「この王都から、馬車で2~3日って所ですかね…?」
ブランクから教えてもらった、天空の鎧を封印しているという洞窟は、メダリア領王都から、それなりに離れた西側に位置していた。
原作(ゲーム)では、鎧の隠された洞窟へは船での進入だったが、現実(リアル)?では完全陸路。
道中の地図や、確認されている限りの内部マップも貰った後、今日は もう自由行動、出発は明日の夜明け前と決まった。
「明日は早いのですから、姉さんもフィーグさんも、何時もみたいに寝過ごしたりしないでくださいね!」
…はい。
前科持ち…ってか、常習みたいなもんですから、何も言い返せません。
強いて言うなら、本来なら疲れた身体を休め、体力を回復させるべき宿で、マーニャさんが全然、休ませてくれないからです。
∴俺は悪くない。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫「じゃあなフィーグ、仮面はトルネコ氏の店に届けておけば良いのだね?」
「ああ、済まないが宜しく頼むよ。」
夕方、定期船でエンドールに戻るバルログを見送る際に、親父に破壊された、真夜の仮面の予備ってある?…と聞いてみたら、普通に「あるよ!」って応えてくれて、しかもトーナメント優勝祝いとして、タダでプレゼントしてくれるとか。
何なの、このイケメン?
ナルシーなのはブレてないが、この男の原典である、『路上で闘う男達』のキャラとは、エラい違いである。
ついでに言えば、この貴族、某・虚乳…もとい、虚無の使い魔な噺に登場する、偉っそーに ふんぞり返るだけの様なバカ貴族とはエラい違いだ。
マジにイケメン。
今作品の磯〇君ポジション、バルログ。
因みにロレンスは詩人祭の翌日には、次の公演があるからと、朝一番の定期船でスタンシアラへ向かい、そして親父は やはり朝早くからルーラで、ブランカにある、傭兵団の拠点(ホーム)へ帰っていた。
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「これ、良いかもな。」
「そうですね。」
「ん、似合う似合う(笑)。」
新しい仮面を入手するまでの繋ぎという意味で、とりあえずの頭部防具をと、街の武器屋に行ってみた。
目に止まったのは、厚手の布地で織られた、紫色のターバン。
恐らくは この世界線の遠い未来、赤い鬣の豹を従え、金髪活発、若しくは青髪清楚、はたまた黒髪ツンデレの美女を侍らせるであろう、あの人がしているヤツと同じモデルだ。
価格の割に、そこそこな防御力を持つ一品、同伴している お姉さんズの勧めも手伝い、購入する事に決定。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
フィーグ装備
ルージュ・オブ・ケイジ→方天画戟
黒曜石のプロテクター
黒装束
真夜の仮面→紫麻のダーバン-ver.V
星降る腕輪
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…………………………………。
しかし、ウチの親父って、何気に装備品クラッシャーだったな…。
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「でぃりゃ!無双三段!!」
ズバァッ!!
襲ってきた小型…と言っても、優に2㍍越えしているドラゴンタイプの魔物を、新しく入手した槍、方天画戟で斬り裂く。
ルージュ・オブ・ケイジより、僅かながらに重量がある この槍、完全に違和を感じる無く扱えるには、やはり実戦で使い込むしかない。
「うおおおおおおっ!!」
「てりゃあっ!」
「ヒャダルコ…ぢゃっ!」
ライアン、ソロ、ブライ爺さんも、それぞれが引き受けた敵を片付けたみたいだな。
現在、馬車の外で戦闘担当となっているのは、俺、ソロ、ライアン、ブライ爺さんの4人。
朝早く…ってか、本当に日が昇る前、鶏さんより早起きしての出発だった為、お姉さんズと姫さん、低血圧なクリフトは、未だ荷屋で お眠。
年寄りは朝早いのは平気なのか、ブライ爺さんは凄く元気だ(笑)。
え、旦那?何時もの如く、パインウインドの手綱を握ってますが、何か?
「あ、フィーグさん、大丈夫ですか?
ベホイミ!」
「あぁ、サンキュな。」
そして、ホイミンが薬箱の如く、馬車の中でスタンバってくれていた。
…って、ちょっと待て待て待て待てぃ!?
「…ホイミン、何故、お前が居る?」
「え?アリーナさんから聞いたんですが、かなり強敵が潜むエリアらしいじゃないですかぁ?
だから、回復要員は1人でも多いのが良いかな~って♪」
「…で、本音は?」
「新しい詩の元ネタが、ボクを待っている気がするんでし…いひゃい いひゃい!?」
「…お馬鹿な台詞を吐いているのは、この口か この口か この口か!?」
「ふみゃ~、ぎょめんらひゃい~っ!」
とりあえず、このボクっ娘の両の頬を むにっとつまみ、上下に引っ張ってみた。
「まあまあフィーグ殿、着いて来た物は、仕方がないでは御座らんか。」
「ライアン様…」
そんな俺を宥めるのは、完全に親バカとなっているライアン。
「…まあ、回復役が多いと心強いのも確かですし、まさか、此処から1人で街に帰らせる訳にも いかないでしょう。」
ソロもフォローを入れる。
「ちぃっ、仕方無いな~…」
パーティーのリーダーであるソロが言うなら、まあ従うけどね。
「~♪」
…良いだろう、このボクっ娘、望み通り回復役として こき使ってやる!!
そして、王都出発から数日後、俺達は目的の洞窟に辿り着いた。
「広い造りとは聞いていましたが、本当に広いですね…」
「これなら馬車でも、余裕で入れるわね!
皆で進みましょ!!」
そんな訳で俺達は馬車毎、英雄リバストが纏っていたと云う天空の鎧が封印された…地元人からは『古代遺跡の迷宮』と呼ばれている洞窟に、足を踏み入れた。
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「唸れ、雷光!」
ドゴゴゴォォーン!!
「「「「グェーーーーーーーっ!!」」」」
ソロが雷鳴の剣を振りかざすと、その刀身から雷が迸り、襲ってきた魔物の群れを一掃する。
「フィーグさん、この剣、凄いです!
本当に僕が持っていて良いんですか?」
「気にするな。最初から、お前に持たせる予定だったんだ。
それよりソロ、破邪の剣の時みたいに、雷を刀身にキープする事は出来ないのか?」
「実は、さっきから やろうとしてたんですが…」
トーナメント優勝景品である、雷鳴の剣。
その刃の斬れ味も さることながら、剣に宿る、雷の魔力に驚くソロ。
しかし、呼び出した雷を敵に向けて放つで無く、その儘 刀身に留める事は、まだ出来ない様だ。
「稲妻斬りは、まだ無理か…」
「はぁ…すいません…」
「新しい武器、確実に使いこなせる様にするぞ、お互いにな。」
「はい!」
そう言うと、俺とソロは、新たに現れた、命を持つ巨大な木彫りの仮面…ガオンの群れに、向かっていった。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
古代遺跡の迷宮…
造りのイメージは、ドラクエVの、あのパパスが命を落とした洞窟な感じだな。
遥か昔には、この洞窟内の石造りの建物の中で生活していた者が居たのだろう。
街と迄は言わないが、ちょっとした集落みたいな感じだ。
襲ってくる魔物は、嘗ての その彼等だと思わせる様な、死神やフェイスボールの様なアンデッド、そして彼等が まだ人であった時に、護衛の為か生命の研究か、或いは兵器として創ったのだろうと思われる、先程のガオンの様な、人工物に仮初めの命を吹き込まれた様なタイプが多い。
「…てゆーかブランクの野郎、こんな面倒い場所に、鎧置いてんじゃねーよ!」
「うわぁっ?フィーグさんが急にキレました!?」
そりゃあキレる!
次から次へと、厄介な攻撃パターンを持つモンスターが現れるんだから。
ほら、またパペットマンが集団で現れた。
魔力を吸い取る不思議な踊りを踊るアイツ等は、魔法を主体に戦うマーニャさん達の天敵。
直ぐに馬車内で待機していた肉体労働組とパーティーを入れ替わり、
「おっらあぁぁっ!!」
ぶぅんぶん…
漸く新しい槍の、重量の違いによる微妙な違和を払拭出来た感から、次のステップ…
頭上で槍を数回振り回すと そのアクションの儘、目の前の魔物の群れに飛び込んで行き、繰り出すのは、俺の前でホウセンが見せた技。
俺の その同様な動作は単なる挑発や威嚇、或いは決めポーズに過ぎなかったのを、見事に『技』に昇華させていた…
「無双乱舞!!」
ズダバァッ!!
踊る傀儡の集団を、瞬時にズタズタに斬り裂いた。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「この先か…」
ブランクから手渡された、手描きの内部マップに従い、馬車でも通行可能な、緩やかな長いスロープを降り、天空の鎧を封印したと云う、遺跡の最深部に足を踏み入れた俺達。
石畳の広間の先に見える巨大な扉。
「あの扉の先の部屋に、天空の鎧が…」
ソロが呟いた その時、
Gyuooooon…
天井から、明らかに生物の声ではない、異様な『音』と共に、『ソイツ』は突如として現れた。
恐らくは、この遺跡を創った者が、この広い空間のエリアに人間が侵入した時に、迎撃する様に設定していたのであろう。
身の丈、目算で推定3㍍。
2本の角を生やした兜の様な頭部。
そのバイザーの奥からは、単眼の様な赤い光が妖しく光る。
左右の手に それぞれ、片刃の剣と棘の附いた鉄製の棍棒を携え、尻尾にはボウガン。
球形の下半身には脚が無く、恐らくは魔法処理的な仕組みで、浮遊状態で高速移動する、鈍色の金属装甲の機械魔神…
「キラーマジンガ…!!」
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