…だって、浮かばないんだもん。
「引っ込め、コノヤロー!!」
「殺れ!殺ってしまえ、ベロリンマン!!」
「万死!!万死!!万死!!万死!!万死!!」
ぶーぶーぶーぶーぶーぶーぶーぶーぶー!!
はぁ…俺が闘技場に姿を出した瞬間、沸き上がる大ブーイング…
止めて!
俺のMP(メンタルポイント)は、もう0よ!!
「ん~、フィーグさんて、本当に人気無いんですね~?
やっぱり、あの黒の鎧に黒い戦闘服、それに黒い仮面と、全身黒尽くめな格好が、如何にも悪役っぽいからですかね?
更には あの赤い髪も、それらしく感じさせるんでしょうね~?」
「いやいや、コレ全部、アンタが原因だからね…」
「????」
元はと云えば、昨日の詩人祭のメインのステージで、ホイミン(とロレンス)と、ノリノリで立ち振る舞ったのが原因なのだろうが、それで何奴も此奴も、俺とホイミンが『ぴー』な関係だと、愉快な勘違いしてやがる。
いや、俺にはマーニャさん、いるしー。
確かに俺って きょぬー属性だけど(マーニャさん曰わく、爆NEW帝)、其処は否定しないけど、断じてロリじゃないしー。
予選で戦った奴等といい、全くの誤解なんですけどー!?
ふーんだ!いいさいいさ、今夜はマーニャさんにトーナメント優勝のご褒美込みで(断じてGOHOUBIに非ず)、慰めて貰うさ!!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「うおん!!オマエ、強い!
…だ・か・ら、最初からクライマックス!!」
トーナメント2回戦第4試合
フィーグvsベロリンマン。
試合開始早々、ベロリンマンは初戦でアリーナを叩きのめした5身分身・【別魅】を繰り出した。
そしてフィーグを囲み込む様に陣を敷き、そこからの全方位攻撃を仕掛ける。
「こなくそ!!」
着ぐるみ男が同時に放つ裏拳、前蹴り、フック、体当たりを辛うじて躱していくフィーグ。
そして最後の5体目が打ち出そうとするストレートに対して
(本体か分体かは知らねーが、コイツにカウンターの一閃、喰らわせてやる!)
…そう思い、槍を構えた瞬間、
「うおおおん!」
「しまっ…」
別の個体が背後からフィーグを羽交い締め、まともに拳をボディに喰らってしまう。
カラン…
思わず、手にした槍を離してしまうフィーグ。
「うおん!せーっの!!」
どどどどどん!!
「ぬわっ!!」
そして、腹を押さえ、うずくまるフィーグを囲むと、隙だらけの背中目掛け、5体掛かりで【太鼓の乱れ打ち】を仕掛けるベロリンマンズ。
「うおおん!さっさと仕留める!」
そう言うと、アリーナ戦の時と同じ様、2体が肩車を作り上げ、残りの3体がダウンしているフィーグを無理矢理に起こし、肩車の上の個体にフィーグの身体を逆さ向きに渡すと、
「フィニッシュ!!」
そのフィーグを両腕で抱えた儘、肩車の上からジャンプ、そのまま地面に頭部を思い切り叩きつけようとするベロリンマン。
しかし この時、漆黒の仮面の下の目を鋭く光らせたフィーグは、空中でフリーになっている両脚で着ぐるみ男の頭を挟み込む様にキャッチすると、
「うぅっりやあぁっ!!」
その儘、バク転の要領で体を回転させ、両者の体制を反転、相手の頭を挟んだ両脚で投げる様な形で
ドン!
逆に敵の脳天を地に落としたのだった。
「うおおおん…」
後頭部を抑えるベロリンマン。
シュウ…
それと同時に、他の個体が煙の様に消え去っていった。
「成る程、本体が大ダメージ受けたりしたら、やっぱり分体も消えるのか…」
その隙に先程、手離した槍を拾い、フィーグは敵に突進する。
(さっきの女騎士さん、衝突の瞬間に回転を加えていたよな…)
先の試合で、ゴッドサイドの聖堂騎士・コカブリエルが見せた細剣の技…
それを思い出しながら、フィーグは
「牙突(回転付き)!!」
同じ要領で、通常の牙突に技が炸裂する瞬間、持ち手に捻りを加える。
ズバァッ
「うおおおーん!!」
「おぉ~♪思った以上だ!」
これが、自身の予想以上の効果、手応えを見せた。
「うおんっ!!」
「…くっ」
だが、相手も即座に反撃。
ビッグブーツを胸元にヒットさせると、続けて打ち下ろし式のパンチを繰り出し、
ズバァッ
「がっ…」
更には着ぐるみの拳の中から、今まで隠し仕込んでいた鉄の爪を飛び出させ、斬撃を放つ。
「お前はウォーズ○ンか!ハド○ーか!?」
「うぉ?誰それ?知らない!」
思わず、突っ込みを入れるフィーグ。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
カシィンカシィン…
わーわーわーわーわーわーわーわーわー…
ブーブーブーブーブーブーブーブーブー…
その後は歓声とブーイングの中、互いに槍と爪、更には蹴り等の体術を交えた互角の攻防が、両者の間で繰り広げられる。
「ちょっと、さっきから酷くないですか?
フィーグさんの攻撃の時だけ、あんなにブーイングなんて!?あんまりですぅ!!」
「だから、アンタが原因なんだってば!」
「え…?どういう意味ですか?」
余りの一方的なブーイングに、金髪ポニテの美少女が憤りの声を上げると、隣の席の褐色美女が理由を説明する。
すると…
「え゙ーっ!?何なんですか、それーっ?
勘違いじゃないですかーっ?!」
真相を知り、顔を真っ赤にして、驚き呆れる美少女。
「ぼ、ボクは、フィーグさんは単に、お兄さん位にしか思ってないのに~っ!!」
「そりゃ昨日のステージで、あんなに仲睦まじいトコ見せてりゃ、知らないヤツなら誰でも勘違いするわよ!」
「あれは、ステージでのノリですぅ!」
必死に弁解するボクっ娘。
「ホイミンよ、周りは気にするな。
儂達が、しっかとフィーグ殿を応援していれば、その声は周りの有象無象をかき消し、きっと届くぞ。」
「ライアン様…よぉ~っし…!!」
すぅ…
父ポジの男の言葉を受けたホイミンは、大きく息を吸い込むと、両手を口に添え、
「フィーグ兄ちゃ~ん!!頑張れ~っ!!」
声を大にして叫んだ。
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…
闘技場に響き渡った その声は、他の観客達に、彼女の存在を知らしめる。
「え?ホイミンちゃん?」
「へ?お兄ちゃん?」
「あの赤髪、別に恋人とか、そんなのじゃないとか?」
ホイミンに気づいた周囲の観客達が、彼女を注目すると、金髪のボクっ娘は、その者達に涙目で、まるで兄(笑)の敵の様な顔で睨み付ける。
「「「「「……………………」」」」」
「(ボソ)ふぃーぐーがんぱれー…」
「(ボソ)ふぃーぐーいけー…」
「(ボソ)ふぃーぐー…」
「(ボソ)ふぃーぐー…」
「(ボソ)ふぃーぐー…」
ふぃーぐー…ふぃーぐー…ふぃーぐー…
最初は小さな呟きだった。
しかし、その小さな呟きなコールは次々と連鎖されていき、連鎖と同時に徐々に その呟きは大きくなり…
フィーグ!フィーグ!!フィーグ!フィーグ!!フィーグ!フィーグ!!フィーグ!…
やがて、巨大なコールへと進化していったのだった。
「あははははは…」
「ホイミンさん、お手柄ですね♪」
「ふむ、やはり、想い願いは声にすれば、届き響き伝わる物よ!」
「現金過ぎだっつの…」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「うおおおん?急に人気者になったぞ!?」
「おぅ、俺も吃驚だぜ!!(笑)」
いや、ブーイングの中、はっきりと聞こえましたよ、ホイミンの声。
あれが起爆剤となったんだろーねー。
出来た妹を持って、お兄ちゃん嬉しいよ、よし、マーニャさんには内緒で、お礼に ちゅーしてあげよう、5年後位に。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「うるあぁ!雷光流転槍!!」
フィーグが必殺の技を放つも、
「あの着ぐるみ、密かに防御力、高くねーか?」
決定打には到らない。
「うおおおん!!」
そしてベロリンマンは再び、その身を3体に増やす。
今迄のダメージからか、多くは分身できなくなったのか、しかし その分、より緻密に速く動く分体。
1体が先に飛び込み、突き出された爪を避け、カウンターの一閃を放った直後、
「「うおっ!!」」
「んがぅっ?!」
残りの2体による、前後からのラリアットを浴びるフィーグ。
更に追撃を仕掛けるベロリンマン。
ダウンしたフィーグに、分体の1体が吊り天井固め(ロメロ・スペシャル)を仕掛けると、
「うおぉ!!」
残り2体が天高く跳躍し、端から見たら まるで仲違いしたかの様に、1個体が もう1体に、地上でフィーグを捕らえている技と同じ技を仕掛ける。
その儘、空中で技を極められている個体が下側となり、やはり技を極められ、身動き出来ないフィーグの真上に落ちてきた。
「うおおぉん!!」
ドンッ!!
「ぐはぁっ!」
衝突のダメージにプラスして、着ぐるみ2体分の体重を まともに受けるフィーグ。
「長引く厄介!!そろそろ本当に決める!」
一旦、大きく距離を置いたベロリンマンズは、正面のフィーグに対し、綺麗に縦一直線に列ぶと、その儘 特攻を仕掛ける。
「!!」
一番前の個体がビッグブーツを放つ。
それは躱されるが、その時には既に、最後尾、死角に位置していた個体が、跳躍と共にフィーグの脳天目掛け、叩き潰さんとばかりに両手を組み合わせてのダブル・スレッジハンマーを、上空から振り下ろしてきた。
「うおおおおおぉん!!
JET・STREAM・AT「知ってんだよ!その戦法わっ!!牙突!対空の参式!!」
ズシャァッ!!
しかしフィーグは、まるで その攻撃を最初から読んでいたかの様に、通常の牙突とは違い、穂先を斜め上に向け、上空から迫る敵を迎撃する。
「うおぉ…練習したのに…」
「知るか!やかましいわっ!!」
シュウゥ…
再び姿を消す分身。
「おい着ぐるみ、姫さんとの戦いでの、自分さえも囮にしていた戦法は見事だったが、俺からすれば、まだ穴だらけだぜ?」
「うぉ…?」
「お前、姫さん時も、さっきのパワーボムも、そして今も、意識か無意識かは知らんが、トドメは分身でなくて本体、自分自身で決めるとかの拘り持ってないか?」
「!!」
図星だったのか、或いは自身も今、その事に気付いたのか、一瞬、ベロリンマンの動きが止まる。
「うらぁ!」
その隙を逃す筈がなく、フィーグが一閃突きを放てば
「うおっ!!」
ベロリンマンも直ぐ様 体勢を立て直し、鉄の爪による刺突と斬撃、そして体術のコンビネーションで応戦する。
「うおっ!!お前、感謝!
トドメの事、確かに俺自身が決める様にしていた!だから、今度から気を付ける!!」
そう言いながら、全体重を乗せた、体当たりを浴びせるベロリンマン。
「ぐっ…そりゃあ、どーも!!」
その超・重量級の攻めにも、倒れる事なく踏み止まり、自身の槍術の基本である、斬り、叩き、突き、払うのコンボを丁寧に繰り出すフィーグ。
そして、間髪入れず、
「覇極流千峰塵!!」
穂先の弾幕、高速の連続突きでの、更なる追撃。
そして、ダウンした着ぐるみ男が立ち上がろうとした瞬間、その立てた片膝を階段の様に駆け上がり、顔面目掛けて強烈な飛び膝蹴りを放ち、再びダウンさせる。
観客席の誰もが、勝負あったと思わせるに十分な一撃だったが、着ぐるみの漢は尚も立ち上がり、戦闘の意志を見せる。
「本っ当に最高だぜ、お前!!しかし…」
強い敵との出逢いに、満足な笑みを浮かべるフィーグは、
ブンブンブンブン…
片手で朱紅の槍、ルージュ・オブ・ケイジを数回、派手に大きく振り回すと脇に固め、構えを取る。
「そろそろ決めさせて貰うぜ!
さっきは練習兼ねた、お試しバージョンだったが…
行くぜ新必殺技!本邦初公開だ!!」
その台詞と共に突進して繰り出した構えは通常の牙突…
しかし、インパクトの瞬間、先程は手首だけだった捻りを、腕全体にチェンジ、それにより、回転もキレも、先程とは段違いの破壊力を持つ事になった…
「ブラッディー・スクライドーっ!!」
ドコォッ!!
「うっおぉ~んっ!!」
ドサッ…
正面から新技をまともに技を受け、吹き飛ばされてダウンしたベロリンマンは、上体を起こし立ち上がろうとするも、バランスを崩して尻餅を搗く。
「うおおぉ…」
その先は自力で起き上がる事は出来ず、座った儘の状態で、目の前で槍を構える男の顔を見上げ、はっきりと言うのだった。
「うぉ…俺の…負けだ…。」
原作はドラクエなんだし、今更『ダイ大』の技、出しても問題無いよね!
…問題無しにして下さい。
m(_ _)m
(仮)の付いてるサブタイ、誰か考えて下さい(笑)。