真に導く者   作:挫梛道

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皆さんお待ちかね!
メダリオ格闘トーナメントとは!
己の信念と野望と名誉を懸けて1年に1度、強者同士がメダリオ格闘コロシアムを舞台に戦う武闘大会なのであります!
そして戦って!戦って!戦い抜いて!
最後まで勝ち残った者が『マスター・オブ・ザ・メダリオ』の栄光を手にすることが出来るのです!
それでは!メダリオ格闘トーナメント!
レディィィ…ゴォォォォォォォ!!


激突、再び!!

「うおぉーん!アリーナ!リベンジ!!」

格闘トーナメント、アリーナの初戦の相手は、エンドール武術大会でも対戦経した、イエティの着ぐるみ男…ベロリンマンだった。

エンドール武術大会以降、再戦となる このカード、ベロリンマンからすれば彼女は今、最も望む対戦相手の1人だったのだろう、必要以上に入れ込んでいたのは、誰の目にも明らかだった。

 

因みに選手入場からの選手紹介で、アリーナは『サントハイム王女』としコールされ、件の神隠し事件以来、サントハイム王家の生き残りの存在が いよいよ公になった事により、場内が どよめきと歓喜に包まれたのは、別の話である。

そして この事実は、トーナメントの取材に来ていた時事通信記者からすれば、トーナメントや前日までのメダル祭りや詩人祭のレポート、またはモンバーバラのトップダンサーである、マーニャの熱愛発覚以上の記事ネタであるのもまた、別の話だった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「フィーグさんは、どう見ますか?」

「姫さん、幻惑系は相性悪いからな~。

しょっちゅうマヌーサやメダパニに掛かってるし。」

「確かに この前も、モンスターと間違えられて僕が殴られました。」

「前に本人もエンドールで勝てたのは、半分マグレって言ってたよな。」

控え室の水晶玉(モニター)を覗き込みながら、話す俺達。

 

「む、見たまえ、早速ベロリンマンが分身を始めたよ!」

                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

試合開始を告げる銅鑼(ゴング)と同時に、アリーナを囲む様に4身分身をするベロリンマン。

「あ~、もう!」

この類の戦法は、本当に嫌そうな顔のアリーナが呟き、とりあえず己の正面で構えを取っている敵に正拳突きを放つが、

シュウゥ…

その拳が敵をすり抜けたと同時に、その敵は煙の如く姿を消し、直後に『本体』が お転婆姫の後頭部にラリアットをぶちかました。

 

「う…」

ダウンしながらも、即座に立ち上がり、バク転しながら距離を取るアリーナ。

しかしながら、その顔は笑っている。

 

 

凄い!この人も あの時よりも更に強くなってるわ!

でも、あたしも あの時の儘じゃない!

 

 

再び分身したベロリンマンに対して

「えぇいやあ!」

浴びせ蹴りを敢行。

 

「うぉっ!?」

今度の攻撃は『本体』の側頭部に当たり、思わず片膝を着くベロリンマン。

シュウゥ…

それと同時に分身も全て消えた。

 

「てぇいやああ!!」

そこにアリーナの追撃の爆裂拳が唸る。

「うぉぉん!」

装備したドラゴンキラーを、『爪』の如く扱い繰り出す格闘姫の弾幕の如き連続突きを、数発はマトモに受けながらも、その刃の連打を殆どブロックしながら突進、着ぐるみ男は全体重を乗せた体当たりを浴びせる。

「きゃあああぁっ!?」

 

 

「うわっちゃぁ…軽量級の姫さんに、アレはキツいわ…」

控え室の水晶玉(モニター)から、試合の様子を見たフィーグが呟く。

「あ、また分身ですよ!」

 

 

「うおおん!アリーナ強い!本気出す!!」

シュウウウウゥ…

「え!?」

ベロリンマンが改めて繰り出した分身…

それは、今までの本体をカムフラージュする為だけの四身分身とは違い、本体を含む全てが、同時に様々な攻撃を仕掛けてくる五身分身だった。

 

「あ、あれは、まさかミラー?

いや、【別魅】か!?」

バルログが驚きの声を上げた。

「知ってるのか、雷電?」

「だ、誰が雷電だ!?

見ての通りだよ、あれは本体が同時に操り攻撃する、『実体のある分身』さ!!」

「「「「「な、なんだってー!!」」」」」

フィーグとソロだけでなく、試合を観ていた控え室の出場者達が、バルログの解説に驚きの声を上げる。

「そもそも あれって、反則にはならないんですか?」

ソロが声を出すが、

「ヤツが分身の使い手だと云うのは有名だからね、ダメなら、事前に大会運営からストップされていた筈さ。

つまり、そういう事だよ。」

「魔法力を使ってる訳じゃないから、体術と認定されてんだよ。」

 

 

「く…!!」

実質、5vs1となるアリーナ。

バルログの言う通り、5人のベロリンマンは、それぞれが違う動きで、尚且つ連携を駆使してアリーナを攻め立てる。

 

「成る程、単なる分身なら皆、同じ動きになるわな…」

「ああ、そして当然、同時に操るとなると、その数が多ければ多い程、高い技量が必要となる。

あの着ぐるみ、見た目で騙されてはいけない典型だよ!」

「アリーナさん…」

 

 

「こっの!二重の極み!!」

バガッ!!

アリーナの一撃が、1体にヒットするが、

「うおおん!残念!!」

ゴンッ!

「きゃあっ!!?」

それは分身。

本体か分身かは判らないが、別の個体がビッグブーツを放つ。

この、バルログが言う処の『別魅』の分身は、先程までの『ミラージュ』と違い、攻撃を当てても消える事がなかった。

 

 

「「姫様ー!!」」

「アリーナ!!」

「アリーナ殿!」

「「「アリーナさんー!」」」

観客席からクリフト達も声援を飛ばす中、アリーナは立ち上がった。

 

 

「くっ…」

アリーナが1個体に攻撃するも、別の個体から集中打を浴びる…

そんな展開が続いていた。

 

 

「フィーグさん、この儘じゃ、アリーナさんが!!」

「ソロ、落ち着け。」

「しかし!!」

劣勢の仲間に、焦りがちなソロに対し、冷静に戦況を観ているフィーグ。

「姫さんに勝ち目が無い訳じゃない。

本体を見極め、確実に必殺技をぶちかましたら、まだ逆転のチャンスはある。」

「でも、本体って…

それが分からないから…」

「いや、水晶玉(モニター)越しで観ている私でさえ気付いているのだ、目の前のアリーナ姫も、もう気付いている筈だよ。」

「バルログ、お前も気付いていたか…」

「ふっ…当然さ。」

「え?えっ????」

ソロが分かっていない「何か」を、気付いた様な話し方をするフィーグとバルログ。

                   

 

「くっ…流石に厄介だわ…

…でも!!」

アリーナは攻め入るベロリンマン達を掻い潜り、一番後位置の個体に狙いを定める。

                  

                  

「ソロ君、恐らくは最初から、そして今も常に、1体だけ一番後ろの位置に、または全方位攻撃の場合、他の個体より、一~二歩退いてる個体が居るのだよ。」

「え…そうだったんですか?つまり、そいつが!?」

「何だかんだで、姫さんの攻撃を受けるのは嫌なんだろう…

他の分身を常に盾にしてたって訳さ。

それを別に、ヘタレとか卑怯者とかは言わないぜ?立派な戦術さ。

でも、見抜かれる前に仕留めないと、今の姫さん、まぢ怒りなマーニャさんの半分位は怖いぜ?」

「「半分かい!?」」

「…てゆーか、フィーグさんはマーニャさんを、どんだけ怖がってるんですか!?」

「ふっ…そりゃあ、オマエ…」

ソロの問い掛けに、フィーグは何かを思い出す様に、遠くを見つめた。

 

 

最後位のベロリンマンに対峙したアリーナは、右手に填めていたドラゴンキラーを外し、必殺の構えからの、

「雷光覇皇流転拳!!」

自身の新必殺技…人体の5ヶ所の急所に、左右の拳からの二重の極み10連撃を炸裂させた。

 

しかし、

「うおおぉぉん!引っ掛かった!!」

どん!!

「きゃあっ!?」

アリーナが攻撃を放ったのは分身。

大技を仕掛けた後の隙だらけの背後から、本体がダブル・スレッジハンマーを見舞う。

 

 

「「「「「何…だと…」」」」」

控え室の出場選手達は、その光景を見て、唖然となる。

「まさか、この為に、自らも今迄、囮にしていたと言うのかい?」

「畜生、完全に騙されてたぜ!」

「でも、あれって…アリーナさんが気付くの前提の作戦ですよね?」

「つまり彼は ある意味、アリーナ姫を信頼していたのさ!

常に一番後ろに居る存在に、気付いてくれる事を…

そして、それを本体だと思い込んでの逆転の大技を仕掛けた隙を、最初から狙っていたのさ…」

「今回はアリーナさんの洞察力が、裏目に働いた訳ですね?」

 

 

「嗚呼ぁ…姫様ぁ…」

観客席のクリフト達も言葉を詰まらせる中、その一見、巫山戯た見た目とは裏腹な策士は、攻撃の手を緩めない。

「うぉぉん!これでトドメ!

手は抜かない!それが礼儀!!」

そう言うと、1体がアリーナを肩車にして抱えると、残りの4体も、それぞれが2組の肩車を作る。

 

「うおおおぉぉぉん!!」

肩車の1体が掛け声と共に跳び、アリーナにダイビングラリアットを放ち、激突の瞬間、アリーナを肩車していた個体が、彼女を勢い良く上空に放り投げる。

空中で弧を描いたアリーナは、うつ伏せの状態で地面に激しく激突。

直後にフリーになった2体が、アリーナを仰向けに返すと、逃げない様に頭と両足を抑える。

「うぅ…」

「うおおぉぉん!フィニッシュ!!

アリーナ!凄く強かった!!」

そして残った もう1組の肩車、恐らくは本体であろう上側の個体が、バク転の要領で飛翔、先のアリーナと同じ様に空中で大きく弧を描き、身動き出来ないアリーナの身体に、超肉弾プレスを落としたのだった。

 

 

「ダ…ダブルインパクトからの…」

「ラウンディング・ボディプレス…だと?」

 

 

 

この大技2連発が決まると同時に、試合終了を告げる銅鑼(ゴング)がコロシアムに鳴り響いた。

 

アリーナ…初戦敗退…。

 

 




解説ポジ、バルログ(笑)
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