【鉄の爪】
【パワーグローブ(※1)】
【マジカルスカート(※2)】
【金の髪飾り】
※1…一般流通品。
革製の手袋で、拳部分に鉄製の鋲が仕込まれている。
アリーナは右手に鉄の爪、左手にパワーグローブを装備している。
※2…アリーナは この下にスパッツを着用。
「くっそーっ!リア充爆裂しろ(泣)!!」
モブ船員達の心の叫び(笑)。
あれから…と言っても、まだ1日すら経ってないのだが…
「は~い、フィーグ、オレンジの皮、剥いたよ~、あ~ん」
「ん、あ~ん」
はい、只今、吉良君と晴華さんにも匹敵するバカップルモードになってます(笑)。
昨日の夜、『奴等』には、二度と出歯亀みたいな真似はしない様、散々と2時間くらいSEIZAさせた儘、SEKKYOUをして解放、その後、俺とマーニャさ…マーニャも…
うーん、わざわざ意識しての呼び捨ては面倒いな。
自然に慣れるまで今まで通りで良いか。
俺とマーニャさんも、床に就いた。
いや、部屋、別々だよ!
その日のその日で、2人だけの部屋なんて ある訳がないし!
カノン船長ですら、自分だけの私室は持ってないからね。
船長の寝室は、副船長と航海士と共同だったかな?
基本的に船員もだけど、男女別々だし、今現在、俺の船内の寝室は、ソロとクリフトと同室。
一応、船内で私室を持ってるのは、オーナーである旦那だけ。
但し、コレもネネさんやポポロも一緒に休める家族仕様。
まさか、「マーニャさんとイチャついて、〇〇〇したいから、部屋を用意して」なんて、流石に言えはしない(笑)。
朝になって、2人で「馬車に忍び込めば良かったね」とか思ったが、少し遅い。
ん、ホラー映画だと俺等、真っ先に殺人鬼に殺されるタイプだな(笑)。
そんな訳で、太陽が天高く昇りきる前にも拘わらず、旦那とネネさんにも負けず劣らずな、love loveオーラを放ち、モブ船員君達の血涙込みの視線を無視しながら、イチャついています。
ん、ぶっちゃけ、旦那の気持ちが解った気がするよ。
こりゃあ もう、旦那をバカップルとかリア充とは呼べないぜ(笑)。
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♪~♪~♪♪♪♪~♪♪♪♪♪♪~♪♪♪
マーニャさんのリクエストで、甲板の定位置となりつつある、船首側に椅子を並べてリュートを弾く。
尾崎に拓郎さん、ミ〇チルにSM〇P…
マーニャさんのリクエストに応えてバラード系を弾き語りするけど、実は俺、どっちかてとハード系が好みで、こっち系は あまり、持ち歌持ってないんだよね…
え?コ〇゙クロ?
いや、あれは確かに素晴らしく良い曲だけど、御当人様達には申し訳ないが、『縁起悪い歌の代名詞』は、ちょっと…ね…。
全ては『奴』が悪い(笑)。
そうして、船員君達の殺意の込もった視線を勝ち誇ったドヤ顔でスルーする中、トリートーン号はバトランド領の北西部、湖の塔の真北に位置する港町、デュマに到着した。
バトランド領は、通称゙バト河゙と呼ばれる河を境に、北部と南部に別れている。
今、俺達が居るのは北部。
王都がある南部には、バト河の下にある地下トンネルを渡って行く事に。
その間は船長を含めた船のスタッフ達はデュマの町で待機なのだが、それでも彼等に仕事が無い訳ではない。
次の航海の為の資材の調達や、船の外装の清掃作業等、やる事は沢山ある。
タムラ料理長とメルシーちゃんも、市場に食材調達に向かって行った。
そして俺達も、王都を目指してパインウインドの牽く馬車を出発させた。
運転席に座って手綱を握るのは、勿論トルネコの旦那だ。
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「GIRA!」
「きゃあ!…って、熱くない?
火ってのはね、こう放つのよ!メラミ!」
「ギャー!?」
地下トンネルで、魔物の集団と遭遇、戦闘となった。
一つ目ピエロの放った炎の呪文がマーニャを襲ったが、左の薬指に填められたアクアマリンの効果で、呪文の効果が殆ど無効化され、反撃の呪文で異形の道化師を倒す。
「おら!」「てや!」「うお!」
そして俺と姫さん、ライアンが、残りの魔物を一掃。
「マーニャ、いーな~?あたしには指輪ないんだ~?フィーグ~?」
姫さん、そしてミネアさんが、ジト目で こっちを見る。…知らんがな。
無事にトンネルを抜けて、王都バトランドに到着。商業エリアで色々と買い出しをした後に、ライアンの先導で、いよいよバトランド王城に。
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「こ、これはライアン殿?」
「うむ、久しいな。陛下に御目通りを願いたいのだが?」
城門を警備している兵士達が、ライアンの顔を見た瞬間に、背筋を真っ直ぐ伸ばし、敬礼をした。
そして
「はっ、暫し、お待ちを!」
1人の兵士が、城内に走って行く。
待つ事 数分。
先程の兵士と、かなり上の身分なのだろう、派手な装飾が施された鎧と兜を纏った男がやってきた。
「ベア将軍…」
「久しぶりだ、ライアン。
陛下も待っておられるぞ。
其方の連れの方々も、どうぞ此方に。」
ライアンに将軍と呼ばれた人物の案内で、俺達は謁見の間に通された。
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「おお、ライアン!よくぞ戻った!
そうか…其方の少年が勇者殿か…」
バトランド城の謁見の間、ライアンが無事、勇者であるソロに出会えた事をバトランド王に報告。
更に姫さん達が王族として、バトランド王に挨拶をした。
行方不明とされていたサントハイム王家の人間が、自分の家臣と同様、勇者と行動を共にしていたのには驚いた様だが、それ以上に サントハイム関係者で無事な人間が居たのには素直に喜び、安心したみたいだった。
後から この城の大臣から こっそりと聞かされたのだが、姫さんの父親であるサントハイム王と、バトランド王は若い頃、エンドールの大学に留学していたそうだ。そして、今のエンドール王の3人は当時の大学で、友人と呼べる仲だったらしい。
…で、大学では3〇゙カと呼ばれていた問題児トリオだったとか(笑)。
なるほど、未だ友人は行方知れずだけど、その娘の無事が分かっただけでも、それは嬉しい事だろうね。
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謁見の後に俺達は、王に許可を得て、城内の1室を借り、今後の旅の方針等を決める為の話し合いをする事に。
「何を今更、話し合うってのよ!
サントハイム城に乗り込んで、バルザックを倒す!他に何がある訳?
フィーグ、あたし達がキチンと、納得出来る理由を話して頂戴!」
マーニャがエキサイト気味に話す。
「でないと もう、ぱふぱf「ちょっと待て!この場で それ以上は言ーなぁ!」
「ぷっ…はぁあっ!!」
「「く、クリフトォーーッ!?」」
クリフトが何を妄想したのか、血を吹いて卒倒した(鼻から)。
…てか、姉さん、俺はバカップル路線で行くつもりは微塵も無いんです。
「不潔です。」
いや、マジ勘弁してください…。
「そうよ!お城を奪い返す!
それが、今の私達の最優先課題よ!」
話を戻すが、更にはサントハイム奪還を姫さんも主張。
いつもだったら暴走ストッパー役のミネアさんも、サントハイム入りを推している。
気持ちは解るけど、まだ早いって…
「それじゃあ、フィーグは一体、どーしたい訳なの?」
「だから前から言ってるだろ?
まずは強くなる…コレだよ。
それに、世界中の地獄の帝王や天空の勇者に纏わる伝承や情報なんかも、仕入れておくべきだよ。今後の為にもね。
まあ、とりあえずは…コレかな?」
俺は昨日発刊された、世界時事通信を取り出し、テーブルの上に置いた。
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スタンシアラ爆笑グランプリ開催の知らせ
Ю月Ж日よりスタンシアラ城・謁見の間にて国王の御前で芸を披露、見事、王を笑わせた者には王家の家宝である、天空の兜を贈呈する!
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「これは…?」
「見ての通りさ。
御存知の通り?スタンシアラは昔から、天空の伝説に縁ある地として知られているからね。
何でも、大昔に世界を救った、謂わば先代勇者の仲間の1人が築いた国とか…でね?
このバトランド同様にな。」
「う~む…」
「でも、信じらんないわ?
皆は知らないだろうけど、スタンシアラ公って、かなりの、ブライ以上の堅物よ?
あたしは以前、お父様と一緒に この国を訪ねた時に一度会ってるけど、あの人が こんな企画を立ち上げるなんて、とてもじゃないけど想像つかないわ?」
「だ、誰が堅物ですじゃ!?
そう見えるのは、そもそも姫様g「爺さん、その話は後にしようぜ?」う、うむ…」
「だから、スタンシアラ王が何故、今の時期に こんなイベントを思いついたかは知らないけどさ、ソロが天空の装備と云われる武具をゲットするチャンスなんだよ。
バルザック打倒は、少しでも勝率を上げてからにするべきだ。
実は最初は、この国に継承されているとされる、天空の盾についても、王族の姫さんを仲介に、バトランド公に話し掛けたかったんだけど…ね?」
「まさかの、ガーデンブルグの女王に譲渡されてました…と?」
「しかも、多少は脚色されているのでしょうが、聞いただけの話では、当時の国王が向こうの女王の色香に堕とされ、ONEGAIされた挙げ句に…ですか。」
「王様、不潔です…」
「いやいや、それについては、別に今の陛下が悪い訳では…」
「いや、あの王様に責任取れなんて思ってないよ。
いずれは、ガーデンブルグにも足を向けるだろうしね。」
そんなこんなで、次の目的地はスタンシアラという事なった。
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OHANASHI合い…もとい、話し合いが終わり、最後にベア将軍…でしたっけ?に挨拶して城を出ようとしたら
「いや、離して下さい!!」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
城内の中庭の方から、女性の叫び声が。
「むむっ!?」
「ら、ライアン?」
その声を聞いたライアンが中庭に向けてダッシュした。
俺達もライアンに続き、ベア将軍と共に中庭に走って行った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「フォールド…やはり、貴様だったか…」
「ライアン様!」
「ふん、誰かと思えば、のろまのライアンか…戻っていたとはな…?」
「フォールド!また貴様か?!」
駆け付けた先は、1人の兵士が貴族女性に対し、執拗に言い寄っていた場面だった。
ベア将軍が「また」とか言ってる事から察するに、普段から かなり、問題がある兵士な様だな。
すかさずライアンが中に割って入り、
「イザベラ殿…大丈夫か?」
「は…はい、ライアン様…」
「はっはぁ~ん…成る程ねぇ…♪」って、何かを察した様な下衆顔をしているのは、俺じゃなくてマーニャです。
「ライアン…貴様?!」
フォールドとかいう兵士と睨み合いになるライアン。
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…
騒ぎを聞きつけてか、次第に騒がしくなっていく城内。
「フォールドよ…此処は退け…」
「ふん!貴様と俺は同格の筈だ!
命令を聞く必要は無いわ!
何ならば、力尽くで行使するか?」
スチャ…
フォールドが帯剣している腰に手を伸ばした。
「待たんか、貴様等!
城内の私闘は認めんぞ!」
今度は たまらずベア将軍が割って入る。
「公務中に婦人に手を出してるとはねぇ?
武と礼に秀でていると云われるバトランド王宮戦士団が、結構ピンキリなんだな?」
いかん…つい、ポロッと本音が…
「何だと、貴様ぁ?」
「…と、此方のソロ君が申しておりまs「いやいや、言っていませんから!」
「…で、本音は?」
「「「「サイテー」」」」
言ったのは、お姉さんズと姫さんとソロ。
「貴様等ぁ、人をバカにしてるのかぁっ!?」
「きゃあ!」
怒りに震えるフォールドとやらが、拳を振り上げる。
うっわあ…マジにピンキリで、サイテーだな…って、え?
ガシィ!
「テメェ…的を射すぎて、言葉では何も言い返せないからって、女、殴ろうとしてんなよ?」
「フィーグ…」
マーニャの顔を目掛けて放たれた拳を、手首を掴んで止めた。
これが街中だったら、その儘 砂(※)にしているのだが、此処はバトランド城内、ライアンの立場もあるだろうから、一応は抑える。
「フォールド、いい加減にしろ!
フィーグ殿の言う通り、公務中にも拘わらず、嫌がる婦人に手を出し、更には女性に拳を向けるなど、貴様、それでも誇り高き王宮戦士か?」
「だ、黙れライアン!
貴様如きの指図は受けん!」
スチャアッ!
完全にブチ切れモードなフォールドが、遂に剣を抜いた。
「仕方在るまい…」
それに対応して、ライアンも腰の大剣を手に取るが、
「待て、貴様等!
城内での私闘は禁止と言っておるだろ!
其処までして、どうしても戦りたいと言うのなら、闘技場に行け!
私が立ち会いの下、模擬戦としてなら認めてやる!」
将軍が吼えた。
あ、絶対に この人、苦労人だな‥。
「承知しました、将軍…。
おい、先に行って待っているからな!
逃げるんじゃねえぞ!のろま!」
剣を鞘に納めると、フォールドは闘技場に向かったのか、この場を去って行った。
「すまぬな…奴は儂と同期な者だが、何故かは知らんが、何時も事ある事に、儂に噛みついておってな…」
「ん~、ライアンだけが手柄を立ててるから、悔しいだけじゃないの?」
姫さん、多分、正解。
「全く以て、すまぬ…
こんな面倒事に…」
マジ申し訳ないですな顔のライアン。
そんなライアンに俺は言った。
「気にするなよ。
…てか、その模擬戦とやら、俺が出る!!」
※砂…サンドバッグ(砂袋)の意味。
転じてフルボッコの意味。