「俺の詩を聞けー!!」
「あたしの詩を聴けー!!」
『『『『『うおぉぉぉぉぉ~!!』』』』』
メダリオ詩人祭。
大盛り上がりの中、メインのステージに上がったのは、ロレンスとホイミンの、今回の為に特別に組まれたユニットだった。
片や知名度も十分、人気実力実績申し分ないロレンスと、片やモンバーバラで突如、彗星の如くデビューした天才『美』少女として注目を集めたルーキーのコラボは、観客に大いに受けた。
「緊張~!!」
今、俺はツインネックのリュート、【レヴィアタン】を手にして、舞台袖からステージの様子を伺っている。
どうしてこうなったかと云うと、それは今日の午前中に遡る。
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「やあ、フィーグ、久しぶりだね。」
「皆さん、お久しぶりですぅ!♪」
「「「「「ほ、ホイミン~!?」」」」」
皆とカフェで珈琲を飲んでいた時に、声を掛けてきた2人の吟遊詩人。
1人は俺の呑み友のロレンス。
そして もう1人は、キングレオで別れた、元々は〇〇〇〇〇〇〇で、どーゆー成り行きが有ったかは知らないが、兎に角 今は立派に人間している、あのホイミンだった。
キングレオで会った時はボブカットだった髪を今は長く伸ばし、ポニーテールに結っている。
彼女はモンバーバラの劇場で唄っていた、あのキングレオ城の戦いや、バトランド児童失踪事件の顛末をモデルにした詩が、『まるで近くで観ていたかの様な臨場感だ』と評判となり(実際に間近で見ていた)、詩人協会のスカウトの目に止まり、メジャーデビューを果たしていた。
少し前、時事通で彼女の特集ページが組まれ、その事を知った時は、皆で船の上で大はしゃぎ、船長に怒られたさ。
勿論、反省も後悔もしていない。
「はい、どうぞ♪」
「わーい!ホイミンちゃん、ありがとー!」
ポポロがホイミンのファンだったらしく、サインを貰っている。
「それにしても、この人混みの中、よく俺達を見つけられたな~?」
「フィーグさんの赤い髪は、普通に目立ちますから♪」
「僕がマーニャさんを見逃す筈がないじゃないか!
てゆーか、君がマーニャさんと一緒に旅をしてるのに吃驚だよ!!」
あ、そうか、ロレンスってマーニャさんのファンだったよね。
俺と彼女がバカップル(自覚有り)な関係と知ったら この男、最高にorzるだろうな…と、思いつつ、
「あー、ロレンス、俺とマーニャさん、実はさぁ…t「フィーグの…妻です…ポッ」
「「な、何だってーっ!!」」
「いや、まだ結婚はしてないから!
まだ単なるカレカノな関係だから!
あとホイミン、さり気に一緒に驚くな。」
マーニャさんが左手のアクアマリンを見せながらの このとんでも発言に、そして俺のカレカノ発言に、まるで この世の終わりな様に、予想以上にorzっているロレンス。
まあ、直ぐに立ち直るだろうから、放っておこう。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「ところでフィーグ、君も僕達と一緒にステージに上がらないかい?」
「はあ?」
この吟遊詩人の優男はショックから立ち直り早々、いきなり何を言っているのだ?
前座ってなら まだしも、君達はメイン、大トリだろ?
アマチュアレベルな俺が上がれる訳が無いではないか。
「だいたい、あの場に立ちたくても立てないプロの詩人だっているんだ。
そんな人達を差し置いて、ステージに登るなんて、例え無償でも、出来る事じゃないよ。」
「ん~、フィーグは自身を過小評価し過ぎてるんだよな~?
僕だってプロだよ?
単に友達だってだけで、アマチュアレベルをステージに誘ったりはしないよ?
あの【レヴィアタン】を弾きこなす技能を持ってるんだ、十分に資格はあるよ?」
「フィーグさん、ボクも、フィーグさんと一緒に音楽を楽しみたいです!
ボク、ステージのラストに『THE SEVEN』の【ベルフェゴール】を使わせて貰えるんです!」
「この『国』が所持してる、あの黄金のグランドピアノか!?
あれを詩人祭に引っ張り出すのか?」
「その時は僕も、【アスモデウス】を持ち出すつもりでいるよ。」
「う…『THE SEVEN』の内、3つが同じステージに揃うのか…」
ヤバい…そんなステージ、観てみたいし、そんなチャンスに立ち会えるなら、リュート弾きの端くれとして、是非とも参加したい。
「分かった…ただし、条件がある。」
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「そんな訳で、ゴメン!
今からステージの打ち合わせに行かないといけなくなった!
詩人祭も、一緒に客席で観るのは無理になってしまって…この埋め合わせは必ずするから…!」
兎に角、マーニャさんに平謝りする俺。
そんな俺に対して、この お姉さんは
「まあ、今回は特別に許してやるか。
ステージ、期待してるよ♪」
踊り子故に、理解出来る理由だったのか、思ってた以上に あっさりと許してくれた。
その代わりと言わんばかりに、目を閉じ、口を『3』にして顔を近づけてくるマーニャさんの期待に応えてやり、俺は祭参加者の控え室に足を運んだ。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「…その準備に3分くらい掛かるらしいから、その間、ソロで時間稼ぎも お願いして良いかい?」
「曲は?」
「任せるよ。御自由にどーぞ♪」
段取りとしては、一番最初にロレンスが1曲唄い、次にホイミンがヴォーカルを務める詩の時に飛び入りな形で参加、その儘2曲程奏で、ラストの【ベルフェゴール】の準備の間の約3分、俺がソロで場を繋ぎ、最後に『THE SEVEN』の3器種で締める形と決まった。
本番まで時間が限られている中、軽く3人で練習し、ついでにホイミンに前世(リアル)の曲を少し教えてやった。
そうすると、
「ボク、今日、それ唄いたいです!」
この美少女ちゃんが言い出したので、更に練習する事に。
「それ、まだ使ってたんだな?」
「えへへ…大事に使ってます♪」
ホイミンがステージで使うリュートは、白のボディに青いラインが入った、『天翔ける∀(ターンエー)』というモデル。
以前、俺がモンバーバラで買ってやったヤツをまだ使っていた。
「ここ、見てください!
ロレンスさんにサインして貰ったんです!
ボクの一生物の宝物です♪」
「よし、俺もサインしてやろう。」
「いやー!!価値が下がるから駄目ーっ!!」
こ、こいつは…!!
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そんなこんなで、今に至る訳であり…
「♪この天空(そら)を抱き輝く♪
♪少年よ伝説になれ!♪」
ロレンスが唄う1曲目が終わった。
それと同時に真夜の仮面で顔を隠し、ツインネックリュートを奏でながらステージに立つ。
俺がステージに立つ条件の1つに、少なくとも今日だけは、正体不明としておく事を盛り込んでいた。
明日のトーナメントにも出る訳だから、今日は必要以上に目立ちたくないのだ。
突然現れた仮面の男である俺に、殆どの観客は、「???」となるが、其処は想定内。
【レヴィアタン】で奏でる音で黙らせ、納得させる。
「♪縛って 嬲って 甚振って♪
♪じらして 晒して 吊して♪
♪でも それがボクの『愛』なの♪」
ラスト前、急遽組み込んだ、ホイミンの唄う『新曲』も終わり、ロレンスとホイミンは一時退場。
黄金のグランドピアノの準備の為、今から約3分は俺のソロパートで繋ぐ事に。
弾く曲は任せると言われた俺が選んだのは、ロイ〇ル・ハントの『Marshal Arts』。
前世(いぜん)、暮らしていた国では、別の曲名で一部の者達の間で かなり有名だった曲だ。
「「「「「「「「!!?」」」」」」」」
ドラクエな世界では、超高速と言っても過言でない壮絶速弾きのリュートに、観客達は最初は黙り、驚き、そして湧き上がる。
約3分という注文に合わせ、少しアレンジした曲を弾き終えたと同時に、ステージの後ろを覆っていたカーテンが上がると、其処には黄金のグランドピアノ。
そして普段はポニーテールに結っている紐を解き、長い金髪をストレートヘアにし、更に やはり普段は体型が判りづらい、ダボダボな詩人のローブから、身体の線が はっきり分かり、その髪とピアノの色が映える藍のワンピースドレスを纏った美少女が、白いジャケットを着込み、フルートを手にした青年と共に登場した。
『『『『『うおぉぉぉぉぉ~!!』』』』』
沸きに湧く観客達。
ただし、この時、俺が思ったのは…
あちゃ~、ろりきょぬーバレテーラ。
…この一言である。
その証拠に男の観客の声がマジにパねぇ。
育ち盛りなのか、キングレオの時よりも発育してるのが よく解る。
これがマーニャさん位の歳になった時を考えてみると、正に『何て恐ろしい子!』である。
事実、客席のマーニャさんの顔も、そう言ってるし、隣の更地なミネアさんなんて、目の光が消えてるよ。
因みに旦那、ソロ、クリフトは両目をネネさん、ミネアさん、姫さんに両手で覆われています。
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『THE SEVEN』。
遥か昔の時代、今は既に その名は忘れられているが、嘗て伝説とされた楽器職人が作ったと云う、7つの最高傑作。
その内の3器種、グランドピアノの【ベルフェゴール】、フルートの【アスモデウス】、そしてツインネックリュートの【レヴィアタン】がメダリオ詩人祭ファイナル…同じ時、同じ場所に揃った。
3つの名器が才ある3人の若者達によって奏でられ、この年、この国の詩人祭は大盛況の儘、幕を閉じた。
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「うぅ…凄く恥ずかしかったですぅ…」
「ははは…凄く似合ってましたよ。」
「良かったじゃないか。
絶対にファンが増えたぜ。」
詩人祭は大成功と言える盛り上がりを見せ、無事に終了。
俺は今、演奏者として、関係者が参加する打ち上げパーティーの会場に招かれていた。
んで、あの せっくすぃー(笑)なドレスを着ていたホイミンを、ロレンスと一緒に弄り倒している。
「う~、セクター路線は18の頃になって、未だ泣かず飛ばずだった時の、最終手段のつもりだったのに…」
ろりきょぬーの自覚は あったんかい…。
あ、ミネアさん、落ち着いて!
また目から光が消えてますよ?
因みにホイミン、詩人協会発表の公式プロフィールでは、現在13歳となっています。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「フィーグの演奏、カッコ良かった…」
「はは…惚れ直した?」
「ん…」
「ごめん、そーゆーの、帰ってからにしてくれないかな?
くっそー!ボーイさん、ブラックコーヒーぷりーず!」
ロレンス、何か すまん。
改めて俺とマーニャさんのイチャコラを目の当たりにして、荒れるロレンス。
あ、そーそー、言い忘れたが、ウチのメンバーは皆、この打ち上げパーティーの会場にいる。
この詩人祭、トルネコの旦那が、エンドールに構える『ネネの聖剣(エクスカリバー)』の店主として、キッチリとスポンサーの1人になっていたのだった。
そのスポンサー権限で、他の皆も、普通に会場入りさ。
「あ~、2人が羨ましい!
ボクもラストで唄った詩の様な、一万年と二千年前から愛し合う様な、素敵な恋がしてみたいですぅ!!」
そして、俺等のバカップルぶりを見ての、ボクっ娘の発言。
待て、早まるな。恋愛に憧れるのは解る。
だが、俺達を参考にするのは、『本気』と書いて、マジに止めとけ。
「いやいや、ホイミンよ、今の お前なら、普通に男にモテよう?
本当に見違えたぞ?立派になった物だ。」
「ライアン様…」
「とりあえず、言い寄る男が居たら、儂に知らせるが良い。
儂を倒せんような軟弱者に、ホイミンは任せられんからな。」
「はい!」
あんたは何時からオトンになった?
ホイミン、お前も それに頷くな。
バトランド最強戦士(推定)に勝てる奴って、滅多に居ないぞ?
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「本当にプロになる気は無いのですか?」
「素晴らしい演奏でした!」
「本当に無償で宜しいのでしょうか?」
「まさか、あの【レヴィアタン】の弾き手が登場するとは思いませんでしたよ!」
実は打ち上げパーティーが始まると、一定時間置きに、祭りの関係者…他の参加者の詩人や運営サイド、スポンサー等が俺に声を掛け、挨拶してきていた。
やはり、【レヴィアタン】を引っさげての、メインに半ば飛び入りな参加。
そしてロレンスとホイミンとの共演のインパクトもだが、あのソロで弾いた高速リュートが、関係者の間でも好評判だったみたいだ。
ん、正直言って、うぜー。
こうなるのを見越して、事前にマーニャさんを隣に座らせ、トルネコ夫妻直伝の何人たりとも近寄れない様な結界(ラヴ・オーラ)を張っていたのに。
てゆーか、忘れていた訳じゃないが、マーニャさんもモンバーバラのトップダンサーだったから、逆に目立ってしまい、ついには詩人祭の取材に来ていた時事通信社の記者にも見つかり、彼女共々、色々と聴かれてしまった。
俺は とっとと追い払いたかったのだが、お姉さんが積極的に質問に応え…ってか、惚気まくりしやがりました。
「フィーグさん、次回の時事通のトップ記事は、詩人祭を押しのけて『モンバーバラの人気踊り子マーニャ、熱愛発覚!!相手は詩人祭に現れた【レヴィアタン】の弾き手!』に決まりですね。」
やかましいわ!
「うふふ…世間公認…」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「昨日のメダル祭りといい今日のステージといい、君には本当に驚かされるな。」
今度は、長い金髪を三つ編みに揺った優男が話し掛けてきた。
「まさか、君が【レヴィアタン】の所持者とは思わなかったよ、フィーグ。」
バルログである。
どうやら、このイケメン貴族も、この詩人祭のスポンサーの1人だったようだ。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「雷鳴の剣?」
「ああ、あのメダリオ公が突如、思い付いた様に、トーナメント優勝者に授与する事にしたそうだ。」
「あのコレクター王がね…
もしかして、最初から その気で、ギリギリ迄黙ってたんじゃね?」
「あの方なら、有り得るな。」
バルログが言うには、明日の格闘トーナメントの優勝商品に急遽、メダリオ王のコレクションの1つである『雷鳴の剣』を加えたとの事。
あの王のサプライズ好きは、それなりに有名な事。
トーナメント参加受付終了のタイミングと重ねた この発表、絶対にワザとだと、俺と目の前のイケメンは決定付けた。
「何だか つまらないな~!
あの王様なら強力な爪みたいな武器もコレクションしてる筈だし、そもそも「格闘」トーナメントなんだから、優勝商品は、そっち系にすべきだわ!」
まあ、確かに「格闘」と銘打っておきながら、武器の使用は ある程度はフリーになっているのは如何な物かと思わなくもない。
「でも姫さん、ドラゴンキラー買ったばかりじゃないの。」
「それは其れ、コレは此よ!」
そんな我が儘?な姫さんはスルーして、
(雷鳴の剣か…
確か『Ⅵ』に登場してた剣だったかな…
アレと同一な武器かは判らないが、ソロの強化には丁度良いかな?)
…等と考えてみる。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「それじゃ、ミネアに誰が優勝するか、占って貰ってみる?」
「いやいや、そーゆーのは興が冷めるから、止めとこうぜ。」
「そう?残念だわ…」
マーニャさんの提案は却下。
占いが全てってか、そういうのを事前に聞き、その結果を気にしたり、惑わされたりするのは好きじゃない。
何より、ミネアさんの占いの信頼度はパねぇから、普通に聞くのが怖いってのもある。
「マーニャさん、心配しなくても、俺が優勝するさ♪」
「フィーグ…」
あ、其処の人、「リア充、爆裂しろ!」とか言わない。
「あ~、そこの2人?
何だか良い雰囲気の中、悪いけど、そう簡単にはいかないわよ?」
「僕だって!」
姫さんとソロも勝利宣言。
そして
「私だって優勝を前提でエントリーさせて貰っているからね!
エンドールの時みたいな、無様を晒す心算は毛頭無いよ!」
バルログも吼える。
「そして、勝利の栄光はレディ、貴女に捧げよう!!」
「え゙?!」
このイケメン、いきなりミネアさんの両手
を握り締めて ほざきやがった。
「おま、何を言ってんだよ?」
「黙りたまえ!
私は彼女に、何と表現すれば良いか…
兎も角、運命的な何かを感じたのだよ!」
え?マジ?
それか、このナルシーの、何時もの女性を口説き堕とす時の常套句なのか、正直、どちらか判らん…
「え?えぇ?あの、わ、わた、わた…」
そして、こーゆーのに慣れてないのか、はわわ状態なミネアさん。
それでいて、実は満更でもなさそうな顔のミネアさん。
オーリンは何処に行った?オーリンは?
隣の席の双子の姉さん、顔が笑ってるよ。
因みに このイケメンがマーニャに同じ事をしてた日にゃ、この場でデンプシーロールからのオラオラをお見舞いして、無料整形外科手術してやってたぜ。
「あ~、バルログ…だったかしら?」
ん?マーニャさん?
「貴方と その子が どーこーしようが、それは本人達の自由だけどね?」
「ね、姉さん?」
「解ってるの?
その子と一緒になる、イコール、あんた、フィーグの義弟になるって事だけど?」
「はあ?」「なぬ?」「ね、姉さん?」
いや、マーニャさん、何故に貴女は まるで決定事項な如く、結婚(そっち)方面に話を持って行きたがるのですか?
とりあえず そーゆー話は この前、旅が全て終わったから話し合おうと、言ったばかりじゃないですか。
「オペレーション:なし崩しですわね♪」
ネネさんも怖い事を言わんで下さい。
「義弟…弟…義弟…弟…義弟…弟…」
…んで、バルログのヤロー、何やら ぶつぶつと小声で呟きながら、ロダンの『考える人』みたいなポーズで、悩み込み考え込んでやがる。
てゆーか お前、何を迷っている?
「………………………………………。」
1分近く、何やら考え込んだ挙げ句、
「レディ、残念だが、貴女とは今生は縁が無かった様だ…。
貴女とは、来世で再び逢う事を誓おう。
そして、その時、結ばれよう。」
そう言うと、バルログは去って行った。
凄く、凄~く失礼な奴。
ミネアさんに自分から声掛けておきながら、最後は それか?
それ以上に、そんなに俺の義弟は嫌か!?
俺だって、こんな面倒い義弟は嫌だけど。
「ミネア、残念だったわね~(笑)?」
「……………………………………。」
ケラケラ笑いながら言うマーニャさんに、黙り込むミネアさん。
「でも、今のって、最終的にはフィーグさんが原因な訳ですよね?」
む?何を言っているのだ?
この ろりきょぬーなボクっ娘は?
「そーだよね、フィーグが悪いよね。」
「ミネア、何だか可哀想…。」
ロレンスと姫さんが面白そうに便乗。
止めれ。
「いや~、しかし、今回は麻呂は来なかったんだな~?
アイツが【ルシファー】出してりゃ、ラストは更に湧いたんだけどな~!」
何だか「ミネアさんがフラれたのは どう考えても俺が悪い」みたいな空気を誤魔化す様に、話題を変えようとするが、
「…マローニは暫くの間、サントハイム国内で活動すると言ってたよ。」
それに対してロレンスが事情を説明。
例の神隠し事件以来、治安維持に外交、経済面に流通と、各都市毎が上手く工面しているみたいだが、それでも民からは不安や暗さは抜けないみたいで、マローニを筆頭にサントハイム国内を活動拠点にしている詩人や芸人達が、国を明るくしようと行動してるとか。
「「「……………………………。」」」
今度は それを聞いた、サントハイム3人組が黙り込む。
しまった、今の発言は地雷だった…orz
パーティー会場で話す内容ではないが、皆で少し話し合い、結論的には この国の用件が全て終わった後に、城の奪還は別件として、一度サントハイムに行ってみる事にした。
そしてサランを始めとして、各都市で姫さんが健在だとアピールする事に。
王女が まだ生きていると分かる事で、少しは国民達も希望が出れば良いな…と。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ん~、彼って確かに金持ちでイケメンだけどさ、やっぱナルシーは無いわね~。
あと、性格、凄く面倒そうだし。」
パーティーも終了して宿に戻り、寝る前にマーニャさんと色々と話していて、不意にバルログの話題になった時の言葉である。
「あ、もしかして、イケメン金持ちが現れて、不安になった?
きゃはは!フィーグ、可~愛い~!」
そう言いながら、顔面圧迫(生)してくる、少しだけ お酒が入ってるマーニャさん。
「うぷぷっ!?くっ苦しいから!
こんなんで窒息死は、マジに洒落にならないから!!」
「本当は嬉しい癖に~!うりうりうり」
「~~~~~~~!!」
少し前までは、本当に、本っ当~に、他意は無く事故100㌫でTo loveっただけで、その場でシバき倒すだけじゃ飽きたらず、簀巻きのハングドマンにしていた お姉さんと同一とは思えない。
「本当にミネアも可哀想よね~、誰かさんの御陰で玉の輿、不意になっちゃったからね~?」
俺か?俺のせいなのか?
「いやいや、マーニャだって、あんな面倒い義弟は嫌だって言ってただろ?」
「ん~、でも、結局は、あたしの我が儘でなくて、あの子の気持ちでしょ?」
いやいや、それでも昨日 初めて会っての今日で、いきなり結婚とかって無いし。
尤も、去り際の台詞、ある意味、地味にプロポーズだと解釈してても良いのか?
…だとしても、如何に免疫力の無いミネアさんでも、あんな面倒いナルシーに堕ちる筈がない!…と思いたい。
「これは もう、フィーグが責任取ってあげないとね~?」
はあ?
何を言ってるのだ?この お姉さんわ!?
「大丈夫よ、ミネアなら、特別に2号枠で認めてあげる。」
先程、少しだけ お酒が入ったと言ったが、撤回する。
かーなーり、酔っ払ってらっしゃるよ、この姉さん。
「それに、フィーグの『お宝本』の中の主人公も言ってたじゃない?
確か、「美女の姉妹丼は、漢の野望(ゆめ)なんだよ!!」だったかな?♪」
…誠に勝手ながら、客室(げんば)での中継を打ち切らせて頂きます。
もう、寝るわ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そして翌日…
メダリオ王国3連祭の最終日、『格闘トーナメント』の日がやってきた。
最後は結局…でした。
次回こそはバトル書きます。
次回予告:『メダリオ格闘トーナメント』