「え?誰?」
食事中に声を掛けてきた、貴族みたいな出で立ちの、長身金髪ロングなイケメン優男
に訊ねると、このイケメン、懐から白い仮面を取り出し顔に当て、
「私だ私!バルログだ!」
必死にアピールしてきた。
ん。知ってて聞いてみた(笑)。
期待通りのリアクション。
コイツ、やっぱり面白い。
バルログ。
エンドール武術大会初日で闘った仲。
当時、今以上に未熟者だったとは云え、この俺と互角に渡り合った実力者。
戦闘中、人の顔を、散々地味顔地味顔と言ってくれた、凄く失礼なナルシー。
しかし、超が3つが付く位の高級店で飯を奢ってくれた、凄く善いヤツ。
そして、俺とは別の、彼の【路上で闘う戦士達】な世界からの転生者御本人。
「元はスペイン人なのに、どーして決め台詞はヨーデル(スイス民謡)なんだ?」という質問をすると、何故だかキレて、八坂〇尋の如く、フォークを突き付けるので禁句である。
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「それにしても、君がメダル祭りの表彰式に、そちらのレディと一緒に登場した時は驚いたよ。」
さり気なく同席したバルログと話し出す。
「俺も、お前と こんな場所で再会するとは思わなかったよ。この国へは旅行?」
俺の問いにバルログは
「は?何を言ってるんだい君は?
明後日に開かれる、格闘トーナメントに出場する為に決まってるじゃないか。
何だい?もしかして、君は出ないのかい?」
質問を質問で返すな。
「へ~、貴方はトーナメントに出るのね?
フィーグから貴方の話は聞いた事があるから、楽しみだわ!」
姫さんが会話に参加する。
「あ…貴女は…?
フィーグ、ちょっと良いか?」
「お、おい?」
そう言うと、このイケメンは俺の腕を引っ張って、テーブル席から少し離れた場所に連れ出した。
「おいフィーグ、もしかして、今の お嬢さんは…?」
バルログの質問を察した俺は、
「いぐざくとりー。
エンドール武術大会の覇者のサントハイム王女のアリーナ姫だよ。
縁あって、今は一緒に旅をしてるんだ。」
姫さんがサントハイム王家の者と云うのを、素直に言うか、お茶を濁すか迷ったが、結局は正直に答えた。
「む、やはりそうか…サントハイムの姫君だったか…無事だったんだな…」
急に神妙な顔つきになるイケメン男。
「丁度、神隠しと武術大会が同じタイミングだったからな。
それで姫さん達は、巻き込まれずに済んだんだ。」
「成る程…」
其処まで話すと、俺達は席に戻った。
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「バルログさん、すいませんねぇ。」
「本当に申し訳御座いません。」
「いやいや、貴族故の、只の薄っぺらな見栄から成る行動ですから、どうか気になさらずに。」
今回の食事代は全てバルログが出してくれた。
旦那とネネさんが頭下げまくり。
確かに一般人とテーブルを共にして、割り勘にするのは、貴族的に駄目駄目なんだろう。
しかしながら、貴族だからと ふんぞり返る事無く、爽やかに笑いながら当然だと言ってのける この男、悔しいがリアルにイケメンだ。
「アリーナ姫、それからソロ君と言ったね、トーナメントで当たった時は、お手柔らかに お願いしますよ。」
「悪いけど、あたしは手を抜いたりはしないわよ!」
「僕もです!」
「ふっ…では私も、全力で ぶつかる事を約束しましょう。」
そしてトーナメント出場する者同士で健闘を称え合う。
更には
「それからフィーグ、本当に君は出場しないのかい?
私としては、是非とも前回のリベンジをしたいのだがね?」
俺にも話を振ってきた。
「悪いが、今回は俺は観戦だよ。」
「そうか…残念だ。」
マジに残念そうな顔をするバルログ。
「フィーグ、其方の素敵なレディは、君の好い人なのだろう?
彼女の前で、良い処を魅せてやろうという考えは無いのかい?」
…この男、意外と諦めが悪いな。
「普段から魅せてる大丈夫だよ。」
それに対し、不本意ながら、リア充前面に押して切り返すのだが、
「あ、でも あたし、フィーグの凄くカッコいい処、見てみたいかも?」
「ふっ…バルログ、お前如き、瞬殺で返り討ちにしてやるよ!
ついでにソロも姫さんも、纏めて〆る!」
(((((コイツ、ちょれー!!)))))
まあ、何だ。
あんなに必死に出場推してるんだから、応えないのは無粋と思ったので、仕方なく、本っ当~に仕っ方なく、格闘トーナメントに出てやる事にした。
「流石はフィーグ!
それでこそ私のライバルだ!」
…いや、何時から?
まあ、良いけどさ。
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次の日の朝。
「つーん!」
「いや、マーニャさん、マジに勘弁!」
「体力なんて、宿に泊まれば、一晩で完全回復するんじゃないの?」
「いや、ゲームじゃないし…」
明日のトーナメント出場を決めた俺は体力温存の為、『ナニ』事も無く普通に就寝し、そのせいで少しばかり御機嫌斜めな お姉さんを必死に宥めながら、ミネアさん&ソロと一緒に、今日の夕方に催される『メダリオ詩人祭』の会場に足を運んでいた。
因みにマーニャさん、「つーん!」とか言いながら、ちゃっかりと俺の腕に抱きついてくれてます。
「なるほど、これが つんデレですね。」
ソロ君、正解。
夕方開催というのに、既に結構な見物客が居る中、運営スタッフ達が特設ステージ等の最終チェックをしていた。
「フィーグにーちゃーん!」
声を掛けてきたのはポポロ。
「あら、フィーグさんにマーニャさん♪」
「…どうも、皆さん…」
トルネコの旦那達家族も、会場の下見に来ていたよ。
全てを搾り摂られ、窶れ果てた様な顔の旦那と艶々な顔のネネさん。
ポポロが寝た後にトーナメントを待たずして、一足先にベッドの上で格闘したのがバレバレである。
まあ、旦那は兎も角、ネネさんは溜まりまくってたでしょーねー。
久しぶりな夜に、2人で燃え上がったんでしょーねー。
…で、旦那は真っ白に燃え尽きてしまいましたとさ…と。
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「ぬ?フィーグ殿?」
出店してる屋台巡りをしてると林檎飴の屋台でライアンとバッタリ会い、
「ソロー、フィーグー!」
更にはサントハイム組とも合流。
気づけば全員集合していた。
その後、皆で会場中央の広場に出張出店した様なカフェっぽい店で、バス〇ードに出てきそうな呪文の様に、無駄に長い銘の珈琲を飲んでいると、
「やあ、フィーグ、久しぶりだね。」
昨夜のイケメン男みたいに声を掛けてくる優男が1人。
そして その隣に、
「皆さん、お久しぶりですぅ!♪」
金髪のポニーテールな美少女が1人。
次回予告『メダリオ詩人祭』