔面圧迫され、窒息寸前だったのだが。
「き、き、き、き…」
「ん?タコが猿になった?」
「貴っ様ー!絶っ対に許さん!
うおおおおおおおおおおっ!」
既に致命傷な身体を無理矢理に起こし、捨て身の特攻を仕掛けるオクトセントリー。
しかし、
「雷光流転槍ぉ!」
ズガァ!
「くきゃーっ!!」
それを冷静に対処したフィーグに攻撃は届
かず、逆に人体の5ヶ所の急所を槍で貫か
れ、二度と立ち上がる事はなかった。
カラン…
その倒れたオクトセントリーの懐から、碧い石が こぼれ落ちた。
「この指輪…は…?
これが、アムさんが言っていたヤツか?」
フィーグは後のトルネコの鑑定で、炎と水の属性攻撃の軽減効果を持つのが判る魔法の指輪…アクアマリンを手に入れた。
「てやぁ!聖・十字剣!」
クリフトが死霊の騎士を斬り、
「ほい!破邪光(ニフラム)!」
トルネコが彷徨う魂を浄化するが、
「うわ、次は また、腐った死体ですか?」
ホーンテッドミラーが次々と新手を呼び込み、バトルは一向に終わらない。
しかし、其処に…
「覇極流千峰塵!」
パリン…
「「フィーグさん!」」
「鏡は壊した!
これで増援は打ち切りの筈だ!」
一足先に請け負った敵を倒し、フリーになったフィーグが魔鏡を破壊。
更に3人で、残った不死(アンデッド)の群れを一蹴した。
「でえぃやあ!」
「ぬががーっ!!」
カキィン!
ライアンとキャプテン・クックの戦いも、佳境に入っていた。
互いが利き腕に持った剣で、敵の攻撃を捌いたと思えば、互いに有効打を与え、そして喰らうという、単純な展開…
「喰らえぃっ!水流剣!!」
「ぬおぉ!大切断!!」
ガキィ!
互いの必殺剣が衝突するが、これも互角。
しかし、パワーでは明らかにライアンが上回ってはいるが、スピードと技巧で勝るクックが 徐々に有利な運びに持っていく。
その差は分析力。
クックの頭脳であるコンピューターがライアンの攻撃を受ける度に、其れを解析、対処法を割り出し、同じパターンの攻撃は通じなくなっていた。
「ライアン!」
「待たれよ、フィーグ殿!」
フィーグが参戦しようとするが、ライアンは 其れを拒む。
「この脳筋野郎!
一騎打ちとか綺麗事に拘ってる場合か?
姫さんですら、その辺りは割り切っているんだぞ!」
「分かっとる!分かっとるが、やれるトコまで やらせてくれい!」
「ちっ…危ないと思ったら、迷わず乱入するからな!」
「忝い!喰らえ!大切断!!」
ライアンが再び、必殺の剣を放った。
カキィン…
しかし その大剣の一撃は、クックの曲刀に受け止められる。
「カカカカカカカ…無駄だ!
その太刀筋は既に、儂の脳内にインプットされておる!儂に同じ攻撃は通用せん!」
「聖闘士かよっ?!」
思わずフィーグが突っ込む。
「同じ技は瞬時に対処されて通じぬ…
…ならば!
対処される前に、確実に撃破するのみ!!」
ライアンが構える。
「フィーグ殿!今から放つ剣は、下手をすれば、其方にも巻き添えが出かねぬ!
直ぐに儂から距離を空けてくれい!」
「お…おぅ…旦那、クリフト…」
「「は、はい…」」
ライアンの言葉に従い、距離を空けるフィーグ達。
「カカカカカカカカカカカカカカ…
何をしようが無駄だ!」
クックも構えを取る。
「その攻撃を躱した後、儂がトドメの一撃を見舞ってやろう!」
「うがががーっ」
ライアンは完全に周りを見ず、破壊衝動を全開、手当たり次第に大剣を振り回した。ドゴォッ!!!!
「ピキー…?」
その一撃は、キャプテン・クックの頭部に直撃、その機械仕掛けの頭を破壊、機械人形の動きを完全に停止させた。
「「「(な…何ちゅう危なっかしい技だ…
あれは、一生 封印して貰おう。)」」」
※※※※※※※ライアン装備※※※※※※
【鋼の大剣(※1)】
【鋼の鎧】
【鉄の盾】
【鉄仮面】
※1…一般流通品。
本来なら両手で装備する程の大きさの剣だが、ライアンは片手で装備している。
それ伴い、彼は盾も装備可能。
※※※※※※※フィーグ装備※※※※※※
【ルージュ・オブ・ケイジ(※2)】
【鋼のプロテクター(※3)】
【真夜(まや)の仮面(※4)】
【星降る腕輪】
※2…エンドールの鍛冶屋に発注したスペシャルオーダーの朱紅の鋼槍。
※3…一般流通品。
胸当て、肩当て、籠手、膝当て、臑当てのセット。
見た目のイメージは初期型天馬星座の聖衣に近い。
フィーグは これを旅人の服の上から装備している。
※4…バルログから半ばムリヤリに貰った、彼が身に着けている【白夜の仮面】と色違いの黒い仮面。
なんだかんだで防御力が高いので、ちゃっかり使用している。
※フィーグは普段、槍を両手持ちで使用しているので、盾は装備していない。
※※※※※※※トルネコ装備※※※※※※
【正義の十露盤】
【鉄の前掛け(※5)】
【鉄の盾】
【青銅の帽子(※6)】
※5…トルネコは鎖帷子の上から装備している。
※6…市販品。
見た目イメージは『Ⅷ』のブロンズキャップそのまんま。